移住・定住施策の推進について
「清流の国ぎふ森林・環境税の活用」について
◯第5番(田中孝典君)
皆さん、おはようございます。3月議会一般質問の1番ということで、気を引き締めて取り組ませていただきたいと思います。よろしくお願いします。
1万5,854人、3,155人、これは本日付の新聞紙面に掲載された東日本大震災の死者と行方不明者の方々の数です。ここに改めて衷心より哀悼の意を表させていただきます。
とうとう1年もたってしまいました。この間の政府の取り組みは迅速とはほど遠いもので、被災地の苦労を思うと強い憤りを感じます。特に復興のためには、とにもかくにも震災瓦れきを被災地から撤去しなくては始まらないにもかかわらず、遅々として進んでいません。また、中間保管施設について、被災地に積み上げる方法を政府は関係自治体に依頼しましたが、被害者である被災地の方々に、さらに瓦れきの保管場所を押しつけることに、本当にそれでよいのかと思わざるを得ません。被災地の筆舌に尽くしがたい苦労の様子が、テレビ、ラジオ、新聞等を通じて国民のもとに届けられています。あの状況を見て、知って、なお私たちは、電気は欲しいけど、都合の悪いものはそっちで処分してと言い放ってよいのでしょうか。無責任に言うことはできませんので、私はこんなプランを思いました。日本は4,000以上の無人島を国土としている国でございます。この無人島を、とにもかくにも中間貯蔵施設として一たん活用して、東北各地から瓦れきを移し、とにかくこの瓦れきは今人間の近くには置かないという方針で、この無人島を活用して中間保管施設とし、その間にどうやったら全国がこの瓦れきを受け入れていくかということを検討して、真剣になって自治体が協議をしていくという方法があるのではないか、私はそう思います。そして、必死になって全国民共通の課題としてこの瓦れきの受け入れを考えていく、そうしたことをやるべきではないかというふうに思います。いずれにしましても、国民共通の課題として瓦れき処理を一日も早く進め、復興のつち音が現地にこだまするよう、心から祈念申し上げます。
それでは、通告に従いまして、2点の質問をさせていただきます。
第1点目に、本市における移住・定住施策の推進についてお伺いします。
去る1月29日、「岐阜県総合移住相談会in名古屋」が名古屋市中区の中日ビル5階、中日パレスで開かれました。議員の皆様のお手元には、そのチラシ等お配りさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。これは、岐阜県への移動が容易で、日ごろからなじみのある愛知県名古屋市において、岐阜県への移住・定住関連情報を一元的に発信することで、具体的な移住、定住につなげる目的で開催されたもので、今回が2回目となります。参加市町村は、大垣市、高山市、関市、中津川市、美濃市、恵那市、郡上市、揖斐川町の8市町でした。会場へは県の想定した100名程度を大きく超える大勢の方々が訪れ、ごった返すほどでした。来場者は、岐阜県への移住、定住を行った方々の体験発表に耳を傾けた後、各市町の相談ブースを訪れ、何組もの順番待ちが起きていました。会場で私が驚いたのは、ひところ言われた60歳あるいは70歳という定年者の第二の人生相談ではなくて、20代、30代の御夫婦、お子様連れの家族、壮年の御夫婦などがたくさん来場され、幅広い年齢層の方々が真剣に相談されていたことです。平成22年には190件の相談が県の専門窓口に寄せられていたとのことですが、この日は1日だけで124件の相談が寄せられました。その内訳は、中津川市24件、郡上市24件、恵那市23件、高山市14件、揖斐川町13件、関市9件、美山町8件。さて、皆様は、本市の窓口には何件あったと思われますでしょうか。本市には9件の問い合わせがありました。数は少なかったのですが、その内容は、会場での問い合わせを代表するような構成でしたので、ここで紹介させていただきます。50代夫婦、「愛知県へ通勤しながら、自給自足程度の農業を行いたい。空き家(農地)を探している」。20代夫婦、「芸術活動を行っている。騒音等が生じても問題ないような工場兼空き家を探している」。20代夫婦、「子育てしやすいまちを探している」。40代男性、「愛知県からの移住を考えている。西濃近辺で仕事を探している」。30代から40代の男性、「田舎に暮らし、子育てがしたい」。大垣近辺から「名古屋への通勤は可能か。田舎で仕事はあるか」。40代男性、「子供が独立したら、田舎でスローライフを楽しみたい。移住・定住の支援策はあるか」。60代男性、「大垣市の情報を知りたい」。30代から40代の夫婦、「田舎で農業をやりたい。田舎で子育てがしたい」。70代の男性、「大垣市の情報を知りたい」。
本市は今回初めて参加したもので、行政の職員が3人で応対していただけです。これに比べて他の市町は行政とともに地元の団体やNPOが説明を行い、各ブースとも熱気があふれていました。ある関係者は、日本の総人口が減少する中にあっては、移住者の獲得は競争です、よそより少しでも先に確保したいというのが各自治体の本音ですと私に言われました。正直に申しまして、本市は現時点では出おくれているなと感じました。しかし、決定的に出おくれているわけではありません。本市における移住・定住施策の推進について、第1に、今後の取り組み方針をお聞かせください。
第2に、私は、本市における移住・定住施策の推進のためには、次の3点の施策が必要と考えます。1、相談者のイメージするふるさとは小学校区と一致するものであり、今後、小学校区における魅力の再発見や創出等の活動を振興する。2、地域事務所や地区センターをふるさと情報の発信基地とし、総合的な行政情報の発信を行う本庁とは別に、地域の文化やまちづくり情報を取材し、インターネットなどを通じて発信する。3、本庁だけでなく地域事務所等にも定住・移住担当官を置き、県、市、地域住民が一体となってきめ細かな移住・定住施策が推進できる体制を整える。これら3点について、本市の考えをお聞かせください。
次に、清流の国ぎふ森林・環境税の活用についてお伺いします。
岐阜県では、昨年の第5回県議会定例会で、清流の国ぎふ森林・環境税、以後、森林・環境税と呼ぶことにさせていただきます、この導入に必要な関係条例案が議決され、平成24年4月1日から施行されることになりました。平成24年度から平成28年度までの5ヵ年の期間限定ではありますが、個人は年額1,000円、法人は県民税の額に応じて年間2,000円から8万円を負担するものです。これは岐阜県における二つの現実を背景にしています。
一つ目は、意識の高まりです。岐阜県では平成18年5月の全国植樹祭、ちょうど新大垣市誕生の年です。それと、平成22年6月の全国豊かな海づくり大会を契機に、森と川と海は相互のつながりの中で一体として保全を進めないといけないという意識が高まってきました。二つ目は、荒廃の進行です。その一方、需要の減少による農林業の衰退が、適切に管理されない森林や農地の拡大、野生生物による農作物の被害の増加、外来生物の繁殖、水・河川環境の悪化などを引き起こしています。これらの荒廃を放置したままにしておくと、やがて私たちの生活の安全・安心に大きな影響を及ぼすおそれが出てきました。この二つの現実から、岐阜県では、豊かな自然環境の保全と再生に向けた取り組みを進めるため、その費用を県民が等しく負担する仕組みとして今回の森林・環境税が提案され、5年間の年限を定めて施行することになりました。本市は水都大垣と呼ばれ、長きにわたってその豊かな自噴水がシンボルとなってきました。しかし、今わき出ている水は、100年以上前に祖先たちが山や森林と豊かな関係を維持し、それが結果的に森と川と、そして海を支えていたことのあらわれであることに改めて思いを向ける必要があります。今回の森林・環境税の究極の目的は、豊かな水をどうはぐくむかの一言に尽きます。
今、水環境は危機に瀕しようとしています。水環境の危機は川を見ればわかります。現在、日本の中小の河川は至るところで危機の兆候を示しています。それらは次の三つの変化にあらわれています。1、水量の変化。全体の水量は減り、一方、赤茶けた一たん水は発生の頻度が増しています。2、川床の変化。川床が高くなるとともに、その材料も石から砂へ、砂から泥へと変化しています。3、水質の変化。腐葉土層を通過してくる栄養に富んだ水がなくなりつつあります。これら1、2、3が重なって、魚を初めとする生物の種類と量が極めて少なくなりつつあります。また、その一方で、河川内に樹木や竹が繁茂し、従来なかったようなところにまで林を形成するようになっています。この三つの変化は、すべて山の荒廃、森林の荒廃に由来するものですが、従来はダムによる流量の平準化が最大の対策でした。しかし、これはいわば外科手術であり、これだけでは山の体力回復には至りません。山が健康にならなければ、容体の悪化と新たな手術、ダムの建設の繰り返しとなります。この悪循環を断ち切るために、山そのもの、森そのものを健康にしないと水の危機は防げない、いわばじっくりと進める内科治療が必要との認識に至り、その財源として森林・環境税により等しく県民が負担することになったと理解しています。健康な山とは、1、材を切り出して世代の更新を図ること、2、山の適性に合わせて樹木の種類が配慮されること、3、1・2を経済システムとして支えるため、国内産の材料が継続的に利用されることによって達成されます。これまではそれがわかっていても、そこまで手が回らなかったというのが現実です。それはひとえに財源がなく、したがって施策もなかったということです。
しかし、たった5年間という限られた時間ですが、県民が新たな財源を負担しようということになりました。県は2月20日現在で21件、総額8億7,000万円の事業を計画しています。皆様のお手元の資料の3枚目にその詳細がございます。また、それらの中には、県がすべて考えるのではなく、市町村が独自に考え実施する事業への助成も盛り込まれています。県林政課によると、里山保全や人づくり活動で予算枠を大きく上回る提案が既に寄せられているとのことです。既存の予算の奪い合いではなく、新たな財源が生み出されました。これは、これから仕事が生み出されるということであり、雇用が生み出されるということです。5年間をきっかけとして、緑の公共事業として発展するチャンスが誕生したということです。
本市は、市の面積のうち半分以上が森林です。清流の国ぎふ森林・環境税の有効な活用について、県下各地から注目されています。本市の見解と今後の活用方針についてお伺いします。
◯議長(石川まさと君)
市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕
◯市長(小川 敏君)
おはようございます。
清流の国ぎふ森林・環境税の活用について御答弁申し上げます。
県では、平成24年度から28年度までの5ヵ年の制度として、県民の共通の財産である豊かな森林や清らかな川が持つ公益的機能を将来にわたり享受するため、その恩恵を受けている県民全体で支えていく清流の国ぎふ森林・環境税を創設されました。
これに伴いまして、県では、清流の国ぎふ森林・環境基金事業として、平成24年度当初予算に総額8億7,000万円を計上し、環境保全を目的とした水源林の整備や公共施設等における県産材の利用促進などの5分野で21事業を実施されると伺っております。とりわけ、本市といたしましては、里山林整備事業や清流の国ぎふ市町村提案事業など11事業、約6,200万円を要望しているところでございます。
今後も、清流の国ぎふ森林・環境基金事業を活用した間伐材対策や、里山保全・利用の促進に積極的に取り組み、豊かな森林づくりを推進してまいりたいと存じますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(石川まさと君)
企画部長。
◯企画部長(大江 英君)
移住・定住施策の推進について御答弁申し上げます。
本市の人口につきましては、平成22年国勢調査では、平成17年と比較して外国人が大幅に減少したことから910人減少し、16万1,160人となっております。とりわけ上石津地域では391人の減少となっており、市の将来発展に向けては本市への移住・定住施策の展開が大変重要であると認識いたしております。
こうした中、本市では、移住・定住促進に向けた大きな柱として、大垣の地域力を総合的に高めるため、既存産業の振興はもとより、企業誘致に取り組むなど新たな雇用創出に努めるとともに、子育て日本一のまちづくりを目指し子育て環境の充実に取り組んでいるところでございます。また、本市への移住、定住の促進に向け、名古屋市内において、田舎暮らしや田舎体験の相談に応じるため岐阜県総合移住相談会に参加するとともに、岐阜県との連携により、ぎふふるさと暮らし応援センターや岐阜県移住・定住応援サイトなどを活用して、各種イベントや祭り、子育て支援を初めとする特徴的な施策など本市の魅力を全国に発信しております。今後も、地域事情に詳しい市民の皆さんや市民活動団体と一緒になって、こうした総合移住相談会への参加やPR活動に努めてまいりたいと存じます。
また、移住、定住の促進に向けては、魅力あるふるさとづくりを担う人材の育成を初め、移住者を受け入れる地域での生活情報の提供、地域での受け入れ体制づくりなどが重要でありますので、御提言の小学校区における地域の魅力の再発見や創出を図るふるさとづくり活動の活性化、地域事務所や地区センターなどを活用したふるさと情報の発信につきましては、その手法の一つとして検討してまいります。
また、地域事務所における移住・定住施策の推進体制の整備につきましては、担当である地域政策課で取り組んでまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(石川まさと君)
5番。
〔第5番 田中孝典君 登壇〕
◯第5番(田中孝典君)
ただいまは、丁寧な答弁をありがとうございました。
まず、森林・環境税につきましては、森林・環境税そのものよりも、もう既に自然界から荒廃の兆候のサインが出ているということに対して、少しでも早く山や森に手を入れることによって、その下流に住む私たちの生活が安定するように取り組まれることを切に希望するものであります。
本市における移住・定住施策の推進について、一つ突っ込んでお伺いをいたします。
今の答弁にもございましたが、本市において今最も人口の減少に直面しているのは中山間地である上石津地域です。しかし、現実に負けることなく、小学校区におけるまちづくり協議会の活動や地区社協の福祉支援活動の充実を通して地域の魅力を高めようと必死に取り組んでいます。この取り組みは、恐らくやがて本市全体に波及するであろう人口減少への対策の先行事例になるととらえています。上石津地域の移住・定住対策について現状と課題をどのようにとらえておられるか、上石津地域事務所長の認識をお聞かせください。
◯議長(石川まさと君)
上石津地域事務所長。
◯上石津地域事務所長(安藤 清君)
移住・定住促進に関する上石津地域の現状と課題について御答弁申し上げます。
上石津地域の各小学校区では、人口減少に少しでも歯どめをかけようと、牧田まちづくり協議会、一之瀬地域振興会、多良地区故郷おこし実行委員会、時ふるさとづくり実行委員会というそれぞれのまちづくり団体が地域資源を活用した地域活性化事業に活発に取り組んでいます。また、上石津地域のコミュニティ研究を進める中、上石津地域全体の課題解決に向け、4地区の代表者で構成する上石津まちづくり協議会が組織され、移住、定住の推進や鳥獣害対策などの課題について協議が重ねられているところです。
こうした中、人口減少及び少子高齢化が進む上石津地域におきましては、集落機能の維持、存続が重要な課題となっています。近年、生活様式の変化により中山間地への移住、定住に関心が高まり、既に上石津地域に移住、定住された方々が数世帯あると伺っております。また、移住、定住を希望する方が最近上石津の地に足を運ばれたケースも数件あり、都市部の方々が、静かにのんびり田舎暮らしをしたい、きれいな空気や透き通った豊かな川が流れる里山に住みたいなど、生活環境の向上を求める傾向が強まってきており、豊かな自然環境に恵まれ人情味あふれる上石津地域は移住、定住にふさわしい地域であると思います。
移住・定住施策を推進するに当たっては、就労や住宅支援などさまざまな課題があります。今後も都市と農村との交流をより促進し、里山の豊富な資源に恵まれた魅力あふれる上石津地域のよさを情報発信しながら、まちづくり団体と連携して移住・定住希望者のニーズにこたえてまいりたいと存じます。御理解賜りますようお願い申し上げます。