本市のこれからの英語教育について
◯議長(野村 弘君)
次に移ります。
1番 田中孝典君。
〔第1番 田中孝典君 登壇〕
◯第1番(田中孝典君)
皆さん、おはようございます。
それでは、通告に従いまして、本市のこれからの英語教育について御質問をさせていただきます。
平成20年3月に幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領が公示され、平成23年4月1日から小学校第5学年及び第6学年に外国語活動が新設されました。ここに至るまでに、小学校における外国語教育はさまざまな審議会等で検討されてきました。既に昭和60年代からの課題であり、およそ20年間の経過を経て今回の外国語活動の新設となりました。外国語活動の新設は大きな変化を教育現場に要求すると考えられます。今回の学習指導要領の改訂は、そうした大きな教育改革、いわゆる第三の教育改革と呼ばれる状況の中で行われた点に重要な特徴があります。明治維新の学制制度による第1の教育改革、第2次世界大戦後の憲法、教育基本法体制による第2の教育改革、これらの改革に次ぐ第3の教育改革が、昭和46年の中央教育審議会のころから唱えられ、昭和59年からの臨時教育審議会の4回の答申による改革案が過去20年ほどの間に個別に実現に移されてきて、平成18年の教育基本法の改正により総仕上げがなされました。
しかし、このような認識は国民の間では低く、またジャーナリズムにおいても余り大きく取り上げてはこられなかったように思われます。どちらかというと、教育現場での先生方の混乱などに矮小化されていたように思われます。この第3の教育改革を整理すれば、1、従来の記憶力重視から思考力、考える力を重視する教育への転換。2、学校だけではなくて、家庭や地域などの社会の教育力の回復。3、基礎学力だけでなく、それらを活用した探求的な問題解決活動の展開となります。これらの大テーマのもと、学習指導要領の改訂が行われ、小学校第5学年及び第6学年に外国語活動が位置づけられました。
このことを踏まえて、まず、次の3点を質問いたします。第1点目として、本市の義務教育における英語教育の現状と、特に配慮や工夫している点は何か。第2点目として、本市の英語教育の目標、あるいは児童生徒に求めている到達点とはどんな姿か。第3点目として、新しい学習指導要領による英語教育の変化とそれに対する本市の対応。続いて、英語教育の根本的な部分について、第4点目としてお伺いします。それは、義務教育において英語を学習する目的と、他の教科、例えば国語科、社会科などを学ぶ目的には違いがあるのではないかという点です。この第4点目については、先に私見を述べさせていただきます。
私には、義務教育の場における英語学習は、次の四つの矛盾を抱えていると考えています。第1の矛盾は、親の思い込みと現実の差。第2の矛盾は、国家、企業としての必要な人材の育成と義務教育における人材育成の差。第3の矛盾は、教育基本法の改正に至るまでの国際情勢と現在の国際情勢の劇的とも言える変化。第4の矛盾は、言語を覚える効果的な手法と学校教育との手法の差。
まず、第1の矛盾について。現在、日本の親たちは、あたかも英語ができることがよい会社に入る必須の条件、出世するための必須の条件、人生で成功するための必須の条件であるかのごとくの風潮に染まっています。ここに落とし穴があります。多言語が日常社会に存在して、それらの間をつなぐ共通語としての英語が私たちの生活に日常的に必要な状況にあると、日本が今そのような国にあるならいざ知らず、今の日本において直ちに日常会話としての英語、他の教科の時間を犠牲にしてまで習熟させなくてはならない必要性はどこにもありません。むしろ、専門家は、日本の教育にはもっと別な本質的な問題があると分析しています。
次に、第2の矛盾について。国や企業にとって必要とされているのは、利害を正確に代弁し、有利に交渉できる高度な外国語能力を持つ人材です。すべての国民がそうなる必要は全くありません。高度な外国語能力を得るためには、何よりも専門的な学習や高度な技能を身につけることのできる専門機関が必要です。広く、薄く、平等を旨とする義務教育とは全く違う教育課程が必要です。人数を必要としない高度な技能の習熟を平等を旨とする義務教育に持ち込めば、潜在能力のある子は開花できない苦痛を、不得意な子はできないことを強制される苦痛をともに味わうことになり、被害者意識と、そうした苦痛を与えた学校や地域、機関に対する反感が子供たちに残ります。そうした子供たちが、次の地域社会を支える前向きな人材となるとは思えません。ここに一つのデータがあります。高卒の就職者、西濃圏域の高校を卒業して就職する人が、西濃圏域に就職するのは63.8%、岐阜県内に就職する人は84%、西濃圏域で高校卒業者が岐阜県内へ就職する率が84%もございます。この子たちが前向きか後ろ向きかで、大きく地域の企業を支える力は変わってまいります。
続いて、第3の矛盾について。今回の学習指導要領の改訂に至る流れは、明らかに1980年代の各種審議会の提言が基礎となっています。しかし、その時代は、貿易摩擦を引き起こすほどのアメリカへの貿易が、輸出が集中した時代であり、ドルが世界の機軸であり、日本はやがてバブルを謳歌し、そしてはじけてしまった時代です。その間、世界では、1979年、アメリカ・中国国交正常化、1990年、東西ドイツ統一、1993年、ヨーロッパ連合発足、2001年、アメリカで同時多発テロ、2008年、リーマンショック・世界同時不況などの劇的な変化が進み、アメリカの一極支配ではなく、多極分散化が世界の流れとなりました。そして、今や中国を中心とした新たな経済構造の誕生が既に始まっています。やがて日本の一番の貿易相手国は中国となることが確実視されています。
第4の矛盾について。これは単純です。英語を言葉として学ぶのなら、駅前にある有名、無名の英語塾の手法で決まりです。彼らはプロです。専門家として練りに練った仕組みを整えています。すなわち、徹底した少人数教育、徹底した習熟度別グループ、徹底した目的別カリキュラム、徹底した少時間・多頻度主義、徹底した会話主義、徹底した外国人講師配置などなど、これらはどれ一つとっても、現在の小学校や中学校、さらには高等学校で対応できる内容ではありません。本気で英語を習得したいのなら、現在の公教育とは全く反対の条件が必要なのです。
こうした矛盾を抱えて、学習指導要領では、外国語学習の目的はその言語の習得が目的ではなくて、外国語を材料としてコミュニケーション能力を養うことということが目的となりました。そのことは広く知られていません。こちらに、文部科学省発行、小学校学習指導要領解説外国語活動編、平成20年8月発行のものがございます。
〔資料を提示〕
◯第1番(田中孝典君)
この中に、第2章外国語活動の目標及び内容、第1節外国語活動、「1 目標 外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う」とあります。明らかに言語の習得が目的ではありません。ただし、本市においては先駆的な取り組みがなされているとのことですので、答弁の中で御説明いただければ幸いです。
いずれにせよ、英語学習の目的と手段における誤解やすれ違いによって、子供も地域も日本も、かけがえのない時間を失おうとしています。義務教育期間において、英語を学習する目的と他の教科を学習する目的には違いがあるのではないかという第4点目の質問は、こうした見解に基づくものであります。
それでは、答弁をよろしくお願いいたします。
◯議長(野村 弘君)
市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕
◯市長(小川 敏君)
本市のこれからの英語教育について御答弁申し上げます。
国際化社会に対応するため、本市におきましては、早くから外国人による英語指導助手の採用や、留学生等との交流を通じた国際理解教育の推進の中で英語活動に取り組んでまいりました。さらに、平成16年度に内閣府より構造改革特別区域計画の認定を受け、平成18年度からは全小学校において第3学年以上の教育課程に英語科を設け、英語教育への取り組みに移行してまいりました。また、本年度から3年間、文部科学省より英語教育改善のための調査研究校の指定を受け、星和中学校区の小中学校が小学校英語と中学校英語の継続性を図ることができるよう、次の学習指導要領改訂を見据えた研究を始めております。
このように、本市といたしましては英語教育の一層の充実、発展を期しているところでございます。詳細につきましては教育長から御答弁申し上げますので、よろしくお願いいたします。
◯議長(野村 弘君)
教育長。
◯教育長(内田一之君)
本市のこれからの英語教育について御答弁申し上げます。
まず、本市の英語教育の目標及び特に配慮している点についてでございますが、本市における小学校の英語科は、望ましい人間関係を築くためのコミュニケーション能力の基盤の育成を指導目標とし、市独自の指導内容を定めたガイドライン「水都っ子わくわく英語プラン」を策定いたしております。この目標を具現していくために、外国人の英語指導助手を増員するとともに、小学校3学年から6学年までの全学級に英語地域人材を配置して、発音や基本的な表現になれるよう日々の授業を行っております。
次に、新しい学習指導要領による英語教育の変化と本市の対応についてでございますが、これまでの国際理解を中心とした英語活動を発展させ、水都っ子わくわく英語プラン特区計画により導入しました英語科では、平成23年度より完全実施されます国の学習指導要領と同様に、コミュニケーション能力の育成を目標とした英語教育を行っているところでございます。したがいまして、これまでの取り組みを継続、発展していくことで、学習指導要領の変化への対応が十分可能であると考えております。
次に、英語科と他の教科を学ぶ目的の違いについてでございますが、英語科を含め、どの教科におきましても、義務教育段階の児童生徒が学ぶ目的は、生涯にわたり学習する基礎となる人間形成のための能力を養うことであります。また、英語科では、異なる価値観を持つ相手とも積極的にコミュニケーションを図ろうとする姿勢や豊かな言語感覚などの育成も重視しております。そこで、他教科と同様、英語科におきましても、児童生徒の人格の形成に資することができるよう理念を明確に持った実践に努めてまいりたいと考えております。
いずれにしましても、今後英語教育を推進していくことで、児童生徒にさまざまな価値観に対する柔軟な見方、考え方を醸成しながら、気持ちや考えを伝え合うことの楽しさや喜びを体験させ、コミュニケーション能力を確実に育成してまいりたいと考えております。御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(野村 弘君)
1番。
〔第1番 田中孝典君 登壇〕
◯第1番(田中孝典君)
ありがとうございました。
本市が国を先取りする形で英語教育に力を注いでいることに感謝する次第です。しかし、文部科学省の学習指導要領を先取りしているだけでは、私は地域に生きる人材の育成につながらないのではないかと危惧しています。国際化イコール英語ということではもうないということです。私は20年以上前から青年の海外交流にかかわってきました。英語を考える上での参考となる事例を年代的に幾つか御紹介いたします。
事例1。1987年、第21回岐阜県青年派遣東南アジアコース、マレーシア・シンガポール・タイ派遣団での出来事。私の友人A君は、国際交流団に飛び込んだものの、実は全く英語が苦手でした。あるホームステイでのこと。歓迎の料理が次から次へと出てきます。もう食べられない、満腹だということがどうしても伝わらない。相手の家族はうれしそうにどんどん料理を持ってきてくれました。とうとうA君は立ち上がり、自分のおなかをがばっとつかんで、「ノー、ノー、ディクショナリー」と叫びました。家族は一瞬しーんとなり、続いて大爆笑になりました。もうおなかは辞書のようにぱんぱんでこれ以上入らない、そういう意味です。もちろんホストファミリーのお母さんも大笑い。すぐにデザートになりました。後年、そんな彼は、勤務する会社が中国でゴルフクラブの製造工場を立ち上げたとき、指導者として何度も中国へ派遣されるまでになりました。
事例2。1990年代、西濃・ケント青少年相互交流事業での出来事。本市が音頭をとって、西濃圏域の青年とイギリス・ケント州の青年の相互交流事業が1991年から2002年にかけて合計6回実施されました。お互い20人程度の青年の集団40人が、2週間ずつ相互の地域を訪問し合うというプログラムでした。ある年のことです。諸般の都合で東京で1日空白の日程が生ずることになりました。日本の青年たちが異口同音にディズニーランドに行きたいと叫んだとき、イギリスの青年たちから大ブーイングが起きました。日本まで来てなぜアメリカの商業施設を見なくてはならないのか。私たちは親から借金をしたり、働いてためたりしたお金で参加している。無駄なお金は使いたくない。みんなそれぞれ自分が知りたいテーマを持ってきている。そのための時間に充てられるようフリーにしてほしい。もうエトセトラ、エトセトラ。その中で、まだ10代と思われるB君はイギリスのパソコン雑誌の小さな切り抜きを見せて、僕はパソコンゲームのクリエイターを目指している。今、東京で展示会が開かれている。時間があるのならどうしてもそれを見たいと詰め寄らんばかりです。結果、東京ディズニーランドの見学は白紙になりました。
事例3。2008年、オレゴンの高校生の嬉々として発言する姿。その内容は、大垣市内のWINGという団体がアメリカ・オレゴン州の高校生を毎年20名程度ホームステイで受け入れて、ことしで何と20年になります。高校生たちは大垣市内に約10日間滞在するのですが、その中間になるころ、アメリカンセミナーと題して大垣市民とオレゴン高校生との相互交流会が開かれてきました。昨年は大垣市青年の家の体育館で開かれました。なお、ことしはインフルエンザに配慮して開かれませんでした。親子ほども違う日本人からいろんな質問が続いた後、こんな質問が出ました。「君たちはブッシュ大統領についてどう思っていますか」。司会進行のアメリカで子供たちを教えている小沢教授が、それはとてもいい質問だ、どうだいとアメリカの高校生たちの顔を見渡したときです。彼ら、彼女らはぱっと手を挙げ、小沢先生に指名されると、私はブッシュよりもオバマを支持する、それは彼の政策のこうこうこういう点が評価できるから、私はブッシュ、マケインの○○という政策を支持しています、なぜならと、堂々と見解を述べます。また、さらにその意見に対して別の高校生から意見が次々と出されたりして、会場にいた日本人はあっけにとられ、びっくりし、感心し、やがて日本はこれから大丈夫かと心配になりました。今現在14歳から19歳、少し若い子もいましたが、オレゴンの普通の高校生たちの姿です。
以上、三つの事例を紹介させていただきました。考える力、家族や地域との信頼、粘り強く課題に向かう意思、こうしたものを総称して生きる力と呼ばれています。子供たちに本当に身につけさせたい力であり、企業も地域もこの力を持った子供たちの成長を求めています。日本人にとって英語の習得は単なる技能の習得であって、いわゆる習い事の世界です。物事の善悪や人生の意味、人としてのあるべき姿を考える言葉ではありません。また、もし、そうしたことを英語で考え、英語世界の基準で判断するようになれば、それはもはや日本人ではありません。今、日本の子供たちは自分で考え、自分の意思で行動するための日本語の力が弱くなっているのであって、英語をどれだけ学んでも本質的な解決には至りません。しかし、残念ながらこの見解は少数で、いわゆる英語幻想、英語ができれば人生の勝ち組になるが根拠なく蔓延しています。
最初に述べた教育改革の整理を復唱します。1、従来の記憶力重視から思考力を重視する教育への転換。2、家庭や地域などの社会の教育力の回復。3、基礎学力だけでなく、それらを活用した探求的な問題解決活動の展開、これらが子供たちや子供たちを取り巻く環境に欠けていると専門家は分析し、対応するための施策を求めているのです。しかし、現在の外国語活動は大きな問題を抱えています。国にとってはエキスパートの育成機関が必要なのに、義務教育で早期教育を行うことにすりかわっています。英語学習は言語の習得という習い事の世界なのに、義務教育と手法との非整合性から、目的がコミュニケーション能力の向上にすりかわっています。国の都合に対して地方はしたたかに対応しなくてはならないのに、地方の視点が余りにも現場に欠如しています。
そこで、本市はこれからどうしたらよいのか、その具体的な施策について次の3点を提言させていただきます。1、思考力の向上のために、日本語を考える言葉として復権させる。読み言葉、書き言葉としての日本語教育の充実を図る。2、社会の教育力回復につなげるために、徹底したふるさと教材の開発と活用を図る。すべての教科に共通することですが、特に英語活動において意識して取り組む。英語活動はそのための手段だと地方では割り切る。3、粘り強い探求能力の向上を図るため、よき文化に触れ、教養を深めること。異質の文化に放り込み、持てる力を振り絞って対応する体験をさせること。
1点目については、英語ではなく国語の分野ですけども、すべての学習の基礎となりますので述べさせていただきます。小学校においても中学校においても、古典の素読、原典の通読をさせる。テレビや携帯電話にない読む言葉、書く言葉、考える言葉としての日本語の深い味わいを復権する。その素材に地域性があれば、なおすばらしい。本市においては、第1に奥の細道の素読、通読を必須とする。奥の細道というのは、散りばめられた俳句だけではなくて、紀行文としても一流であって、これを書写したり音読する形で、とにかく1冊まるごと読破させる。これには、中身はわからなくても人生いつかは役に立つといった昔の先生のおおらかさが必要です。書店を探し回ったり、店員さんに聞いたりしましたけども、実は大垣市内で、俳句のまち、芭蕉のまちと言いながら、奥の細道の原典がほとんど売っていません。ここに岩波文庫の「奥の細道」、原典が一つございますけれども。
〔本を提示〕
◯第1番(田中孝典君)
とても活字も古く、中身も小学生、中学生が出会えるような内容ではありません。書写は、辛うじて適当な1冊を見つけました。これは非常にいいです。
〔本を提示〕
◯第1番(田中孝典君)
「鉛筆で奥の細道」という、ただ書き写していくだけで奥の細道全文に親しめるというものです。ゆっくり読むのに適した原典はございませんが、これは少し使えるかもしれません。児童生徒が出会う大きな活字で、手ごろな体裁のものなどがあれば非常にいいと思います。まず、原典に当たる。読書百遍、意おのずから通ず。既存の出版社が出さないのであれば、大垣市が率先して児童生徒の副読本とすると同時に、全国に発信すべきです。これは国語の世界になりますので、これ以上深くは申し述べません。
2点目について。これが今回の提言のうち、英語教育に関する提言の柱となるものです。それは、小学校区においてはそのエリア、中学校区においては中学校区のエリア並びに市全域を素材とした徹底したふるさと教材を作成し、活用することです。本市では現在小学校用の英語活動テキストとして、この「キッズ・クラウン」という冊子が使われています。
〔冊子を提示〕
◯第1番(田中孝典君)
しかし、総ページ、これ82ページございますけども、本市に関するのはたった4ページ、皆様のお手元には白黒で申しわけありませんが、主な観光写真で2ページ、大垣城を中心にした漫画地図で2ページです。これではとてもふるさと教材とは呼べません。最初から最後まで丸ごと本市の素材を使ったふるさと教材をぜひ工夫していただきたい。もちろん記入型にして、児童生徒とともに完成させていく形式のものでも全く構いません。しょせん学習指導要領に言う外国語活動の目的は、コミュニケーション能力の素地や基礎をつくることです。私はそれを逆手にとって、単語であろうが文法であろうが、ゲームのためのパネルであろうが、徹底してふるさと大垣に関するものを作成し、外国語活動で身につけたものが実は最大のふるさと意識であり、ふるさと自慢であるように構成してほしいのです。自分の生きている地域を誇りある存在ととらえ、その地域に生きてきた祖父母や両親の人生、そして自分の人生を肯定的にとらえることができてこそ、社会の教育力を受け入れるチャンネルが子供たちの心に開かれると思います。英語は、目新しい視線からそうしたことを改めて学ぶための一手段と割り切ることです。そのほか、語学としての習得のためには奨学金制度が国、地方を挙げて充実させることが必要ですが、それは別の機会に譲ります。
3点目については、ふるさと体験や芸術、古典に学ぶ作業の一方で、英語圏だけに限らないように配慮して、毎年必ず子供たちの回りに海外からの訪問者があり、彼らと対話、討論するよう機会と環境を整えることです。子供たちが毎年何らかの形でかかわるようなホームステイや学校訪問、意見交換、共同作業などのプログラムを充実させるべきです。これら3点の提言は、その気になればすぐに取り組み開始できるものばかりです。御意見がありましたら、ぜひお聞かせください。
これらの提言について関係部局で積極的に御検討いただきますようお願いし、私の質問を終わらせていただきます。
◯議長(野村 弘君)
教育長。
◯教育長(内田一之君)
ただいまは、今後の本市の英語教育を初め幅広い分野に対しまして貴重な御意見をいただきました。
まず、英語教育の目的につきましては、先ほど申し上げましたように、英語科も他教科と同様に児童生徒の人格形成に資する教育であると考えております。今後とも、英語教育の目的や理念について、多くの方々に御理解いただけるように努めてまいる所存でございます。
それから、地域を素材としての学習につきましては、英語学習の中でも行っておりまして、特に小学校におきましては大垣市独自の副教材を使用して、地域を素材とした英語の授業を年間カリキュラムの中に位置づけて実践をしているところでございます。今後も、英語教育におきましては、育てるべき資質や能力をしっかり見きわめながら、英語教育を含めた全教育活動を通して、地域を愛し、地域を誇りに思う児童生徒の育成に努めてまいりたいと思います。どうか御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。