私は、大垣市が、そのローカルな魅力や合併して新たに獲得した魅力を生かして、次のような分野を新たに伸ばしていくべきと考えます。
1.人口減少時代を勝ち抜く魅力的な地域づくり
2.子ども、お年寄りの立場に立った福祉の充実
3.21世紀をリードする産業の振興
1.人口減少時代を勝ち抜く魅力的な地域づくり
日本の人口は2050年には今の2/3の約1億人、2100年には今の約半分の約6700万人になるのは、数学的演算の帰結です。
つまり日本が積極的な移民受け入れ策でもとらない限り、多少の誤差はあっても確実にこうなります。
生まれるより死んでいく人間の方が日本では多くなったのです。
この厳然たる事実に立脚して、施策を構築する必要があります。
①農山村や中山間地が無人となり崩壊すれば、自然災害の激化と都市への波及による防災費の多額化、食糧自給率の極端な低下と価格の高騰に結びつきます。
農山村域の定住促進は都市の存続のための必須の施策です。
人口の総体が減少しつつ都心部への居住が集中してゆけば、やがて都市はその機能を維持するために多額の費用が必要となり、破産します。
農山村や中山間地域の定住促進は、都市の存続に直結している課題なのです。
全国の都市は自らの存続問題として農山村域への一定の定住の確保を図る必要があります。
大垣市がその先陣として「田園都市 大垣」を目指すよう提案します。
②日本全国の都市が互いをライバルとして、定住者の獲得競争、特に勤労世代・子育て世代の獲得競争が始まっています。
この競争に負けた都市は、急速に進む少子・高齢化のもとで収支の均衡を崩すことになってゆきます。
大垣市は飛び地ではありますが森林域、都心域、親水域が一つの自治体となりました。
中心部には商業域・工業域・高度医療域を備え、周辺にいくに従って田園空間が形成され、やがて森林域や河川に至るという理想的な田園都市となりました。
従来の「ミニ東京づくり」型発想を転換し、田園都市の持つそれぞれの地域空間の居住の魅力を明確化し、特に勤労世代・子育て世代が他の都市(例えば、東京、大阪、名古屋、そして海外都市の日本人居住区)から「大垣市」へ移住してくるよう促進しなくてはなりません。
大垣市の30年後の存続のために今から総力を挙げて「田園都市 大垣」の魅力づくりを進めていく時期に来ています。残された時間はそれほど多くはありません。
③子どもたちの無個性化、無国籍化が進み、我が人生を開拓して生きる力や悪事に対して踏みとどまる力が急速に失われつつあります。
私は、中央集権型教育ではなく、地域が子どもたちに「地域の歴史や文化、行事や料理」などに徹底してこだわった教育を行うことを提案します。
子どもたちの周りの山や川の自然の中で「五感をふるわして遊ぶことのできる条件の整備」を提案します。
いわば地域土着型教育です。理屈や義務感からではなく「好きだからこの地に住む」と言ってくれる次世代を育てるために、一刻も早く「地域土着型教育」に転換すべきと考えます。
2.子ども、お年寄りの立場に立った福祉の充実
目的も政策もない単なる無料化競争に陥ることなく、本市独自のオンリーワン施策の形成が大切です。例えば次のような施策です。
<子どもの教育>
・子ども時代の豊かな思い出づくり。
大垣市独自の個性づくりとして「3つのスタート」の統合実施を提案します。
①ブックスタート(絵本や紙芝居の読み聞かせ)
②音楽スタート(マタニティコンサートの実施とそのCDのプレゼント)
③積み木スタート(指先から知的な成長を促す1:2:4の積み木のプレゼント。大垣市特産の木製一升枡(「一生増」)に詰めて贈る)
・都会における自然ゼロ、知識偏重、コミュニティ崩壊が子どもの健やかな成長を阻害していることを直視し、本当に子どもの成長に役立つ環境、カリキュラム、コミュニティを子どもたちに提供することを教育の本質に据える。
<大人(父と母)>
・父と母がともに子どもと過ごす時間の拡大。
親が子どもといる時間を政策として支援することが必要。父と母が子どもを他者に預けて24時間働き続ける体制は子どもからみれば悲劇。子育て支援はまず「どのようであれば子どもが一番幸せか」の徹底した論議の延長にあるべき。
<高齢者>
人間は誰しも寿命を全うし、死ぬ存在です。この真実に立脚し、「高齢者」として「生者」から区別するのではなく、「高齢期」としてすべての人間に等しい時期とし、その時期の柱として、「健康に生き、自らの文化を伝え、見守られて死ぬ」ことのできる施策を構成する。p>
3.21世紀をリードする産業の振興
①農地や林地を活用した新しい産業の育成
<食料> 地産地消体制の整備、米粉の生産拡大と販路の確保、アジアの富裕層への輸出ができる高品質の商品生産(例:高付加価値米)とブランド形成。
<非食料>石油代替のバイオエネルギーやバイオプラスチックの原料生産と一次加工、飼料米等の生産、医薬品用原材料の生産。
<建築用木材>木造建築及び木質内装の振興。
<エネルギー用木材>石油代替の木質エネルギーへの加工と利活用モデル事例の形成
②防災・食料・医療の地域維持システムの形成
新自由主義的な、すべてをグローバルな競争の元で唯々安価であればよいという政策には反対です。防災・食料・医療には地域内安全保障の考え方が必須です。
<防災>河川や森林の維持管理を予防的な防災事業と位置づけ、定期的・通年的事業として地域事業者へ発注。
内水面氾濫対策の事業化と地域事業者へ発注。
いざ災害というときは、災害支援協定に基づく地域事業者の緊急支援を要請する。
<食料>世界の人口爆発と気候変動に備えた、大垣市域内の農地の保全(産物の積極活用による耕作放棄の未然防止)と食料生産能力の確保。
<医療>大垣市民病院と圏域病院、診療所との連携強化。
予防医学やがん緩和ケアへの対応促進。
医師、看護師、技師等医療従事者の確保。
医療費削減と密接に結びつく保健活動や健康づくり活動の振興
③国際観光都市への脱皮(世界の人が来たくなる大垣というブランドの形成)
生産年齢人口が減少し、さらに第2次産業が海外へ移転すると言うことは国内の富だけに頼っていては縮小均衡の繰り返しから脱出できないことを意味します。
国内に目を奪われれば、今なおテーマパーク型の大規模集客施設が観光の花形のように語られるようですが、世界からの観光客の流入にターゲットを絞れば、大垣市は観光都市化に出遅れた分、フリーハンドがあります。新たな魅力を作ることができます。
世界にモノ・コトを売ることに長けた「総合商社」などの知恵を借りて、大垣市の観光資源を発掘し、「国際観光」に特化した観光施策を進めることを提案します。