こんにちは、八王子市議会議員の相沢こうたです。
9月
〇9月4日に台風21号が25年ぶりに「非常に強い勢力」のまま日本に上陸し、死者13人、負傷者912人を出しました。関西空港の滑走路が高潮により冠水している映像やタンカーが関西空港連絡橋に衝突し橋がずれてしまっている映像は、未だ記憶に新しく台風の脅威を改めて感じました。強風で電力設備も甚大な被害を受け、関西電力では9月4日、大阪府、和歌山県、兵庫県などを中心に8府県でのべ約224万7000戸が停電しました。原因は強風による電柱の倒壊が相次いだり、電線が切れたり、電線や変圧器に飛来物が当たってショートするなどで、関西電力によると、台風被害としては平成で最大だということでした。中部電力、北陸電力、北海道電力の各地でもこの台風による停電が発生しています。
・台風から二日後の9月6日午前3時7分に、今度は北海道で震度7の大地震が起こりました。
発災当初は大規模な土砂崩れや地割れなどが報道されました。その日のうちに震源地に近いところだけではなく北海道全域が停電しているという情報が流れ、北海道電力管内が全て止まってしまうブラックアウトが起きてしまったようだと思いました。電力が止まってしまうと当然のことですが水道や下水道などポンプの電源が停止してしまいますので、停止してしまったのは電気に止まらずライフラインがほとんど麻痺してしまいます。携帯電話なども基地局の電源が止まってしまいますし、電話機のバッテリーが切れてしまえば充電もできません。余震が頻繁に続く中で真っ暗な夜を迎える心細さは尋常ではなかったことと思います。
・ブラックアウトの原因は、震源地に近い位置にある苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(出力165万kW)のうち、地震時に北海道全域の約半分の電力需要を担ってフル稼働していた2号機(60万kW)と4号機(70万kW)が緊急停止したことにより、電力系統全体のバランスが急激に崩れて、稼働していた他の地域の発電所も急な増負荷により自動停止してしまったことのようです。急激な負荷変動が発生した場合、発電所側の機器の自動停止を防ぐために強制停電により負荷側を切り離して、ブラックアウトを防ぐシステムが組み込まれていますが、北海道電力の発表では3回目の強制停電を発動した際に、システム上のトラブルか、強制停電そのものが間に合わなかったなどの原因があったようだということです。
・北海道電力管内の電力需要は極寒の冬の方が圧倒的に多く、9月は350万kW近辺ですが冬は500万~600万kWと跳ね上がります。泊原子力発電所が停止し、2013年から二年続けて電気料金の値上げをして道民の反発を受けたため、北海道電力ではこの上げ幅を少しでも抑えるために石油よりも安い石炭火力を優先して発電していたようです。北海道電力の火力発電所は苫東厚真火力発電所を含めて8ヶ所・15基ありますが、そのうちの半分は運転開始から40年が経過している石油火力発電所で、ここをフル稼働することになると石油は割高なため電気料金は上がってしまいます。
・電力不足による泊原子力発電所の再稼働について政府は、9月10日の菅官房長官の記者会見で「原子力規制委員会で新規制基準に基づく安全審査中なので、直ちに再稼働することはあり得ない」と否定しました。そもそも泊原子力発電所の安全審査がなかなか通らない原因は何なのかと調べてみますと、原子力発電所近辺の活断層活が無いことを証明するという部分で5年間も足踏み状態のようです。活断層の有無に関しては他の施設でも議論になっていたところがありますが、その活断層での地震発生の確率が数万年に一度発生するかも知れない、に対する発電所の稼働年数の数十年をどのように考えるかということは、結局、原子力発電所に対する主観の違いになってしまっているのではないかと思っています。
・9月4日の地震発生時に泊原子力発電所は震度2だったようですが、東京新聞には「震度2で泊原発の外部電源が停止した」とわざわざ掲載されていました。その後、非常用電源に切り替わり燃料プールにある燃料は無事に冷却され続けている訳ですが、外部電源は北海道全域がブラックアウトしたのですから止まってあたりまえです。報道するのであれば、その後の処置が全く問題なかったことを報道するべきですが、こういった報道ひとつ取ってみても賛成か反対かの主観の違いしか残っていないのだなと感じます。
・大地震の余震はいつまで続くのか予想は不可能です。熊本の例では本震だと思った後にそれより大きい地震が起きたケースもありました。苫東厚真火力発電所は震源地に近く、無事に再稼働まで持って行けても暫くは安定的に稼働させられる保証がどこにもありません。また緊急稼働させている発電所には老朽化していたり、老朽化により既に停止していたものが含まれており、いつトラブルを起こして停止してもおかしくない状況にあります。この背景を考えれば泊原子力発電所を再稼働することは当然の判断になると考えます。ちなみに泊原子力発電所は1~3号機を合わせて207万kWの出力があり、苫東厚真の総出力の1.25倍です。
・2012年の夏、当時の野田総理は「大阪の現在の発電設備ではこの夏は乗り切れない」と判断し、大飯原発の再稼働を決定し、3号機と4号機を期間限定で再稼働させる英断を下しました。この時、原発反対派の大阪・橋本知事などの反発に対して「暑さで大阪府民が死んでもよいのか」と一蹴し、その後反対派は全く反論せずに再稼働を黙認しました。
北海道の冬はもうすぐそこです。原子力発電所の再稼働には1ヶ月と少しの日数が掛かりますが今ならば冬に間に合います。この冬に大きな余震があり苫東厚真発電所が停止した場合、どうなるのでしょうか。脅しでは無く現実問題として凍死者が出ますよ。2012年の大阪と酷似したケースです。
幸い今回の地震の震源地とは離れていますし、冬の間、もしくは現在建設中の石狩湾新港発電所が稼働するまでの期間限定で、これを動かさない手はないと思います。それよりも、冬に電力トラブルがあった場合の道民に対する責任はどうやって取るつもりなのか、そちらの方が現実味があって恐ろしい話だと思います。
政治家は原子力発電所の再稼働について非常に消極的で触れようとすらせず、原子力規制委員会と電力会社に丸投げの状況は以前にも増して酷い状況だと思います。私は原子力発電に関して賛成でも反対でもないと常々申し上げています。何か替わる方式があるのならばそうすれば良いと思っていますし、施設そのものには何の問題も無い原子力発電所があるのだから有効活用すればよいということです。
そもそも燃料プールに核燃料を保持しているのであれば、想定外の非常時には運転中と何ら違いはないのですから。
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