こんにちは、八王子市議会議員の相沢こうたです。
平成29年1月
○新しい年を迎えました。私も新年を迎えると「今年こそは!」の目標を立てるのは恒例となっております。その内容は語るほどのものではありませんが、今年こそは年末になって「よって拍の如し」とならないことを目標に時間を大切に過ごしてみたいと思っております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
〇「高齢者ドライバーの交通事故」が多く報道され社会問題化されています。私にも間もなく85歳を迎える父がおり免許証をどうしたものかと弟と話し合っているうちに、昨今メディアでは社会問題として急に取り上げはじめましたが、自分自身で本当のところの数字をきちんと見たことが無くこの心配は実は相当に漠然としたものではないかと考えてしまいました。実態を把握した上でどのように考えて行けばよいのか、今月は高齢者ドライバーの自動車運転免許証に関して取り上げてみたいと思います。
・立川の病院の駐車場での急発進した事故をはじめ、アクセルとブレーキの踏み違いと思われる建物への突入や駐車場からの転落事故など、最近特に高齢者ドライバーの交通事故報道が多くされています。しかし何となくですが私は事故を起こす確率は若年層の方が高い、だから自動車保険(任意保険)の掛け金は26歳未満が一番高いはずではなかったのかと記憶しています。事故の実態について少し数字を拾ってみました。
警視庁の平成28年(平成28年1月1日から11月30日まで)の統計から
【平成28年交通事故発生状況】表1
交通事故発生件数:449,872件 | △7.3%(前年同月比) |
交通事故死者数:3,483人 | △5.2%(前年同月比) |
【平成28年状態別死者数の比較】表2
【年齢層別死亡者数、人口10万人あたり死者数】表3
※交通事故によってお亡くなりになった人数・・加害者、被害者の別無し
【原付以上運転者(第1当事者)の年齢別免許保有者10万人当たり死亡事故件数】表4
※第1当事者・・・事故を起こした原因者のことです。
※運転免許を持っていて事故を起こした人がその年代10万人当たり何人となるか、ということです。
〇何を解決したいのかによってどのデータを対象にするのかは違ってきますが、今回は社会で騒いでいる高齢者の重大交通事故の実態を確認したいため、死亡事故件数での比較をしてみたいと思います。
・表2と表3の交通事故死者数は交通事故でお亡くなりになった人の数ですので加害者・被害者の区別はありません。ここに示される数を改めて見た時に、高齢者の割合が54%と非常に高いことに驚きました。特に歩行中に事故に巻き込まれる高齢者の数は突出しており、その中でも75歳以上の数だけで全体の52%を占めている事実は、今後何等かの対策が必要だと強く感じました。
・世間で高齢者という括りは65歳以上ということになっていますが、表2を見る限りでは同じ高齢者でも75歳以上と以下では大きな違いがあることが一目瞭然です。更に表3の比較で人口10万人あたりの死者数でも65歳から69歳は少し多めかなという程度に納まっています。ここで言えるのは同じ高齢者ということではなく何かもう少し丁寧な基準が必要なのではないかということではないかと思いました。
・表4は第1当事者(要するに加害者)に絞った数値です。人口10万人当たりの死亡事故件数に置き換えると75歳以上の数値は65歳から74歳までと比較し突出しますが、75歳以上の8.68人という数値は16歳から19歳の12.31人よりもかなり低く、65歳から74歳の数値は20歳から24歳より低く他の年齢層とも大きくは変わりません。75歳以上を除くと「高齢者だから事故が多い」という単純な答えにはならないことが分かります。前記と併せて考えると、65歳以上の世間一般的な高齢者の括りでは加害者となる交通事故は騒いでいるほど突出して多い訳ではないということ。また、どちらかというと被害者になる割合が異常なほど高い、と言えると思います。
ただ、交通事故は撲滅を目指していることは言うまでもないことで数値が高くないから放っておいてよいということではありません。
〇他の資料として事故原因の傾向を比較したものがありましたのでお示しします。
若年層の事故原因
・最高速度違反、わき見運転、前方不注意 などが多い
高齢者の事故原因
・漫然運転(ぼーとしていた、注意散漫など)、運転操作不適(アクセル・ブレーキ誤操作など)
〇永い期間運転に携わってきたことで運転技能や知識は若年層に比較して高いことは当然のことですので身体的に問題が無ければ事故率は下がるはずです。しかい高齢となるに従って様々な身体的な衰えから「車両の運転に適さない」人が加害者となる場合が多いということになります。身体的な衰えには大きく個人差があり、手足の俊敏な動きや瞬間的な反応面など運動神経の衰え、視力・潮力など身体の機能の衰え、集中力を保てないことや悪くすると痴呆症など頭の衰え、運転時間に耐えられる体力の衰え、などは加齢により仕方のないことですが、その現れ方は千差万別です。更にそれをどのように自覚しているのかということにも大きな個人差がありますが、交通事故のデータは、それらは75歳を超えると顕著に出始めると表現しています。
・70歳を超えると免許証の更新時に痴呆症や様々な運動能力の試験が取り入れられていますが、例えばこの更新は期間を1年にして実施することが必要ではないかと思われます(一回当たりの更新手料は現行の半額以下にして実施すべき)。更新が不可能となった人には免許証を取り上げるということではなく自主的に返納していただく、という丁寧な対応も用意すべきでしょう。
〇ご高齢になった免許証返納者は都市部に多く、周辺に行けばいくほど少ないという現状もあるようです。都市部は他の移動手段があり、医者や買い物などの目的地も近いが周辺部はそうはいかないのです。公共交通の充実、また自家用車に代わる移動手段の検討は行政に任される重要な取組みになります。
免許証返納についてもう一点、浅草仲見世商店会振興会や巣鴨地蔵通り商店会振興会などのようにたくさんの商店が協力して免許証返納者に特典を用意する取組みを行っているところがあります。残念ながら八王子市のこういったサービスは如何にも不十分で、私が見た資料にあったのは八王子めがね八幡町店の20%オフだけでした。こういった取組みも行政が主体となって積極的に取り組んでいく必要性を感じます。
〇高齢化社会となり65歳以上の免許証保有者は全体の20.8%となりました(表5)。この数字は今後数年間益々増加します。10万人あたりの事故率としては高い数字ではないと申し上げましたが、毎年65歳以上の年齢人口の占める割合が上がりますので事故件数としては今後もっと目立つことになるでしょう。喫緊の課題とすべき項目です。
誰にでも老いる日は来ます。そこまでの人生を何とか無事につないで来たのに最後に悲惨な目に会ってしまうことは避けてあげなくてはなりません。皆が安全でゆったりとした余生を送れるように、時代背景を適確にとらえた社会の仕組みづくりが求められているのだと考えますし、老いも若きもそれぞれを理解しあってその仕組みに委ねられる、そんな世の中にしていかなくてならないと考えております。
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