室蘭市議会議員

小田中みのる

MINORU ODANAKA

小田中みのるの市議会レポート
VOL.48

会派行政視察報告

1.函館市「函館市こども条例」について 10月18日

函館市では、子どもの人権を尊重しつつ、こどもの健やかな成長を支え、安心して子育てができる地域社会の実現を目指すため、こどもの係る施策推進に柱となる「函館市こども条例」を今年4月1日に施行しました。条例制定の経緯としては、H23年の市長選の選挙公約のひとつであり、H24年度から「(仮称)函館市こども条例制定検討委員会」が設置され、以降H26年10月までに19回の委員会が開催。H25年度には、こども・子育て支援に関するニーズ調査、H26年度には、子育て支援団体や市立小・中学校長を対象に(仮称)函館市こども条例にかかるアンケート調査し、検討委員会から市長に対して提言書が提出され、H27年度には、小・中・高校生にもアンケート調査、パブリックコメント等を経てH28年第1回定例会において全会一致で可決されたものです。

条例制定後の施策の展開としては、今年度は、広報・啓発のためのリーフレットの作成・配布、新規施策の検討などが行われており、今後は函館市こども会議の開催によりこどもの参加を促し意見を反映させる仕組みを検討しているということでした。

函館市の機構としては、H19年度から設置していた「こども未来室」をH24年度から「こども未来部」としています。また、相談体制(こども何でも110番)も現行2名から来年度には5名体制(予定)と強化する方針だそうです。

その後、駅前にできたばかりの「はこだて未来館」「はこだてキッズプラザ」を視察しました。キッズプラザは、室蘭生涯学習センターでも指定管理者となった「こどもクラブ」が管理運営をしており、社長ともお話ができました。室蘭は、函館、旭川についで3箇所目となることから、素晴らしいものにしたいとの思いも聞かせていただきました。

2.岩手県盛岡市 「公共施設のアセットマネジメント」について 10月19日

盛岡市では、公共施設アセットマネジメントについて伺いました。

現在、全ての自治体において少子高齢、人口減少社会の中、公共施設の維持更新費用が課題となっていますが、盛岡市では、H21年度に自治体経営の指針及び実施計画の策定、H22~23年度、岩手県立大学盛岡市まちづくり研究所で調査研究を経てH24年度から資産管理事務局を設置し、公共施設の利用状況や経営状況、建物状況の収集・分析。H25年度には、目指すべき施設保有の姿などを定めた基本方針を策定し、公共施設保有適正化・長寿命化計画を策定、また、24年度に収集した情報を分析して施設ごとの「施設カルテ」として公表、市民討議会議、市民フォーラム、意見交換会、さらには市民説明会を開催するなど市民意見も取り入れた10年間の中期計画、3年間の実施計画をもとに実行に移していました。中期計画期間の10年間に必要な維持管理更新費用は542億7,600万円で、長期計画策定前の推計より92億7,400万円の縮減を見込んでいるとのこと。

室蘭も公共施設等総合管理計画を策定し、現在「(仮称)公共建築物再編計画」を策定中ですが、行政サービスの在り方をしっかりと検討したうえで、市民に理解される計画が策定できるかが課題です。総論賛成、各論反対とならないように議会としてもしっかり議論しなくてはならいと感じた視察でした。

「盛岡市中央卸売市場」現地視察 10月20日

視察3日目は、室蘭地方卸売市場建て替えの参考とするため盛岡市中央卸売市場の視察を行いました。

同市場は、開設区域内人口24,343人(H28.4.1現在)、総事業費(用地取得費込)役240億円で、H13年に新市場として業務開始。費用のうち162億円が起債であり、現在その償還ピークとなっており、約16億の特別会計予算のうち約10億が償還、また、一般会計より基準外も含め7,3億円の繰入が行われていました。主な場内業者及び取扱量は、青果部~卸売1社、仲卸10社 取扱数量・金額は、ピーク時H5年で134千t・約301億。H27年で82.3千t・約201億。水産部~卸1社、仲卸10社、ピーク時31千t・256億。H27年14.6千t・147億円。取扱数量・金額ともにピーク時からの減少もあり、水産で卸1社、仲卸は、青果・水産ともに数社撤退とのこと。施設的には、水産部場内は空調によりコールドチェーン化、フォークリフトの9割は電動化されていたほか、場内にはだれでも利用できる食堂もありました。さらにH24年度から総合食品センター配送施設屋根、売場等屋根及び緑地帯を利用したメガソーラー事業を包括リース方式にて行っており、太陽電池パネル6,076枚、想定発電量約137万kwh/年で想定売電金額5,500万円、経費4,500万円で収益1,000万円の予定。H27年度は、約2,000万円の収益があったということです。

本市においても、市場取扱数量・金額が減少していることから、場内業者の経営を考慮した中で、また、市民や観光客も利用できる市場の規模や施設内容を検討しなければならないと感じました。

3.福島県郡山市 「地域を生かした教育環境パワーアップ事業」について 10月20日

郡山市では、「地域を生かした教育環境パワーアップ事業」について伺いました。この事業は、学校内の教育活動はもとより、夏休みや冬休み等に地域の方々が中心となって学習会などを開催しながら、豊かな人間性と学力向上を図っているものです。経費は、1,500万円で文科省の補助事業(10分の10)。H11年度からの特色ある学校づくり推進事業、H21年度からの学校支援地域づくり事業など地域を巻き込んだ取り組みがこの事業に繋がっているとのことでした。基本的に中学校区ごとの地域コーディネーターを中心に地域の方々や教員OB,市内の4大学学生のボランティアの協力により、目標としている郷土を愛し、学ぶ意欲に溢れ、たくましく未来を拓く郡山の子どもの育成の達成のほか、地域住民の生きがいつくりにもつながる事業だと感じました。

小田中みのる
室蘭市議会議員