【広瀬功三の一般質問〈令和2年3月議会〉】
今回は「地域内分権の現状と今後の取り組みについて」「中小事業者の現状について」「新型コロナウイルス感染拡大の影響と対応について」質問しました。
概要は次のとおりです。
《地域内分権の現状と今後の取り組みについて》
Q:分権を進める上での課題は?
A:各地区のまちづくり協議会のうち、単年度の計画で事業を実施しているところが大半。中長期の計画策定が必要である。
Q:各地区に4年間で1千万円を交付した「地域活性化事業」は来年度が最終年であるが、今後継続していく予定があるのか。
A:今のところ予定はない。
《中小事業者の現状について》
(質問の背景)後継者がいないために「事業を継続することが難しくなっている」中小事業者は増えています。東京商工リサーチ宮崎支店の調査で県内の4割の事業者が「後継者がいない」ことが判明しています。こうした状況は、今後の人口減少社会の中で都城市が抱える大きな課題になると考えています。
Q:一つの事業者が廃業すると「まち」から一つの機能が失われると言われる。そして「まち」から機能が失われることで更に周辺へ影響が拡大していく。このことを市はどう考えているか?
A:本市としても重要な課題だと認識している。事業の承継には事前の準備に時間や資産を要することから、事前準備を促しながら円滑な事業承継を促進していくことが、今後の人口減少社会においては必要な取り組みであると考えている。
Q:後継者不在による廃業は「防ぐことができる廃業」だと考える。こうした事業者の調査を早急に実施し、個別対応をしていく必要があると思うが調査の予定はあるのか?
A:事業承継を円滑に進めていくために、事業者の実情を正確に把握する必要がある。現在、商工会議所、商工会と調整を進めており、来年度の早い段階で調査を実施したいと考えている。
Q:こうした「後継者不在」により事業承継がむつかしくなっている事業者に対して、どのような支援を行っていくのか?
A:事業承継に関するセミナー開催、制度の周知等を行っている。また、後継者の不在を含め専門的知識に基づき実情に応じた支援策を検討していくため商工団体や事業承継ネットワーク等を紹介している。
《新型コロナウイルス感染拡大の影響と対応について》
意見:昨日(3月4日)県内で新型コロナウイルスの感染が確認された。本市においても旅行会社や飲食業、建設業で影響が出ている。先日、業界団体に確認したところ、子牛価格の下落、切り花や鉢物など花卉類の取引量が減少しているとのことだった。林業においても丸太の輸出ができないなど、今後の市況が下振れする可能性もある。こうした状況に留意し、場合によっては市独自の支援策を検討すべきである。
【3月議会のトピック】
◆中心市街地居住推進事業
(事業概要)
この事業は、中心市街地のMallmall周辺の居住者を増やすため、限られた区域内にある共同住宅の取り壊し、手を加えて再活用するリノベーション及び建設に補助金を出す新しい取り組みとして提案されました。
(審査の状況)
産業経済委員会での審査にあたっては、この事業が実施されることで旧町地域との格差が助長されること、中心市街地にあるスーパーやホテルの計画が進んでいないこと、市外の所有者も補助対象となっていることなどから多数の反対意見が述べられました。これに対して広瀬功三は「本事業は周辺地域とのバランスを取る必要があるが、今後の人口減少社会の中で進行する『まちのスポンジ化』を防ぐために一歩踏み込んだ重要な事業である」と賛成意見を述べました。審査結果は、この予算を含む産業経済委員会に関する予算全てが賛成少数で「否決」となりました。
一方、本会議では産業経済委員会で否決された予算を含む原案が賛成多数で「可決」されました。直後に「中心市街地居住推進事業」に関し、事業遂行にあたって中心部と郡部に格差を生じさせないよう、また市内の事業者活用に配慮を求める付帯決議の動議が出されました。広瀬功三は市民感情を考えると動議は妥当だと考え賛成しましたが、「付帯決議」は賛成少数で「否決」となりました。
◆議員提出議案「加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助制度の創設を求める意見書」について 《賛成少数で否決》
(提案理由)
加齢性難聴者は全国に約1430万人いると言われており、その内約1200万人が補聴器を必要としているが補聴器の無い生活を送っている。難聴の症状は進行し認知症の要因ともなっているため補聴器の購入補助制度創設を国に求めるもの。
(反対理由)
これに対し2名の議員から反対討論がありました。反対の理由は次の5点です。①眼鏡に対する補助を優先すべき ②難聴より糖尿病などの支援を優先すべき ③補聴器の専門的資格を持った店舗が市内にはない ④難聴者に対する理解促進が先 ⑤新型肺炎の感染拡大で働く世代への支援が先
(賛成理由)
この意見書は制度創設を国に求めるものであり、反対理由が合理性を持たないと考え次のような理由で賛成討論を行いました。WHO(世界保健機関)は高齢者の生活の質を阻害する疾病として「難聴・耳鳴り」を掲げています。加えて、認知症は糖尿病など色々な要因で発症すると言われていますが、難聴が高齢者の認知機能の低下に関与しているとの研究報告があります。また、全国の状況をあてはめると、本市では約1万5千人の方が補聴器を必要であるにも関わらず、補聴器の無い生活を送っていることになります。今後の人口減少社会の中で高齢者が果たす役割は益々重要になってくると考えます。こうした事から加齢性難聴者に対する補聴器購入の補助制度創設を国に求めることは重要だと考えました。
【議会あれこれ】
今議会では、産業経済委員会で否決された案件が本会議では可決されました。委員会での否決理由はトピックに書いたとおり提案された事業が地域間格差を助長すること。確かにそうした心配があるかもしれません。
▼ただ提案されたこの事業は人口減少が進む中で空き家の問題等「まち」が抱える課題に取り組む重要な事業であると考え賛成しました。結果、委員会では賛成1名反対5名で否決されました。
▼議員の賛否についてはひとり一人の議員が責任を持って出したこと。だから賛否について批判することは控えなければなりません。ただ、委員会で反対票を投じたにも関わらず本会議では賛成に転じた議員がいたことには驚きました。
▼こうした判断は議決に対する責任を放棄していると言われても仕方がありません。昨年3月の旧市民会館解体の議案についても同様ですが責任を持たない議決は議会全体の評価を下げることにつながるのではないでしょうか。皆さんは、どう思われますか?