大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

令和4年6月議会

一般質問表題

・本市におけるスマートシティ事業の推進について
・気候変動による「過去に例がない災害」への備えを

一般質問詳細

◯議長(林 新太郎君)
 13番 田中孝典君。
〔第13番 田中孝典君 登壇〕

◯第13番(田中孝典君)
 自民党緑風会の田中孝典でございます。
 それでは、通告に従いまして、2点質問させていただきます。
 まず1点目、本市におけるスマートシティ事業の推進について、お伺いいたします。
 去る4月5日から5月16日まで、令和4年度のスマートシティ関連事業に係る提案の公募がなされました。これは、スマートシティーの全国での計画的な実装に向けた取組の一環として、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省が連携して実施したものです。私は議員になって一貫して、情報化、デジタル化の推進を政策提案してまいりました。今回の国の発表で特に注視した点は、実装に向けた取組という言葉です。一般論でございますが、一般的にアイデアの実現への経過は、1、ニーズの把握、2、未来視点での企画立案、3、実証計画の策定、実施、検証、4、一連の実証作業から得られたデータを元に実装計画の策定、実施、検証、そして5、実装、すなわち社会への普及、この5段階を経てなされます。国では既に実証ではなくて実装、社会への普及の募集の段階に入っているということです。関連省庁全ての取組を把握するのは不可能ですので、国土交通省の取組の一端を御紹介させていただきます。
 国土交通省では令和元年度から、全国の牽引役となる先駆的な取組や早期の事業化促進等に対して、財政的な支援や直接的なコンサルティングを実施されてきました。令和3年度までの3年間に先行モデルプロジェクトとして、福島県会津若松市や兵庫県加古川市などの27の取組、重点事業化促進プロジェクトとして岐阜市や宮崎県延岡市などの24の取組への支援がなされてきました。国土交通省だけでなく内閣府をはじめとする関係省庁の知見が集積されて、いよいよ国の施策が実証から実装へと動き出したのが令和4年度、すなわち本年度です。実用化された技術の社会的普及、イコール実装が今年から全国で始まるということです。私は今、愛知県刈谷市の取組が本市のこれからの事業推進に大いに参考になると考えます。刈谷市の取組は上記のプロジェクトには含まれませんが、本市と幾つかの点でよく似た状況にあると考えるからです。刈谷市は人口が約15万人で、トヨタ系企業をはじめとするものづくり産業の立地や集積が進んだ愛知県有数の都市で、岐阜県における本市と状況が共通する点が多くあります。刈谷市では、県と市、関係企業で研究会を設置し、1、モビリティ・移動、2、エネルギーマネジメント、3、医療・福祉・健康づくり、4、データ活用・魅力発信の4分野で実証実験案を昨年7月から話し合い、30項目にまとめられました。そして本年に入り、実現可能なものからどんどん実証実験を行っていくとのことです。その具体的プランの例として、1、市民の移動手段として超小型電気自動車の活用、2、福祉車両のシェアリングサービスの実現、3、高齢化施設でのパワーアシストスーツ利用など、刈谷市の日常的な課題に直結した様々な先端技術を試す取組が挙げられています。愛知県もこうした市の取組に対して、活用可能な国や県の支援の仕組みを提案してサポートしていくとされています。
 今、国の事例と刈谷市の事例を紹介させていただきました。これらの取組の背景には、情報通信技術や人工知能を活用した社会をつくるという強いリーダーシップと、市、県、企業、大学等の集合体で相互連携して取り組んでいくという姿です。どんな事業でも、最低3年のリードタイムが必要です。ニーズの把握、事業の実証、実証結果に基づいた実装の段階を経て、初めて市民のための実用的な事業となります。本市におけるスマートシティーの実現には、石田市長の力強いリーダーシップと市役所の枠を超えた推進体制が必要と考えます。本市の現状と今後の推進方針についてお伺いいたします。
 続いて、気候変動による過去に例がない災害への備えをと題して質問させていただきます。
 昨年の12月末から今年の2月にかけて、関ケ原町を中心に過去に例がない豪雪に見舞われました。同地域における降雪記録ポイントの1m近い積雪は過去に記録がなく、本市の上石津地域でもそれに匹敵する規模の豪雪に見舞われ、家屋の棟やひさしに多くの被害が出たほか、除雪が困難を極め、1車線の除雪が精いっぱいで対面通行ができず、何百mにもわたって後退して譲り合わねばならない姿が見られました。また、緊急車両の通行となった場合、人命救助にも支障が出ると心配が高まりました。
 さて、「過去に例がない」との言葉には、通常、「規模」という言葉が続くことが多いのですが、今回の雪は過去に例がないほど重く湿っていたという、「湿」が過去に例がなかったことが特徴です。通常こうした重く湿った雪は春先の季節の変わり目に多く降っていましたが、今回は真冬に、しかも何回も何回も降りました。土地の古老いわく、わしが知っておる昔にはこんな雪は降らんかった。繰り返します。重く湿った雪が真冬に何回も降ったのです。何がこの事態を引き起こしたのか。気候変動としか言えません。日本海の海水温が上昇し、冬でありながら湿度の高い空気層が上空に滞留し、そこへ大陸または北極圏から寒気が南下、中部地方に重く湿った雪を何回も降らせる結果となりました。これはごくかいつまんだ解析ですが、重要な点は、数年前から日本海の海水温の上昇と上空の水蒸気量の増加が指摘され、今回具体的な災害となって現れたということです。この変化は一時的なものではなく、今後さらに気候変動で加速されていくと予想されています。過去の例に学んで備えをしておくだけでは、市民の財産、身体、生命を守ることができません。未来に起こる災害を予測し、それに応じた備えを今からしておくべきです。
 日本海の海水温の上昇と上空の水蒸気量の増加はどのような災害を引き起こすでしょうか。これから起こる豪雪被害は、重く湿った雪による倒木や電線の破断、除雪能力を超える積雪による集落の孤立、救助に行けない緊急事態の発生です。そして、ここから平地の皆さんは学んでいただきたい。これから起こる豪雨被害は、重く湿った雪を頭の中でチェンジしてください、何日も続く線状降水帯と900ヘクトパスカルを切るスーパー伊勢湾台風による土砂災害と大洪水の発生です。徳山ダムより下流に発生する豪雨だけで、恐らく過去に例がない水害を引き起こすと予想されます。気候変動による気象災害が現実化し始めた今、過去に例がない災害を予想して備えをし始めるべきです。本市にこのような考えがおありになるか、また備えを始めようとされておられるか、お伺いし、1回目の質問とさせていただきます。

◯議長(林 新太郎君)
 市長。
〔市長 石田 仁君 登壇〕

◯市長(石田 仁君)
 本市におけるスマートシティ事業の推進について御答弁申し上げます。
 本市では大垣市スマートシティ推進計画を策定し、基本理念である市民一人一人が幸せを実感できるスマートシティ大垣の実現を目指し、デジタル化による市民サービスの向上、行政の高度化・効率化の推進、安全・安心なデジタル環境の整備の三つの基本方針の下、様々な施策を推進しているところでございます。
 まず、デジタル化による市民サービスの向上では、待たせない、書かせない窓口として窓口案内・発券システムや申請書作成システム、証明書等のコンビニ交付サービスを導入するとともに、交付手数料などの支払いにキャッシュレス決済を取り入れております。また、スマートフォンなどから、いつでもどこからでも問合せができる対話型FAQサービス、行政手続がオンラインでできる電子申請サービスなどを既に実施しております。そのほか、防災分野では、デジタルを活用して避難所の受付や備蓄物資の管理などを行うとともに、大規模水害時の避難を疑似体験できるVR技術の活用にも取り組んでおります。環境分野では、AIを活用したカラス撃退装置の実証実験を実施するほか、福祉分野では、独り暮らし高齢者のお宅に通信機能を内蔵したLED電球を設置して、点灯、消灯を離れて暮らす家族に通知し見守る事業も行っております。教育分野では、歴史文化施設の展示品をスマートフォン等で解説するシステム、文化施設での催しをインターネットでライブ配信するサービス、児童生徒の欠席などを学校にLINEで連絡できるシステムを導入するほか、タブレット端末を活用して海外の学校と交流を深める授業も進めております。今年度からは、交通分野において、名阪近鉄バスと連携し、交通系ICカードの導入や路線バスの運行状況が確認できるバスロケーションシステムの拡充などを支援するほか、福祉分野では、認知症等で行方不明になられた方を衣服等に貼られたQRコードで家族に知らせる事業をスタートいたしました。
 次に、行政の高度化・効率化の推進では、オンライン会議やリモートワークをはじめ、手書き文字等をデータ化するAI-OCR、定型的な事務作業を自動化するRPA、道路面の損傷状況をAIで解析するシステムのほかに、園児の登降園管理などを行う保育業務支援システムなども既に導入いたしております。また、市有建築物等のドローンを活用した点検であったり、ヤフー株式会社と連携して民間のビッグデータを活用した行政課題解決の研究などにも取り組んでおります。まだまだ申し上げたいことは多々ございます。
 次に、安全・安心なデジタル環境の整備では、デジタルに不慣れな方を対象に初めてのデジタル講座やスマホ体験講座を開催するほか、誰でも気軽に相談できるICT相談窓口を設けるなど、人に優しいデジタル化を進めております。
 こうしたデジタルを活用した取組を今年度からさらに広げていこうと、情報企画課が全ての担当課をフルサポートしながら実証実験などを進めております。また国では、デジタルを活用した意欲ある地域による自主的な取組を応援しようとデジタル田園都市国家構想推進交付金が設けられ、本市におきましても、電子申請サービスや文書管理システム、AI-OCR、RPAを一体的に活用する取組が採用されたところでございます。時間を頂戴し、いろいろ説明させていただきましたけれども、まだまだございます。
 今後とも、大垣市スマートシティ推進計画に基づいて、誰もが利便性の高い暮らしを実感できる持続可能なスマートシティーの実現を目指して頑張ってまいります。御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(林 新太郎君)
 生活環境部長。

◯生活環境部長(加藤 誠君)
 気候変動による、過去に例がない災害への備えをについて御答弁申し上げます。
 近年、全国各地で地震や台風等による風水害、中山間地域での土砂災害等に毎年のように襲われており、とりわけ昨年の冬には、大雪により新潟県等で大規模な車両の立ち往生が発生し救出、救助が必要になるなど、自然災害が頻発化、激甚化しております。
 こうした中、本市では、昨年8月の集中豪雨により杭瀬川の水位が急激に上昇したことなどから大垣市災害対策本部を設置し、赤坂東地区等に避難指示を発令したところでございます。また、本年2月の大雪では本市に大雪警報が7回発表され、幹線道路の除雪作業を大垣地域では1日、積雪が59cmとなった上石津地域では16日実施しております。
 気象庁では、今月から線状降水帯による大雨の可能性を半日前から呼びかける線状降水帯予報の運用が開始されました。本市におきましても、大垣市地域防災計画に雪害対策を位置づけるよう検討するとともに、引き続き大垣市防災ポータルサイト、大垣防災等により早めの避難を呼びかけてまいります。また、避難所受付支援システムや防災備蓄管理システムの運用をはじめ、地区別避難訓練等において大雨による浸水被害を仮想空間で体験することができる浸水体感VRを実施するなど、防災施策のデジタル化を積極的に進めるとともに、効果的な防災対策の充実に努めてまいります。
 今後とも、市民の皆さんの命と財産を守ることを第一に、地域や関係機関と連携しながら災害への備えに取り組むとともに、安全・安心のまちづくりを推進してまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(林 新太郎君)
 13番。
〔第13番 田中孝典君 登壇〕

◯第13番(田中孝典君)
 ただいまは二つの質問に対し答弁をいただき、ありがとうございました。
 まず、本市におけるスマートシティ推進の取組については、さすがにデジタルが得意中の得意の石田市長であられると思います。非常に多くの事業を同時進行で推進しておられることに感謝いたします。今は恐らく現状の窓口から発想されていく事業の改善がスタートだと思いますが、次のステージとしては、大垣市全体の福祉の向上ということになると、よく言われますのが、全ての課を横串でさすようなプラットフォームをより充実させて、情報の共有やそれの有効活用を図るという第2ステージに行くと思います。そうしたことへぜひ進んでいただきますように、よろしくお願いいたします。
 私はこれまで、健康長寿のためのヘルスケアの推進、孤独な高齢者の見守りと孤独死の防止、移動困難者の買物や通院等のモビリティ支援等をデジタル化、スマートシティー化でより課題解決するようにと訴えてまいりました。その実現には全く新しい発想、全く新しい仕組みが必要です。それがスマートシティーで可能になります。過去に例がないからやってみよう、他のまちでやっていないからこの大垣市でやってやろうの精神で取り組んでください。そのためには民間企業の様々なアイデアを取り入れ、本市オリジナルの仕組みをつくっていく共同作業が必要で、不可欠です。本市におけるこれからの民間企業との共同作業の方針について、お伺いいたします。
 続いて、気候変動による過去に例がない災害への備えをについてでございます。
 これも記録の話でいうと、59cmとか60cmというのが公的な記録でありますが、現場へ歩くと雪でも雨でもたまるところがあります。例えば雪ですと吹きだまりというのがあります。それは関ケ原でも1m50cm、上石津でも1m50cmの吹きだまりができました。そして、そこに閉じ込められる、あわやもう出られないというところまで追い込まれる人たちが生まれてきました。それはフィールドワークで初めて分かることです。その資料につきましては、数ヵ月かかりましたが、まとめて議長へ提出させていただきましたので、関心のある議員の方はぜひそれを見て、これからの災害の備えとしていただけるとありがたいです。
 さて、日本海の海水温の上昇と上空の水蒸気量の増加によって引き起こされる災害対策には、実は平地と山間地には共通点があります。緊急時にあって、洪水や豪雪による孤立者の救助には、平地にあってはゴムボート、山間地にあっては、とにかく家の窓口までたどり着く小型除雪機が大きな役割を果たします。そして、やがて復旧するときにあっては、原因を排除する設備や資材が大きな役割を果たします。平地にあっては大小様々な排水機です。水を取り除く排水機です。山間地にあってはホイールローダーに代表される排雪機、あるいは排土する車両です。水はたまってきますから、たまったところで排水をします。雪とか土砂は動いてくれませんから、こちらから出かけていって、排土、排雪をします。その違いはありますが、これは二つとも、原因を取り除くということで共通点がございます。
 既に過去に例がない豪雪災害が発生し始めました。過去に例がない豪雨災害、すなわち大洪水が発生しないとする理由はありません。むしろ、豪雪も豪雨も過去に例がない内容や規模で拡大するとの想定に立ち、平時の今のうちに、これまでにない資機材を充実させておくべきと考えます。災害の規模が大きくなるということは、取り残される人も必ず増えます。私は、具体的には平地の防災倉庫へのゴムボートと停電時用の空気充填機材一式の配備、山間地の防災倉庫、あるいは防災拠点へのホイールローダーの配備を提案させていただきます。本市の見解をお伺いし、2回目の質問とさせていただきます。

◯議長(林 新太郎君)
 市長。
〔市長 石田 仁君 登壇〕

◯市長(石田 仁君)
 本市における民間企業との連携の方針について御答弁申し上げます。
 デジタルを活用して地域が抱える多様な課題を解決していくためには、民間企業や地域団体、大学等の幅広い主体との連携が必要であると考えており、大垣市スマートシティ推進計画にも位置づけているところでございます。本市にはソフトピアジャパンをはじめ、多くのデジタル関連企業が立地するとともに、ソフトピアジャパンエリアの企業等で構成されるSJ情場クラブからも、地方創生におけるデジタルトランスフォーメーションの取組についての御提言をいただいております。
 今回、現在進んでいるデジタル事業や実証実験の発表の場を田中議員からはいただけたものと感謝申し上げますが、こうした本市の強みを今後さらに生かして、官民連携の取組を進めてまいりたいと存じますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(林 新太郎君)
 生活環境部長。

◯生活環境部長(加藤 誠君)
 ゴムボートの配備等、避難が遅れた方への対応と除雪対策について御答弁申し上げます。
 ゴムボートの配備等、避難が遅れた方への対応につきましては、警察や消防、自衛隊、消防団など、防災関係機関と連携を図りながら速やかに救助に努めてまいります。また、除雪対策につきましては、引き続き幹線道路の除雪を実施するほか、小型除雪機等を自主防災組織が購入する場合には支援してまいります。御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(林 新太郎君)
 13番。
〔第13番 田中孝典君 登壇〕

◯第13番(田中孝典君)
 スマートシティーの推進についても、気候変動に対応した災害への備えについても、どうか本市が後発組にならないように、危機意識を持って取り組んでいただきますよう強く要望させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中たかのり
大垣市議会議員