八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたの使命

こんにちは、八王子市議会議員の相沢こうたです。

2021年2月

〇人類は過去に何度も感染症によるパンデミックを経験しています。天然痘、チフス、コレラなどがその代表ですが、現在からちょうど100年前に全世界的に流行したスペイン風邪の時の状況が現代の新型コロナウイルスのそれとよく似ているということで少し調べてみました。

・1918年3月頃から1921年の期間に感染症が全世界で流行し、当時の世界人口の約3分の1にあたる5億人が感染、そのうち4,500万人の命を奪いました。この感染症はスペイン風邪と呼ばれていますが、実はどこで最初に発生したのかは分かっていません。この当時は第一次世界大戦の最中であったためどの国も情報統制が敷かれていました。第一次世界大戦に参戦していなかったスペインでの流行が報道されたためスペイン風邪と呼ばれたようですが、実際の流行が確認されたのはアメリカが最初のようです。この時代には既に季節性のインフルエンザ自体はあったのですが、1918年は流行期(現在と同じ冬の時期)を過ぎて3月になっても患者が出続けたため、いつもと違うことに気付き始めます。同時期に戦争の影響から世界的な人の往来があり急激に世界中に広がっていきました。流行の第1波は1918年3月頃から6月頃まで続きましたが、インフルエンザの特徴である高温や湿度の関係でしょうか、夏頃になると自然に一度収束します。この第一波は、感染率は高かったものの、致死率はそれほどでもなかったとのことです。再び同年9月頃より感染が始まりこの第2波では肺炎などを起こして重症化する人が続出し大量の死亡者が出ました。この流行は翌年3月以降の第3波まで続きます。現在の研究ではこの数度の流行の間にウイルスに変異が生じた可能性もあるといわれていますが、ウイルスが変異することは当然のことで、最近新型コロナウイルスの変異種が新たな課題となっていますがこれはウイルスの特性でもあるようです。そもそもスペイン風邪を引き起こしたインフルエンザウイルスは、鳥インフルエンザウイルスが突然変異し、人間に感染する形に変異したものという説があります。これは、1997年にアメリカ・アラスカ州の凍土から発掘された遺体からスペイン風邪の検体が採取され、ウイルスゲノムが解析された結果の説です。当時の人々にとっては全く新しい感染症であり、スペイン風邪に対する免疫を持った人が存在しなかったことが大流行の原因だったと考えらます。ですからスペイン風邪の終息は、生きている人の大部分が感染と共に免疫を自然に獲得したことによるもので、これと同じ効果を人為的に行おうとしているのが今回のワクチン投与です。

・スペイン風邪が猛威を振るっていたこの間、兵員輸送船内で大量の感染者が発生したり、労働者の大量欠勤により物の生産能力が大幅に低下したり、収入減による消費の冷え込み、病院への患者の殺到に加えて医療者が感染することが重なった医療崩壊、各種インフラに携わる労働力低下により社会機能が麻痺したなどの記録があり、感染拡大を防ぐために世界中で不要不急の外出を控える通達が出たり、学校や娯楽施設の閉鎖命令も出たと、これらの事象を見ると現在の新型コロナウイルス禍と酷似した社会情勢になっていました。スペイン風邪の予防策について当時の日本の内務省衛生局が一般向けに公表した文書では、スペイン風邪にかからないためには1.病人または病人らしい者、咳をする者に近寄らない2.たくさん人の集まるところに立ち入らない3.人の集まっている場所(電車など)では必ず呼吸保護器をつける。ない場合は、鼻や口を手ぬぐいなどで軽く覆いなさい、となっており、この3つの予防策も、新型コロナウイルスに対するそれとほぼ同様です。

・コロナ禍から脱却するために私たちがしなくてはならないことは、100年前のスペイン風邪の歴史や、これまでの新型コロナウイルスの実態から正しい知識を学びとり、正しく警戒することが必要です。
まず専門家が繰り返し啓蒙している「三密を避ける」「手洗い、うがいの励行」「飛沫感染を予防する」といったことの重要性を改めて認識することが大切です。コロナ収束の終着点がなかなか見えて来ないことが人々を苦しめていますが、流行は一つの波では終わらないということは歴史が物語っています。何等かの形で集団免疫を獲得するまで繰り返し流行が起こり、人類が感染を繰り返すことにより、ウイルスが変異して致死率が高まる可能性があるということも同様です。新型コロナウイルスに新たな変異種が見つかったということはある意味当然のことですので、こういった日々の報道に右往左往するのではなく正しい知識に基づいた冷静な対応を粛々と継続することが大事なことなのです。
100年前と違い、今では新型コロナウイルスの遺伝子配列がわかりPCR検査で診断ができるようになり、ワクチンも開発されています。衛生面も向上していますし、医療は飛躍的に進歩しており、第1波の治療経験を生かすことで現在では救命率は確実に上がってきています。しかし、有効な治療薬が開発されていない点においては当時と変わりませんし、ワクチン投与の効果についても未だ正確にはつかめていません。このような状況下でスペイン風邪の教訓を生かすとすれば、一人一人が三密を避け、手洗い消毒を心がけることで、できるだけ流行のピークを緩やかにすることが最も重要です。正しく予防策を行っていても何等かのタイミングで感染してしまうことは完全には防げません。しかし流行を緩やかにすることで医療崩壊を防ぎ、経済をなんとか回していく、その間にワクチンの効果が出たり、新たな有効なワクチン等が開発されることを冷静に待つことが人々に求められる姿勢だと思います。

・疫病の被害は社会的にも大きく、スペイン風邪の収束後、世界的に経済は冷え込み、日本も2度目の感染ピーク後から株価が暴落し、第1次世界大戦後の不況が長引き、10年間のデフレを経て昭和恐慌へと繋がっていった歴史があります。そういった教訓から何とか経済活動を止めないことに政府はこだわっていることが伝わってきます。既に経済的に追い詰められてしまっている業態や生活に窮してしまっている方々も多いと推測しますし、非常に難しい課題です。但今はとにかく「新型コロナウイルスを世の中の脅威ではないものにすること」が全世界的に求められることで、そのことを第一義として考えるべきで、それにより一刻も早く普通の世の中を取り戻すことを目指す必要があります。ですから残念ですがオリンピック開催は断念せざるを得ないのだと考えます。人の移動が感染の波を作ってしまうことは歴史上明らかです。感染症の危険に全世界の人々がさらされてしまっている現実は、ある意味で戦時中よりも危険な状態なのだということを認識した判断が必要なのではないかと思います。

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