・揖斐川流域における観光連携の推進について
・大規模停電防止のための樹木伐採の推進について
◯議長(石川まさと君)
13番 田中孝典君。
〔第13番 田中孝典君 登壇〕
◯第13番(田中孝典君)
自民党緑風会の田中孝典でございます。
通告に従いまして、2件の質問、提言をさせていただきます。
まず、一つ目は揖斐川流域における観光連携の推進についてでございます。
去る7月、木曽川中流域の岐阜、愛知両県にまたがる4市1町で連携して観光客誘致を図る木曽川中流域観光振興協議会が発足しました。コロナ後の観光需要回復を見込んで、官民が一体となって周遊ルートづくりや観光資源の発掘を行うとのことです。構成は、美濃加茂市、各務原市、可児市、坂祝町と愛知県犬山市です。設立会場では、各市町の長の皆様から並々ならぬ決意が表明され、既に具体的な事業も決まり、県の力の入った支援も決定しているとお聞きしております。
コロナ禍にあって様々な産業が痛手を受けておりますが、その最たるものが観光関連産業です。規模が中小で、キャッシュフローとストックの点からは明らかにフロー中心の産業分野です。コロナ禍でかなりの支援がなされておりますが、復旧期に入っても客足が単純に元に戻るだけでは元に戻れません。コロナ後の観光需要の変化への新たな対応と借入金返済が重くのしかかってくるからです。フロー中心の産業では、この分が上乗せ収入とならない限り、たとえコロナが終息しても苦境から抜け出すことはできません。単純推測ですが、コロナ前に比べて、客足並びに客単価がそれぞれ1割程度の増加は必須となるのではないでしょうか。客単価がアップする魅力的な商品並びにサービスの提供は、各事業者の工夫と努力によるところが大でありますが、客足、すなわち入り込み客の増加やリピート客の囲い込みは、まさに自治体や観光関連団体が総力を挙げて取り組む分野ではないでしょうか。さきに紹介した木曽川中流域観光振興協議会は、まさにこの視点に立って広域で強力に新規観光客の確保と固定化を目指したものです。そこでお伺いいたします。
本市を中核とする揖斐川流域における観光連携の現状と今後の具体的な事業推進についてどうなっておりますでしょうか。
次に、大規模停電防止のための樹木伐採の推進についてお伺いいたします。
8月27日に岐阜大学を会場にオンラインで、ぎふ気候変動適応セミナーが開かれました。この中で、気象が専門の吉野准教授から次のような指摘がありました。地球の平均気温が上昇すると台風が大型になり、雨や風が強まる一方で速度が遅くなるとのことです。これはまさにここ数年の私たちの実感とぴたりと一致するものであります。
防災で語られるライフラインは幾つもありますが、電気、ガス、水道は基本中の基本と言えるものです。今回は電気について御質問いたします。
数年前の台風は風台風と呼ばれるほど暴風が激しく、中山間地である上石津地域では、道路沿いの樹木が重なり合ってばたばたと倒れ、至るところで停電及び集落孤立が発生し、復旧するまでに4日以上かかった集落もありました。同地域では、登記簿上の地目が田、畑で現況は林地となっている面積が109haあります。これらはもともとが水田や畑地という生活空間にあり、主要な道路がその縁沿い、あるいはその内部を走っております。この道路に電柱が立ち電力線が架設され、集落と集落を結んでいます。この電力線に隣り合ってヒノキや杉が文字どおり林立しており、暴風でなぎ倒されて随所で電力線を寸断し、広域的な停電と複数の集落孤立が発生します。前回、あれほどの被害を出しながら、なおこの状況に目立った改善は見られません。また、2018年9月の台風21号では、岐阜県内延べ21万戸が停電し、揖斐川町でも約600戸が長時間にわたって停電を強いられました。こうした状況を打開するため、岐阜県にはライフライン保全対策事業があり、揖斐川町ではこの事業を活用して、電線を管理する中部電力パワーグリッド株式会社が費用の半分を、残りの費用を岐阜県と町がそれぞれ4分の1ずつを負担して、電線付近の停電につながりそうな樹木の伐採に取り組んでいます。本年度に入って、まず県道沿い70mにわたって伐採したほか、年度内にさらに数ヵ所予定しているとのことです。そこでお伺いいたします。
本市におけるライフライン保全対策事業を活用した、停電防止のための取組の状況と今後の活用の方針についてお聞かせください。
これで1回目の質問を終わります。
◯議長(石川まさと君)
市長。
〔市長 石田 仁君 登壇〕
◯市長(石田 仁君)
揖斐川流域における観光連携の推進について御答弁申し上げます。
本市をはじめとする揖斐川流域の市町には、美しい緑やおいしい水などの豊かな自然資産、また古くから東西の経済、文化の交流点として栄えたことなどを背景に数多くの歴史・文化資産がございます。こうした資産を観光資源として活用し、観光振興による地域活性化を図るため、本市や県、関係市町で組織する西美濃広域観光推進協議会において、国内外からの誘客に向けた取組を積極的に進めております。
西美濃地域への外国人観光客の誘致では、訪日外国人旅行者の多い台湾や香港などにおいて、現地旅行会社へのトップセールスや国際観光展への出展、外国人メディア・ブロガー招聘によるSNSを通じた情報発信に取り組んでまいりました。国内では、首都圏や関西圏を中心とした観光プロモーションのほか、旅行会社と連携してツアー造成に取り組み、たらい舟の乗船を組み入れたバスツアーや、奥の細道むすびの地や霞間ヶ渓、淡墨桜などの桜の名所を周遊する、ぎふ西美濃桜めぐりの旅を利用して、多くの方々がこの地を訪れております。西美濃地域北部の市町が連携する西美濃夢源回廊協議会では、桜や紅葉などの魅力ある景観のPRやサイクルツーリズムなど、新たな観光ルートの確立を目指した取組を進めております。こうした西美濃地域の市町との連携に加え、三重県北伊勢地域の市町や鉄道会社などと西美濃・北伊勢観光サミットを組織し、観光物産展やハイキングの実施など隣接する他県との広域観光も推進しているところでございます。
また本市では、NEXCO中日本の協力を得て、高速道路を活用して21のお城を巡る、日本どまんなかお城スタンプラリーを実施したほか、ユネスコ無形文化遺産に登録された33の山・鉾・屋台行事や、国名勝に指定された25のおくのほそ道の風景地を巡るスタンプラリーなどを関係市町と共に取り組んでおります。このほか、映画などのロケ地に訪れる聖地巡礼による来訪者の増加に向けたロケツーリズムや、昨年は大河ドラマ「麒麟がくる」の放映に合わせ、明智光秀の出生地を巡るツアー企画やお土産品を開発するなど、西美濃地域以外の市町とも積極的に連携して実施いたしております。
今後も、県や西美濃地域の市町との広域連携を基盤としつつ、好機を捉え、他地域との連携も視野に入れながら、宿泊や飲食、交通など地域経済への波及効果の高い観光振興に取り組み、地域活性化に努めてまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(石川まさと君)
生活環境部長。
◯生活環境部長(加藤 誠君)
大規模停電防止のための樹木伐採の推進について御答弁申し上げます。
近年、全国各地で台風や大雪など自然災害による大規模停電が発生し、地域住民の生活に大きな影響を及ぼしており、災害時のライフラインの確保が重要な課題となっております。本市におきましても、平成30年9月に台風21号の暴風により上石津地域において多数の倒木の被害が発生し、長いところで数日間停電いたしました。
こうした中、県では、平成31年度から強風や大雪等による停電及びこれに起因する被害の発生を抑制するため、市町村が行う電線の周辺に所在する立ち木を伐採する事業に対して、岐阜県ライフライン保全対策事業費補助金を交付しております。事業実施に当たっては、事前に伐採する立ち木の所有者や近隣住民の同意を得るとともに、電力会社から2分の1の負担金を徴収し、市町村も4分の1を負担する必要があります。本年度は、この補助金を活用して、高山市や関市、揖斐川町など12の市町村において立ち木の伐採が実施されております。
本市におけるライフライン保全対策事業の実施状況につきましては、令和元年度に電力会社から上石津地域の立ち木の伐採についての要望を受け、現地確認等を行っております。しかしながら、電力会社から伐採の要望を受けた大半の立ち木が私有地にあることから、まずは電力会社と立ち木の所有者の間での協議をお願いしているところでございます。今後は、緊急性のあるものから順に、電力会社や立ち木の所有者等と協議し、県の補助金等を活用して立ち木の伐採を実施できるよう検討してまいります。
引き続き、電力会社等関係機関と連携の下、災害時のライフラインの確保に取り組みながら、安全・安心のまちづくりを推進してまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(石川まさと君)
13番。
〔第13番 田中孝典君 登壇〕
◯第13番(田中孝典君)
それでは、再質問させていただきます。
まず、揖斐川流域における観光連携の推進については、非常に多種多様な取組を現在進めていただいていることが改めて分かりましたが、何とかこれをパワーアップさせていただきたいというふうに思います。それほどコロナ禍の観光業界を中心とした被害というのは、本当に大きなものがあります。
その中で一つ、新たな視点を提示させていただきます。
先ほどの木曽川中流域観光振興協議会では、2025年の大阪・関西万博をまずターゲットにすると具体的な工程が示されました。万博観光客取り合い競争への参入宣言です。従前の観光にただ戻るのではなく、万博を通じて新たな観光客の開拓と木曽川地域ファンの育成、回遊による年間観光客の増加、地域内周遊における客単価のアップを明確に目指したものです。お伺いいたします。
本市を中核とする揖斐川流域における観光連携において、2025年の大阪・関西万博をターゲットにしているか、もしターゲットにしているならば、今後特にどのような開拓活動を計画しておられるか、お聞かせください。
二つ目、大規模停電防止のための樹木伐採の推進について。
まず、最初に1点申し述べさせていただきたいのですが、本市でこれが進まなかったのは、地権者の交渉とかそういったものを民間企業に丸投げした、この実態がございます。よその都市で進んだのは、市が積極的にこの事業を採択して進めようとしたからでございます。この点をしっかりと考えていただいて、なぜ県北部で進み、本市で進んでいなかったのかということを見ていただければと思います。
去る6月3日付の岐阜新聞の記事の中に非常に気になる報道がございました。それは、こうした形の伐採は県北部で進められているが、揖斐川町の事業の取組が西濃地域では初という部分です。県北部は危険だけど、私たちの住む西濃地域は安全ということでしょうか。全く違います。私たちの住む西濃地域も、東西に山脈が走って壁となり、南から北へ巨大台風がゆっくり進んだ場合、現在の九州北部がそうであるように、長期間暴風雨を伴った線状降水帯にさらされる地域であります。最近被害が少ないのは、ただただ幸運が数年続いているだけです。
平成27年の国勢調査によれば、15万人都市である本市へ流入する就業者と学生の数は3万7,017人、そのうち揖斐郡からは5,206人、安八郡からは5,357人、不破郡からは4,633人、養老郡からは4,117人、海津市からは1,836人で、合計2万1,149人。本市で働くため、学ぶために日々集まる人々の57%が西濃地方、揖斐川流域からの方々です。この人たちがいるからこそ本市の今日の産業が稼働できており、明日の勤労者が担保されております。本市の産業構造も次世代勤労者の育成構造も、既に揖斐川流域一体構造となっており、人口減少の中で一層この構造は強まっていきます。揖斐川流域の各市町で、一たびライフライン、とりわけ電力停止の長期、同時多発が起これば、本市の産業をはじめとして、構造的に多大な被害を被ることは必至となっております。先ほど上石津地域で述べた状況は、これらの地域の多くで共通する事態であります。
過去にありました大垣広域圏の発想に戻り、揖斐川流域各市町にライフライン保全対策事業の活用を呼びかけ、各市町事業を取り集めた集合計画として、例えば大垣広域圏ライフライン緊急保全事業と名づけてでも、県との手続を西濃で一本化してスピードアップを図り、5年程度でせめて県北部の状況に追いつくぐらいの取組をすべき状況にあると私は考えます。本市の考えを改めてお伺いいたします。
これで2回目の質問を終わります。
◯議長(石川まさと君)
市長。
〔市長 石田 仁君 登壇〕
◯市長(石田 仁君)
大阪・関西万博来場者の揖斐川流域への誘客について御答弁申し上げます。
大阪・関西万博来場者の揖斐川流域への誘客につきましては、西美濃地域以外の市町との連携も視野に入れつつ、大阪での観光物産展の開催や旅行会社との商談会など、観光プロモーション活動を積極的に行い、観光振興による地域活性化に努めてまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(石川まさと君)
生活環境部長。
◯生活環境部長(加藤 誠君)
揖斐川流域の自治体に対するライフライン保全対策事業の実施の働きかけについて御答弁申し上げます。
災害時におけるライフラインの確保は大変重要であると考えておりますので、必要に応じて各自治体の判断により、ライフライン保全対策事業を実施していただければと考えております。
◯議長(石川まさと君)
13番。
〔第13番 田中孝典君 登壇〕
◯第13番(田中孝典君)
一つ目の揖斐川流域における観光連携の推進についてでございますが、従前に戻るだけでは観光関連産業は競争に負けて衰退いたします。入り込み客数のアップをどうか真剣に取り組んでいただきたい。今御答弁にもありましたように、万博を最大限活用するというのも大きな手段でございます。本市を中核とする揖斐川流域全体で観光連携を強力に進めることでしか入り込み客アップは達成できないと思いますので、よろしくお願いいたします。木曽川流域の会合では、知事はこう話されたとのことです。大きなコンセプトをつくり、スピード感を持って具体的に進めてほしい。世界とつながる仕掛けも必要となる。私も全く同感です。今、今日からの準備がコロナ後の観光関連産業を大きく助ける基盤となります。本市のリーダーシップと真剣な取組を強く要望します。
大規模停電防止のための樹木伐採の推進についてでございますが、今の答弁をお聞きすると、各市町、必要に応じて勝手にやってほしいというようなイメージに聞き取れましたが、私は予防事業として計画を立てて、早め早めに手を打っていくということこそ大垣のリーダーシップの表し方だと思っておりますので、ぜひ大垣広域圏の発想に立って、予防防災に努めていただきたいというふうに思います。これからの台風は、大型になり、雨や風が強まる一方で速度が遅くなります。これを被害と読み替えれば、これからの被害は広域になり、激甚になり、長期化いたします。西濃地域は、防災面でも既に運命共同体となり、事実上一体化しております。ばらばらでそれぞれ別々にと言っていたのでは、広域、甚大、長期化する災害に対応不可能です。西濃地域の防災力の向上は、ひとえに本市のリーダーシップにかかっています。大垣市は井戸の中にある単独のまちではありません。川で結ばれた広域のさらに要のまちです。従前の大垣広域圏の感覚を取り戻して、西濃運命共同体の要の都市として積極的に取り組んでいただくよう強く要望します。次の台風は西濃直撃かもしれません。
これで私の一般質問を終わります。