平成25年第3回定例会 一般質問終了
平成25年第3回定例会における一般質問が終了しましたので報告します。
1.子どもからお年寄りまで安心して暮らせるまちについて
(1)本市の防災対策について
ア 地震・津波避難訓練について
【問】本市では、7月1日に行った津波避難訓練について、情報伝達、広報の課題があり、同報系防災無線の整備により改善を図るということであるが、今後整備する同報系防災無線の整備区域、整備に係る経費、及びスケジュールについて伺う。
【答】東地区及び中央地区など、津波浸水が想定されている市街地を中心に整備するが、設置箇所数や付随するシステムなど事業費を含めた詳細については、現在、精査を進めている。平成26年中の整備を目指していく。
【問】夜間や休日に発生した場合の職員非常招集体制について伺う。
【答】東日本大震災クラスの大災害が発生した場合、職員やその家族の被災、交通の途絶等により、スムーズな参集が困難になることが想定される一方、職員の安否や参集状況を迅速に把握し、適正な人員配置による業務継続が求められることから、電話や非常招集メールでの連絡体制の整備、さらには、初動体制のルールづくりなどを進めていく。
【問】北海道が公表した津波浸水予測では、本庁舎のある幸町も3m以上4m未満となっており、災害対策本部をこの庁舎に設置すること自体に問題がある。津波発生時の災害対策本部設置場所に対する考えを伺う。
【答】本庁舎が被災し、災害対策本部機能の喪失、もしくは低下が生じた場合においては、状況等に応じて防災センターや他の場所への代替本部機能の設置も可能としているが、情報機器類の運用切り替えや業務継続に必要な執務環境の移動等、整理すべき課題もあることから、公共施設の耐震改修や道の被害想定などとの整合性を図りながら、検討する。
イ 業務継続計画(BCP)について
【問】この度修正された地域防災計画の中で、大規模災害に伴う行政機能の損失を踏まえ「業務継続計画」いわゆるBCPが新設されたが、その作成は努力規定となっている。BCP作成に向けた考えは。
【答】災害時には、職員や庁舎、ライフラインが制限される中、地域防災計画に定める災害応急業務のほか、優先すべき業務を整理する必要性があることから、各課での優先業務と業務継続に必要な職員数の調査を進めるとともに、計画策定の前提となる道の被害想定と合わせて、防災計画に反映していく。
【問】市立室蘭総合病院における業務継続計画策定の考えは。
【答】昨年3月に厚生労働省から出された「災害時における医療体制の充実強化」の通知の中で、医療機関は自ら被災することを想定して業務継続計画のプランを策定することが望ましいとされたこともあり、当院においても今年度中の策定を目標に取り組んでいく。
【問】消防総合庁舎の非常用発電装置は津波時に水没する。その対策は?
【答】消防無線のデジタル化に伴う必要電力量、また、他の機器等、必要な電力量を見極め次第、具体的に検討していく。
(2)子育て行政について
ア 公立保育所のあり方について
【問】保育士の今後の退職を考慮すると、民設民営に移行せざるを得ないのが現状であるが、子育て行政の中で公立保育所の役割をしっかりと議論したうえで結論を出すべきである。どのような検討、対応がなされているのか伺う。
【答】次世代育成支援推進協議会では、計画の内容、本市の現状や国の制度等について説明を行い、概ね理解が得られた。今後は、計画に沿って民間事業者が保育の現場を担う方向で進めている。全ての保育所が民間事業者の運営となった場合でも、全市的な共通施策に係る調整や、事業者間に渡る課題があれば、本市と保育所設置者との間で検討や協議の場を設け、全ての保育所において適正な保育サービスの提供が図られるよう努めていく。
イ 子育て相談ふれあいセンター・子ども発達支援センターのあり方について
【問】現計画では、子育て相談ふれあいセンター及び子ども発達支援センターについては、全く触れられていない。現状のまま保育士の採用をせず、保育士の減少が避けられない場合は、これらの存続の問題も出てくるが、今後の考え方を伺う。
また、平成27年度より子ども発達支援センターにおいて行う保育所等訪問事業の専任者は、日常的に保育所・幼稚園・特別支援学校・学校の指導者に支援を行うために「相当の経験と知見を有する者」と位置付けられている。現在の準備状況は、どうなっているのか伺う。
【答】現在の子育て相談ふれあいセンターについては、本市の保育所に対する指導、調整や、就学前児童の子育て全般に関する企画、指導などの役割を担っており、市民に安心の子育て環境の提供等にあたり、保育職員としての専門的知識・経験を活かすことは重要と認識していること、また、子ども発達支援センターについては、発達障害を含めた障害児の通所施設の療育には、高い専門性と療育経験を求められていることから、両センターについては、当面の間は現状を維持することを考えている。
保育所等訪問支援事業を担う「訪問支援員」の配置に向けて、児童の発達段階や発達の特性を評価するためのアセスメント技術等の習得、更に具体的な療育指導を行うための研修に嘱託職員1名を派遣した。
ウ 市職員としての保育士の役割について
【問】長年の経験を積んだベテランの保育士とパワーと創造力をもった若い保育士がいることが市立保育所の強みであり、そのような保育士は市の財産である。また、保育士は市の職員であることから、人事異動により他の市立保育所や療育施設等での経験を積むことができ、今後特別支援保育を充実させるうえで重要な役割を果たす。本市の保育士の役割と採用の考えを伺う。
【答】公立保育所の保育士は、保育所での保育だけではなく、全般的な子育て相談における対応、さらに、現在、民間事業者では実施されていない障害児施設における療育の役割も担っており、それらの蓄積により本市の子育て支援事業の根幹を支えてきた。今後は、保育の現場は民間事業者が担う方向で進め、療育の役割や、企画・調整や指導を含めた子育て相談の機能は、当面の間、現状どおり本市が担っていく考えでありますが、その期間といたしましては、今後の保育士の退職動向や各種施策を踏まえながら検討していく。
今後の保育士の確保については、職場の実態、業務内容をとらえるとともに、本市の全体的な組織体制の見直しや平成27年度施行の子ども・子育て支援法による役割・業務内容等の変化も密接に関連することから、関係部署と今後の職員採用を協議する中で検討する。
(3)地域医療について
ア 本市における救命救急センターの必要性について
【問】救命救急センターに求められる機能としては、重症・重篤患者に係る診療機能、地域の救急搬送・救急医療体制への支援機能、救急医療に関する教育機能、災害医療への対応機能等があり、西胆振二次保健医療圏の三次救急患者への速やかな高度医療の提供と、西胆振圏全体の救急医療体制の充実強化のため、地域救命救急センターの設置が必要と考えるが、本市の考えは。
【答】西胆振の救急車の搬送人数は増加傾向であり、医療機関では、恒常的な医師不足に加えて、特定診療科の医師不足があるため、救急患者の状態により機能分担・協力体制を組みながら、また消防機関との連携のもと西胆振圏で対応できるよう努力して頂いている。
三次救急患者の対応をする救急救命センターの設置の可能性について、今後、医師会や近隣市などの各関係機関と協議するとともに、救急医療の充実と地域医療の確保について 道をはじめ各機関に引き続き要請していく。
【問】本市の救急医療体制は、3総合病院を中心とした2次医療機関で担っているが、市立室蘭総合病院では、西胆振二次保健医療圏における二次救急医療に加え、心肺停止、重症脳血管障害、多発外傷などを中心に、既に三次救急医療に匹敵する医療を担っていることから市立室蘭総合病院を地域救命救急センターとすることが、もっとも近道であると考える。市立病院の救急医療体制の現状と課題、さらに地域救命救急センターに対する病院の考えを伺う。
【答】西胆振地域で、交通事故などの頭部外傷を含む高エネルギー外傷に対応できる唯一の医療機関としての役割を担い、平成23年度には新たにHCU併設した救急外来を移設拡大し重症患者の受入の充実を図っている。課題については、医師の減少により時間外の救急医療に携わる日・当直従事への負担増や常勤医師が不在の小児科、産婦人科、皮膚科での対応が困難なため他の医療機関との連携が必要となっている。
地域救命救急センターに対する病院の考え方については、西胆振管内のように札幌の救命救急センターへのアクセスに概ね60分以上時間を要する地域においては、地域救命救急センターを整備することができるとなっておりますが、条件として医師等の人員に定めはありませんが、治療を必要とする診療科の医師等を適時確保できる体制を有するとされており、治療を必要とする診療科の中に、当院では常勤医が不在の小児科や常勤医はいますが心臓血管外科、耳鼻いんこう科などは、常勤医が1名ないし2名と少数のため、医師に負担がかかるものと考えられること、また、日本救急医学会認定医等、客観的評価を受けている専任の医師を適当数有するものとされており、条件的に厳しいものがあると考えており、今後のこの地域の救急体制は、各病院の強みを持ち寄り、連携を深めることが必要と考えている。
(4)市立室蘭総合病院の運営について
【問】地域医療の中における診療科の集約等により、産婦人科や小児科の縮小、また、医師の減少により、昨年度の後半から今年度に入っても患者の減少傾向が続いているようであるが、今年度の外来・入院患者数の動向と収支状況、患者減少の要因と対策について伺います。
【答】今年度の患者数の動向と収支の状況は、4月から7月までの累計と昨年度との比較では、入院で延べ患者数が5,600人減少、外来で延べ患者数が1,535人減少で、収益面での影響額は、入院で約2億5,200万円の減収、外来で約3,900万円の減収。支出面では、延べ患者数の減少に伴い材料費で約1億4,200万円の支出減。8月中旬以降、ゆるやかに延べ患者数が増加基調となっているが、今年度の見通しは昨年度と比較で、延べ患者数が入院で約1万200人、外来で約600人の減少で、収益面に及ぼす影響額は、入院で約4億3,500万円の減収、外来は約600万円の減収が見込まれ、経常損失が昨年度より約2億9,400万円悪化の6億5,600万円、純損失が昨年度より約2億8,700万円悪化の約6億8,000万円の計上見通しという非常に厳しい状況である。
患者数の減少の主な要因は、医局の人事により昨年10月から循環器内科2名、呼吸器内科1名減少し、今年4月からは、循環器内科1名補充になったが、依然として内科系医師が充足されておらず、外科系の患者数の減少に繋がっている。患者増加策は、地域連携室から紹介患者を増やすために開業医への働きかけの強化や新たに呼吸器外科の先生を迎え、今までは他の病院へ紹介していた、肺がん、気胸などの患者さんを自前で手術し治療することが可能広くPRしていく。
【問】患者減少に伴い病床縮小、病棟改編等を行い、将来的に導入予定の看護基準7対1の早期導入を検討しているようであるが、導入を急ぎすぎると、院内に混乱をもたらすのではないかと危惧する。看護基準7対1早期導入に向けた考えと院内の反応についてどのように考えているか伺う。
【答】看護基準7対1導入に向けた看護師の必要数は、一般病棟の入院患者さんの患者数によって変化するが、今年度は、4月から8月末までの一般病棟の利用率は、72.1%と入院患者数が減少していることから、効率的な病棟運営を図ることを目的として、病棟の再編を検討しており、その中で、モデル的に1病棟を7対1の病棟とするということもあり、収益的な効果はないが、院内のモチベーションのアップに繋がるものと考え、それをステップに今後の患者動向や診療報酬上の要件改正の情報収集を行い、早期に実現したいと考えている。
院内の反応については、急激な入院患者数減少に伴う収益悪化により、危機感を医師をはじめ、院内全体で認識しており、早急に対策を講じる必要があると考えているが、今後の冬場の患者さんの動向の見極めや診療科によって看護体制の違いもあるから、関係職員と十分ヒアリングを実施するなどして、理解に努めていく。
【問】病院の運営は、病院全体が一丸となって進めることが重要であることから普段からの医師や看護師等医療スタッフをはじめ職員間でのコミュニケーションが大切であり、特に現在検討されている病床縮小や病棟改編、7対1導入の際には、その導入の時期や目的、また、問題点を洗い出しその対策を練るなど、通常以上のコミュニケーションが重要である。病院事業管理者として、医師・看護師等、職員とのコミュニケーション、意思疎通というものをどのように考えているのか伺う。
【答】職員とのコミュニケーションについての主なものとしては、課長職以上が参加する「科・課長会議」が月1回の割合で開催、その中で私から各部局職員への情報発信や月・水・金曜日の朝8時30分から行われる院長、看護局長、薬局長及び事務局長が参加する経営改善・企画会議の開催、また、院内の47ある各委員会へのオブザーバーとして参加しての意見交換など。
また、私としては、当院の運営を行っていくうえで赴任以来最も心掛けていることは、職員とのコミュニケーションを通じて、職員の意見を聞き、私の考えを理解してもらうことである。病院の運営には医師、看護師など病院職員の協力が必要であることから、今後もあらゆる場面で心がけて参りたいと考えている。
【問】管理者の考える地域における市立病院の役割と経営について、どのように考えているのか伺う。
【答】西胆振の急性期医療を支えるのを基本としながら、地域のニーズである、頭部外傷を含む高エネルギー外傷に対応する救急医療、総合病院として複数の診療科がある中での精神科医療、西胆振圏域で唯一の病床を有する結核、感染症医療、災害拠点病院としての災害医療、がん診療連携指定病院としてのがん医療、そして蘭西地区の内科系1次医療を安定的継続的に提供するための、みなと診療所の運営など、当院が果たすべき役割は、非常に大きく重要と考えている。
また、病院経営については、地方公営企業として運営される以上、独立採算が大原則であり、安定した病院経営を行う上で、医師確保による医師の充足が必要である。それに加え、私以下、全職員が認識を一致させ、職員全体で経営改善に取り組んでいくことが必要と考えている。