室蘭市議会議員

小田中みのる

MINORU ODANAKA

小田中みのるの市議会レポート
VOL.38

平成26年第4回定例会が終了しました。

12月16日、平成26年第4回定例会が、一般会計補正予算第7号(625,795千円)及び室蘭市土地開発基金条例中一部改正の件など議案15件、また我が会派提出の「年金積立金の安全かつ確実な運用に関する意見書」、など3件を含む意見書7件を原案可決し閉会しました。

補正予算の主な内容としては、八丁平土地対策事業として、市の土壌調査等により土壌汚染が確認された企業埋立区域内及び埋立区域に面する民有地で、かつ、市が土壌汚染に係わった可能性のある民有地について、汚染対策に要する費用の助成で28,000千円、八丁平南公園等対策事業費として土壌汚染対策法に基づく工事のほか公園としての利用再開のための事業費560,000千円などです。

また、各種業務委託や指定管理制度による管理費用などの債務負担行為設定の補正も行われました。

自分は、3年前に直営から民間事業者に委託された「学校給食調理業務等委託」に関して、民間委託したことに対する評価、選定された事業者の提案内容、現在雇用されている調理員等の雇用の継続の見通し、継続雇用される場合の労働条件の見通しなどについて質問しました。

理事者からは、衛生管理や栄養教諭の事務軽減及び食育推進等の面で効果があった。新たな事業者については、HACCPの概念に基づいた会社独自のマニュアルを策定し使用していること、新規採用者研修や、マニュアルを使用したOJT教育、外部講師による研修等の提案、異物混入に対して追求する姿勢や、異物の入りにくい調理服にするなどの工夫を提案がなされ、選定委員会において高く評価された。また、要項で「受託業者は、委託業務を行うため新たな職員を雇用する場合にあっては、現に給食調理業務を行っている室蘭市学校給食センター調理業務委託業者の職員の採用及び労働条件の維持に配慮するように努めること。」と記載していることから、提案時にも、希望する方々を面談のうえ優先的に雇用するとの答弁でありました。

つぎに、今議会における一般質問の概要を報告いたします。

1.環境未来都市室蘭について

(1)省エネルギー施策について

【問】
本市は、低炭素社会構築、省エネルギー社会を目指して、町会設置の防犯灯については、補助金を増額しながらLEDへの取替促進、公共施設については、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の導入で、公共施設(環境)基金を創設し、ガイドラインに基づき電球をLEDに交換するなど、二酸化炭素削減を計画的に進めているが、完了までには相当の年数が必要であり、電気料金の再値上げにより来年度には今以上にスピードを速める必要がある。

環境未来都市を標榜する本市として省エネルギー施策の一環として積極的に導入すべきと考えるが、現状の取り組み、リース方式等の導入による効果、課題等、本市の今後の取り組みに対する見解を伺う。

【答】
リース方式等による効果は、電気料の削減効果も大きいと認識している。町会街路灯については、現行制度の設置費助成の要望も多いことから継続。市の街路灯については、今後ともより効果的な方法を検討する中で、早期省エネ化に努める。

2.子どもからお年寄りまで安心して暮らせるまちづくりについて

(1)発達障がいのある児童への取り組みについて

【問】
発達障がい児の早期発見への取り組みについては、様々な取り組みをしているがもう一歩踏み込んだ施策が必要である。

鎌倉市では、発達障がい等により支援が必要な児童に対して適切な支援を行うとともに、児童のすこやかな発達を支援することを目的とし、5歳児すこやか相談事業実施要綱を定め、相談事業として⑴5歳児の家庭及び園における状況の把握、⑵ 発達支援が必要と認められる5歳児に対する適切な支援の実施、⑶保護者が児童の成長及び発達状況を確認するための機会の提供、 ⑷保護者の育児及び児童の発達に関する相談の実施、⑸園における集団保育への助言及び指導等を実施している。

事業の流れは、主に園から保護者に相談票を配布、回収し、相談票の相談希望欄に相談希望ありにチェックのある子ども、在籍園から提出されるコメント表に記載のある子ども及び、相談票の記載内容から行動観察が必要と判断された子供を中心に園での行動観察を行い、支援の要否の検討を行った結果を園及び保護者に報告し、必要に応じて個別面談を実施。支援の必要があり保護者が希望した場合は、専門職による支援の開始または巡回相談による経過観察を行うという内容であり、結果として、回収率は90%近くにのぼり、本事業により支援が必要と判断された児童数の割合は約9%となり、すでに発達相談支援室にて支援を受けている児童を合わせると13%となっていた。

鎌倉市の5歳児すこやか相談事業は、「少し気になるがどこに相談したらよいかわからない」「わざわざ相談するのは抵抗がある」といった保護者へ相談機会の提供となっており、「改めて子供の成長を見直す良い機会になった」など、保護者が子供の成長や発達を振り返るいい機会になっているようであり、本市としてとも取り組むべき事業と考えるが、現在の取り組みと課題と併せ、事業導入に向けた見解を伺う。

【答】
発達障害児の早期発見への取り組みを進めるうえで、これまでも妊娠期から就学に向けて、乳児家庭全戸訪問事業・健診未受診者対策や要保護児童対策地域協議会等の様々な支援に際して、医療機関・教育委員会などの庁内関係課との連携により途切れの無い支援に努めてきている。

今後とも、これらの取り組みをより推進する上で、鎌倉市など他の地方自治体の事例を参考にしながら、保健、福祉、教育など関係部署と連携をさらに深めてまいりたい。

(2)地域福祉の推進について

ア.生活困窮者自立相談支援事業について

【問】
必須事業と位置付けられ平成27年度から本格実施となる自立相談支援事業等について、今年度は、国のセーフティネット補助金を活用し、現行体制で保護の申請相談以外での相談内容の傾向や、ニーズを把握するということであったが、実際に相談を受けた件数、相談内容の傾向、ニーズを把握した中で、本市としてどのような課題が浮き彫りになったのか伺う。また、本格実施となる平成27年度の相談体制の考え方について、就労準備事業、家計相談事業や学習支援事業などの任意事業について現在の検討状況について伺う。

最後に、本市が目指す生活困窮者自立支援事業の在り方について基本的な考えについて伺う。

【答】
11月末現在で118件の相談。内容の傾向については、就労に関する相談や債務整理等、また社会福祉協議会の「心配ごと相談」事業では貸付相談等、複合的な課題を抱える相談者が多い傾向にある。また、いずれ経済的に困窮に陥ると思われる、いわゆるパラサイトシングルに関する相談も少なからずともあり、相談体制の整備は重要であると認識している。

相談支援事業に関しては、専任の相談員を新たに配置し、現行の生活保護の面接相談員との区別を明確にしたうえで、当面は直営での実施について検討しているところである。

就労支援などの任意事業については、相談の傾向から就労支援事業や家計相談支援事業、学習支援事業など、これらの事業を実施することで支援が可能な相談内容もあり、必須事業と同様に重要な事業と認識していることから、事業実施に向け協議・検討を重ねているところである。事業の運営方法については、各事業者の持つノウハウを活かすような事業ごとの外部委託を検討している。

本来であれば相談者の全ての課題に対応できるような体制づくりや事業の整備、実施が望ましいと考えるが、当面は一つ一つの事業を確実に定着させ市民に浸透させることを最優先に考え、本格実施後も引き続き、効果的な事業実施について検討して参りたい。

イ.室蘭市男女共同参画基本計画とDV対策について

【問】
先日、民生常任委員会において「DV防止法について」をテーマにNPO法人と懇談会を実施し、北海道の民間シェルターの現状及び法人の活動実態についてお聞きしたが、その活動の大変さが伝わってきました。

団体からは、DVは本人が加害者・被害者という意識を持っていないことが多く、デートDVを含めた教育が重要であることやDV対応について関係課と連絡調整を行う窓口が必要であるという意見のほか、NPO法人は活動しやすいが脆弱な財政基盤のため、このままでは次の世代につなげない等の不安の声も聞かれた。

本市では、今年度策定した第2次男女平等参画基本計画の中において、女性への暴力の根絶を目指し、多様化しつつある暴力について意識啓発を図り、暴力の発生を防ぐとともに、民間団体とも連携した相談しやすい体制の整備など被害者支援に努めるとし、施策の方向性を打ち出しているが、具体的にどのような取り組みをしているのか。また、計画を推進していくうえでの課題をどのように考えているのか伺う。

また、法人の財政基盤については、市の補助金は他都市と比較し決して高くなく、道の委託金も出来高払いであり、固定費の捻出に苦労しているとのお話があった。報道によると西胆振3市副市長懇談会において、女性シェルター運営費補助金額の増額を確認との報道があったが、現在の検討状況について伺う。

【答】
女性への暴力について、相談窓口の周知や相談体制を充実するとともに、関係機関と連携して被害者の支援に努めるなどと、基本計画の中で定めている。情報の収集に努め、DVに関する状況を把握するとともに、関係課、関係機関等と情報の共有を図り、連携の強化を進めて行くことが必要である。市民の認知度を高め、女性等への暴力根絶に対する取り組みの充実を図るため、男女平等参画情報紙の発行や男女共生セミナーを開催している。

また、道が主催するデートDVや配偶者暴力に関するセミナーの開催、啓発リーフレットの配布なども行っており、今後も、道との連携を図りながら、予防啓発の取り組みを進めると同時に、関係課、関係機関などと連携し状況等の把握に努め、市民の意識啓発を図ってまいりたい。

女性シェルターへの助成については、これまでも伊達市、登別市の3市の事務レベルで協議してきた経過があり、先の3市市長会副市長会において協議議題としたところであるが、活動内容や社会的な役割・貢献度については十分に理解するものの、市の補助対象が家賃や光熱水費であり、同様の補助を実施している他の補助団体との整合性の整理も必要であること等から、今後も補助の在り方について3市で継続的に検討すべきものとなった。

ウ.地域福祉計画策定について

【問】
市町村における「地域福祉計画」は、社会福祉法第107条の規定に基づくもので、各市町村の総合計画を上位計画とし、市域福祉を推進するための部門別計画である。本市では、第5次室蘭市総合計画において、まちづくりの方向の中で「安心・安全で豊かな地域社会」へ対応したまちづくりについて記載されており、その中の重点項目8において、福祉、健康、医療についての目標が掲げられ、その目標に向けた取り組みの中で関連する個別計画の推進などが挙げられているものの、地域福祉計画は策定されていないのが現状。

近年、ひきこもりや子育てに悩む母親の孤立、高齢者の孤独史、児童や高齢者に対する虐待やDV、自殺者の増加等が新たな社会問題となっています。さらに、少子高齢化や核家族化などが急速に進行する現在、地域における人間関係が希薄化し、相互扶助機能が弱まるなど地域社会が大きく変化しており、高齢者のみの世帯や一人暮らしの高齢者が増加するなど、様々な課題が生じており、課題を解決するためには、公的なサービスや行政の福祉施策のみで対応することは難しく、地域の中でお互いを認め合い支え合う仕組みを作ることが重要。

すべての人が、住み慣れた地域で尊重され、心安らかに自立した生活を送るためには、地域福祉計画の策定が必要であると考えるがどうか。

【答】
道では「新・北海道保健医療福祉計画」において、平成19年~29年の計画期間内で、道内全市町村が地域福祉計画を策定することを目標値として掲げている。
本市ではこれまで分野別の計画により対応してきているが、近年は地域の課題が複雑多岐となっている状況にあることから、地域福祉計画は「高齢者」「子ども」「障害」また「保健」「医療」「福祉」といったそれぞれの枠組みを超えて、地域福祉の視点から「子どもからお年寄りまで安心して暮らせるまちづくり」の推進に、より有効なものと考えている。

今後は、「地域福祉計画」の策定に向けて、関係する既存計画の内容・期間等との整合性などの課題の整理や福祉等の関係機関と協議を行ってまいりたい。

小田中みのる
室蘭市議会議員