3月23日、任期最後の平成27年第1回定例会が、平成27年度各会計予算(一般会計43,830,000千円、3特別会計 21,017,699千円、6企業会計 20,417,780千円、合計 85,265,479千円)、平成26年度補正予算(一般会計 1,073,262千円など)及び室蘭市がん対策推進条例制定など議案37件、意見書3件を原案可決し閉会しました。
特にがん対策推進条例については、平成25年第1回定例会においてその必要性を訴えていたものが実現したものです。
ただし、この条例を制定することが目的ではありませんので、今後とも本市が更なるがん対策を積極的に推進し、がん予防のための普及啓発や小中学校での教育、早期発見のための検診率の向上策、がん患者に寄り添いがんに負けない社会、そして最終的にはがん撲滅を目指すよう、頑張ってまいります。
平成27年度予算は、改選期のため骨格予算であり、前年度比△1,272,000千円(△2.8%)となっていますが、がん対策のための中高年へのピロリ菌検査への補助金などの新規事業も盛り込まれています。
つぎに一般質問の概要を報告します。
ア コミュニティ交通事業について
(質問要旨)
住民を巻き込んでの交通体系の検討等、別の成果は認めつつも市長肝いりの政策の割には、結果がついてこなかったことについて、感想を伺う。
(答弁要旨)
地域コミュニティ交通事業の成果については、先行検討地区における地域との協議や試験運行の結果などから、近距離移動型の地域コミュニティ交通のニーズは必ずしも高いものではない現状が見えたところであり、本格運行に結びついている実数としては必ずしも多くないかもしれないが、地域における移動支援策の必要性ということについては、高齢化がさらに進むなかで将来的な課題として地域において共通して認識され、今後の交通施策の検討に向け、様々な成果が得られたものと考えている。
イ がん対策について
(質問要旨)
今後の小中学校におけるがん教育の進め方ついてどのように考えているのか。また、がん教育を進めるにあたっては、子どもたちに対して、ピロリ菌に関する理解を深めることも大切と考えるが、教育委員会の見解を伺う。
(答弁要旨)
小中学校における今後のがん教育の進め方については、平成27年度は、今年度に引き続き、保健福祉部との連携を図りながら市内小中学校における出前授業を行っていく。
また、平成28年度以降については、この出前授業に加え、保健福祉部との連携を図りながら、市内全小学校の6年生と中学校の3年生向けの「がん教育」に関わるリーフレットを作成することを検討しており、学習指導要領との関連に考慮しながら、保健体育の授業の中で、その活用を図っていく。
ピロリ菌の指導に関しては、市教委としても若年層への指導の必要性については認識をしているが、児童生徒に対する指導に関しては、学習指導要領の内容や発達段階を踏まえていくことが重要となるから、保健福祉部と協議を行いながら望ましい指導の在り方を検討していく。
保健福祉部答弁要旨
ピロリ菌感染時期は、まだ免疫が発達していない乳幼児期がほとんどであり、成人になって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・萎縮性胃炎等や胃がん等様々な胃腸病が発症することから、子どもの時期にピロリ菌検査をし、適切に除菌ができる年齢になったら、若年期のうちに除菌することが大切であると言われている。若年層拡大に関する学校現場への対応としては、学生へのピロリ菌に関する正しい知識の普及と共に、PTAを含めた市民にも理解して頂けるよう普及啓発に努めるなど、学校現場ときめ細やかな意思疎通を図りながら丁寧な対応に努めて参りたい。
ウ 市民が行う救急現場における応急処置の現状と課題について
(質問要旨)
本市における市民による発症目撃の有無 におけるバイスタンダー による応急手当の実施状況、また、課題をどのように捉えているのか、さらに、応急手当実施者が感染等や訴訟となった場合の本市の対応はどのようになっているのか伺う。
(答弁要旨)
過去5年間の本市の心肺停止により搬送された傷病者数は、489人。その内、発症目撃が有る心肺停止症例が197人、発症目撃が無い心肺停止症例が292人。発症目撃が有る197人のうち、バイスタンダーによる心肺蘇生法等応急手当がされたものが82人で41.6パーセント、発症目撃が無い292人でのうち、バイスタンダーによる心肺蘇生法等応急手当がされたものが103人で35.3パーセントとなっている。
課題は、発症目撃が有りバイスタンダーによる心肺蘇生法等応急手当がされた場合の1カ月生存率が過去5年間の平均で22.0パーセントに対し、発症目撃が無くバイスタンダーによる心肺蘇生法等応急手当の実施が無かった場合の1カ月生存率2.6パーセントと比較すると約9倍と発症目撃とバイスタンダーによる心肺蘇生法等応急手当の有効性が実証されている。
本市のバイスタンダーによる心肺蘇生法等応急手当の実施割合約38%については、低い数値ではないが、1カ月生存率をより一層向上させるためにも、この割合を高めていくことが課題と考える。
応急手当実施者が感染等や訴訟となった場合の本市の対応については、消防法第36条の3の規定により、市町村は、政令で定める基準に従い条例の定めるところにより、その者又はその家族がこれらの原因によって受ける損害を補償しなければならないとされ、室蘭市においては「室蘭市消防団員等公務災害補償条例」により、その補償に係ることを定めている。
(再質問)
応急手当実施者を守るためにも東京消防庁で実施される「バイスタンダー保険」の導入が必要と考えるが、本市の見解を伺う。
(答弁要旨)
まだ「バイスタンダー保険」は商品化されてはおらず、東京消防庁での事業開始後の動向等を注視し研究するとともに、誤ったAEDの使用によるバイスタンダーの事故や心肺蘇生時等の血液や唾液等の接触による二次感染等を防止するよう、正しい知識を身に着けたバイスタンダーの養成のため応急手当普及啓発活動の推進に努める。
ア まちづくり活動支援補助金について
(質問要旨)
現在の補助金の制度は、さまざまな市民活動立ち上げのための制度で2年間限定であることから、現在の補助制度の良さを残しつつ、事業継続することが市民力を生かしたまちづくりに寄与し、本市の活性化につながる事業に対しては市としても継続した応援すべきであり、そのための制度改正の必要性を質してきた。
答弁では、「その後も継続し全市的な規模への拡大が見込まれる活性化事業への支援については、事業の評価や市民要望も踏まえた上で庁内連携を図りながら検討してまいりたい」また、「平成26年度に全体的な見直しを図りたい」と答弁しているが、その後の検討状況とこの制度見直しの基本的な考えについて伺う。
(答弁内容)
道内他都市の実施状況は、補助率、補助金額、選定委員会による選考方式等、本市とほぼ同様の制度により実施されている、公開でプレゼンテーションや事業報告会を実施している市も数市あり、今後、参考としたい。また、本市の協働事業選定委員会委員からは、継続して実施できるような企画や自己資金の確保を前提とした事業計画を立てる必要があるなどの意見をいただいた。本年に入って実施した市民活動団体との意見交換会やアンケートにおいても、団体や人材育成には多様な支援方法があるとよい、事業実績により補助期間を延長してほしいなど、様々な御意見があった。当該補助金については、事業のスタートアップ、立ち上げを支援するという基本的な考えのもと、今後、これらの意見も参考にして、協働のまちづくり指針を平成27年度に見直すなかで、補助金も見直す。
ア 更なる行政改革の推進について
(質問要旨)
市長説明において、「更なる行革」の計画には無い道路パトロール業務の見直しが謳われているが、その経緯と見直しの内容について伺う。
また、昨年の一般質問において会派同僚議員より、市民がスマホを活用し道路不良個所等を投稿できる「ちばレポ」の導入を提案し、「千葉市を初め先進他都市の状況を調査しながら、今後実証実験の検討する」との答弁であったが、その後の検討状況について伺う。
(答弁要旨)
道路パトロールについては、土木事業所勤務の嘱託職員3名が退職することとなったことから民間委託することとした。時間数が増えることから、徒歩による点検等、パトロール業務が強化されると考えている。
市民がスマホ等を活用して道路や公園等の不良個所を投稿するシステムについては、ICTを活用した行政サービスの向上につながるが、各課での体制や仕組みづくり等課題もあることから他都市の状況の調査や実証実験を行い効果と課題を検討する。
イ 職員採用及び職員、嘱託職員の役割について
(質問要旨)
保育士の採用については、「現在の室蘭市立保育所の整備・運営等に関する計画は平成22年に作成されたものであり、子ども・子育て新制度の内容が反映されていないことから、今後策定する室蘭市子ども・子育て支援事業計画の内容と整合性が図られるよう、室蘭市子ども・子育て会議の議論も踏まえながら進めてまいりたい。」という答弁であったが、その検討内容と今後の採用の考え方について伺う。
(答弁要旨)
子ども・子育て会議での検討内容については、法で定められた、地方版子ども・子育て会議の主な審議内容としては、教育・保育施設の利用定員の設定など、全体的な需給バランスに関することや、平成27年度にスタートする、子ども・子育て支援事業計画の策定に関することなど、となっている。
室蘭市子ども・子育て会議では、このことに基づき、これまでに新法に関連する制度や、新たに制定する条例案の説明、次世代育成支援行動計画の進捗状況の報告や、計画の策定などについて審議を行ってきた。会議の方向性としては、今後において、教育・保育に関するサービスの質的な向上などの改善を図り、地域の子ども・子育て支援の充実に向けた取り組みを進めていくものとなっているが、本市の子ども・子育て支援に係る施策は、この会議で出された意見などを踏まえたうえで、最終的に市の方で決定する。
次に、今後の採用の考え方については、今後の子ども・子育て支援新制度の進展に伴い、さまざまな影響が考えられるが、本市の全体的な組織体制との兼ね合いもあることから、引き続き関係部署との協議を進める。
(再質問要旨)
職員採用については、平成25年3定において採用を含めた子育て行政の考えを質したのに対し、市長は、「総合的な検討を子ども・子育て会議の中で進めたい。」との答弁であり、今回も子育てにかかわる制度の影響や、組織体制との兼ね合いなどを理由に明確な答弁を得ていない。ようするに、公立保育所の在り方、それに伴う保育士の採用等については、全く議論されていないのではないか。
保育所の民営化や保育士の採用について、議論する場を設けるべきでると考える。改めて市長の行政としての子育て支援の役割について、市長の思いがどこにあるのか、どのように考えているのか伺う。
(答弁要旨)
現在、市内の保育所においては、多くが民間の皆様の力をいただきながら運営され、実績をあげているところであるが、公立保育所やそこで勤務する市職員としての保育士については、地域の保育職員の質の向上を図ってきたことなど、本市の保育行政に重要な役割を担っていることは認識している。
国における公立保育所に対する制度や、これまでの民間保育所の運営実績などを踏まえて、民営化を進めていくこととなるが、市内の全ての保育所において、公平、平等で適正な保育サービスの提供に努めていく。
子ども・子育て支援新制度では、保育の必要となる子どもを受け入れる施設として、現在の保育所以外にも、教育・保育の両方の機能を兼ね備えた認定こども園といった選択肢もあり、今後においては、教育・保育事業者の意向などに対応しながら進めていかなければならない。
本市においても、今まで以上に各種の子ども・子育て支援施策を実行していくことによって、より子どもを産み、育てやすく、子育て世代に優しいまちに向かって歩みを進めていかなければならないものと考えている。
(質問要旨)
西胆振地域の取り組みを進めるうえで、消防の広域化については本市としての基本的な考え方、消防体制を示さないまま西いぶり広域連合の議論にゆだねたことは、反省すべきものと考えるがどうか。
(答弁要旨)
消防の広域化の検討における、本市消防の体制に係る基本的な考え方については、現行の消防力を低下させないことや本市の高度な消防・救急体制の維持を基本に、総務省消防庁が示す一般的な広域化のメリットが、西胆振圏域における消防の広域化に当てはまるかを検証するなどの観点から検討してきたが、一方では、人口減少が進む本市にあって、都市規模に見合った本市消防体制の構築と係る人員の確保についても同時に進めなければならない課題であったことから、広域化の議論と並行して対応を検討し、再任用制度を平成22年度退職者から開始し、採用を伴わない人員の確保を図るなど、その時点における可能な取り組みについて行ってきた。
さらに、検討を進めていく中で、平成23年度には各消防本部の署所の体制は各消防本部が責任を持って構築する「派遣自賄方式」で検討を進めてまいることが広域連合の市町協議会において決まったことから、行政改革及び本市消防体制のあり方について消防部内で検討し、平成24年度より4署所138人工体制への見直しを行うこととし、新たな体制の確立と新統合支署の来年度7月の開署に向け、関係部局と連携し、消防職員については新規採用職員を各年度8名から9名程度確保するなど取り組みを進めてきた。
(再質問要旨)
消防の体制構築のため採用を含めた人員確保などは市長の権限であり、広域化の議論を理由として結果的に消防体制の構築が遅れたことについて見解を問う。
(答弁要旨)
市民の安心安全を守る消防の責務を果たすことができる消防体制の確保が必要と考えており、これまでもその観点から検討にあたってきた。
特に、消防の広域化は西胆振における3市3町の持続的な消防体制の確保のため、平成21年度から長い期間をかけて検討を進めてきたで、検討事項には、広域化後の人員数や署所の位置及び数など本市の消防体制そのものに関連する事項もあったことから、本市における消防体制の構築の対応については、消防広域化の基本的な方針決定後の対応となり、体制構築と人員確保、さらには設備の整備などを一気に行うこととなったが、今後は消防体制の構築については、時間を要する事項もあるから、しっかりとその都度の決断をもって任にあたりたい。