こんにちは、八王子市議会議員の相沢こうたです。
2021年10月
〇衆議院が解散し、今月31日投開票の国政選挙が始まりました。選挙戦に先駆けた各政党の方針を読んだり党首討論を聞いたりしましたが、総じて責任感を感じないと言いますか現実離れした言葉ばかり目について、人気取りに終始している印象です。コロナ後の景気対策や生活支援は、消費税を下げるとか無くす、一時金のばらまきなどで、その先の世の中を表していません。今が無ければ将来も無いと、それはそれで間違ってはいませんが、そんな発想は凡人のものです。この国の将来像を示してそこに向けた様々な施策を展開するための議論を交わしていただきたいと思うのですが、10万円配るとか、何の道筋も示さないで達成目標だけ掲げられるなど興醒めします。
・カーボンニュートラルに関しても同様で、そこまでの過程を全く示さず2050年には100%自然エネルギーに転換します、などと寝言のような公約を掲げている政党がありますが、ことはそんなに単純なものではありません。今の取組みのまま時間だけ経過しても絶対に出来ませんよ。
自然エネルギーの導入は反対するものではありませんが、個々の発電方式に欠点が多すぎることをどのように改善されるのか。例えば風力発電の発電量はその能力値を100とすると年間を通じて良くても30程度です。無風の日、風が弱い日、強すぎても機器の安全のために止めるなど、まさしく常に風任せの不安定さです。太陽光発電も同様で、夜はゼロ、雨天曇天では効率が下がり、パネル上に雪が積もれば数日間ゼロです。これらは発電方式として抱えている特徴ですので飛躍的な効率改善は不可能です。ならば蓄電池だ、蓄電池に貯めて・・ということになりますが、相当の小型大容量化のための技術革新が必要です。自然エネルギーに頼ると公言する方々はせめて平行して今後の蓄電池開発のための巨額な研究開発費を付けるなどの方針を示すべきだと思いますが、それも無い。また脆弱な送電網をどのように整備して行くのか、その道筋は議論すらされていません。送電網整備には4兆円を超える設備投資が必要だとの専門家の試算がありますが、その費用は誰が負担するのか、送電網の整備ひとつを取っても事はそう簡単なことではありません。
風力発電ひとつ取っても、人里離れた地や海上で起こした電気を運ぶ新たなルートが必要であることは理解していただけると思います。メンテナンス面でも海上に増えれば増えるほど手間が増えます。風車を作れば終わり、ということにはならないのです。
・地球温暖化防止のための温室効果ガス排出量の削減は取り組まなくてはならない課題だということで各政党はそのための政策を掲げていますが、前述したような現実味の無いものが多いことと同時に、削減に向けて解決しなくてはならない現実に起きる課題解決に言及していません。
・国民の生活が厳しいのはコロナの影響や賃金が上がらないことも当然影響していますが、支出が多いことが響いています。電気料金には自然エネルギーの買取り価格が上乗せされていますが、自然エネルギーの比率を上げれば上げるほど今の制度では国民の負担は重くなります。自然エネルギーの積極的な導入を謳うのであれば国民負担させている買取り価格の制度を改善し家計への影響を軽減させる必要があります。蛇足ですが買取価格制度を導入したのは民主党政権ですが、それに近い政党はこのことには全く触れず可処分所得が下がっていることだけを言っているのは無責任かな、と私は思います。
・ここのところ電気料金が上がっていますが、その原因は二酸化炭素排出量の少ない天然ガスの需要が世界的に増えて天然ガスの価格が高騰していることにあります。価格高騰以上に危険なのは世界的な需要増により日本に必要量が輸入しにくくなっていることで、今年の1月には天然ガスの輸入が滞り備蓄量が底をつきそうになった事実があります。天然ガスの取引きに関しては改善されていませんので今度の冬も同様の事態が懸念され、最悪の場合はかなりの広域に渡っての停電が懸念されます。真冬に数日単位で広域停電が発生することは命に関わる重大な課題ですが、エネルギー安全保障に関する政策はとんと見かけず、国民の安心安全を守ります、と叫ぶ政党は何を守ってくれるのでしょうか。
・不安定な電気、電力の価格高止まりは家庭よりも企業経営に影響します。電気料金が高くなることで生産コストが上がれば製品の価格が上がり、結局家計の負担が増えます。電気料金を低価格で安定させることは家計の電気料金だけでなく物価すべてに影響するということを忘れてはなりません。
・天然ガスをはじめとしたエネルギーの輸入が年々困難になる中で、自然エネルギーの推進を図りながら電気料金の価格を抑えるためには原子力発電の有効活用が不可欠です。選挙の時期になると原発に反対する方の声しか聞こえなくなりますが、今の日本のエネルギー事情や温室効果ガスの削減目標の達成、更には家計の負担軽減を図るためには、原子力発電の稼働が必須です。原発は危ない、というイメージが染みついてしまった方が多いのですが、原子力発電の技術も他の分野と同様に技術革新されています。40~50年前のままの技術で稼働したり新増設をしようとしている訳ではなく、40年前の物に比較すれば確実に安全性は上がっているということを理解するべきだと思います。
・福島第一原発の事故以降、政治家は原子力発電の再稼働や新増設に関して現実逃避したような見解しか示さず逃げてきましたが、そろそろ日本の将来を見据え現実と向き合って真っ向から真剣に議論するべきだと思います。自然エネルギーの導入など地球に優しいというイメージだけで語るのではなく、国民生活の負担が増えることをはじめ社会経済活動全般までの現実を直視して、きれいごとではないしっかりとした政策を訴えるべきだと思います。
過去の履歴
【2021年】
9月
8月
7月
6月
4月
3月
2月
1月
【2020年】
11月
10月
9月
8月
7月
6月
4月
3月
2月
1月
【2019年】
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
3月
2月
1月
【2018年】
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
【2017年】
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
【2016年】
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
【2015年】
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
2月
1月
【2014年】
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
【2013年】
12月
11月
10月
8月
7月
5月
4月
3月
2月
1月