室蘭市議会議員

小田中みのる

MINORU ODANAKA

小田中みのるの市議会レポート
VOL.43

平成28年第1回定例会が終了しました。

3月25日、青山市長2期目最初の通年予算を審議した平成28年第1回定例会が、平成28年度各会計予算(一般会計42,237,000千円、3特別会計 20,729,832千円、6企業会計 20,693,516千円、合計 83,660,345千円)、平成27年度補正予算(一般会計 2,752,087千円など)及び室蘭市中小企業振興条例制定の件、室蘭市みんなで心をつなぐ手話言語条例制定の件、教育長任命について同意を求める件など議案39件、意見書3件を原案可決し閉会しました。

この度の議会は、6月入港予定の大型客船(168,000t)入港のための航行シミュレーションを含めた安全対策について約3千万円程度の経費が必要となることに対する説明不足があり、代表質問において各会派会長が市長並びに港湾部に対し苦言を呈したことに始まり、補正予算審議に至っては、国の補正予算を活用した総合戦略関連事業において総事業費87,344千円のうち60,111千円を交付金として見込んでいたところ、委員会開催当日に国からの内示により約33%の22,839千円が不採択となったことが判明したにもかかわらず、議会に何ら説明することなく審議入りしたことで委員会が紛糾し、結果的に市長からの謝罪、委員会は内示内容を議会に説明後に再開するなど、理事者側の不手際が目立った議会でした。また、経済建設常任委員会では、室蘭市中小企業振興条例において前文の修正を行うなど、初めてのケースが多い議会ともいえました。

所管の経済建設常任委員会及び予算審査特別委員会で質問を行いましたので、以下のとおり概要についてご報告いたします。

○経済建設常任委員会

【質問】 室蘭市中小企業振興条例において、先日視察した埼玉県川口市の地域貢献事業者認定事業のように、本市においても中小企業の地域に対する貢献活動も理念として組入れること、また、企業の地域貢献活動に対しては市もしっかりと評価する制度を設ける考えについて伺う。

【答弁】 今後は、条例に理念に基づく総合的な施策を総合的に推進するための室蘭市中小企業振興会議を設置することから、その中で検討する。

○一般会計予算審査特別委員会

【質問】総務費(職員費及び職員管理費)~平成28年度の採用は40名となったが、その要因と平成29年度採用及び資格職の採用の考え。職員の健康診断受診状況及び職員へピロリ菌検査を受診させる考えについて伺う。

【答弁】当初26名採用予定であったが、再任用職員の退職、正職員の中途退職、新たな長期休職者への対応のため14名の補充が必要となった。平成29年度も現状の職員数の維持を基本とし検討する。資格職については、保育士は32年度までにもう2名の採用、保健師については、今後の退職動向を見ながら、管理栄養士については、3名いる職員がすべて再任用となったことから、配置の在り方も含め採用について検討する。

【質問】民生費(社会福祉総務費)~生活困窮者自立支援事業の一環として横須賀市で行っているエンディングプラン・サポート事業(ひとり暮らしで身寄りがなく生活にゆとりのないご高齢の市民の方の葬儀・納骨・死亡届出人・リビングウイルなど終括課題の円滑な解決に向けた支援)を行う考えについて伺う。

【答弁】実施市の状況や本市合葬墓の進捗状況も併せて診ていく中で調査・研究したい。

【質問】衛生費(保健衛生総務費)~壮年期(50.55.60.65歳)のピロリ菌検査の実績及び年齢枠撤廃の考え。本市独自のがん対策をもっと積極的に行う考えについて伺う。

【答弁】12月から受診者数は伸びてきているが2月末現在で536人受診率14%程度の見込み。生成28年度の状況を見たうえで、登別市を含めた関係者と検討したい。本市独自のがん対策として「がん教育」があり、学生向けリーフレットを作成しさらに拡大して実施する。検診体制については、医療機関、検診体制が整っている恵まれた環境であることを周知し、検診率の向上に努めたい。

【質問】衛生費(畜犬及び野犬対策費)~本市における野犬確保の状況、犬・猫の引き取り数及び殺処分数。本市の地域猫に対する考えと取り組み方針について伺う。

【答弁】飼い犬が逃げると腕の保護を含め平成26年度6件、27年度2月末現在6件。引取り及び殺処分については、室蘭保健所管内において、

平成26年度:<引取数>40匹<殺処分>9匹
平成27年度:<引取数>26匹<殺処分>2匹(2月末現在)
平成26年度:<引取数>261匹<殺処分>152匹
平成27年度:<引取数>353匹<殺処分>243匹(2月末現在)

となっている。地域猫については、市民団体が市内で活動していることは把握している。地域住民の協力が不可欠であり、非常にデリケートな問題でもあることから、今後市としてどのようなことができるのか、団体から話を伺いたい。

【質問】教育費(女性センター費)~女性センターは耐震不足により今年度で廃止され、代替施設として文化センターにその機能が移転するが、利用者への周知やその後の利用者からの要望への対応について伺う。

【答弁】「利用者の会」に機能移転について承諾を得た後、総会・役員会等においての情報提供、ポスター掲示、利用団体への通知の送付等、円滑な移転に努めた。利用者からは、備品保管の要請があったが、他の利用者間との公平性を保つためお断りした経緯もある。今後は、指定管理者ともできる限り利用者が不便にならないように協議する。

【質問】教育費(教育振興費)~がん教育の来年度の実施内容及びがん体験者の体験談等をがん教育に取り入れる考えについて伺う。

【答弁】小・中学校それぞれ1校ずつだった「がん教育」の出前授業を2校での実施を検討。他にも健康推進課による各種出前事業を行っているので、その中において「がん教育」の内容に触れるなどの工夫も検討するとともに、実施な可能な範囲で「がん教育」の出前授業の拡大を図っていく。がん体験者の方々から直接お話を聞くことは大変貴重な機会となることから、健康推進かとの連携を図りながら検討していきたい。

○企業会計予算審査特別委員会

病院事業会計については、常勤医が8名減少する等により医業収益が減少する見通しであり、一般会計からの繰入は、基準外150,000千円を含め合計1,879,993千円(前年度208,000千円増)となるものの、160,000千円の不良債務となる予算となっている。課題は、何といっても医師の確保に尽きるが、現状での救急、災害医療体制の確保等に関しての質問をしました。

【質問】先の代表質問において当初予算にて基準外の繰出しをすることに対する答弁で、「今年度限りである。」との市長答弁があったが、医師不足の中、さらなる患者の減少の恐れがあり、収益の改善が厳しいと思われるが、平成29年度以降の基準外の繰出しに対する考えを伺う。

【答弁(企画財政部長)】病院会計への基準外繰出しは、医師不足による大幅な収益の減少に対応した緊急措置である。一般会計も厳しく、基金を取り崩しての繰出しであることから、次年度以降もこのような財政支援の継続は厳しいが、一般会計、病院会計の収支状況を見極めたうえで慎重に判断する。

【質問】市立病院の役割として救急や災害医療が挙げられるが、医師が減少する中、その役割を維持できるのか。ドクターカーや救急救命士への病院研修等は大丈夫か伺う。

【答弁】救急医療については、市内4ヶ所の救急告示病院で役割分担し救急対応に備えるが、頭部外傷を含む高エネルギー外傷への対応はしっかりと担う。災害医療についても、DMAT隊の維持に努め、NBC訓練を実施するなど、地域医療の提供に努める。ドクターカーの運用は、年6~7件。今後も院内の意思統一を図り継続していく。救命士への研修については、臨床研修医が増加傾向にあるが、各消防と十分協議し各実習医療機関で受け入れを行う。

【質問】現院長が定年で退職されるが、前院長は定年を延長し院長職を務められた。医師不足の中、引き留めるべきではなかったのか。

【答弁】そのようなことも選択肢にあったが、病院運営を長期的に担って頂ける医師に任せ若返りを図ることとした。札幌医科大学における教授が交代する時期であったことも一因。現院長には、顧問として外来診療の継続、助言等により協力をいただく予定。

【質問】今後、病院事業管理者として医師確保のためにどのようなことができるのか伺う。

【答弁】臨床研修医のほか専門医制度が始まり今後3年間は非常に厳しい。自分としては、若く力のある後継者を見つけ市長に推薦したい。

小田中みのる
室蘭市議会議員