TPPを考える・・・岐阜県農業担い手研究大会に参加
統一地方選挙が間近に迫っていますが、だからといってこのままなおざりにできない喫緊の課題がTPP問題だと考えています。
この問題の唐突な出現や「環太平洋」とうたっていながら現実はアメリカとの自由貿易協定であること、遙か昔の「農業後進論」の蒸し返しであること、あたかもTPPで工業生産が伸びるように報道されていること、等々あまりにも議論が未熟で疑問だらけです。
TPPのまえに、遅ればせながらバブル(=高度成長のピーク)崩壊の現実を直視し、次の日本の姿を真剣に論議することが必要で、うかつなTPP参加は、この国を荒廃させてしまうと考えます。
TPP参加の有無にかかわらず、資源と人間を集中し、大量生産を行う20世紀型の工業はそれら(資源と人間)が安く入手でき、大量の消費者(予備軍含む)が近くにいて、輸送コストが最も安いところに立地するという宿命があります。
TPPに参加しても従来型工業は低賃金の海外へ進出するとしたら、何が国内に待っているでしょう。
国内農業が壊滅したころ世界同時食糧危機が発生し、重機とオペレータをもつ中小建設業が追い詰められて廃業したころ大規模災害が発生したら、誰も食糧危機と国民困窮、山林や河川の崩壊、中小都市の惨事を止められない、そういった事態になりかねません。
農産物は石油と同じ戦略商品です。
今、石油の高騰に起きていることが近い将来農産物や水資源で起きると予測されています。
すでにG20では食料価格の高騰への対策が主要議題となっています。
21世紀になり、もう10年が経過。現在の日本が「国富の充実をこれから何をもって図るのか」という視点がないまま表層で右往左往していることを憂います。
TPP論議を1950年代の『「農業→工業」産業転換論』へのすり替えにしてはなりません。
本当にTPPでこの国は良くなるのか、それとも壊れてしまうのか、論拠やデータを公開の上、しっかりと論議したいです。
《写真》:2月16日、岐阜グランドホテルで開かれた岐阜県農業担い手研究大会。
TPPが主要議題となり、ぎっしりと埋まったロイヤルホール。
過去の履歴
VOL.6
VOL.5
VOL.4
VOL.3
VOL.2
VOL.1