西いぶり広域連合議会総務常任委員会 先進都市調査報告
7月10日から12日まで、西いぶり広域連合議会総務常任委員会により先進都市調査を行いましたので、ご報告いたします。
1.調査市及び調査項目
(1)東京都武蔵野市 | 武蔵野クリーンセンターについて |
(2)長野県岡谷市 | 諏訪広域総合情報センタについて 諏訪湖州クリーンセンターについて |
2.調査内容
(1)武蔵野クリーンセンターについて
武蔵野市概要~人口:50,128人、面積:85.10㎢
ア.施設概要
建築概要 | 敷地面積:約17,000㎡ 延べ面積:約8,900㎡(工場棟) |
建物高さ | 約15m(最高高さ17.79m) |
階数 | 地上3階 地下2階 |
構造 | (地下)鉄筋コンクリート造 (地上)鉄骨造鉄筋コンクリート |
煙突 | 高さ:59m(既存煙突再利用・耐震補強/内筒更新) |
プラント | 焼却炉:全連続燃焼式ストーカ炉 |
処理能力 | 120t/24h(60t/24h×2炉) |
発電設備 | 蒸気ガスタービン(最大出力2,650kW) ガスコージェネレーション設備(最大出力1,500kW) |
不燃・粗大ごみ処理施設 | 破砕・選別式/処理能力50t/5h |
着工 | 平成26(2014)年5月 |
竣工 | 平成29(2017)年3月(工場棟) |
施設整備費 | 111億2,468万6,400円 |
プラント設計・製造 | 荏原プラント株式会社 |
建築設計 | KAJIMA DESIGN |
施工 | 荏原環境プラント株式会社・鹿島建設株式会社 |
工事管理 | 武蔵野市、株式会社日建設計 |
デザイン設計監修 | 武蔵野市、株式会社日建設計、水谷俊博建築設計 |
プラント技術支援 | 公益財団法人 全国都市清掃会議 |
運営 | 株式会社むさしのEサービス(特別目的会社) 平成29(2017)年4月~(20年間)100億円 |
イ.建設までの経緯
武蔵野クリーンセンターは、武蔵野市単独のごみ処理施設であり、昭和59年より稼動していたが、H18年精密機能検査により、抜本的な大規模改修か建替えが不可欠との結果が出されたことからH20年「中間処理施設(現施設)の更新」を明確に位置づけ、「(仮称)新武蔵野クリーンセンター施設基本構想」を策定。H21年「整備用地の候補地と適合性の比較」の提言から、説明会等を経て、市の責任において新施設の整備用地をクリーンセンター敷地内東側に決定。大気汚染・騒音・振動・悪臭など周辺の生活環境に及ぼす影響調査の実施、住民との様々な検討会、説明会を経て、事業者を選定し、着工、稼働に至っていた。
ウ.施設の特徴等
・立地場所が市役所向かいであり、まちの中心でもあることから全国トップレベルの排ガス自主規制値を定めるなど、環境保全に配慮した安全、安心な施設として運営しているほか、武蔵野の雑木林をイメージした外観デザインにより、環境の調和を図っていた。
・処理量としては、旧施設65t×3基 195tから60t×2基 120t
・プラントの選定は、他施設での実績を考慮。
・効率のよい熱利用により発電効率20%を実現。発電した電力については、複数の公共施設「市役所・総合体育館・温水プール・緑町コミュニティセンター・緑町ふれあい広場(外灯)」が隣接する立地を活かし、ごみ焼却による廃熱をクリーンセンターだけのエネルギー源として考えるのではなく、周辺公共施設へエネルギー供給を行う「地域エネルギー供給拠点」として位置づけ周辺公共施設の防災拠点としての機能を継続するため、災害時にもエネルギー供給できるシステムの構築が図られていた。
その効果額としては、各施設への排熱、電力供給による省エネ効果約1憶5、000万円、売電約5,000万円の合計約2億円の効果とのこと。
・ごみ処理の流れを自由に見学、体感できるほか、ごみ処理を通じて環境情報を発信。
・火災対応について~平成29年11月から不燃物処理のコンベア等で5回の火災が発生。対応策として火炎感知器、熱感知器の導入や収集日のうちに処理をするなどの対応をしていた。また、市民への乾電池やスプレー缶などの無料有害ごみの啓発を進めるほか、その際に火災の原因と思われるリチウムイオン電池を使用している家電の周知の徹底を図るとしていた。
(2)諏訪広域総合情報センタについて
諏訪地域(構成3市2町1村~岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町、富士見町、原村)では、昭和47年に「諏訪地域広域市町村圏事務組合」を設立し、広域行政をスタート。平成12年に多様化・高度化する住民ニーズに対応するため「諏訪広域連合」を発足させていた。
情報分野では、昭和60年に郵政省から「テレトピア指定地域」に指定され、昭和61年には、諏訪広域連合や構成市町村が共同出資して第三セクタ方式によるテレトピア推進法人「㈱諏訪広域総合情報センタ」が設立された。情報センタでは、プロパーの技術者により、独立採算で情報システムの構築や調達を行って、ASP(インターネットなどのコンピューターネットワークを通じて、業務用のアプリケーションソフトを提供する事業者やサーバー、またはサービス。)、SaaS型サービス(インターネットなどのコンピューターネットワークを通じて、ソフトウェアを利用するサービスを提供する事業モデル。)提供をしている。
共同化による事業効果としては、平成20~29年度実績の53システムで、共同構築による削減額としては、854,078,037円、29.5%の削減効果のほか、新たなシステムの検討や共同化においてアドバイザー及びコンサルタント的な役割も担っており、さらに、構成市町村に社員1名を常駐派遣し、技術サポートサービスの提供など、自治体システム担当者の負担軽減に繋がっているとのこと。
なお、整備や運用にかかわる経費と負担方法は、諏訪広域連合規則に準じた均等割20%+人口割80%となっていた。
(3)諏訪湖州クリーンセンターについて
ア.建設までの経緯
諏訪犬市町村では諏訪県内で廃棄物処理を1本化する広域処理計画を平成14年に策定したが、各施設の対応年数の経済性、用地選定の難航などから見直しとなり、最終的に岡谷市・諏訪市・下諏訪町の3市町からなる人口12万人を擁する諏訪湖州地域から発生するごみ処理を共同処理することとし、基本計画を17年に策定、平成23年9月に湖州地区におけるごみ処理事業に特化した一部事務組合として「湖州行政事務組合」が設立された。
イ.施設概要
建築概要 | 敷地面積:19,591㎡ 建築面積:4,170.17㎡ 延べ面積:8,572.86㎡ |
建物高さ | 本棟27.4m |
階数 | 地上6階 地下1階 |
煙突 | 高さ:58.9m |
プラント | 焼却炉:全連続燃焼式ストーカ炉 |
処理能力 | 110t/24h(55t/24h×2炉) 発電設備 蒸気ガスタービン(最大出力2,050kW) |
着工 | 平成25(2013)年12月 |
竣工 | 平成28(2016)年11月 |
事業金額(工事請負費) | 6,977,707,200円 |
建築設計・施工 | 株式会社タクマ・株式会社岡谷組 |
設計施工管理 | パシフィックコンサルタンツ株式会社 |
プラント技術支援 | 公益財団法人 全国都市清掃会議 |
運営 | 諏訪湖ハイトライト(特別目的会社) 平成28(2016)年12月~平成48(2036)年11月20年間 7,128,000,000円 |
ウ.施設の特徴等
ごみ処理方式については、焼却(ストーカ式)、焼却(ストーカ式)+灰溶融、ガス化溶融(流動式・シャフト式)、炭化の4方式の検討をなった結果、灰の溶融処理を行わないことから、最終処分場での軽減では他の方式より劣る部分があるもものの、全国に数多くの施設が建設され、今まで多くの事故もなく稼働してきており、実用性、安全性等において優位であること、また、焼却(ストーカ式)は、炉の立ち上げ時等を除き助燃材の投入の必要がなく、多くの発電も見込めることなどから、焼却(ストーカ式)となった。
売電について、FIT適用し、平日昼間は新電力会社のタクマエナジー、その他の時間については、中部電力。平成29年度の実績としては、売電量約10,114,000kwh、売電額約1億5千万円。発電効率は、20%。施設内電気力を賄い、余った電力についてはすべてを売電し、周辺施設への供給は行っていない。
入札については総合評価方式とし、非価格:価格を6:4としたが、非価格を高めに設定したほうがいいのではないか、また、運営は20年間の契約であるが、契約期間終了時点で、さらに10年間は稼働できる状態で引き渡すことを条件に付けるべきなどのアドバイスがあった。