●議会あれこれ
市議会は何をするところか。議員として採決に臨むときに常に考え悩むところです。議員は採決に当たって賛成や反対の理由を述べることができますが、ここに議員の基本的な姿勢が表れます。
▼議員は様々な意見を持つ市民によって選ばれます。おのずと議員の考え方も様々。ただ唯一共通するのが「都城を良くしたい」と言う気持ち。これは市長も同じです。
▼市長は予算の配分や事業を提案する大きな権限を持っています。この市長の提案に対し市民目線でチェックするのが議会です。議員の力は決して大きくありませんが、議会としてまとまれば市長提案の承認や修正、市政への提言など大きな力を持ちます。
▼しかし、その力は市民を向いて使われなければ信頼を得ることはできません。議会でどんな議論があったのか、自分の賛否の理由が何なのかなど、市民にきちんと伝えるのは議員の使命。この「たより」がその役割を果たしているのか常に自問するところです。遠慮のないご意見を頂ければ幸いです。
●12月議会の採決状況
12月議会では、条例議案13件、一般会計、特別会計、事業会計の補正予算議案12件、公の施設の指定管理者を指定する議案20件など、計56件の議案が提案されました。このうち「国民健康保険」及び「後期高齢者医療」に関する特別会計について「反対討論」がありましたが賛成多数で可決、他の議案は全て全会一致で可決されました。また、今回の議会には2件の「請願」が提出されました。そのうち「網膜色素変性症」患者の支援充実に関する請願書は全会一致で採択されましたが、「安心安全な教育環境のための少人数学級を求める意見書」の採択を求める請願書は賛成少数で不採択となりました。
(12月議会トピックスをご覧ください)
●広瀬功三の一般質問(令和2年12月議会)
【質問の背景】
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で地域経済にも影響が出ています。また、感染症対策で国の財政支出が非常に大きくなっています。こうした事から、12月議会では市内事業者の状況、今後の圏域経済の見込み、市独自の対応策やコロナ禍の中で地域経済の循環に力点を置いて施策を進めるべきという視点で質問しました。
《本市のコロナ禍の影響について》
Q:日本の経済は様々なところでコロナ禍の影響が出ている。本市圏域経済の先行きについて どう見ているか?
A:飲食サービス業、小売業、宿泊業などが大きな影響を受けている。景況が上向いている業種もある一方で、これらの業種は依然として厳しい経営状況であると認識している。全国的には景況は上向いてきているが、今後第三派が大きな影響を及ぼす恐れもあり不透明感が強い状況にある。
《市独自の新たな支援策について》
Q:本市圏域経済の劇的な好転が見込めないなか、小規模・零細事業所を中心に廃業が広がることが懸念されている。また、宮崎県を含め全国的に自殺者の増加が言われている。今後、市独自の支援策は必要ないか?
A:これまで新型コロナ感染症緊急対策については、第7弾に亘って対策を講じている。12月補正において観光や宿泊、飲食業への波及効果を生み出すよう「ミートツーリズム推進事業」を拡充した。本市の自殺者数は減少傾向であるが、局面に応じた対策を適時適切に検討していくことが重要であると考えている。
《今後の市財政の見込みと事業の見直しについて》
Q:今後新たな支援策が必要になる可能性もある。それと合せて、市の税収や地方交付税の減収も想定されるが、市が実施している事業を見直す予定はないか?
A:来年度の地方税の減収は約13億円、地方交付税の減収は8.5億円と見込んでいるが、臨時財政対策債を約20億円増発する見込みである。また、感染動向、市民生活、市内経済への影響、国県の動向を注視した上で予算編成を進めていく事としており、より効果的な事業への見直しや組替えを実施していくこともある。
《地域経済の循環について》
Q:人口減少が進む中で地域経済の循環を高めることが地域の自立や活性化の上で重要である。特にコロナ禍から立ち直っていくためには応援消費や地産地消を進めて地域経済を回していく必要がある。地域経済の循環を高めるために、どのような施策を進めていくのか?
A:経済の立て直しのために地域経済の循環構造を強化することも必要だと認識している。本市の地域経済循環率は県内でもトップであるが、新型コロナ感染症の影響に加え、人口減少などに伴い市場規模の縮小も進むことから地域経済の循環率を高めていく必要があると考えている。
【まとめ・感想】
市内事業者や困窮者の状況把握は「第三波」の感染拡大の影響もあるため、継続して取り組むべきだと思います。言うまでもなく「どこが弱っているか」を見極める必要がありますが、市の状況把握は十分だとは言えません。また、コロナ禍だからこそ地方が取り組むべきことがはっきりしてきたのではないでしょうか。まずは地域経済の循環を高めるという視点で施策を進めることが重要だと思っていますが、答弁では具体的な施策の例は示されませんでした。
●令和2年12月議会のトピック
12月議会では、市民から出される「請願」と議員提出の「意見書」について紛糾しました。「請願」は「市民による市政への政策提言」として位置付けられており誰でも提出することができます。一方、「意見書」は議会としての意見や要望を内閣総理大臣や国会、関係機関に提出するものです。
今回の請願は「少人数学級の実現を求める」意見書を議会から提出するよう求めるもので、議員から提出された意見書は「30人学級の推進及び小・中学校のICT環境に関する意見書」でした。両方ともコロナ禍で明らかになった「少人数学級」の必要性から出されたものです。
しかしながら「議会運営委員会」で「請願」の中にあった「将来的に20名学級を展望」と言う文言が「意見書」が求めているものとは全く異なるとの判断がなされ、別々に審査されることになりました。結果、「請願」は22名の反対で不採択、「意見書」は全会一致で採択となりました。広瀬功三は請願・意見書とも賛成しましたが、本来市民から出される「請願」を尊重するのが議会の使命だと思います。自分たちの意見書を優先した事は良かったのでしょうか。
議会は市民の現在や将来に「どう貢献するか」と言う点で一致していかなければならないと思います。「誰が正しいか、間違っているか」ではなく、「何が正しいか」客観的な議論のなかで折り合いを付けて一致点を模索する努力が必要だと考えています。今回、そうした努力が充分になされたのか疑問を感じました。
また、意見書を提出した議員は、本来 全ての会派、議員の賛同を求め、賛同する議員は署名することで賛同の意志を明らかにします。今回は、そうした手続きもなされず、最初から一部の議員を排除する形で進められたことは議会を分断する行為だったと思っております。
《2020年 広瀬功三が力点を置いた活動 「防災」》
○視察研修(令和2年1月)
平成30年7月の豪雨災害で大きな被害を受けた広島市と宇和島市の災害対応と教訓、今後の取り組みについて視察研修に参加しました。異常気象で災害は激甚化してきており、日頃から防災を意識することが被害を少なくすることにつながります。
広島市では、有識者、被害発生地区住民、国・県関係機関で構成する「避難対策等検証会議」を設置し市長に提言しています。
提言の柱は「ひとりひとりが災害を『我がこと』と思う意識」×「命を守るのはコミュニティの力」。宇和島市の担当職員も「被災後の復興はコミュニティの力が無ければ難しい」と言われていましたが、災害に対しては「コミュニティ」の力を高めておくことも重要だと感じました。
○一般質問
6月議会は新型コロナの感染拡大で一般質問は中止となりましたが、避難所の感染防止対策とマスクや消毒液の感染防止資材の備蓄についてなどを文書で質問しました。
また、9月議会では、新型コロナの感染拡大により避難の在り方を変えていく必要があると考え、分散避難、車中避難などの周知と地域に応じた避難所の設定や避難の形態などを定める地区防災計画について質問しました。
本市では地区防災計画を作っている地区はありません。今後、気象災害の激甚化が予想されるため、多くの地区が地区防災計画を作るよう市の働きかけを求めました。
○防災プロジェクト
3本の河川が通る志比田地区は、過去にも水害が発生しています。志比田自治公民館と志比田北自治公民館で「地区防災計画」を作成するプロジェクトが9月に発足し、このプロジェクトチームに参加させていただいています。チームリーダーのもと、良い計画を作成するよう頑張ります。
また、この志比田地区の「防災計画」作成の取り組みが、他の地域の防災計画を作るきっかけになって、都城市全体の防災意識を高めることにつながることを願っています。