一般質問で、「大垣市クリーンセンター」の余力を活用して木質バイオマス発電を行うことを提言
大垣市議会の一般質問が9月12日に行われました。一般質問は3,6,9,12月の議会定例会の中で行われ、議員が登壇し、市長に対して大垣市政への質問や提言を行うものです。私は当選以来、ほとんどの定例会で一般質問をしています。今回は木質エネルギーの活用について提言を行いました。その要旨は次のとおりです。
《1.「大垣市クリーンセンター」の余力を活用して木質バイオマス発電を》
本市のクリーンセンターは先人の努力によって「新エネルギー等発電設備」として発電所の認定を受け、余剰電力を電力会社に販売している。大垣市民のゴミ減量化の努力と来年から始まるプラスチックゴミリサイクルによって発電余力が大きく拡大する。そこで、せっかく市民の努力によって拡大したこの発電能力を生かし、本市面積の半分を占める広大な山林の針葉樹・広葉樹を燃料とする木質バイオマス発電を行い、収入と、雇用と、環境と、防災と、景観のすべてに効果のある施策に取り組んで欲しい。それは全国に取り組みそのものを「大垣ブランド」として発信することになり、魅力の向上にもつながる。(全文約6300字:要約)
私は、「技術的な課題は極めて小さく、あとはやる気の問題です。関係各課を集めて是非実現されるよう提案します。市長の考えをお聞かせください。」と質問を結びました。
その答弁を以下に記載します。
《答弁》
「クリーンセンター」は一般廃棄物処理施設であり、間伐材等につきましては、焼却炉を安定運転させるための助燃剤として処理するのであれば、法的には問題は無いと考えております。しかしながら、発電し売電するための燃料として受け入れることは、目的外使用で法的に課題があると存じます。
次にコスト面につきましては、ゴミ減少分を賄い発電するためには、購入費用、収集運搬費用、加工費用、処理費用など、大きな費用がかかると試算されますので、現状では、非常に厳しい内容と考えられます。
今般、いわゆる再生可能エネルギー法が成立し、平成24年7月1日から、再生可能エネルギーによって発電された電力を電力会社が政府の定める価格で全量買い取ることが義務づけられ、毎年度、発電源ごとに買い取り価格が決められることになっております。
いずれにしましても、クリーンセンターでの木質バイオマス発電は、現状では実現性は厳しいですが、再生可能エネルギー法での買い取り価格の動向を見守りながら、条件が整うならば、木質バイオマス発電にも積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
私は、この答弁を聞いて、心底がっかりしました。そんな事務的なことはわかっています。それを打破するための「やる気」が市長にあるかと聞いたのです。
東日本大震災、東電原発事故、福井原発隣接という現状から、市長はすでに減原発の方針を述べられています。一時的に火力発電に頼らざるを得ない中、全国で地域分散型の再生可能エネルギーを都市の電源として活用するための模索が始まっています。今、何を行うかが問われています。答弁にあるのは、3.11大災害前の標準的な行政文書です。私はこの時期に及んでこんな答弁が出てくるとは考えもしませんでした。
「法制度の改正」「コストの分散負担(環境や防災、景観等の各価値を担当する部局がコストを分担し合う)」「電力会社の買い取りの義務化、送電網の開放」が真剣に議論に入っているからです。私が尋ねたのは「市長の意思」です。現状を変えるための施策はすべて「トップの決断」から始まります。「本市の姿勢」→「減原発」→「具体的な施策」と発想が進み、さて本市ではどのような施策があるかということに対しての、私なりに考え抜いた提言が今回の一般質問でした。
「やる」と決断すれば答弁の内容は全く変わります。例えば、
本市を特徴付ける自然資源は「水」と「緑」である。いずれもエネルギー的価値がある。「緑」に代表される木質バイオマス発電を「クリーンセンター」で行う場合、新たな発電所を建設するコストは不要となる。しかしその一方で、廃棄物に関する法律と、購入費用、収集運搬費用、加工費用、処理費用のコストが大きな壁となる。
国においては「再生可能エネルギー法」が成立、県においては新たな森林づくりの重点プロジェクトとして「木質エネルギーへの転換プロジェクト」が位置づけられている。また民間では公共事業減少に伴う新たな雇用創出事業として中小零細企業が「林建協働森づくり推進事業」に真剣に取り組んでいる。
こうしたことを踏まえ、「木質エネルギー」の活用について、先程述べた壁を打破するため、積極的に・国、県に働きかけるとともに、本市を特徴付けるエネルギー施策として行政と民間の知恵を結集して、全国に「大垣システム」として貢献していけるよう取り組みたい。
このような答弁なら、職員も市民も企業も、「よし、やってみよう」と勇気がわいてこないでしょうか。
市長が「やる」と決断すれば、職員は「壁」を打破しようと、国や県の担当部局へ飛び、法改正の中に本市の考えを取り入れるよう働きかけます。算出されたコストが本当にそうなのか、最新の技術やデータではどうなるか、あるいは未来予測を元に将来試算すればどこに損益分岐点が来るかなどを民間とともに研究します。仮に木質バイオマス発電がすぐに実現できなくても、真剣にその実現に取り組む中で築かれた人的なネットワークと信頼関係は必ず本市の財産になります。それは「条件が整ったら取り組みます」ではなく、「取り組むために条件を整えます」という強い意思に人間として感化されるからです。
もう一つの「水」については、マスコミを賑わせている「小型水車」はシンボル的な価値が大半で、地域の雇用拡大にはつながりません。「水」をエネルギーの面から捉え、産業として振興しようとする限り、困難でも「水素」に真正面から向かい合わなくてはならないというのが私の持論です。今回の一般質問でも、再質問の中に少し具体的なアイデアを登場させましたが、とても、かみ合いそうもなく、またいつかの機会に再登場させることにしました。
これらの提言や当局の答弁について大垣市議会のホームページで「本会議録」として公開されますので、ぜひご覧下さい。
過去の履歴
VOL.9
VOL.8
VOL.7
VOL.6
VOL.5
VOL.4
VOL.3
VOL.2
VOL.1