「市民と行政の『協働』による連携について
」
「ユビキタス社会とテレビ放送受信格差について」
「新しい農業と耕作放棄地対策について」
◯議長(津汲 仁君)
次に移ります。
1番 田中孝典君。
〔第1番 田中孝典君 登壇〕
◯第1番(田中孝典君)
さきの市議会議員選挙で当選させていただき、ここに改めて心よりお礼申し上げます。そして、本日、初めて一般質問に登壇させていただくことができ、津汲議長様、高橋自民クラブ幹事長様を初め、先輩議員の皆様の御指導、御配慮に深く感謝申し上げます。
それでは、通告に従い、3件について質問をさせていただきます。
まず、第1に、市民と行政の協働による連携についてお聞きいたします。
本市では、まちづくり推進の重要な柱として市民と行政との協働が掲げられています。本年度には大垣市独自の発想を生かしてかがやきライフ推進部を設置され、具体的に推進する体制を整えられました。しかし、この市民と行政の協働という概念は、まだ市民生活になじみ深いものとはなっておりません。市民と行政の協働を基本とする社会ではお互いをパートナーと位置づけて、事業の発展のためにさまざまな手法を開発していく必要があります。市民も行政も、それぞれ従来の考え方にとらわれない発想や手法の創造が必要です。特に行政の世界では、市民活動に対しては、従来、活動の助成とか自立の支援などのように、どちらかといえば一歩後ろへ引いたような関係のとり方が大半でありましたので、一層その発想や手法を変える必要が強く要請されるものであります。
そこで、次の2点について質問いたします。第1点目に、本市の目指す市民と行政の協働について、望ましい姿として市長が描かれる理想的なイメージについてお聞かせください。第2点目に、特に行政がどのように今までの手法や仕組みを変えようとしておられるのか、具体的な取り組みと今後の目標をお聞かせください。
次に、ユビキタス社会とテレビ放送受信格差についてお聞きいたします。
ユビキタス社会とは耳なれない言葉でありますが、一般的には、いつでも、どこでも、だれでも簡単にITネットワークにつながる社会を指すとのことであります。このITという言葉を、情報や通信としてパソコンやインターネットから範囲を広げてみると、情報や通信のネットワークとしてだれでも包まれているものに、新聞、ラジオ、テレビジョンがあります。ユビキタス社会のいつでも、どこでも、だれでもは、まず新聞、ラジオ、テレビジョンで実現されました。責任主体が明確で、国民を広く対象としたこうしたマスメディア情報が普及し、その次の段階として、市民の個別のニーズに基づいて、パソコンやインターネットでより詳細な情報の取得や、人間関係を構築していく時代が求められるようになりました。ユビキタス社会とは、こうした複層的な二重構造をセットで考えるべきではないでしょうか。日本では先人たちのたゆまぬ努力によって新聞、ラジオ、テレビジョンが全国津々浦々まで普及いたしました。特にその映像による訴求力と娯楽性において、テレビジョンの存在が突出しております。ところが、そのテレビジョン放送について、先ほども先輩議員から御質問がありましたが、このユビキタス性を根幹から危うくする大きな変更がなされようとしております。それが2011年7月に予定されている地上テレビジョン放送のデジタル波への完全移行であります。使われる周波数が高密度になる反面、極めて直進性が強くなり、山の影や谷、入り組んだ湾などで難視聴地域が多く発生します。このままでは2011年7月以降には、もはやテレビジョンは、いつでも、どこでも、だれでもというユビキタス環境から外れた存在となってしまいます。今回の地上テレビジョン放送のデジタル波への移行は、対策がとられない限り、日本や本市が目指すユビキタス社会とは全く相反する状況をつくり出してしまいます。極めて強い情報格差社会を生み出してしまいます。
そこで、改めてお聞きします。第1点目に、本市においてユビキタス社会をどうとらえているかお伺いいたします。第2点目に、ユビキタス社会と逆行するような形で発生が予測される、地上テレビジョン放送のデジタル波移行に伴うテレビ放送受信格差について、受信不能地域の調査、把握は進んでいるか、またその対応策についてどのように取り組まれる予定かお伺いいたします。
最後に、新しい農業と耕作放棄地対策についてお聞きいたします。
戦後の農業を支えてきた農業基本法が平成11年7月に全面的に見直され、食料・農業・農村基本法として新たにスタートしました。この改正でさまざまな変更点がありましたが、とりわけ農業には、単に食料をつくるだけではない多面的な価値があるという考え方が初めて根幹の一つに置かれたことは、まさに時代を画する内容でした。そして、8年が経過し、今度は農地法の全面的な見直しが予定されております。土地の委託契約による作業の集積から、委託者と受託者との間に土地集積の組織を介在させ、面的に連続した大規模な耕地を生み出そうというものです。しかし、その一方で、日本の食料自給率は2006年度でついに40%を切ってしまっております。世界の先進国が安全保障として食料の自給を位置づけてさまざまな施策を推進する中で、日本だけが異常に低い食料自給率となっております。これからの日本農業の振興は、食料自給率の向上を目指した国内農業生産の拡大を図るとともに、農業の持つ多面的機能の保持を、石油を代替する素材の生産や、国土の環境保全、災害予防事業ととらえ、経済的に成立させてもうかる農業に育てていくことの2点に集中していくことが必要ではないでしょうか。このように、農業の重要性が日々高まる中で、現実には全国で耕作放棄地が拡大し、38万6,000haに達しています。大垣市の耕作放棄地は、平成17年度の農業センサスによれば、大垣地域45.4ha、上石津地域54.7ha、墨俣地域2.5ha、合計102.6haとなっています。これは市の全農地の3.3%になります。
そこで、本市の耕作放棄地について、どのように解消を果たしていくか、その方策をお伺いします。
以上で1回目の質問を終わらせていただきます。
◯議長(津汲 仁君)
市長。
◯市長(小川 敏君)
市民と行政の協働による連携について御答弁申し上げます。
市民と行政の協働によるまちづくりは、地方自治の根幹をなす極めて重要なものであると存じます。市では、平成15年3月に大垣市まちづくり市民活動育成支援条例を制定し、平成16年9月にはかがやきライフタウン構想を策定するなど、市民や市民団体、事業者及び市が対等な立場でお互いによきパートナーとして役割分担し、協働社会の実現に向けてさまざまな施策に取り組んでおります。近年の地方分権、少子高齢化問題、多様化する市民の価値観など地域社会の問題を解決するために、市民、市民団体、事業者、行政がそれぞれの特性を最大限に発揮し、協力、協調していくことが望ましい協働の姿であると考えます。
今後とも、市民等が公共的な施策や事業に積極的に参画していただくため、行政情報の公開はもちろん、審議会等の委員公募、提案型事業などの協働事業を進めてまいりたいと存じます。また、全庁的な推進を図るため、庁内の横断的な組織や仕組みづくりに努めてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
◯議長(津汲 仁君)
企画部長。
◯企画部長(水井静雄君)
ユビキタス社会とテレビ放送受信格差について御答弁申し上げます。
ユビキタスとは、どこにでも存在するという意味のラテン語に由来した言葉と言われております。本年3月に策定いたしました第二次大垣市IT戦略計画におきましては、ユビキタス環境の充実を掲げ、いつでも、どこでも、何でも、だれでもがネットワークに簡単につながり、情報を自由にやりとりし、多くの市民がIT活用による恩恵を享受できるよう環境整備を行うこととしております。
こうした中、アナログ放送から地上デジタル放送への移行が進められておりますが、地上デジタル放送の受信も情報の受信という点から、どこでも受信ができる環境の整備が求められております。地上デジタル放送におきましても、山間地を中心に受信できない地域が全国各地に存在いたします。本市でも、上石津地域におきまして地上デジタル放送が受信できないことが確認されており、現在の九つのテレビ共聴施設では、地上デジタル放送を受信するために新たに受信点を移動したり電送路を変更することが必要になります。このため、地上デジタル放送の視聴に向け、現在共聴施設を持っておりますNHKや中部電力と、受信点の改修や電送路の確保について協議するなど、課題の整理を進めているところでございます。御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(津汲 仁君)
経済部長。
◯経済部長(田中重勝君)
新しい農業と耕作放棄地対策について御答弁申し上げます。
近年の農業を取り巻く状況は厳しく、農業従事者の高齢化や労働力不足等により耕作を放棄される農地は増加傾向にあります。農地は食料を供給する源であり、耕作放棄は農地の機能を喪失させるとともに、その復元には多くの期間を要することから、この解消は重要な課題であると認識しております。本市としても大垣市農業委員会とともに農地パトロールを実施し、その把握、解消に努めているところでございます。その結果、平成18年度においては約34haが耕作を放棄されておりました。今後は、認定農業者や集落営農組織への農地流動化を進めるとともに、新たな作付品目の提案を検討してまいりたいと存じます。また、本年6月に閣議決定された経済財政改革の基本方針2007の中で、5年程度を目途に、農業上重要な地域を中心に耕作放棄地ゼロを目指すとの方針が打ち出されましたので、今後、耕作放棄地実態調査を実施する予定でございます。
いずれにしましても、耕作放棄地の解消、防止は、農地の多面的機能の確保につながることから、関係機関との連携により農地の有効活用を進めてまいりたいと存じます。御理解賜りますようお願い申し上げます。
◯議長(津汲 仁君)
1番。
〔第1番 田中孝典君 登壇〕
◯第1番(田中孝典君)
ただいまは丁寧な答弁をありがとうございました。
第1番目の市民と行政の協働におきましては、これまでは行政のサイクルに市民や民間が合わせるということが多かったのですけれども、市民サービスセンターの開設に見られますように、市民あるいは民間の生活のサイクル、事業のサイクルに行政がどれだけマッチングした施策を構成できるかということが大切になってくると考えられます。これは一例ですが、例えば従来の市民活動の補助では4月末日までに申請し、5月いっぱい審査して、6月に採択通知がなされてきました。しかし、一方で市民活動においては、4月には各学校の新学期が始まり、子供たちを取り巻く活動がスタートします。また、各種の団体においても、4月から新しい体制で既にスタートいたします。4月、5月の2ヵ月間、補助事業の実施を待機しなくてはならない状況というのは、本当にイコールパートナーとして正しいものでしょうか。一例として、ぜひ4月1日から市民が協働活動に取り組めるように諸制度の改革を提言いたします。
次に、地上波テレビジョン放送のデジタル放送への移行については、対策事業のスケジュールから想定しても、既に待ったなしの時期に来ていると思います。テレビが人生のすべてではありませんが、あすからテレビが一切見られなくなるとしたら、かなりの人々が落胆の日々を送られるであろうことをぜひ想像していただいて、一刻も早く対策に着手していただくことを心から要望させていただきます。
3番目の新しい農業と耕作放棄地対策につきましては、農業の持つ二重のリスク回避機能を重視していただきたいと感じております。それは、国内にあっては、先ほど申しましたように、環境破壊の拡大や災害の大規模化、広域化というリスクの回避、国外にあっては、食料安全保障並びに大手穀物メジャーや投機を主体としたファンドによる農産物価格の乱高下といったようなリスクの回避、こうしたリスクの回避が既に農業の機能に組み込まれつつあります。そこに新たなビジネスが成立する可能性があります。農地を農地として維持するために、ぜひ従来にない斬新な発想で農産物をあらゆる分野で活用することを検討し、国内生産の向上と耕作放棄地の解消に取り組んでいただけるよう要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。