こんにちは、八王子市議会議員の相沢こうたです。
12月
師走を迎え、今年もあっという間に一年が過ぎてしまったと感じている毎日です。
〇日本の人口はここ数年、既に減少傾向であることはニュースなどで御存じのことと思います。現在の日本の人口の年齢分布を表す人口ピラミッドは高齢者が多く子どもが少ない歪な形であります。厚生労働省が発表した人口動態統計によりますと、2016年に生まれた子どもの数(出生数)は97万6979人となり、1899年に統計をとり始めて以来はじめて100万人を割り込んだそうで、子どもの数の減少傾向には歯止めがかからない状況が続いています。
日本が抱える大きな課題とされる超高齢化社会の到来による 労働力不足、経済の衰退、社会保障制度の崩壊、地方都市の消滅などは、全て少子化の解決によってかなり改善されます。一部に外国人の積極的な受け入れによって人口減を食い止めようと言っている政治家がいますが、私はそうは思いません。複数の多文化を安易に混入することで国の本質が崩れ日本が日本で無くなってしまうのでは意味がない、そういう形は最後の手段だと思っています。まずは国内の少子化対策に一刻も早く本腰を入れて取組むことが必要です。子どもが生まれてもその子たちが社会に貢献してくれるまでには最低二十余年が必要であり、その間、赤ちゃんから幼児期、小中学校、その上の社会に出る準備段階まで、幾重にも整備された施策を充実させなくてはならず、取組みはそう容易なものではありません。
しかし子どもを増やす取組みが功を奏すれば、新生児数は簡単に把握できますので、産まれてくる子どもの数が増加傾向を示すことで、どん底からの希望は着実に近付いてくることとなり、世の中はぎりぎりの中でも明るさを保てるのではないかとも思います。ですから私は「子育てしやすいまち八王子」の実現には相当にこだわっており、最近は議会で子育て全般についての発言が多くなっています。新しい命が世の中を救う、ということをテーマに施策展開したいと思っているのですが、どうも近年このことを理解してくれない大人が増えているのではないかと危惧する事象が多く見られるのが残念でなりません。
・学校の体育祭や部活動などで子どもたちが普通に生活する声や行動に過敏で苦情などの実行に移す大人があまりにも多く、八王子市内の小中学校で近隣からの苦情を抱えていない学校は無いようです。
公園での「野球やサッカーの禁止」もその原因は子どもたちの遊びに理解を示さない一部の大人からの苦情が基になっているものがほとんどです。更に昨年から今年にかけて新たな保育施設整備に対する近隣の反対運動なるものが八王子市内で目立つようになってきてしまいました。
・保育園に入所できない待機児童問題の解決は全国の、特に都市部では喫緊の課題です。八王子市も鋭意取り組んでおり、今年度の保育施設新増設整備が順調に実施されれば平成30年4月の待機児童はゼロに出来そうだ、との見通しでした。
しかし八王子市でのここ2年間の保育園新増設に関しては、平成28年度は2件の反対の声により建設計画が中止となっており、平成29年度は、現時点であわせて3件の建設反対の声が生じており、1件は場所を移し現在建設に向け準備をしていますが、2件は先行き不透明な状況のようです。
そのうちの1件ですが、先日、議員控室の机上に「(仮称)愛光大和田保育園(分園)計画 新築工事に対する計画中止の嘆願書」というものが配布されていました。正式に提出され事務局で受け付けたものですので、その内容を簡単に申し上げますが、提出者は大和田町5-3-1ダイアパレス八王子のマンション管理組合で近隣住民の方の署名も入っているということです。
この嘆願書にある建設反対理由は、
・園児や送迎の人、車両などによる騒音
・送迎の車両の路上駐車が迷惑
・保育園が隣接することで発生する騒音に耐えがたく賃貸・転売しようとしてもそうなってしまえば売れない(資産価値の下落ということでしょうか)・・・これについて調べましたところ、保育園が隣に出来たことで資産価値が下がるということにはならないそうで、反対に若い方たちにとっては有利な条件になるため上がる要素になる方ではないか、ということでした。
・自分たちが保育園で迷惑を被ることは納税者として不公平である。
・待機児童減少が国や市町村の課題で急務ならば公の広い土地に施設を建設すべきで住民に迷惑を掛けるべきではない。
と大体こんなところでした。私個人の感想ですが、理解できる項目もありますが、特に後半の2項目については、首をかしげたくなる反対理由だと思っています。近年はこの嘆願書に限らず、また保育園建設だけではなく、全国的に様々な場面で「総論賛成各論反対」とでも言いましょうか、非常に個人の側に偏った意見を言われる人が目立つと感じており、それらは社会そのものが成り立たなくなる類の考え方であると危機感を持っています。
・反対を受けた地域で施設を強行に建設した場合、そこに通う子どもたちは日々伸び伸びと生活できるのか、ということが非常に大きな課題となります。子どもたちは毎日そこで過ごすのですから、地域の方々に理解していただかないと散歩にも出られません。近隣とのトラブルは園児や通わせる親、働く職員にもプレッシャーやストレスになってしまい健全な運営が出来なくなります。ここが非常に難しいところだと思います。しかし、反対されたから断念したということは反対すれば断念するのだろうという前例となります。社会的にどう考えても正当ではない理由を基にした反対を安易に受け入れることは良くないことです。粘り強い対応によりご理解を得ていくことは市全体の子育て政策の前進の観点から絶対に必要なことです。
・では世の中の人たちは全員が保育園に反対なのかというと決してそうではなく、絶対に反対だという人は全体の5%に満たないという結果が出ています。
・また、私が読んだ「保育園問題」という本には以下のような例が掲載されていました。
「高齢者が多い地域で、ここには保育を必要とする若い世代は少なく、なぜ他の地域の人のために迷惑を受けなくてならないのか、といった主旨の反対がありました。しかし社会のしくみ全体を考えると、その高齢者たちが必要とし若い世代には関係の無い介護施設や病院で働くスタッフは若い世代であり、その人たちの多くには子どもを預けられる保育園が必要だということになるのです。」
この本の作者は前田正子さんという方で横浜市の副市長を経験された方で、ご自身の在籍中には保育の課題に取り組まれ苦労されたとのことです。社会はつながりを持っていることで成り立っているということを理解しようとしないで、自分たちのことだけを発信してくる人たちが増加することは、そのことが社会的に病んでいるということになるとそちらの方が心配だと思います。「反対運動は起こるが賛成運動は起きない」ということは世の中の常ですが、社会的な常識が通用しない世の中では常識派もある程度声を上げていかなくてはきならないのかも知れないと、このことも日本社会の危機です。
個人の主張は全て悪だということではありませんが、基本的には助け合って生きていくのだということを認識してもらう施策を大人に展開しなくてはならない時代なのかと非常に残念に思っていますが、引き続き真に子育てしやすいまちの実現を目指して奮闘して参ります。
〇本年も様々な方々に大変お世話になり、ありがとうございました。
新しく迎える年が皆さまにとって素晴らしい年になりますようご祈念申し上げます。
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