一般質問及び答弁の概要について報告します。
【問】
がんは、国民の2人に1人が罹り、3人に1人が死亡するなど、今や国民病ともいえる病気である。国が平成19年にがん対策基本法を制定、北海道においては、今年度から「がん対策基本条例」を施行し、都道府県においても同条例を制定するなど、国を挙げてがん撲滅に取り組んでいる。本市においても条例の制定などがん撲滅に向けた施策を推進する必要があると考える。
・小中学校におけるがん教育について
・がん対策推進条例制定を含めた今後のがん対策について
について伺う。
【答】
現在、学校教育においては「がん教育」という指導領域はなく、本市の小・中学校においても、「がん教育」に関する活動の実践事例がないというのが現状。
子どもへのがんに関する教育が重要であることは教育委員会としても十分認識していることから、また、平成24年4月に施行した「北海道がん対策推進条例」においても「教育関係者の責務」及び「教育の推進」に関する規定が設けられていることから、今後の各関係機関の動向を踏まえ、健康・安全教育全体の中で学校における「がん教育」の在り方を検討していく。
がん対策推進条例制定の考えについては、「北海道がん対策推進条例」が昨年4月に施行され、相談窓口の充実や広範囲の年齢層への啓蒙普及、がん患者への支援など多岐にわたった内容が含まれており、この一環事業としてがんに関するリーフレットを相談窓口等に設置し啓蒙普及するなど、各種保健事業においても予防活動に努めているが、本市としての役割を再検討しながら、推進条例の必要性も含め考えていく。
【問】
ひきこもり対策は、平成21年第2回定例会以降、」度々取り上げているが、平成25年教育行政方針において、「室蘭市青少年問題連絡協議会における審議を踏まえ、具体的な方向性を検討。」と書かれていることは、問題解決に向けた一歩が踏み出されるものと期待している。
ひきこもり問題などに対処するために制定された「子ども・若者育成支援推進法」の青少年問題協議会における審議経過・内容、また、今後検討される具体的な方向性とはどのようなものなのか伺う。
【答】
ひきこもり等の子どもや若者の抱える問題の深刻化に対処するため制定された「子ども・若者育成支援推進法」は、都道府県、市町村において「子ども・若者計画」、「子ども・若者支援地域協議会」、「子ども・若者相談センター」を策定、設置に努め、その対策を進めるよう求めている。
本市では、この対応について、議会の議論も踏まえ、法律が制定された平成21年から広く情報収集に努めるとともに、平成23年には青少年問題の総合的審議機関である「室蘭市青少年問題協議会」の組織改編を行い、法律・施策の概要、北海道の動向、全国調査の結果などの情報を提供して審議をいただいた。
本年2月に開催された協議会において、室蘭市障がい者総合相談支援室「げんせん」の相談支援専門員から「相談支援から見えてきた「ひきこもり」の実態について」と題して、ひきこもりの方からの相談、支援の状況について講話をいただき、委員からは、ひきこもりへの対応は早期の支援が必要、小中高の一貫したプログラムによるサポート、相談窓口の周知などについて意見があった。
今後の具体的な方向性については、全国、道内における地域協議会の設置が低迷している中、早期の支援が求められていることから、法律が努力義務規定としている計画・地域協議会・相談センターの策定、設置を当面は見合わせることとし、審議会の議論も踏まえて、「げんせん」や室蘭保健所等の関係相談窓口の市民周知を行うため、広報むろらん・室蘭市ホームページの活用、仮称「ひきこもり支援マップ」の作成を検討するなど、平成25年度中には一定の方向性を示す。
【問】
まちづくり活動補助金は、市民力を活かしたまちづくりをより積極的に進めるためには、必要不可欠な補助金であり、その成果も上がっていることは評価するが、この補助金は、新規事業立ち上げや既存事業拡大には非常に効果を発揮しているが、補助対象期間が2年間のため、3年目以降の事業継続のため、事業実施団体が市民や企業、団体等からの協賛金の協力を得ながら、さらなる自助努力をもってしてもなお資金が不足する事業は、断念せざるを得ないのが現状である。
現在の補助制度の良さを残しつつ、継続することが市民力を活かしたまちづくりに寄与し、本市の活性化につながる事業に対しては、市としても継続した応援をすべきであり、市民が直接補助事業を選べるような新たな支援制度を創設すべきと考えるが本市の考えは。
【答】
本市の補助制度は、あくまでも事業の立ち上げを支援する目的で設置されたものであり、会員自らの活動による事業については、補助期間の2年間をめどに必要な備品などをそろえ、3年目からは自分たちの会費等で活動を継続しているところである。しかしながら、市民を対象にした全市的なイベントなど、実施に多額の経費がかかるものについては、3年目以降も同様の経費がかかり継続が難しいのが実情である。
市民が参加する補助金制度についてはさまざまな手法があり、それぞれメリット、デメリットがあると聞いているが、いずれにしても本市の制度については、これまでも定期的に見直しをしているから、今後、他都市の事例を調査研究する中で、本市のまちづくりにとって、より効果的な補助金制度を検討したい。
【問】
市長は、今年度まちづくり活動補助金の中の「地域enづくり事業」とともに縁結び「en活」応援事業を新設しました。経済部所管の職員が中心となった実行委員会を立ち上げ、夏のだんパラによるデイキャンプ、この度は、第2弾として「en活」パーティーが実施され好評を得ている。
この事業は、市長が進めた事業であるが、今年度は、中島、中央町においてまちづくり活動支援補助金を活用したいわゆる「街コン」が実施され、それぞれ好評のうちに終了している。
これは、市長がen活を推進したことにより、実施された事業であり、市長の思いは市民の間に着実に広がっているが、縁結び「en活」応援事業については、疑問の声もある。経済部所管の理由、まちづくり活動補助金を活用した事業との整合性、「民間で出来ることは民間に」という時代に、行政が行う必要性は何か伺う。
【答】
en活事業が経済部所管の理由については、本事業は若者に住みよい街づくりや、少子化対策の側面もあるが、近年の人口減少社会の到来が地域経済疲弊の大きな要因であり、地域経済を支え、活力の源である働く若者の地域への定着を図るという、経済雇用対策の側面が強いと判断したもの。
まちづくり活動補助金を活用した事業との整合性については、補助適用を受けている民間のまち婚は、飲食店が連携し、集客と賑わいの相乗効果もあり、パーティ形式で参加者にも積極性が求められると伺っている、en活事業は、競合を避け、手作り感に重きを置き、消極的な人や話せない人の救済措置など細かな工夫がなされており、ある意味利益に繋がらない部分に多くの力点が置かれ、整合性は取られている。
行政が行う必要についてついては、行政ニーズは時代により変化しており、深刻な社会問題である少子高齢化と、これによる地域経済の疲弊を食い止めることは、行政の役割であると考えている。その原因ともなっている未婚率の上昇を少しでも食い止めるために、男女の出会いの場を提供する事業としてen活事業を実施している。既に民間で行われているイベントもあるが、完全定着を目指して本年度も実施したいと考えており、その後の継続については自立化も含め検討したいと考えている。
【問】
まちづくり協議会は、2回の試行実施を経ていよいよ制度化し本格実施となる。
しかし、他都市で多く行われているまちづくり協議会とは、地域の住民の皆さん自らが協議し、自らの力で解決していくことで自立した地域づくりを行う“地域コミュニティ組織”である。まず、市の政策過程を共有する仕組みとして本格実施するまちづくり協議会の基本的な位置づけ・仕組みについて伺う。
次に、来年度協議しようとしている複合公共施設は全市的で範囲も広く相当の困難が想像されるが、どのようにまとめようとしているのか伺う。
【答】
位置づけについては、本市がこれまでに行ってきたパブリックコメントや、説明会・意見交換会、あるいは市民アンケート等と同様に、市事業への幅広い市民意見の聴取、また行政への市民参加手法の一つとして位置づけている。
仕組みとしては、市が実施する事業に、企画構想の段階から市民に参加していただき、主にワークショップによる会議を行う中で、事業案を取りまとめ、議会論議も踏まえ、必要な予算化等を行い事業実施につなげていくとともに、ワークショップの運営に必要な研修を開催し、市職員、市民に受講してもらうなど、協働によるまちづくりの担い手育成にも取り組む。
複合公共施設に係る意見のまとめ方については、複合公共施設にかかるまちづくり協議会では、移転を予定する既存公共施設の機能を基本に、更に多世代の交流を促す機能導入をテーマに実施することを考えている。
複合公共施設の建設は、幅広い世代に関心が高い事業であり、多くの市民の参加が予想されることから、事前に協議会実施に必要な勉強会を開催し、協議会で話し合うテーマや、基本的なルール、全体的なスケジュール等を参加者にしっかりと丁寧に説明するなど、スムーズな運営に努める。
【問】
まちづくり協議会は、市政に市民意見を反映する場とのことだが、他都市では「地域自治」によるまちづくりを行政と地域が一緒に論議する場と言うイメージがある。改めて、市長が描く「まちづくり協議会」とはどんな場なのか。
これまでの試行実施と次年度の予定事業は、3件ともハード事業となっているが、今後本格実施を行うに当たって、例えば「まちづくり活動支援補助金」のようなソフト事業も扱うなど、事業選定の考え方は。
【答】
市長が描くまちづくり協議会の場についてであるが、本市においては、市が実施する事業について、特定の団体等に属さない広く一般市民の参加により企画構想段階から意見をいただく場として設置するものであり、他都市に見られる、地域で活動する団体や住民により構成され、地域のさまざまな問題の解決を図るといった会議体とは位置づけが異なるが、協議会への参加や研修等の受講を通じて、地域課題の解決や地域のまちづくりを担う人材育成に努めて行きたい。
事業選定の考え方については、昨年の試行実施、また本格実施である複合公共施設の機能導入など、これまでは建設事業が対象となっているが、選定にあたっては、市民への分かりやすさ、市民意見反映の必要性や重要性を考慮しながら選定することとしており、「まちづくり活動支援補助金」のような、市民力を活かしたまちづくりの活性化につながるようなソフト事業についても、見直し等を実施するにあたっては、対象事業として検討したい。
【問】
市民とのenとーくは、市長就任以来数多くの団体等と実施しているが、その目的はどのようなもので、どのように評価しているのか。
今後、政策目標推進に向けて多くの市民意見を取り入れるため、市関係団体等に意見交換を呼びかけるなど、積極的に展開していくとあるが、今までのenとーくとどう違いについて伺う。
次に、職員との間で行われたいわゆる庁内版enとーくの目的と今年度の実施状況と成果をどのように捉えているのか伺う。
次に、市民から意見・要望は、その原課に多く寄せられており、市民との直接の対話とともに、職員との対話が非常に重要である。来年度の市政方針、予算編成において、職員の声というものをどのように反映させたのか。また、これから庁内版enとーくをどのように進めていこうとしているのか伺う。
【答】
enとーくは、市長が直接、市民の皆さんにまちづくりの考え方を説明し、市民からは行政に対する「思い」やまちづくりへの意見・提言をいただき、市政に反映させていくことを目的に実施。参加した市民からは、市長に直接意見や思いを伝えられて良かったなどの声も寄せられておりますし、市長からも市を取り巻く経済情勢や諸課題についてのお話をさせていただき、幅広い意見交換ができたものと考えているが、参加者に対しその後の対応に課題もあったと感じている。
次に、積極的に呼びかけるenとーくについて、これまで同様に市民からの開催希望により市民が考えたテーマでenとーくの拡大を目指すほか、政策目標や懸案事項などから市がテーマを設定し、テーマに関連のある団体等に開催の呼びかけを行い、実施を目指している。
次に、庁内版enとーくは、市長の政策を職員に知ってもらうためと職員からの意見・要望などを聴くことにより、相互の理解を深めるため、平成23年度から始まり、また、今年度は平成25年度からの更なる行政改革の策定に向けて、各部局における課題等の整理や課題の解決に向けた政策の具体化を進めるため、昨年の8月に各部局対して行った。成果としては、窓口の一本化や人事交流、研修の充実などの職員の提言が新たな行政改革案に盛り込まれた。
次に市政方針、予算編成への反映について。市政方針については、窓口業務の一本化や人事交流など。予算については、GISの運用に係る経費について反映させたほか、職員から専門的な研修への参加要望があったことから、職員研修などの予算の中で反映させたい。
次に、これから庁内版enとーくの進め方については、職員とコミュニケーションを図ることは重要であることから、これまでの議会論議も踏まえ、職員の考え方をより深く理解し、また、市長の政策への理解も深めていくため、機会あるごとに開催していきたい。
【問】
1. 積極的に呼び掛けるとーくについて、政策目標や懸案事項などから市がテーマを設定するとあるが、だれがどのようにテーマを設定するのか。また、とーくの取りまとめ、結果の反映方法等、今後の進め方についてはどのようになっているのか。
2. 庁内版enとーくについて
市職員の45%を占める嘱託職員とのenとーくを実施する考えは?
3. 庁内版を含むenトークの実施に対する市長自身の評価と参加者の評価にギャップがあるように感じるが、見解は。また、まちづくり協議会やenとーくは、あくまで市民参加の手法である。市長が考える「市民力を生かしたまちづくり」とは何なのか。
【答】
1. 積極的に呼びかけるenとーくのテーマの設定については、市長の意向を広報課と関係各課がまとめてテーマとして設定し、enとーく後の取りまとめでは、広報課とテーマの所管課が協力してとりまとめ、結果については、今後、参加していただいた団体を通して参加者の皆さまに伝わるよう、文書やメール等を活用して、分かり易い方法でお知らせしたいと考えている。
2. 嘱託職員とのenとーくについては、嘱託職員はいろいろな職務形態があり、時間的な制約などがあるが、次年度以降のenとーくの際には、職場単位で実施していく中で、嘱託職員も含めて参加を呼び掛けていきたい。
3. enトークの私と参加者の認識・意識の違いですが、これまでの議会論議を通して、私の考えが市民の皆さまや職員に十分伝わっていないところもあったと認識している。これらの反省を踏まえて、enとーくの目的が達成できるよう、取り組みを進めていく。
次に、市民力を活かしたまちづくりについては、「協働のまちづくり指針」に基づき、協働したまちづくりを進めており、この基本的な考え方は普遍的なものとして今後も推進していくが、社会情勢の変化とともに、協働のあり方も変化してきており、これまでのまちづくりの活動に加え、enトークやまちづくり協議会などで、市政に自らの意見を反映させたり、自主防災組織、高齢者のふれあいの場となるサロンづくりなど、地域の課題は地域で解決するという自主的な意識が市民の中に出てきている。
これらの取り組みに焦点を当て、この力を政策に反映させることで、市民のニーズに合ったまちづくりが推進されるものと考えており、これを継続させることが、「市民力を活かしたまちづくり」であると考えている。