「給食費の無償化と子ども手当について」
「勤労世代の定住促進施策について」
◯議長(野村 弘君)
次に移ります。
1番 田中孝典君。
〔第1番 田中孝典君 登壇〕
◯第1番(田中孝典君)
皆さん、おはようございます。
それでは、通告に従いまして、2点の質問をさせていただきます。
1番目に、給食費の無償化と子ども手当について質問いたします。
岐阜県下の青年が、あるいは青年団体が集まって岐阜県青年のつどい協議会が結成されて本年で15周年になります。この組織は、その名前のとおり、大垣市青年のつどい協議会、西濃青年のつどい協議会の青年活動を模範として結成されたもので、幅広い活動で県内外の注目を集めております。
さて、この2月中旬に岐阜県青年のつどい協議会から1通の提言書が、岐阜県知事、岐阜県議会議長並びに岐阜県下のすべての市町村の首長と議会議長に出されました。その内容は教育格差問題と給食費問題の2点でありました。給食費問題についての同提言の内容は、政府が創設する子ども手当、中学生以下に1人月額2万6,000円支給というものでございますが、これについて、支給額を2万円に減額し、そのかわり子供の給食費を国庫から支給すべきというものであります。これは10代から50代まで1,019人のアンケート回答をもとに素案を作成し、国会議員と意見を闘わせる国政勉強会を開催して取りまとめられたもので、その真摯な取り組みに頭が下がる思いです。また、県下にこうした青年たちがいることに感謝と心強さを覚えるものであります。取りまとめを担当した副理事長の八田隆士さんは「子ども手当が本当に子供のために使われるか不安です。それは、親である自分たち自身が感じていることです。給食を、どんな親のもとにあろうと、どんな生活格差があろうと、子供たちが等しく楽しく食べられる制度にしてほしい」と話されています。
そこで、次の2点について質問させていただきます。1、岐阜県青年のつどい協議会から出された提言書の中にある子ども手当を給食費に充当する要望について、本市の見解をお尋ねします。2、子ども手当は財源も制度設計も不完全であり、それとは関連させずに、本市独自に給食費の無償化について取り組む考えはないでしょうか、お尋ねいたします。
次に、2番目の質問として、勤労世代の定住促進施策についてお尋ねいたします。
議会初日の3月1日に、市長から平成22年度の市政運営に対する所信表明がありました。総合計画に基づく施策ごとにわかりやすく簡明に説明がありましたが、それらを束ねるビジョン、視点の言及が少なかったことが残念であります。私は、本市の市政において、少子化や人口減少に対して危機意識が少ないことに危惧を抱いています。全国的に産業都市として成功したところ、城下町として成功したところは、行政や地域社会が、人口は自然に集まってくると考える傾向が強いと言われています。時代が大きく変わるときに出おくれると、気がついたときには衰退都市として見放されてしまっているというのが歴史の教訓です。
本市において、今まさにそのターニングポイントにあるのではないでしょうか。第五次総合計画の諸事業を総花的に展開するのではなく、人口減少という危機意識に基づいて、定住促進というビジョンのもとに施策の方向性をそろえ、束ねていくべきではないでしょうか。中でも勤労世代の定住促進は喫緊の課題です。人口減少は若い世代で急速にあらわれているからです。いかに本市の特色ある事業として垣老を誇り、子育て日本一を標榜しようとも、消費や勤労によって直接、間接に力強く税収を支える若い世代が減少していけば、早晩こうした施策から撤退せざるを得なくなることは自明の理であります。本市の将来への発展を考えるとき、これからの5年間の最大の課題は勤労世代の定住促進にあると考えます。
この視点で過去5年間の施政方針をさかのぼると、本年度と昨年度に個別の施策として、中心市街地における住宅の新築あるいは取得のための借入資金への利子補給が1回ずつ出てくるだけで、明確なビジョンは示されておりません。定住、特に勤労世代の定住促進についての市長のビジョンを改めてお伺いいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
◯議長(野村 弘君)
市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕
◯市長(小川 敏君)
勤労世代の定住促進施策について御答弁申し上げます。
我が国では地域活性化対策として、観光振興などによる交流人口をふやす取り組みがされておりますが、市の将来発展に向けては本市への定住促進施策が大変重要であると認識いたしております。本市では、平成20年4月には住民基本台帳人口と外国人登録人口を合わせた住民登録人口が約16万7,000人でありましたが、平成22年2月には約16万5,000人となり、約2,000人の減少となっております。このうちの約7割強が外国人の方でございます。
こうした中、本市では物づくり産業を初めとする既存産業の振興はもとより、ソフトピアジャパンにIT関連産業を集積するとともに、企業誘致に向けた工業団地の整備にも取り組むなど、新たな雇用創出に努めておるところでございます。また、子育て日本一のまちづくりを目指し、乳幼児等医療費助成制度の拡充や子育てサロンの整備など、子育て環境の充実に取り組んでいるところでございます。
こうした新たな雇用創出や子育て環境の充実は定住促進施策の大きな柱であると考えております。今後も第五次総合計画に掲げております都市再生・地域活性化や子育て日本一などの重点プロジェクトを推進し、大垣の地域力を総合的に高め、定住促進に向けた魅力づくりに取り組んでまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(野村 弘君)
子育て支援部長。
◯子育て支援部長(加藤悦子君)
給食費の無償化と子ども手当について御答弁申し上げます。
給食費への子ども手当の充当につきましては、岐阜県青年のつどい協議会から提言が出されておりますが、現在国会で審議されており、平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案におきましては、支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、または差し押さえることができないとされております。また、受給者である親等は、子供の健やかな育ちを支援するために子ども手当を使用しなければならないとその責務が定められております。
このようなことから、市が子ども手当を給食費に直接充当することは難しいのではないかと考えています。御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(野村 弘君)
教育委員会事務局長。
◯教育委員会事務局長(北村武久君)
給食費の無償化について御答弁申し上げます。
給食費につきましては学校給食法の中で保護者負担と規定されておりますが、最近、未納問題等もあり、無償化や子ども手当てからの天引きなどが取りざたされておりますことは御案内のとおりでございます。子供たちが楽しみにしている給食ですので、家庭の経済状況等に左右されることなく平等に提供される仕組みづくりが必要なことだと考えております。
しかしながら、本市独自で取り組むには、年間約7億円の財源問題や学校給食法の適合などさまざまな課題がありますので、現状では難しいと考えておりますが、研究は進めてまいりたいと存じます。御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(野村 弘君)
1番。
〔第1番 田中孝典君 登壇〕
◯第1番(田中孝典君)
御答弁ありがとうございました。2回目の質問をさせていただきます。
ただいまの給食費の無償化については、岐阜県下の青年だけではありません。
3月1日付の毎日新聞の投書欄にも、大阪市の会社員で28歳の青年から次のような意見がありました。「給食費の無償化は子ども、親、教師、自治体すべてに利益のあることだ。無償化の財源確保のために、子ども手当の支給額が多少減ることになっても国民の理解は得られると思う」。まさに岐阜県の青年の皆さんと意見をともにするものです。
本市は子育て日本一を掲げているということの大きさを、やはり行政当局はしっかりと考えるべきだと私は思います。国より超えるぐらいの気構えがなくて、どうして日本一になれるかということです。給食費の無償化について、本市において最後の1点、今後も研究していくというところにかけるものであります。ぜひ真剣に形態を研究していただきたい。そうしないと、タイトルは日本一だけど、やっていることは最後尾ということになってしまいます。
ところで、私は、そもそも新年度から始まる予定の子ども手当という政策は、日本の将来を危うくする愚策中の愚策と考えております。それは、日本人の最大の美徳である勤勉の精神、勤労の精神が破壊され、子育ての原点である家庭に不信と不和の種をまき、詐欺のように子供たちの財産を奪い、国民の心をすさませ、やがて国の財政を破綻させてしまうからです。その理由を幾つか挙げさせていただきます。
1、働かなくても子供1人当たり年間31万2,000円、3人だと93万6,000円入ることになります。9年間では子供1人当たり280万8,000円、3人だと842万4,000円になります。毎日汗水流して働こうが何もせず遊んで暮らそうが関係なく、ただでこれほどのお金が入ってくるのです。私たち親は子供に対して働くことのとうとさ、大切さをどのように教えたらよいのでしょう。
2番目。子ども手当とは名ばかりで、指定された振込口座に入れば、それは一切使途に限定を受けない単なる現金です。いかに先ほど部長がおっしゃられた、子供のために使いなさいと法律ではなっていても、通帳にあるのは2万6,000円という現金です。小学校高学年になれば、子ども手当のことは知っています。だれのために幾ら使うのか、争うことなく解決できる家庭がどれほどあるでしょうか。2万6,000円は僕のお金だよね。子供の小遣いに上乗せしますか。学校の費用に充てますか。学校の費用に充てたとしたら、浮いたお金が発生します。その浮いたお金はパチンコやビールに使ってしまっていいでしょうか。お父さん、お母さん、僕の子ども手当、何に使ったのという我が子の問いに親はどう答えたらよいでしょう。分け前をおれによこせという会話が毎月家庭で繰り返されるとしたら、もうこれは悲劇です。
3番、事業仕分けでは結局財源を生み出せず、予算トータルとして結果的には借金で財源が充当されることになりました。ここに大きな落とし穴があります。借金で賄われるということは、将来の税金で払われるということです。すなわち、子供たちが大きくなって納める税金を先食いしたということになります。こんなひどいことがあるでしょうか。子供たちは今ノーと言えません。しかし、いずれこの欺瞞に気づくことになります。結局は僕らのお金で子ども手当をつくったんじゃないの、それでパチンコに使ったんじゃないの、ビールを飲んだんじゃないの。子供たちが大人になったとき、高齢者となった私たちを果たして養ってくれるでしょうか。
4、子ども手当に要する膨大な財源を借金で賄う仕組みである限り、決して景気はよくなりません。国債はふえ続け、格付は下がり、金利が上がり、物の値段が上がり、手当分を帳消しにしてインフレーションが進行し、そしてだれも日本の国債を引き受けなくなって財政が破綻します。
5、景気がもっと悪化した場合、ただ取り、ただもらいになれた人間は、国に手当はもう要りませんと言うでしょうか。私は逆にもっとよこせと言うようになると思います。子ども手当をけちっているから景気がどんどん悪くなるんだと、すりかえが始まると思います。こうなると、国は国民の不満をかわすために、過激な見せ物を演出するか国の外に敵をつくるしかありません。ローマ帝国がその最期に、パンとサーカスで国民の支持を維持しようとして遂に滅んだ歴史が、この国で繰り返さない保証はありません。
このように今回の子ども手当は、金額も支払い方法も使い方も財源もすべて審議不足で、とても国家が行う制度、システムとしての形をなしていません。こんな形で実施されれば、最後に泣くのは子供たちです。今の子供たちが大人になったときです。私は、先ほどの給食費の無償化を求める青年たちの声の中に、実際に支給を受ける親自身の声として、今回の子ども手当という制度は子供のためにならないという本質的な声を感じております。子育て日本一を標榜する本市だからこそ、子供たちの未来を真剣に考えてやることが必要です。子ども手当という愚策は直ちに白紙に戻し、真剣に子供にとって何が必要かという視点から、給食費の国庫負担など、改めて子育てを支援する制度を整えるよう率先して国に働きかけるべきだと思います。子育て日本一を掲げるならば、子ども手当制度の廃止と給食費の無償化などへの転換を積極的に国へ働きかけるべきだと思います。本市の見解はいかがでしょうか、お尋ねいたします。
次に、勤労世代の定住促進についてです。
都市の魅力や資源、伸ばすべき可能性は、その内部にいてはわからないものです。つい、あすがきのうのまま続いていくと誤解してしまうからです。特に行政は本質的にその傾向を持ちます。東京や大阪などでは定年後の世代だけではなくて、勤労世代も地方の中山間地や小都市への移住を求め出しています。子供の創造性や野性的に生きる力を伸ばしてやりたいと考える親さん方にその考えが顕著だとお聞きしています。残念ながら、本市は全くその動きをとらえていません。今なお定年を迎えた前期高齢者が、趣味と実益を兼ねて田舎で農業のまねごとをしたがっている、観光で全国をめぐりたがっている、それくらいにしか思っていないのではないでしょうか。全国の地方都市間では、既に若年世代の取り合いが始まっていることを御存じでしょうか。このまま無策を続けると、本市は産業変動と人口減少の二つの波を重ねて受けることになり、全国的な勤労世代の定住獲得競争に負けることになると、私はそう思っています。
本市の持つ資源と能力を勤労世代の定住獲得競争に勝ち抜くために、改めて集中させるべきです。そのためには、外からの視点というのは必ず必要です。
この点に関しては、東京に本部を置くふるさと回帰支援センターが日本における草分けであり、先進的な事業を展開しています。早くから東京と地方都市との間での移住のマッチング事業を展開しています。例えば今週の3月12日には、東京・銀座のふるさと暮らし情報センターで山梨市がふるさと暮らしのセミナーを開きます。翌13日には名古屋市で長野県飯山市が開きます。岐阜県は去る1月29日に、同じく東京のふるさと暮らし情報センターで開いていますが、都市として参加したのは高山市と郡上市のみです。残りは一括して岐阜県が紹介しました。そこでどのような呼び込みがなされているかといえば、例えば福井県は「住みやすさ日本一 就職相談も有!」として「福井県は、優れた先端技術を持つ企業が多くあり、全国的にも雇用環境に恵まれています。また、医療、介護施設が充実し、待機児童ゼロ、全国トップクラスの学力、体力など子育て、教育環境や豊かな自然、食にも恵まれ、健康長寿で暮らしやすさ日本一として評価されています」と売り込んでいます。これは本市にほとんどそのまま当てはまるではありませんか。それなら、多数の自治体を抱える県よりも、本市のほうが移住者や定住希望家族のニーズに素早くこたえることができると思います。ここへ本市を売り込むべきです。しかし、ふるさと回帰支援センターに代表される定住マッチング団体は慈善団体ではありません。意欲も行動もない都市のお世話をする余裕はありません。都市間競争に勝ち抜こうという意欲を持った都市がその門をたたき、ふるさとセミナーや体験イベント、都心での企業説明会や就職支援説明会の開催などを通じて、大都市から地方都市への移住についてさまざまなアドバイスや事業支援を得ています。私は、本市が総体的に豊かな今のうちにこうした外部団体とのネットワークを固めて、少しでも早く勤労世代の獲得競争に勝ち抜くべきだと、これは強く提言いたします。
これで2回目の質問を終わります。
◯議長(野村 弘君)
市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕
◯市長(小川 敏君)
給食費の国庫負担というのは求めていきたい課題であるというふうに思っておりますが、給食のない学校もございますのでいろいろ課題はありますけれども、今後とも検討してまいりたいと思いますし、また国に対して求めてまいりたいというふうに思っております。
◯議長(野村 弘君)
1番。
〔第1番 田中孝典君 登壇〕
◯第1番(田中孝典君)
子ども手当に対する見解をお尋ねしたんですけれども、その質問の見解をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
◯議長(野村 弘君)
子育て支援部長。
◯子育て支援部長(加藤悦子君)
子ども手当につきましては、趣旨が、次世代を担う子供の健やかな育ちを支援するものと定められており、親等はこの趣旨に従って使用しなければならないと同時に、子ども手当を受ける権利が保護されております。子ども手当の趣旨、責務につきましては周知を図ってまいります。
いずれにいたしましても、国の施策の動向を見ながら進めてまいりたいと存じますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。