交流・定住人口拡大の積極的推進について
◯第5番(田中孝典君)
質問に入ります前に、私も、本日で東日本大震災からちょうど丸2年となり、改めて亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、一刻も早い復興が進みますよう心より御祈念いたします。
さて、午前中、市長は4期目に向けての力強い決意や抱負を述べられました。
さらに本年1月の年頭の記者会見で、市長は両手で大きな「集」の字、集まるという字を持って、ことしの取り組むべき重要な課題として交流・定住人口の拡大を掲げられました。私はこの一文字に込められた着眼点の確かさが、小川市政の根幹をなしていると考えます。市政自民クラブは全員一丸となって、この市長の4選を支援してまいります。
それでは、通告に従い、その交流・定住人口拡大の積極的な推進について質問をいたします。
まず、第1点目に、次のことを質問いたします。本市のいう交流人口・定住人口とは何か。2、その交流人口が本市ではどのようになっていると認識しているのか。定住人口がどのようになっていると認識しているのか。3、それを受けて、交流人口拡大のために何をどうするのか、定住人口拡大のために何をどうするのか。私はこの3点がしっかりと明確化されている状態が、交流・定住人口の拡大が重要な課題と位置づけられている状態だと思っております。
次に、交流人口・定住人口の拡大に関し、少し視点を変えて具体的な質問をさせていただきます。
まず、交流人口の拡大について。岐阜県の古田 肇知事は第3期の出馬に際し、その公約の中で観光の基幹産業化を掲げられました。自然豊かで日本の真ん中に位置する岐阜県の強みを生かし、交通網を整え、複数の観光地と特産品を結ぶ観光回廊を整える、海外にもPR拠点を置き、観光を柱に国内外から人を呼び込むと強い意思を示されました。去る3月6日に開かれた岐阜県議会の定例会一般質問では、観光の基幹産業化は、観光回廊のPRや海外誘客に努め、5年後に入り込み客4,500万人、観光消費額3,000億円を目指すとはっきりと述べられました。これは明らかに日本が観光立国を目指し、中部地方では中部国際空港を玄関として国際観光客の誘致拡大を目指す、いわゆる昇龍道プロジェクトに岐阜県としても積極的に参加していく意思を示されたのだと思っております。私は、本市においてもこの昇龍道プロジェクトに岐阜県とともに積極的に参加し、海外誘客のノウハウを今から身につけておく必要があると感じています。製造業が成熟産業となる中、次の時代を牽引する成長産業の一つは観光産業だからです。本市の見解をお伺いいたします。
次に、定住人口の拡大について。ここに「100万人のふるさと」という冊子があります。
〔資料を提示〕
◯第5番(田中孝典君)
これは認定NPO法人ふるさと回帰支援センターという団体が発行しています。この団体は、今は亡き立松和平さんを理事長として全国農協中央会などの団体が10年前に設立した団体です。いわゆるふるさと回帰運動のスターターであり、オピニオンリーダーでもあります。ふるさとへの移住・定住は今でこそ当たり前のように語られますが、10年前の当時はまだまだ理解が低かったことを覚えています。その後、全国ではさまざまなふるさと回帰、移住・定住活動が大きく進展し、今では子育て世代から高齢者までさまざまな人々のふるさと回帰運動が盛んになっています。先ほど観光では岐阜県の積極的な意思を述べましたが、残念ながら、事、ふるさと移住、ふるさと定住に関しては、岐阜県は全国的なレベルにあるとは言えないのが現状です。先ほどのふるさと回帰支援センター発行の「100万人のふるさと」に、同センターが2008年から毎年行っているセンター来訪者アンケートの最新の結果が載っています。
2012年の同センター来訪者1,017人のアンケートによる移住・定住希望地域ランキングは、1位が長野県、2位が岡山県、3位が福島県で、岐阜県はトップテンはおろか上位20位にも入っておりません。ちなみに、2011年では、岐阜県はかろうじて同率21位でした。一方、長野県は連続1位、岡山県は2011年の17位から15ポイントもランクアップしています。
地道なセミナーの開催や応対した相談数の増加が結果に結びついている、同誌はそう論じています。また、若い世代を中心に移住・定住の希望は全国に広がりつつあること、2012年の全国ベストテンのうち、西日本から7県がランクインしていること等が特徴となっているとのことです。相談者の割合も30代から60代まで、おのおの20%程度となっており、世代に偏りなく、満遍なく移住・定住の希望が高まっていることを示しています。こうしたことから、移住・定住施策については、観光施策とは逆になりますが、岐阜県事業に頼るのではなく、首都圏や関西圏に拠点を置くふるさと回帰支援センターに加入し、ふるさと回帰フェアや移住・定住相談会に職員を派遣するなどして、積極的に首都圏や関西圏の希望者の受け入れを図るべきだと考えます。本市の見解をお聞かせください。
続いて、第3点目に移ります。職員がアイデアを練り、施策にし、課を超えて複合的に組み合わせていく作業においては、課題をはっきりと認識し、根気と努力で解決していく高いモチベーションが何よりも大事です。このモチベーションを支えるのが市長の夢やビジョンです。交流人口が拡大した大垣市、定住人口が拡大した大垣市とは、どんな状態になっている大垣市なのか。まさに市長の夢で構いません。ぜひ私たちにお聞かせください。
以上で第1回目の質問を終わります。
◯副議長(石田 仁君)
市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕
◯市長(小川 敏君)
交流・定住人口拡大の積極的推進について御答弁申し上げます。
我が国の人口が減少傾向にあります中、地域活性化対策として、観光振興などによる交流人口の増加や定住人口の確保が重要であると認識をいたしております。本市では平成21年3月末の住民登録人口が約16万5,000人でありましたが、外国人の方の人口が減少したことから、平成25年1月末には約16万3,000人となっております。また、本市の観光交流人口につきましては、近年約210万人で推移しておりましたが、平成24年には奥の細道むすびの地記念館のオープンを初めぎふ清流国体・ぎふ清流大会の開催や東海環状自動車道大垣西インターチェンジの完成などにより約252万人に増加をいたしております。
こうした中、本市では、企業誘致などによる雇用機会の創出に努めるとともに、子育て日本一のまちづくりを目指し、子育て総合支援センターの設置や子ども医療費助成制度の拡充など子育て環境の充実に取り組んでおり、これらの施策は定住促進に向けた大きな柱であると考えておりますので、子育て支援施策などを積極的にPRしてまいります。
交流・定住人口が高まった目指すべき大垣市のビジョンでございますが、私は大垣を、より多くの人々が集い、まちににぎわいと活力があふれ、このまちに住んでみたい、住んでよかったと実感していただける日本一住みやすい都市にしていきたいと考えております。そのためにも大垣の地域力を総合的に高めることが重要でございますので、本年からスタートいたします第五次総合計画・後期基本計画を新たな機軸として、地域活力創造や安全・安心、子育て日本一などの重点プロジェクトを初めとする施策を着実に実施してまいりたいと存じます。
移住・定住に関する全国的な組織への参画につきましては、本市は移住・交流に関する情報の収集や提供、イベントなどの事業を行う移住・交流推進機構に加入しておりますので、ふるさと回帰支援センターへの加入につきましては研究してまいりたいと存じます。
また、海外からの観光交流人口の拡大につきましては、今後とも本市への観光客の誘客促進を図るため、国や県、県観光連盟等の関係機関とも連携し、セントレア・中部国際空港での観光キャンペーンや広域観光ルート作成などに積極的に参加、協力してまいりたいと思っております。
交流人口の拡大につきましては、この水都大垣、大垣城や奥の細道むすびの地、中山道赤坂宿など、歴史・観光遺産にあふれた大垣のまちを積極的に全国にPRし、大垣の知名度を上げて、全国から、あるいは世界からたくさんの方々にお越しいただけるようなまちにしていきたいというふうに考えておりますし、また定住人口の拡大につきましては、地方の定住人口をふやすためには、まず地方で上がった税収が地方で使えるという地方分権改革が何よりも必要でございまして、その点、国の中央集権を地方分権に改めるようさらに国に対して要望してまいりたいと思います。そして、大垣の産業を振興し、雇用を確保し、税収を確保し、そして安全で安心して、また教育や福祉、子育て支援など、日本一住みやすいまちづくりを進めさせていただき、多くの方々に住んでいただく、そういうまちづくりを進めていきたいと考えておりますので、皆様方の御理解をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
◯副議長(石田 仁君)
5番。
〔第5番 田中孝典君 登壇〕
◯第5番(田中孝典君)
ただいまは、力強い御答弁をありがとうございました。
夢と、もう一つ、ほんの少しだけ現実を述べさせていただきますと、現在の移住・定住ムーブメントを、10年以上前の定年帰農と同一視してはならないと思っております。農村や漁村に限られた問題ではないし、定年になったら田舎にでも帰ってのんびりしようといった心の問題でもありません。今では人口減少は都心部と中山間地で同時に進んでおり、暮らしの基盤は全く違うのに、高齢者の見守りや支え合い、伝統文化の保存や継承、商業、特に小売業の再生、非常時の安全確保など、お互いに非常に似通った課題を抱えるようになっています。都心部と郊外との中間部分に広大な道路整備が進み、巨大なショッピングモールが林立した結果、若年世代を中心にドーナツ状に居住の集中を促すことになり、皮肉にも全国どこでも人口減少が都心部と農山漁村部共通の課題となりました。そして、その若年世代から今後急速に人口減少が進んでいきます。これまで人口減少を食いとめてきたドーナツ本体が、これからぼろぼろになっていくというのがもう一つの予測される未来です。これは何もせず手をこまねいていた場合の予測される未来です。未来はバラ色ではありません。
さきのアンケートでも見られるように、今では満遍なく全ての世代に移住・定住希望者があらわれるようになりました。移住・定住事業とは、突き詰めるとこうした人々の奪い合いであり、危機意識に目覚めた全国の都市間のシビアな競争となっています。日本の人口は減少傾向にあるという状況ではもはやなく、減少しつつあります。2050年には1億人、2100年には6,000万人になると国立社会保障・人口問題研究所がもう何年も前に発表しています。
私は、この危機において、着実に対応できるのは小川 敏市長以外にはないと確信しています。市長がこれまでの実績を生かし、今本当に決意を込めて語られた夢の実現、人が全国津々浦々から、いや、世界から集まる都市・大垣を目指して、その力を存分に発揮して、確かな指導者として4期目の市政に取り組んでいただきますよう心よりお願いし、私の質問を終わります。