「有害獣を細断制限無く受け入れ可能に」
「市がリードして攻めの獣害対策を」
◯第8番(田中孝典君)
皆さん、おはようございます。
12月議会のトップバッターということで、大事な1番を与えてくださいました関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
また、去る10月21日に御逝去されました高畑 正先生、10期36年余、本市の発展に尽くしてこられました御功績、その努力に心から感謝と哀悼の意をささげたいと思います。
私事ながら、一番最初に議会に出るそのころに高畑先生の御講演を、お話を伺うときに、私は政策をきちっと提案できる議員を目指してやってきたと。そして、これから若い議員も入ってくる。そういう若い議員にも、そうした政策がきちっと提案できる議員になっていってほしいと講演されているお話を聞いて、まるで私に話されているような錯覚にとらわれました。それ以来、私は愚直に政策提案を議会でしようとやり続けてまいりました。まだまだ未熟でございますが、その方針をこれからも貫いてまいりたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず1番目に、有害獣を細断制限なく受け入れ可能にという題で質問をさせていただきます。
新聞報道によれば、お隣の養老町にある養老ドリームパークでは、この12月から有害駆除された鳥獣の死体を、細断処理などの条件を撤廃して無条件に焼却処分の受け入れを行うとのことです。
養老ドリームパークは、養老町、海津市、旧海津郡3町ですけれども、関ケ原町、1市2町で構成する南濃衛生施設利用事務組合が平成21年1月に養老町地内に新設したごみ処理施設です。このドリームパークで鹿やイノシシを焼却処理することは組合構成3市町全てが既に同意しています。受け入れ対象は、養老町、海津市、関ケ原町の3市町が猟友会などに有害捕獲として依頼したものに限られるとのことです。これは、去る7月に同町内で不法投棄された鹿の死体などが見つかったことなどによるものです。同事件は表世界、表面は不法投棄ですが、現実は有害駆除の依頼を受けて捕獲したイノシシや鹿の捨て場がなくて、やむなく捨て場とされていたことによるものです。
養老町では、町営斎場とドリームパークで受け入れているものの、斎場の火葬炉は大型犬程度まで、ドリームパークの焼却施設は縦横を30センチ程度までに細断するという条件が付与されており、事実上、猟師さんや地域住民が駆除した鹿やイノシシを持ち込むのは困難な状況でした。各地で適当な穴を掘って埋めるしか処分の方法が残されていませんでした。有害駆除に携わる人からは、行政に何度も焼却処理か埋立場所の用意をとかけ合ってきたそうです。このような受け入れの対応ができなければ、これからは駆除要請に応えられなくなるとの切実な声を届けたそうです。このような声に応えて、養老町並びに海津市、関ケ原町の3市町は、有害鳥獣について死体の大きさにかかわらずドリームパークで受け入れるよう方針を改めたとのことです。
翻って、本市ではどうでしょう。今、本市では、クリーンセンターに縦横30センチ以内に細断して持ち込むか、駆除付近で穴を掘って埋めるかという条件、全く変わっていません。幸い不法投棄といった悲しい事例は報告されていないと聞いておりますが、有害鳥獣駆除隊の皆さんや地域住民の皆さんからは、再三にわたって細断なき焼却受け入れの要望が出されております。何年もこの要望は続いていますが、本市では今なお対応はとられないままです。垂井町では、町営斎場が大型へい獣に対応できる火炉を持っていたため、当初から有害獣を無条件で受け入れています。
このような中では、本市の現状は非常におくれたものになっていると言わざるを得ません。駆除した有害鳥獣の死体について、細断等を駆除隊や市民の皆さんに強いることなく受け入れられるように、施設や体制を整えることが急務であると考えます。本市の今後の対策についてお伺いします。
続いて、市がリードして攻めの獣害対策をと題して、2番目の質問に移ります。
さきに述べた焼却処分は守りのかなめであるならば、効率的な捕獲は攻めのかなめです。たまたまではあると思いますが、鹿やイノシシなどの大型野生獣による被害は、市町村合併がピークになった平成18年ごろから顕著になってきました。猟友会の皆さんに有害鳥獣駆除隊を結成していただくとともに、地域住民も獣害防護柵の設置やわなによる捕獲の資格を取り、駆除に熱心に取り組んできました。過去5ヵ年の本市におけるイノシシと鹿を合わせた有害鳥獣の捕獲数は、平成22年度326頭、平成23年度531頭、平成24年度413頭、平成25年度498頭、平成26年度には何と714頭に上っています。平成25年度からは、有害鳥獣の駆除について個人によるわな捕獲が許されるようになりました。本市におけるわな免許保持者数も、平成24年度取得者40名、平成25年度59名、平成26年度74名と着実に伸びております。わな設置後の監視活動は毎日の見回りという根気の要る作業が発生しますが、ソフトピアジャパンに拠点を置くIT企業が開発中の携帯電話への自動通報システムについて、実証フィールドの提供や実験への協力などを通じて、住民の側からも積極的に省力化、効率化の促進を図るよう努力されています。こうした取り組みは、先日、岐阜県下の獣害対策の優良事例として選ばれ、代表発表されるようになりました。
また、狩猟として捕獲されたイノシシや鹿の新しい調理として、いわゆるジビエ料理にも積極的に取り組んでいただき、公民館活動での料理教室、本格的なイタリア料理、例えばこれは本年度の第3回大垣めしグランプリにも唯一のジビエ料理として参加されています。そして、シチューやカレー用の肉販売のほか、つい最近では、一口サイズにスライスされた薫製やジャーキーが真空パックで販売され、料理店や観光客の方々に大好評と伺っています。
昨年、政府は10年間で鹿、イノシシを半減させると発表しました。これは現在、農業・林業被害が年間230億円を超え、さらにふえると予測されること、このまま放置すれば被害が農山村から農村へ、そして市街地へと拡大すると予測されること、獣害の放置は山林や水田、水路、河川堤防などの防災の観点からも弱体化を招き、災害被害の拡大を招くとの予測があるからです。このような状況の中で、既に先進的な自治体では駆除を住民の個人的な努力だけに任せることなく、自治体が先頭に立って鹿を群れごと捕獲する大規模捕獲や、山林と農地との間の緩衝ゾーンの設置、電波発信機と携帯電話、スマートフォンとの連動による群れの移動情報の提供、あるいは捕獲情報の提供などに取り組んでいます。
地域住民は文字どおり、本当に文字どおりです、血まみれ、汗まみれになって獣害対策に邁進しています。今度は自治体側が応える番です。住民個人の努力だけに頼ることなく、市として先進的な自治体にならって、率先して捕獲対策を実践していただきますよう提案いたします。本市の考えをお聞かせください。
以上で1回目の質問を終わります。
◯議長(石田 仁君)
市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕
◯市長(小川 敏君)
おはようございます。
それでは、有害獣を細断制限なく受け入れ可能にについて御答弁申し上げます。
本市の獣害対策につきましては、大垣市有害鳥獣捕獲隊等による捕獲と防護柵の設置等による防護の両輪で進めていくのが重要であると考えております。とりわけ捕獲につきましては、西濃猟友会会員で構成される大垣市有害鳥獣捕獲隊と委託契約を締結し、青墓地区では7名の大垣本隊が、上石津地域では11名の上石津分隊がイノシシ、鹿等の捕獲活動をそれぞれ実施しており、農作物の被害防止に取り組んでいるところでございます。また近年は、農作物被害に遭われた農家の方がみずからわな免許を取得し、捕獲活動をされております。
捕獲隊により捕獲された有害獣の処理につきましては、青墓地区では捕獲者が解体後、利用できない部位を職員が市クリーンセンターに運搬し焼却処分、上石津地域では捕獲者が埋設処分しているのが現状でございます。なお、農家の方により捕獲された有害獣の処理につきましては埋設処分されております。
御質問の捕獲された有害獣の未細断での受け入れについては、構造的なこと、処理能力など解決すべき課題があるわけでございますが、当面はへい獣炉での受け入れを検討してまいります。
いずれにいたしましても、捕獲した有害獣の処分につきましては、引き続き調査研究してまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(石田 仁君)
経済部長。
◯経済部長(鈴木 守君)
市がリードして攻めの獣害対策をにつきまして御答弁申し上げます。
近年、中山間地域を中心にイノシシ、鹿、猿等による農作物の被害が全国的に増加をしております。本市の獣害対策につきましては、国、県の事業を活用するとともに、市の独自施策により、防護、捕獲等の対策を講じているところでございます。
防護につきましては、平成25、26年度の2ヵ年におきまして、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用いたしまして、上石津地域を中心に42ヵ所、約84kmの防護柵を設置し、農作物の被害軽減に大きな成果を上げております。一方、捕獲につきましては、大垣市有害鳥獣捕獲隊によります捕獲活動を実施しているところでございます。さらに平成26年度からは、上石津地域におきまして、県の森林環境税を活用したわな捕獲を中心とした捕獲体制整備モデル事業を実施し、地域の皆さんが連携して防護柵周辺にわなを設置するなど、地域ぐるみでの効率的な捕獲に取り組んでいるところでございます。
御提案の捕獲者の労力の軽減、また、効率的な捕獲等を図るための新システムの導入などにつきましては、情報収集と研究に努めてまいりたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、引き続き地域住民の皆様を初め関係機関と連携をし、積極的に獣害対策に取り組んでまいりますので、御理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
◯議長(石田 仁君)
8番。
〔第8番 田中孝典君 登壇〕
◯第8番(田中孝典君)
今、市長のほうから、大型有害獣について、へい獣炉で行けるのではないかということで、火葬炉に併設されておりますへい獣炉での検討という言葉が初めて御答弁がありました。これは、もしこれが可能になるならば、今700頭を超える有害獣を捕獲している人にとって大きな朗報でございます。ぜひこれは前向きに検討していただいて、一日も早い受け入れを整えていただきますようによろしくお願いをいたします。もし、それがきちっと整うのであれば、これで有害鳥獣の大型有害獣の受け入れについて、大垣だけが出おくれているということを払拭することができます。ぜひよろしくお願いをいたします。また、捕獲、駆除においては、全国で被害が拡大する中で、日々本当に新しい効率的な手法が考案されております。どうかそれを積極的に導入して、本市でも施策を講じていただきますようにお願いいたします。
ここで少し視点を変えて、有害鳥獣の駆除における奨励金、あるいは報奨制度についてお伺いします。
過去において、本市は他市町に比べて1桁、1桁です、1桁低い、信じられないような零細な助成にあること、そして、さらに総額固定式委託金制度をこの西濃管内で唯一とっているため、大垣市ではとればとるほど捕獲者の赤字がふえるということを指摘させていただいて改善を求めてきました。猟師さんたちからは、これでは弾代にもならぬ。身銭を切るにも限度がある。とればとるほど赤字になるのは大垣だけだ。また、今度はわな捕獲者からは、1頭とるごとに補修、時には更新のわなの費用がかかる。とればとるほど個人負担がふえていくのでは、とてもみんなやる気をなくしてしまう。そういった悲鳴が寄せられている。そのことを再度ここでお伝えして、本市の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
◯議長(石田 仁君)
経済部長。
◯経済部長(鈴木 守君)
大垣市有害鳥獣捕獲隊への報酬の支払い方法につきましては、近隣市町の状況を勘案いたしまして、見直しを検討してまいりたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
◯議長(石田 仁君)
8番。
〔第8番 田中孝典君 登壇〕
◯第8番(田中孝典君)
今答弁にありました見直しは、よりよき方向への見直しということでよろしくお願いをいたします。
それでは、私に与えられた機会もこれで最後ですので、少し要望を述べさせていただきます。
平成16年度にパイロット事業として、国の全額負担による獣害防護柵への支給事業が始まり、2年間の試行期間を経て平成18年度から一般事業化され全国事業となりました。本市ではその情報獲得におくれがあり、獣害柵の交付事業の開始が出おくれることになりました。先ほどお話がありましたように、獣害柵の事業の端緒についたのが、形となってあらわれ始めたのが7年も経過してからの平成25年度からです。この平成18年、16年というところから10年が経過して、国は事業が完了しつつあるとして急激に事業費を減少させました。この結果、本市では、防護柵設置計画書を提出しているにもかかわらず、事業が極端におくれるか、あるいは積み残しになる可能性が生じています。
私は、今度は市当局がリーダーシップを発揮して、獣害防護柵設置事業を早期に完了させるべきと強く要望をいたします。この件は通告の範囲外ですので、今回は要望にとどめます。獣害対策という深刻な現場において、まさに本市が掲げる行政と市民の協働の真価が問われています。対応策を本当によろしく御検討ください。
農業は国の根幹であり、農業の危機は国の危機でもあります。農村域だけの限定的な課題ではありません。獣害対策でフィールドワークをしているとき、ある猟師さんからこんな話を伺いました。年間200頭も駆除すればとても埋めていられないし、埋める場所だって見つからないよ。現場の声を聞いてくれ。被害はどんどん拡大して町へ向かっているんだ。
これで私の一般質問を終わります。