平成30年第3回定例会で行った一般質問・答弁の概要を報告いたします。
【問】室蘭ふるさと応援寄附金の現状と今後について
【答】平成29年度寄附額1,522万2千円に対し、同年度、室蘭市民が他自治体へ寄附したことによる平成30年度の税控除は、3,744万1,347円、差し引き2,221万9,437円のマイナス。今後も、マイナス解消に向けた取り組みと本市の魅力発信に努める。
【問】猫保護に関するガバメントクラウドファンディング(以下GCF)の相談があったと思うが、その協議結果及びGCFを活用した市民活動応援の考え方について伺う。
【答】本年5月中旬、ネコに関わる活動を行っている関係団体からGCF等に関する提案を受け、関係部署と協議を重ねてきが、動物愛護については、北海道が主体となっていること、ネコに限らず他団体での様々な活動があり、これらを選別して位置づけを明確にすることは、現状では、動物愛護に関しては、本市単独での施策として馴染まない。
【問】他市町では、ネコに特化したGCFを行っているところもある。また、札幌市のように「市民活動の推進」のために「さぽーとほっと基金」を創設し、自治会やNPOなどの営利を目的としない公益的な活動で、適正と認められれば助成が受けられ、登録した団体の事業から選ぶようなところある。室蘭市でもこのような制度の創設を検討できないか。
【答】本市ではまちづくり活動支援補助金により、様々な市民活動の支援を行っている。寄付金による助成制度については、財源確保については有効な手段であるとともに、多くの市民がまちづくり活動に参加できるものと考えるが、一方では関心の度合いによる支援の差異のおそれなど、課題も考えられることから、創設されている他都市の状況などを調査したい。
【問】高齢者用住宅の見直しや多子世帯向け住宅の設置についての検討状況
【答】高齢者用住宅の見直しについては、子育て世帯などの他の世帯の需要を検証したが、東町弥生団地は、子育て世帯より高齢者世帯の申込みが多い状況となっていることから、高齢者用住宅の集約に向け今後も検討する。
多子世帯向け住宅の設置については、昨年11月から実施している3名以上の世帯における70㎡以上の3LDKへの申込み状況は、14部屋の募集に対し舟見町や寿町などでは応募が多数あったものの、白鳥台の団地の2部屋で応募がないことから、部屋の広さより居住地区を優先する傾向が見られ、現在のところは、子育て世帯の需要は一定程度満たされている状況と考えており、多子世帯向け住宅の指定については、今後の申込み状況の推移を見ながら判断していく。
【問】公募しても申し込みのない住宅へ単身者でも認める運用が必要では。
【答】現在、一部の団地で入居応募のない状況が続いている部屋があることから、住宅困窮者に該当する若年単身者の入居についても検討する。
【問】若年単身者の公募申込み受付は、どの団地で何部屋になるのか。
【答】通年募集をしている中で、応募のない状況が続いている絵鞆団地と白鳥台団地の部屋を想定しており、募集する部屋数については今後検討する。
【問】市営住宅の親子間での承継の実態と対応について
【答】本市においては、1年以上の同居や所得基準を満たしているなどの条件により承継を認めているが、入居人数と住宅の広さにミスマッチが生じるケースが出てきており、住宅困窮者への適正な供給の観点から、承継の要件についても検討する。
【問】3LDK住宅の入居人数に変動があった場合の対応について
【答】3人以上での入居後、死亡や退去により1名で居住となるケースが見受けられている。このことは、子育て世帯等の多人数世帯の入居を阻害することにもつながり、単身での居住となった場合には、2LDK以下の部屋への住み替えをして頂くことなどが必要と考えており、今後 必要な措置の実施を検討する。
【問】体育館の移設等について、どのような方々に説明を行い、その方々の意見はどのようなものだったのか。
【答】立地適正化計画の地域説明会や町内会・自治会長懇談会の中で、体育館の入江運動公園内整備の考え方について説明している。また、基本計画策定にあたり、利用団体からも意見をお聞きしたので、競技場や備品など、体育館の仕様に影響のある団体については、既にヒアリングを行っている。
地域の方からは、交通手段を心配する声や、多少事業費はかかっても魅力的な施設を作ってほしいなどの意見があり、利用団体からも大きな反対意見は出ていないが、早く作ってほしいという意見が多い。
【問】サッカーコート整備について、協会側との話し合い状況及び最終的な整備内容決定までのスケジュールは。
【答】サッカー協会から要望書をいただいており、その回答に向け要望書の考え方などお話を伺っているところ。また、整備内容の決定までのスケジュールについては、まずは要望書の内容について市の考えもお話させていただきながら整備内容について決めたい。もう少し時間がかかる。
【問】だんパラスキー場について、昨年の状況、現在の検討状況、関係団体との協議内容、来シーズンに向けての考え方について。また、中島スポーツセンターについては、耐震化、老朽化への対応が必要となってきている。スポーツ施設ストック適正化計画の中で、どのように盛り込まれるのか。
【答】だんパラスキー場についての昨年の状況については、前年と比較し、利用者はリフト輸送人員ベースで12%増加したが、利用料金収入は30万円程度減収。関係団体とは施設利用者の増加策や活性化に向けた意見交換させていただいているほか、今後の施設のあり方についても意見交換している。
中島スポーツセンターの耐震化、老朽化などスポーツ施設ストック適正化計画への反映については、まずは「長寿命化」や「耐震改修」など、今後の施設の方向性を定め、中長期的な視点で考え方を示す予定。
【問】だんパラスキー場については、公共建築物適正化計画の中であり方を検討する施設と位置付けられ、昨シーズンからスキー場の活性化を指定管理者、関係団体等で取り組んでいる。その結果リフト輸送人員ベースで12%増加など、成果が表れている。問題は、存廃を判断するうえで何を基準とするのかが未だに明らかにされていないことである。当初は、一人当たりの税負担を判断基準にしていたが、利用者の人数のカウント方法、イニシャルコストをどう評価するのか、また、今年度から中学生以下の利用料金を無料にしたことによる利用者増をどのようにカウントするのか、これらの課題を整理、存廃に係る基本的な考えをいつまでに明らかにするのか。
【答】第1回定例会において、存廃判断の考え方について報告したが、本市スポーツ施設全体の将来的な方向性等をとりまとめるスポーツ施設ストック適正化計画を本年度中に策定することから、今後のスポーツ施設全体のあり方と整合性を図りながら、だんパラスキー場の方向性や存廃の判断指標などを整理する必要があり、これまでの利用者一人あたりの税負担額に拘らず、利用者、利用料金収入の継続的な増加策などの検討を進め、計画が策定される年度内を目途に示したい。
【問】中島スポーツセンターについては、老朽化もさることながら耐震化に問題を抱えている中、今回の直下型地震を踏まえ、出来る限り早期にその方向性を示すべきと考えるが、改めて見解を伺う。
【答】中島スポーツセンターにつきましては、耐震性の問題もあることから出来るだけ早期に対応したいが、他の市の施設の整備、改修もあることから、全体の中で改修時期などを判断したい。
【問】地域医療あり方検討会の目的及び提言書に対する市長の受け止めは?
【答】室蘭市地域医療あり方検討会については、一昨年の12月に道において「地域医療構想」が策定されたことを受け、今後の人口減少や人口構造の変化を見据えながら、将来的にも安定した市内の医療提供体制を検討することを目的として設置し、長期的な経営体制を見据えた短中期的に具体化すべき病院間の医療再編や連携策について、とりまとめが目的。
検討会では、経営形態や各病院の基本的医療機能について、様々な意見が出されたことから、地域医療の継続性を高めるためには、「診療機能の統合・再編や病院数の縮小に向けて再編等を検討するものとする。」とされており、今後、検討すべき大きな方向性が示されたものと考えている。
【問】あり方検討会を開催したことによって性急な統合・再編議論を生むことになり、その結果、民間病院の警戒感を生む結果になったという認識は?
【答】病院の連携・再編に関する議論を進めるためには、関係者の信頼関係に基づく対話が必要と考えていることから、新たに設置した協議会においても民間病院の警戒感を生むことがないよう、丁寧な議論を行っていきたい。
【問】新たな会議体の設置目的、設置状況、構成メンバー、検討内容、スケジュールについて
【答】新たな協議会については、「提言」を受け、市内の基幹となる3病院における診療機能の統合・再編や病院数の縮小等について協議・検討することを目的として、今月、「室蘭市地域医療連携・再編等推進協議会」を設置。
本協議会の構成員は、市長を会長とし、3病院の代表者等、室蘭市医師会長、副市長とするとともに、医育大学の先生、地域医療構想調整会議を担う北海道、地域医療に関する有識者などから助言をいただく。
検討内容としては、「診療機能の統合・再編」や「病院数の縮小」等で、現状分析や将来の医療需要などについて、構成員の認識を共有させながら丁寧に検討を進めていきたい。
スケジュールについては、病院の診療機能の統合・再編等は病院経営にも直結するものであり、確定したスケジュールを明確に示せないが、検討状況について、検討内容の合意状況等も踏まえながら周知することは重要であることから、今年度中に再編等に関する基本的な考え方を整理できるよう努力をしていきたい。
【問】補正予算で地域医療のあり方検討経費が計上され、市立室蘭総合病院の経営形態の見直しにかかわる調査、将来的な市内医療機関の診療機能等再編を見据えた基礎的データの整理・分析を行うとあるが、具体的な調査内容と分析等にかかる期間はどの程度か。昨年3定において、現況調査及び将来シミュレーション等のための補正と何が違うのか。
【答】地域医療のあり方検討経費については、「室蘭市地域医療あり方検討会」から提言を受けて、公立病院における経営形態の見直しに関する他団体の調査等を行い、見直しに当たっての課題等を整理するとともに、診療機能等の再編を見据えたデータの整理・分析につきましては、昨年度、再編に係る方向性について検討するため、圏域全体に関わる医療提供実績や将来の医療需要の推計等を行ったことから、今年度は、「室蘭市地域医療連携・再編等推進協議会」における議論も踏まえつつ、診療科や病床機能ごとの将来推計などを行い、診療機能の再編等に向けて、今年度末までに詳細なデータについて整理・分析を行いたい。
【問】地域医療のあり方は、本市にとって最も重要課題である。人口減少が加速する中で避けて通れない課題とのことであるが、市民が安心できる医療体制にとって何が最も重要な課題だと認識しているのか。
【答】本市における地域医療のあり方については、2025年にいわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となる中、医療が必要な状態になっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続できるような、切れ目のない医療提供体制を構築することが重要だと考えている。
本市としては、今後、「室蘭市地域医療連携・再編等推進協議会」において、市内3総合病院の連携・再編等に関する検討を進めていくが、医療提供体制の確保には、医師確保が何よりも重要であることから、医師の勤務環境の改善という視点も入れながら、市民の方々が安心できる将来的にも持続可能な医療提供体制の確保に向けて、検討を進めていきたい。
【問】市長の目指す将来の地域医療のあり方について、将来的な方向性についてどのように考えているのか伺う。
【答】室蘭市の地域医療の確保に向け、「室蘭市地域医療連携・再編等推進協議会」(以下、協議会)を開催し、3病院の代表者等と協議を開始した。
今後、地域医療のあり方に関する協議を進めていくに当たり、現在の医療提供体制に関する分析や将来の医療需要などについて、構成員の認識を共有させながら検討を進めることはもとより、構成員間の信頼関係に基づく対話を積み重ねていくことが非常に重要であると考えております。
私としましては、協議会での議論を通じまして、3病院が協力しあい、市民の方々にとって安心することができ、住み慣れた地域で生活を継続できるような、将来的にも持続可能な医療提供体制を構築していくことが何よりも重要であると考えております。
【問】協議会が設置され、今後協議が行われていく中では、各病院での現状認識を共有し合い、将来に向けての方向性を見出すには、市長の調整力、決断力が問われてくるものと思うし、各病院の代表者の中という少数での話し合いになることから、信頼関係を築くという意味では人間力も問われることになるのではないか。その覚悟は?
【答】今後、協議会において検討を進めていく中では、この検討結果が各病院の経営方針等にも大きく関わることから、それぞれの病院から、様々な意見が出されるものと考えており、調整が非常に難しい課題だと認識している。このため、私としましては、本協議会の会長として先頭に立って協議を進めていきたいと考えており、3病院との信頼関係を構築しながら、市民の方々が安心できる将来的にも持続可能な医療提供体制の確保に向け、努力してまいりたい。
【問】市立病院の経営形態については、平成20年に公営企業法全部適用を採用した時の論議はどのようなものだったのか。また、独法化すれば経営改善できるのか。
【答】公営企業法全部適用の検討については、平成18年4月に先進的に全部適用を実施していた、札幌市、函館市の市立病院の事例を参照し実施した。
他都市の検討事例においても、指定管理者制度、独立行政法人化、公設民営方式などについても同時に検討したが、主に「全国的に全適化の流れであったこと」や、他の制度や方策に比べ現在の地方公営企業の形態を維持しながら、公務員としての身分をそのまま継続し導入可能である方式である事として、「地方公営企業の全部適用」を選択し、その後専門の検討委員会を立ち上げ、平成18年9月から平成19年8月までに計7回の検討会議を行い方向性を決定した。
また、独法化による経営改善の可能性については、理事長の方針のもと種々の計画が立てられ運営されるが、その中でメリットが最大限の成果を上げ、デメリットである経費増加を補うことができれば、その結果として経営改善に繋がっていくのではないか。
【問】独法化については、職員雇用の柔軟化や給与体系の多様化、事務作業の迅速化など、機動性や経済性が高まる一方、電算システム構築等に多額の初期投資が必要となるとされているが、これらの経費はどの程度か、また、独立することに伴う一般会計からの負担はどのようなものにどの程度か。
【答】地方独立行政法人化に伴う経費等については、新法人の事業規模や業務内容などにより全く異なるものになり、現時点では具体的な金額等については検討致していないが、一般的に新たに独立したシステムを導入すると、初期投資は数千万から億単位の投資は必要。
その他、会計監査員への報酬や外部評価委員会の拡大充足による管理経 費、非公務員化に伴う雇用保険料の発生などの各種経費などについても発生する事は想定されるが、具体的な検討はしていない。
また、新法人設立の際には、現在の「債務超過状態」の解消が必要とな るため、平成29年度末の貸借対照表から約16億6千万円程度の資金調達は必要になる。その財源負担等については、検討していないが、他都市の事例等からも見ると病院会計単独での対応は厳しいので、一般会計にもある程度の負担をお願いする可能性もある。
【問】様々な課題を抱えている中、今後の数年間が将来の室蘭の方向性を決める重要時期。来年4月に改選期を迎えるが、現段階での今後のまちづくりに向けた思いと来期出馬に向けた考えを伺う。
【答】まさに今の取り組みは今後の室蘭のまちづくりにとって大変重要なものである。残された任期を全力で全うする。