平成29年第2回定例会 一般質問答弁概要報告
平成29年第2回定例会におきまして2年ぶりの一般質問が終了いたしましたので、その質問内容と答弁の概要につきましてご報告いたします。
1 行政改革プラン2016の推進と組織機構の適正化について
(1)機構改正について
【問】第1回定例会では、行政マネジメント課や職員課を中心に組織・機構の見直しに向けたプロジェクトチームを設置し、平成30年度以降の機構改革に向けた検討を進めるとしていたが、できるところから機構改革を進めるべきとの指摘を受けて、答弁も出来る限り早期に検討すると変化した。議会に言われてからやるようでは、市長の対応の遅さ、危機感がないと言わざるを得ない。この度の機構改革(副市長直轄の行政マネジメント推進室、都市建設部都市政策推進室の設置と室長を次長職とすることなど)の目的と年度当初にしなかった理由、今後の機構改革の考え方について伺う。
【答】「行政改革プラン2016」及び「公共建築物適正化計画」の着実な進展に向けた庁内体制の強化を基本に、喫緊の行政課題である行政改革や今後のまちづくりに向けた迅速な対応と着実な推進が目的。企画立案や関連部門間の相互調整機能強化が可能となる。
7月に見直しを行う理由としては、現在直面している行政課題への迅速な対応を可能とする体制強化に対しスピード感を持って取り組むため、できる部分から前倒しで実施させていただく。今後の行政改革については、政策推進本部会議の中に副市長を座長とし設置する行政改革専門部会を中心に、行政マネジメント推進室と職員課、財政課等の連携のもと検討する。
(2)政策推進本部会議について
【問】本市の政策は、いつ、だれが、どこで、どのように決定しているのか見えないことが多く、議会議論や市民意見の反映方法、政策決定までの「見える化」が必要では。
【答】行政改革専門部会で目指す方向性などを確認後、行政マネジメント推進室が中心となって取り組み、重要課題については、適時、議会や市民の皆様との情報共有を図り、ご理解ご意見をいただきながら政策推進本部会議で方向性の最終確認を行うなど、政策決定までの「見える化」を図っていく。
2 人口ビジョン及び総合戦略の推進について
(1)本市の人口減少に対する分析と課題について
【問】本市の人口推移では、平成26年度以降年間減少率の抑制、出生数の増加、社会減の抑制、特に平成27年度は転出者の職制がみられると報告されていたが、平成28年度の実績と分析について伺う。
【答】平成27年度の年間減少率が1,200人に対し、平成28年度はやく1,500人と300人程度拡大。約2割は出生数の減少、残り8割は社会減、特に20代から30代の転入やの減少幅が大きいことが挙げられる。要因の一つには、八丁平などの宅地分譲が一定程度落ち着いたことなどが推測されるが、現在詳細について戸籍住民課にて転入転出者向けアンケート調査と実施しており、今後、調査結果の分析を行う。
【問】人口ビジョンの将来展望(2040年で約7万人)について、希望的観測ではなく、もう少し現実を直視し見直す必要があるのでは。
【答】人口ビジョン策定時の推計より人口減少が進んでいるが、中長期的な視点での取り組みが必要。毎年の人口動態を分析しながら、各施策や事業の効果検証を見直しを図りながら取り組む。
3 子育て応援プランについて
(1)子育て応援プランの実績と評価について
【問】子育て応援プランをどのように評価しているのか。
【答】保育サービスの向上、屋内外の遊び場の充実、情報発信の強化、土地家住宅や不妊治療への助成など、様々な観点から子育て環境の向上に取り組んでおり、サンキッズや相談ふれあいセンター、保育所などの施設利用者増に繋がっている。
(2)子育て世代に対する住宅施策について
【問】「子育て世代持ち家住宅促進助成金(住宅取得者の固定資産税の半額を3年間助成する・平均1年間4万円~3年間で12万円)を廃止し、「子育て・若年者世代転入者マイホーム購入助成金(本市に住宅を購入して移住される子育て世代等に80万円を助成、市内業者を使う場合は+20万円、合計100万円)」を創設したが、「子育て世代持ち家住宅促進助成金」のこれまでの実績及び制度全体の事業費見込み、制度見直しの考え方、今後の目標値について伺う。
【答】持家住宅促進助成金については、平成26年度に創設、平成27年度は、平成26年度取得者128件、5,276千円、平成28年度は、平成26年度取得者144件、平成27年度取得者161件の計305件、12,244万円、の実績、平成29年度は予算額で、平成26年度取得者143件、平成27年度取得者155件、平成28年度取得者136件の計434件、17,794千円。今後は30年度306件、12,546千円、31年度は、151件6,191千円を見込み、現時点で合計5ヵ年54,051千円の事業費見込み。
前制度は、約7割の方が住宅取得のきっかけとはならなかったとの結果から、子育て・若年者世代の本市への移住を推進するための制度とした。
目標値については、前制度の2ヵ年平均の5割増しを目指した20件を見込んでいる。
(3)子どもの医療費助成拡大について
【問】子どもの医療費助成拡大については、本来であれば国が措置すべきものと考えるが、そうはなっていない。道内35市中、独自の自制拡大を実施していないのが本市を含め4市しかないことを踏まえ、早急に検討すべき。
【答】国の動向としては、国民健康保険の減額調整措置は、平成30年度より未就学児までを対象として医療費助成について減額措置を行わないとの決定がなされたが、医療費助成拡大までには至っていない。本市としては、子ども医療費助成拡大については、多額の費用が生じることから、子育て施策全体の中で検討するとともに、国に対し要望していく。
【問】子育て施策全体の中で検討するとの答弁だが、現在の主管課である保険年金課は窓口業務であり、政策的に検討する部署が必要ではないか。
【答】子育て支援については、少子化対策や定住促進に向けて取り組んできたところであり、医療費助成拡大については、子育て施策全体の中で判断していく。
4 公共建築物適正化計画の推進について
(1)だんパラスキー場について
【問】だんパラスキー場については、今後の設備更新費用や降雪状況などを見ながらあり方を検討するとしていたが、現在の検討及び方針決定までのスケジュールについて伺う。
【答】だんパラスキー場は昭和62年に開設し30年が経過。利用客も当初は10万人を超えていたが昨シーズンは12,500人。その前は8,000人を割る状況。今後は、主モーターの改修、圧雪者の更新等で約1億円程度必要。これらの改修・更新前に施設のあり方の検討が必要。
スケジュールについては、現状や施設の運営、維持などの課題を踏まえ、外部委員の意見もいただきながら庁内検討し、その後関係団体に説明・意見をいただきながら今後の方向性を示す。
【問】関係団体とは、庁内で一定の方向性を出す前に単に存廃だけの議論ではなく、建設的な考え方で早急に話し合いをすべきであり、慎重な検討が必要。
【答】庁内検討では、単に存続・廃止ということではなく、条件や選択肢を持たせ、団体に提示しながら進めたい。関係団体との話し合いについては、庁内で一定の方向性を出す前に時期を見て意見交換させていただく。
(2)旧絵鞆小学校について
【問】旧絵鞆小学校体育館棟については、耐震診断の内容の確認、精査を行い、今後の方向性について示したいとしていたが、その後の検討状況、スケジュールについて。また、存続するとした場合、本市の負担や活用方法は。
【答】旧絵鞆小学校円形校舎の耐震診断内容については、校舎棟は耐震性があるものの体育館棟については耐震性がない状況。当該校舎の保全・解体などのパターンごとの費用精査等検討を進めており、早めに方向性を示したい。
本市の負担については、保存手法や活用方法等により違うが、体育館棟の屋根等の安全対策、校舎等の老朽化対策も合わせ2棟を存続する場合、数億円規模なる。
活用方法については、現在は校舎等について適応指導教室に活用しているが、縄文文化出土品の展示棟、様々な活用方法を検討していく。
5 水素社会構築とエネルギーの地産地消に向けた将来展望について
(1)室蘭グリーンエネルギータウン構想実現に向けたスケジュールについて
(2)水素関連産業構築に対する本市の役割と効果について
【問】ア~同構想実現に向けたスケジュール、イ~水素関連市場の現状と本市が今後取組む方向性、環境産業振興につながる具体策、地元企業の技術・ノウハウについて、ウ~再生可能エネルギー由来の水素製造、供給、利用等の実証の検討状況と今後の見通し、エ~就業人口の増加、地域経済の活性化とはどの程度でいつの話か伺う。
【答】ア、構想実現に向けたスケジュールは、当面の目標としてグリーンエネルギーの導入量を2020年までに2012年度の2倍に増加させるようモデルプロジェクトを設定。
実績として、LED化については、地域商品券の活用により家庭での導入促進、白鳥大橋の照明は今年度完了予定、下水処理場のバイオマス発電については、月島機械株式会社により民説民営で乱闘下水処理場にて開始。環境科学館において、再生可能絵菜るぎーや水素利活用設備の展示棟を検討中。水素の地産地消については、水素の需要と供給のバランスが課題であり、今年度策定の実行計画に基づき解決策を模索しつつ取り組む。
イ、国が基本戦略を年内に策定、国内自動車メーカーが水素ステーション整備の共同出資会社を設立等、水素関連市場の注目は高まっている。本市では、「グリーン水素ネットワーク」の確立に向けた実行計画を策定し、水素吸蔵合金や蓄圧器、水素の製造技術等を有する企業、室蘭テクノセンターによる関連部品開発など、産学官一体となり産業振興に繋げる。
ウ、日本製鋼所が水素と工場排ガスなどからメタンガスを合成する検討を行っており本市も参画。今夏に実証実験へ移行するための審査が行われており、通過した際には実証事業が開始さ、蘭東下水処理場を実証の場と考えている。
エ、構想実現の効果としては、国内最大級バイオマス発電の立地も成果の一つ。2020年以降は社会経済、技術動向など環境変化を見定めながら、企業活動や新規立地等、就業人口の増加や地域経済の活性化等に繋げる取り組みを行っていきたい。
6 本市の医療体制について
(1)医療の将来像について
【問】市長が記者会見で述べた「医療の将来像」とは、現状の課題と検討の手法、スケジュールについて伺う。
【答】本市の3つの総合病院は、西胆振地域全体の急性期を担う中核的役割を果たしており、救急医療、がん診療、循環器疾患等の高度・専門的サービスを提供しているが、人口減少が進んだ場合、現在の医療体制を維持できるかを検討する必要がある。西胆振区域地域医療構想の実現に向けて調整会議とも連携を図りながら、3総合病院、医師会、北海等々の関係機関、有識者の参加による会議を検討中。
(2)市立室蘭総合病院について
【問】平成28年度決算見通しについて。
【答】収支については、収益総額約97億4千万円、支出100億3千万円となり、約2億9千万円の純損失を計上するが、当初予定していた基準外繰入及び不良債務は発生しない。
【問】患者減少による発生している空床を集約するとしていたが現状と看護師の勤務状況及び今後の看護師採用の考え方について伺う。
【答】各病棟に偏在していた空床を5階西病棟(53床)に集約し、当該病棟に配属になっていた22名の看護師をほぼ一般病棟に配置換えしたことにより、手厚い看護体制の実現と夜勤回数の軽減や年休取得率向上に寄与している。看護師採用については、昨年度から年度途中退職時の補充を取り止めていたが、今年度すでに9名の中途退職者がいることから、即戦力となる中途採用者の欠員補充も再度検討する。
【問】夜間の看護体制について、全ての一般病棟を3名とした場合「看護職員夜間配置加算」が取れるのでは、その場合の必要人数と加算取得による増収額は。
【答】現在呼吸器内科の6回東病棟(結核24床、一般23床)以外はすべて夜勤3名体制としているが、少なくとも4名必要。増収額は月額160万円を見込めるが、混合病棟のより効果的な看護配置や勤務体制を検討する。
【問】医師確保について、特に循環器内科医の確保については。
【答】現在常勤医1名、非常勤1名の体制となっており非常に厳しい状態である。透析、手術、病状急変等には、当院他科の応援、連携病院との協力、いい区大学からの診療援助にて対応する。今後も医師確保のため医育大学への医師派遣要請を継続していく。
【問】市立病院のがん対策について、今年度の特徴と緩和ケアについて伺う。
【答】本年6月から胃がん検診そして従来のバリウム検査に加え胃カメラによる検査、希望者には前立せんがんの血液検査、10月には「休日における乳がん検診」を実施する。
緩和ケアについては、患者さんとご家族の意思を最大限尊重し、当院での治療を希望されれば緩和ケアチームが中心となり様々な対応を継続。緩和ケア病棟への転院を希望されれば、当該病棟を有する医療機関への転院の調整を行っている。
【問】空床を集約した5階西病棟を緩和ケア病棟としてはどうか。その場合、クリアすべき施設基準、看護体制、費用、年間の収益はどの程度と予想されるのか。
【答】施設基準要件は、がん練診療連携拠点病院等の指定を受けているまたは第三者の機能評価を受けている病院で、常勤医師1名以上を配置し看護体制は7対1が必要。改修及び備品等の費用については、やく2.5億で工事期間は1年以上を要する見込み。年間収益は、15床として80%の稼働率で想定した場合、約2億円となる。
緩和ケア病棟に限らず、回復期の機能を持った病棟や介護の機能を持った施設等、様々な視点にて検討したい。
【問】病院事業管理者は2期目最後の年となっている。後継者の現状見通しについて。
【答】市長と管理者とともに札幌医大の学長にお願いしているが、いまだにはっきりとした返事はない。定期的に学長を訪問し、できる限り早い時期に返事をいただけるようお願いしていく。