八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.64「議会報告」

平成30年第3回(9月)定例議会

≪一般質問≫

1.第二次世界大戦の記憶の継承について
2. バリアフリー基本構想の制定について
3. 八王子市役所及び周辺環境リプレース

1.八王子市内の公園の管理と活用方法

〇第二次世界大戦は、1939年から1945年までの6年間、ドイツ、日本、イタリアの日独伊三国同盟を中心とする枢軸国陣営と、イギリス、ソビエト連邦、アメリカ、中華民国などの連合国陣営との間で戦われた全世界的規模の巨大戦争のことです。
 1939年9月のドイツ軍によるポーランド侵攻とソ連軍による侵攻、英仏からドイツへの宣戦布告は、ヨーロッパを戦場とし、その後、1941年12月の日本とイギリス、アメリカ、オランダとの開戦によって、戦火は文字通り全世界に拡大し、人類史上最大の大戦争となりました。  この戦争の全世界での死者数は、軍人、民間人、捕虜、戦火以外に戦争による飢餓や病気を含めると、6,000万人から8,500万人と言われ、この数は当時の世界の人口の3.2%から4%に当たります。例えばヨーロッパで主戦場と化したポーランドにおいては560万人から580万人、ポーランド国民の16%から17%に当たる死者が出ています。ほかにドイツは700万人から900万人など、各国とも膨大な人数の犠牲者を出しています。日本は310万人の死者が出ており、戦争終盤には、本土空襲や原子爆弾などにより、幼い子どもたちを含めた民間人も無差別に殺されました。ここ八王子の市街地も、空襲により、焼け野原となりました。

・余りにも悲惨であった第二次世界大戦の経験から、二度と戦争など起こしてはいけないと、世界中の人々が大戦の悲劇を教訓として平和を心に誓いました。ことしの8月15日、第二次世界大戦の終戦から73年目の夏を迎えました。戦争というものを記憶している当時の最年少年齢を仮に5歳とすると、その子は現在78歳です。実際に戦争に行った経験を持つ方々は90歳を超えています。
 20年以上も前から、戦争を実体験した人たちがいなくなってしまった時代にどのように戦争の悲惨さと平和のとうとさを伝えていけばよいかということが、終戦記念日を迎える8月には毎年課題として上げられていました。近い将来、それが現実となります。

Q:八王子市として、戦争の傷跡や記憶を後世に継承していくために行っている施策についてお示しください。また、小中学校の教育の中ではどのようなことを行っているのかについて、併せてお答えください。
A:戦争の悲惨さや平和の尊さを広く市民に啓発し、次代を担う子どもたちに伝えるため、毎年夏に平和展を開催し、広島・長崎の原爆被害や八王子空襲に関するパネルのほか、小中学生による平和をイメージした絵の展示などを行っている。また、八王子空襲を体験された方が小中学校や高校に出向き、直接児童・生徒に戦争の体験を話す出張語り部という取り組みを通年で行っている。  新たな取り組みとして、市内に残る戦争の傷跡をマップ化し、説明を掲載した戦跡マップを作成し、先日開催した平和展に合わせ、配布を開始した。甲州街道のイチョウ並木の一部や大和田橋などにも八王子空襲の傷跡が残っているが、このマップをきっかけに、こうした生活圏に近い場所での戦跡を目にすることで、市民の皆様に平和の尊さを感じていただければと考えている。

A:戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えていくために、国語科、社会科、道徳科、総合的な学習の時間等において、戦争で起きた事実や平和の大切さについて指導している。
 例えば社会科では、国際社会における我が国の役割や、平和な生活を送ることの大切さに気づかせる学習を行っており、国語科では、戦争を題材とした読み物教材を通し、戦時中に生きた人物の思いを考えさせる活動を行っている。

Q:理事者にお伺いします。第二次世界大戦を経験し記憶している世代がいなくなってしまう世の中が来る時代に、戦争の記憶を引き継ぎ、人命と平和の尊さをどのように伝えていけばよいのか、お考えをお聞かせください。
A:【木内基容子副市長】
 本市では、1980年代に「八王子の空襲と戦災の記録」を編さんし、第二次世界大戦を実際に経験し記憶されている方々の肉声、あるいは当時の市民の方々がつづった日記など、市民の記録編2冊にわたり収録している。最近では、語り部の動画映像も作成している。
 今年7月には、市内各所に残る戦争遺跡を紹介する戦跡マップも作成した。
 これらの資料を大切に活用しながら、戦争を知らない世代、特に若い世代が戦争の悲惨さ、平和の尊さについて、自ら関心を持ち、深く考えるきっかけとなる機会を提供していくことが大切であると考えている。

〇私は昭和38年生まれで現在55歳です。父親は昭和7年、母親は昭和12年生まれで、戦場には行っていませんが、空襲警報で防空壕に避難したことや食べるものがなかったことなどは記憶にあるらしく、私が幼いころはよく話を聞きました。今は世を去ってしまいましたが、明治後半生まれの祖父母からは、戦死した兄弟の話などを聞いた記憶があります。
 私は戦争を知らない子どもたちの一員で、実体験はありませんが、戦争を知っている世代に育てられた子どもたちですので、今の若い人たちよりは戦争に関して教えていただいた記憶は深く、今でも体内に生きているのだと思います。端的に言えば、戦争の記憶を引き継ぎ、今後の時代にそれを風化させない鍵は、私たちの世代が握っているのかもしれないと思います。
 日本は、1945年、昭和20年8月14日、ソ連の対日参戦を受けて、7月26日に連合軍から示されていたポツダム宣言の受諾を最終決定しました。その翌日、8月15日の正午、天皇陛下の玉音放送がラジオから流れ、日本は敗戦という形で第二次世界大戦を終えました。以降、8月15日を終戦記念日と呼びます。
 私たちが幼かった時分の終戦記念日のころには、毎年、音質の極めて悪いラジオから流れる天皇陛下の玉音放送の前に泣き崩れる国民の映像が白黒テレビから流れていました。その意味はよくわからずとも、その映像は幼心にしみつき、今でも夏の日差しの中でぼうっとしていると、思い出すことがあります。

・私が育ったのは埼玉県狭山市というところですが、どこからかサイレンが鳴っていたのか、あるいは実際には工場の昼のサイレンだったのか、幼いころの記憶は定かではありませんが、それでも終戦記念日の正午には、サイレンの音に合わせて黙祷をしました。近所のおじいちゃんやおじさんたち、学校に行くようになってからは部活やプールで一緒の先生たちも、この日は黙祷をしていました。私も友達たちも、いま一つ意味はわからず、でも、大人たちがそうしているので、真似をして黙祷したのだと思います。

・今年の8月15日の正午、夏の甲子園大会は試合中でした。11時59分ころ、4人の審判が一斉に両手を挙げ、タイムをかけ、試合を中断させました。本日は終戦記念日であり、正午から黙祷を行うと放送が入り、甲子園球場には間もなくサイレンが鳴り響きました。選手は守備位置など自分の持ち場についたまま、観客席を含めて球場全体が黙祷しました。

【甲子園では毎年、8月15日の正午にはサイレンとともに1分間の黙祷を行っています・・とても大事なことです】

・私はこの少し前に市役所の駐車場に着きましたので、この放送を車載のテレビで見ながら、自分もここで黙祷しようと車外に出て、テレビから聞こえるサイレンに合わせて黙祷しました。駐車場には数十人の人が見えましたが、黙祷している人は誰もいませんでした。また、車のテレビ以外からサイレンの音は何も聞こえませんでした。
 と言っても、私も毎年必ず黙祷しているわけではなく、仕事に没頭していて忘れてしまったことなど、何度もあります。しかし、気がつけば、どこにいてもするように心がけています。せめて気がつけるようにサイレンが鳴ってくれたらよいのにと思うのですが、八王子市では放送もサイレンもありません。

Q:終戦記念日の対応についてお聞きしますが、八王子市で過去に終戦記念日の正午にサイレンを鳴らして黙祷していた歴史はありますか。また、現在の八王子市ではなぜ行わないのでしょうか。行わない理由があるのならば、教えてください。
A:本市では、過去、終戦記念日にサイレンを流し黙祷していたかどうかにつきましては、正確な記録がなく、把握ができておりません。
 現在は、終戦記念日に半旗の掲揚と庁内放送による市長の講話、正午の黙祷の呼びかけを行っており、少なくとも平成5年からこの形で実施しています。

〇8月15日の夜のニュースを見ていましたら、終戦記念日を報じる枠で、甲子園球場での球児たちの黙祷の様子、幾つかの街頭で終戦記念日を知らせる放送とともに黙祷する市民の姿が放映されていました。

・実際に終戦記念日に防災無線などを利用した黙祷の呼びかけやサイレンを流している行政は、長野県は全域、静岡県磐田市、多摩地区でも三鷹市やお隣の町田市は、広島・長崎の原爆の日と終戦記念日に、それを知らせ、黙祷する放送を流しており、ほかにも調べれば幾らでもあります。

・2014年に菅官房長官が日本国民は終戦記念日に黙祷するようにという発言をして、中国をはじめとしたアジア諸国からバッシングを受けたことがあったようですが、黙祷の意味は、間違っても第二次世界大戦の死亡者を英雄としてたたえ、戦争を肯定するといった趣旨のものではなく、さきの大戦の戦没者を追悼し、世の中の平和を祈るという意味で行うことで、批判されるような内容ではありません。
 日本人は元来、先人を思いやり、歴史と文化を大事にする民族でした。悲惨な戦争で命を落とされてしまった先人に哀悼の意を示すことは、日本国民として当然のことです。戦争の記憶を風化させない取り組みは、二度と戦争はしない、平和を継承していくという意味を後世に引き継いでいく大切な取り組みです。

〇戦争を次の世代に伝える目的は幾つかあるのだと思いますが、大事なことは命の大切さと平和の意味を伝えることであり、今の日本はとうとい命の多くの犠牲があって成り立っているということを忘れてはならないと思います。そういった観点から、かつて日本でも戦争があったということを子どもたちに伝えることは必要なことです。
 戦争の実感が薄れている現代で、子どもたちに教える方法は、当時の戦争の構図などを教えることよりも、単純に子どもたちの心に響く教材によるものにするべきだと思います。アジア諸国では、日本は戦争加害者であり被害者ではないといった思考がいまだに根強くあるため、教育に当たっては、こういった側面にはあえて触れる必要はないと思います。
 例えば戦争の悲惨さを伝える映画の活用、その中でも「火垂るの墓」はいかがでしょうか。映画「火垂るの墓」は終戦記念日のころに何度もテレビ放映されています。14歳の兄と4歳の妹が終戦前後の世の中の喧騒により小さな命をはかなく落としてしまう姿から、戦争を全く知らない世代でも、こんなにもつらい時代があり、こういったことが戦争なのだという何かを感じ取ることができる映画だと思います。世界中には今も「火垂るの墓」の主人公のように戦火の中に暮らしている子どもたちが数多くいますので、そういった背景をつけ加えることで、子どもたちが平和というものを捉えるよい題材になると思います。

Q:現代の子どもたちは、そのおじいちゃんですら戦争を知らない世代になりつつあります。そういった世代にこの日本で戦争があったということを伝える手法として、例として映画鑑賞をしたらどうかと申し上げましたが、こういった手法を含めて検討していただき、学校教育の中に組み込んでいただきたいと思いますが、お考えをお示しください。
A:子どもたちが世界の平和に貢献しようとする態度を持つために、戦争を題材とした教材を通して当時の人々の様子を知り、自分のこととして生命の尊さを理解することはとても効果的であると考えます。
 本市教育委員会では、社会科の副読本「わがまち八王子」を作成し、「火の海になった八王子」と題したページにて、八王子空襲や浅川地下壕など当時の様子を子どもたちに伝えています。また、郷土資料館の見学を通して、身近な歴史から平和の尊さについても学ぶ機会を設けています。
 当時を知る人への聞き取り活動や映像資料等を活用し、今後も戦争について学ぶ機会が広がっていくよう、各学校に周知して参ります。

Q:第二次世界大戦を体験している世代が間もなくいなくなってしまうということは大きな社会の課題ですが、具体的な対策は示されないまま、その時期を迎えてしまいそうです。空襲を受けた都市として、また、平和宣言都市として、戦争の歴史を後世に継承するとともに、平和の意味を深く伝承していく施策をきちんと検討していただきたいと思います。
 その1つとして、8月15日の終戦記念日に防災無線を使って、戦没者を追悼し、平和を祈る言葉とともに、黙祷の合図を流していただきたいと思いますが、お考えをお示しください。
A:防災行政無線の使用については、さまざまな課題もあり、慎重に判断していくべきものと考える。  戦争の悲惨さ、平和の尊さを次世代に伝えることは大変重要なことだと思うため、戦時中に八王子で起きたことを風化させないためにも、平和展を中心に、平和行政を進めていく考えである。

※8月15日の終戦記念日の黙祷に流行り廃りはなく、以前行っていたが現在はもうやらなくてよい、といった類のものではないと思います。市の回答が消極的な意味まで理解できませんでしたので、引き続き実現に向けた取組みを行っていきたいと考えています。

2.バリアフリー基本構想

〇平成12年5月に、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、通称交通バリアフリー法が制定されました。この法律は、高齢者や障害者等の誰もが公共交通機関を利用して移動する際の利便性や安全性を確保することを目的としており、当初は主に交通に着目した法律でした。
 これが平成18年に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、バリアフリー新法として法改正されます。新旧合わせても日本のバリアフリーの歴史はまだ20年弱であり、世の中が公にバリアフリーという視点を取り入れることを明言してから、案外、日が浅いのです。

・この法律では、高齢者や障害者などの自立した日常生活や社会生活を確保するために、旅客施設や車両等、屋外駐車場、都市公園、建築物に対してバリアフリー化基準への適合を求めるとともに、駅を中心とした地区や高齢者や障害者などが利用する施設が集中する地区、これを重点整備地区と呼んでいますが、これらにおいて住民参加による重点的かつ一体的なバリアフリー化を進めるための措置などを定めています。

・バリアフリー法は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて本年2月に三度法改正され、新たな視点として、共生社会の実現と社会的障壁の除去に留意すべきことを明確化し、国と国民の責務に、高齢者、障害者に対する支援を心のバリアフリーの取り組みとして明記しました。新設の建物や道路に関しては、本法律をもとにバリアフリーの視点に立った設計や指導を行い、公共交通にはさまざまな課題解決が求められます。

・以前、やたらと駅舎などへのエレベーター設置工事が目立った時期があったのは、交通バリアフリー法によるものです。しかし、既存の道路などには、段差がある場所をいつまでに直さなければいけないという制限はありません。法が制定されてから20年たちますが、外を歩いていても、特に道路や歩道などが大きく様変わりした感じがしないのは、今後、その道路を直したり拡幅したりすることがあた場合に、バリアフリーの視点に準じたものにしていくという対策になるためです。

・八王子市は、旧法の時代に交通バリアフリー基本構想を策定、国土交通省に提出し、平成15年4月8日に受理されています。当時は1日の乗降客数が5,000人を超える駅が1つの基準となっており、駅へのエレベーター設置などと、その駅周辺施設の整備が主な目的となっています。

Q:基本構想が国土交通省に受理される意味合いについてお聞きしますが、これにより、該当箇所のバリアフリー化に向けた国からの補助金が受けられるなど、何かメリットがあったものなのでしょうか。制度上の仕組みについて教えてください。
A:平成15年3月の基本構想は、平成12年の交通バリアフリー法の趣旨に鑑み、本市として積極的にバリアフリー化に取り組む必要があるとの判断から策定したものであり、基本構想を策定したことにより特別な補助が得られるというものではないが、バリアフリー化に関しては、さまざまな補助を活用しながら整備している。

Q:八王子市の基本構想に掲載されている各施策の工程表は、既に全てが現在までの線を引いていません。ということは、この基本構想は現在の施策への影響力はないという理解になるのでしょうか。また、そういう解釈をすると、ここに基本構想として掲載された施策に関しては完成したということでよろしいのかについて、あわせてお答えください。
A:基本構想として掲載された施策に関しては完成しているが、考え方は現在でも受け継がれている。

〇平成15年に策定した本市の交通バリアフリー基本構想に関しては、ここに掲載されている各施策については完了しているということで、当初の施策として掲げたものは、おっしゃるとおり、市街地の駐輪対策や駅のエレベーター設置など、完成しています。しかし、歩道幅など車椅子の通行に支障がある場所や、段差、傾斜部の解消などが必要だと思われる場所が未だに残っています。

Q:基本構想に掲げた考え方は継続しているということでしたが、バリアフリー法の改定にあわせて、また、街や人の流れの変化などにあわせて、本市のバリアフリー基本構想も新たに見直し、改定をしながら前進させるべきではないかと思いますが、新法にあわせた新たなバリアフリー基本構想を策定することについてのお考えをお聞きします。
A:新法に基づく基本構想を策定することにより、民間の商業施設や事業所で一定の面積を超える場合に、バリアフリーの基準にあわせて適合義務や努力義務が発生する。このため、民間施設の所有者や管理者の理解を得るのが難しく、他市では公共施設のバリアフリー化を主とした基本構想となっている事例が多く見受けられる。本市としては、基本構想の策定にとらわれず、できる限りバリアフリー化に努めて行きたいと考える。

〇基本構想として作らないまでも、例えば車歩道や建物と車道などの段差解消方法などにおいて、庁内の部署ごとに方法に微妙な差異が生じることがないよう、統一したマニュアルの整備などは御検討いただきたい。以前取り入れていただいた2センチの車歩道段差を解消する手法について、市内で使用している縁石や施工方法に微妙な誤差があるので徹底をお願い致します。

3.八王子市役所及び周辺環境リプレース

〇バリアフリー法は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて本年2月に三度目の法改正がされました。八王子市は2020年のそれには余り縁はないでしょう。しかし、現行のバリアフリー法の基軸にあるものは、高齢者や障害者の移動であり、対象となる場所は、対象となる方々が多く利用する場所で、俗に言う駅周辺のにぎわいなどを伴うまちづくりとは基本的に切り口が違います。

・高齢者や障害者の方々が多く利用する場所という定義で市内を見ると、市役所本庁舎をはじめとした市の施設がその対象場所に当たると思います。現に、荒川区のバリアフリー基本構想申請区域に、区役所周辺地区というものがあります。

Q:現在、八王子市の本庁舎に来所する高齢者と障害者の方々の人数はどのくらいかについてお聞きします。月単位でも年単位でも結構ですので、おおよその来所人数について教えてください。
A:高齢者福祉または障害者福祉の担当所管に来庁する方の延べ人数は、平成29年度の実績では、高齢者福祉関連の手続をした方は約1万8,400人、障害者のうち、身体に何らかの障害があり、障害者手帳や補装具・日常生活用具、各種手当等の手続をした方は約5,200人となっている。

〇八王子市の本庁舎は昭和58年に完成しており、空調やOA化対応、セキュリティ強化などの目的で何度か改修工事が行われていますが、外観や駐車場などの周辺施設の基本的な部分は完成当時と大きな変化はありません。ちなみに、昭和50年代にはバリアフリーの視点はそれほど浸透していませんでした。
 ご回答から計算すると、福祉以外に一般や税など他の窓口に訪れる方々も含めて、これらの数を年間の平日数で割ると、1日平均100人以上の高齢者や障害を持った方が来庁していることになります。

〇これらのことを踏まえて、本庁舎とその周辺施設に関して私が気になっていることを幾つかお聞きしたいと思います。

・正面玄関の外及び道路を渡った先には、障害者用6台分と思いやりスペース6台分の駐車スペースがあります。これらは後づけで整備されたものです。駐車スペースは確保されていますが、その場所に駐車した後の人や車椅子の動線については整備が足りません。私の友人が病気により左半身が不自由になってしまったとき、健康なときには気にもならなかった小さな段差や傾斜が歩行の支障となると話していましたが、そういった視点で現地を見ると、段差や傾斜の解消は中途半端であり、駐車後の移動までは考えられていないと感じます。
 また、駐車台数にしても、本庁舎に訪れる対象者の数から考えると少ないと思いますし、車を降りてからの移動距離をなるべく短くしたいと願う方々からすると、道路向かいの駐車スペースは親切ではありません。

Q:この駐車スペースは、いつごろ、どのような経緯で設置されたのでしょうか。また、設置に際してはどのくらいの需要を想定して設計されたのかについて、お答えください。
A:障害者専用の駐車スペースについては、平成18年のバリアフリー新法施行時には既に正面玄関前のロータリーに2台、それから道路を渡った来庁者駐車場内に4台、計6台を設置した。その後、平成22年度に、幅広く配慮の必要な方が利用できる思いやり駐車スペースをロータリー内に1台、それから来庁者駐車場内に5台、計6台分を新たに設置した。
 なお、駐車需要につきましては、東京都福祉のまちづくり条例に基づく整備基準では、本市の庁舎駐車場規模の場合、5台分の専用駐車場の整備が求められているが、その倍以上の12台分を確保しており、需要は満たしているものと考えている。

〇正面玄関を出て右側のタクシー乗り場は、タクシー乗り込み地点の縁石にスロープがついていませんし、道路勾配がある場所に設置されているため、歩道そのものが微妙に坂道になっており、足の不自由な方の乗車は至ってしにくい環境です。

・駐車場から本庁舎までの歩行路も気になります。地下通路は、階段部分に手すりはありますが、雨の日は階段部分や階段外が滑りそうな感じがして、私ですら気を遣います。
 思いやり駐車スペースを含めて、駐車場や歩道部で車椅子の通る場所、通ってよい場所が非常にわかりづらいと感じますし、縁石の切り下げをせずに市販の段差スロープが並べられているだけのところが複数ありますが、それでは車椅子は上がりづらく、滑ったり、段差スロープが移動してしまいそうで怖くて通れない人がいます。

・市役所周辺は全体的に、本庁舎が高い位置にあるため、どの方向から来ても上り傾斜になっています。駐車場管理室前の階段などは、ベビーカーや幼子の手を引いて歩くにも障害になります。本庁舎周辺を歩くと、舗装や縁石、グレーチング、注意喚起の看板などの劣化している場所が目立つとともに、全体的にバリアフリーの視点から見て優しい造りになっていないと感じます。

Q:今申し上げた幾つかの場所について、市としてはどのような認識でおられるのか、お答えください。また、既に改修予定があるものがありましたら合わせてお答えください。
A:本庁舎は現在の位置に設置後35年が経過しており、老朽化が進んだことに加えて、障害者、高齢者、妊産婦、外国人など多様な方の利用が増加したことにより、対応が十分でない部分があることは認識している。
 本庁舎の周辺環境については、日ごろから、安全確保はもとよりバリアフリーの視点も踏まえた点検を実施しており、これまでも正面玄関前の車寄せの段差解消や通路の滑り止め、階段の段差表示など、対策を講じている。平成30年度については、来庁者駐車場と庁舎を結ぶ地下通路階段の滑り止め工事を行う予定である。

〇庁舎の改修検討が必要な場所として、バリアフリーから少し外れますが、幾つかお尋ねしたいと思います。

・まず、正面玄関の入り口が狭いと思います。よく見ると、現在開閉している自動扉の脇には手動で開閉できる扉が左右にありますが、通常は閉鎖されています。現状は、複数人が出入りで重なると、どちらかが避けないとすれ違えません。車椅子の方が来られた場合もそのようになります。中核市の市役所本庁舎の正面玄関としては狭過ぎると思います。

・1階ロビーの使い方で気になっていることがあります。市民の健康診断を定期的に実施していますが、こういった市民サービスを行うのであれば、受付や荷物を預かったりすることができる専用の部屋を1階のどこかに設置し、そこを使用させるべきで、ロビーの通路にパイプ椅子を並べてオープンで行っている現状は配慮が足りないと感じます。専用の部屋ないし個別に仕切られたスペースが確保できれば、南側のバス停脇で行っている献血活動時の受付や休憩場所にも利用できます。

・また、1階に設置してある特産品などを展示しているショーケースは、そのものの古さが目立ちますし、設置場所についても改善が必要だと思います。

Q:細かなことはまだありますが、とりあえず本庁舎1階について3点申し上げました。その中の正面玄関の大きさについてと健康診断時などの1階ロビーの使い方に関しての御所見をお答えください。
A:正面玄関の大きさについては、多数の方が同時に出入りしようとした際にスムーズなすれ違いができないこと、また、本市よりも後に建設した市役所では、広く余裕のある幅の玄関を設置している事例があることも認識しているが、正面玄関の幅は、都の福祉のまちづくり条例の基準よりも40センチ広く確保しているため、通常の利用において支障は生じていないと認識している。
 また、1階市民ロビーは基本的に待ち合いスペース、市民情報のPRの場であるが、臨時で健康診断や相談会場として活用している。今後、このような利用に際しては、パーテーションによる仕切りや会議室の貸し出しを徹底して、より一層、プライバシーの保護に配慮したい。

〇もう1点、駐車場のトイレについてお聞きします。トイレ清掃はまめに行っていただいていますが、設備そのものが古くなってきているため、余り清潔感がなく、それが利用者に綺麗に使おうという気配りをしてもらえない1つの原因になっているのではないかと思っています。
 また、男女ともに個室は和式と洋式が1つずつとなっています。ここは平日の日中でも利用される方が多くあり、最近は市役所脇の浅川河川敷を訪れる人も多く利用しています。

Q:こうしたトイレの実態についてどのような認識でおられるのか、お伺いします。また、便器の洋式化やタイルや壁、洗面台の補修などできれいなイメージのトイレに変身させれば、利用者の態度も変わり、きれいなトイレとして保てる効果が期待できるのではないかと期待します。清潔感を保つための改修を進めていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
A:市役所の来庁者のほかに、休日には浅川河川敷に来られた方など、市役所に来られた方以外の方にも利用されている実態がある。また、ごみの置き捨てや不衛生な使い方など、一部の方のマナーに反した利用があることも把握している。
 こうした状況を踏まえて、平成30年度から閉庁日においても駐車場トイレの清掃を行うなど対策を強化しているが、今後、御提案いただいた改修も視野に入れながら、ソフト面、ハード面の両面から、快適に利用できるトイレの環境づくりを進めていきたい。

Q:八王子市役所本庁舎は、今後も現在の元本郷町にあり続ける計画でよろしいのでしょうか。周辺施設の改修がさまざま必要な状態になってきていると感じていますが、こういった改修も、向こう何年の設備になるのかによって取り組み方は変わってくるので、お聞きするものです。
A:現時点では移転の計画は無い。引き続き現在の庁舎を使用していく予定である。

〇本庁舎の移転は相当長い期間無い、ということならば、舗装や縁石、化粧ブロック、排水路などの現状を見ると、どこかのタイミングでの大規模改修は必要だと感じますし、バリアフリーの視点を取り入れた改良計画はつくっておく必要はあると考えます。

・そのためには、まずはバリアフリーの視点をしっかりと取り入れた改良設計図を作成していただきたいと思います。全体像の設計図をつくっておかないと、つまらないところをちょこちょこと修繕してしまったり、小手先だけの無駄遣いが発生します。

・設計図作成の手法についてですが、例えば新人職員が採用されたときの研修課題として、本庁舎と周辺施設のユニバーサルデザイン、バリアフリーの視点を取り入れた改善案の作成を題材に設定し、幾つかのグループにして現場をくまなく歩き、市民の方々の利用状況などもしっかり見せて、学校で習ってきた知識をフル活用してもらい、設計図を描かせたらいかがでしょうか。これならば費用はかかりませんし、若い人たちの柔軟な発想で夢のある設計図ができるのではと期待できる取り組みになると思います。さらに、新人職員にユニバーサルデザインの考え方を強調することで、彼らの今後の仕事に有効となる研修にできます。

Q:設計図と時間軸の目標となる工程表を作成して示していただきたいと思いますが、これらについての御所見をお答えください。
A:今後も長期間に渡り使用していくことから、来庁者の皆様の御意見を伺い、御提案の若手職員の発想を生かす取り組みも参考にしながら、改善の必要な箇所は漏れなく把握して、全ての皆様が安全で快適に利用できるよう、計画的な改修に努めて行きたい。

相沢こうた
八王子市議会議員