1.八王子市内の公園の管理と活用方法
2.低炭素都市づくりのための水素利活用計画のすすめ
〇八王子市内には、平成29年の数字で都市公園が804ヵ所あります。そのうち市が管理しているものが796ヵ所、都の管理が8ヵ所です。市が管理する796ヵ所のうち790ヵ所の公園は指定管理者制度に移行しています。
一方、現在公園課の職員数は21名です。指定管理に移行したのは公園という定義のものだけで、公園に整理されない児童遊園と呼ばれる場所が66ヵ所、さらに民地をお借りしている広場という場所が63ヵ所あり、合わせて126ヵ所の直営管理の場所が残っており、その管理業務を公園課の職員が行っています。
Q:公園と児童遊園、広場の定義について教えてください。また、それらの管理方法が違うのはどのような理由なのかについてお答えください。
A:公園とは、不特定多数の市民が憩い、遊びを楽しみ、その他スポーツレクリエーションで利用するとともに、潤いある都市景観の形成や緑の保全、防災機能の確保などのために設けられた公共空地をいう。
児童遊園とは、児童に健全な遊びを与え、その健康を増進し、交通事故防止と健全育成に寄与することを目的に設置したもの。
まちの広場とは、公園の機能を補完するものとして地域の実情に応じて整備を進めてきたものである。児童遊園やまちの広場の中には、地域の要望により市が民地を借り、地権者と無償の使用貸借契約を結んで管理しているところもある。
管理方法については、いずれも利用者の多様なニーズに応え、質の高いサービスの提供を図ることや、それぞれの特性に合った効果効率的な管理運営を行うという観点などから決定をしており、具体的には、公園は主に指定管理者を導入しているが、都市公園法の適用を受けない児童遊園とまちの広場につきましては、民地の借用により恒常的な利用を確保できない場合が生じる可能性があることや、まちの広場のように利用者が地元の住民に限られているなど、さまざまな実情により臨機応変な対応が求められるため、現在は直営で管理をしている。
〇市内の公園には、もう一工夫あったら使いやすいのにと思うところが多くあります。例えば、余りにも木が鬱蒼としている公園があります。植樹の間隔が狭いことに加えて、一本一本が大きく太くなってしまっている場所は切って整理されたほうがよいと感じます。低炭素都市づくり計画のみどりの分野には、公園、緑地の整備という項目がありますが、ここでの緑の創出は、ただ構わず多くの樹木を植えておけばよいということではなく、公園本来の目的を果たしながら、気持ちのよい緑の空間をつくるということだと理解します。余談ですが、大きな木が鬱蒼と茂ってしまっていると薄暗く湿気もあり、そのせいで夏の期間はやぶ蚊が多くて閉口します。
公園の維持管理を指定管理者制度にしているのですから、本来は通常の清掃、遊具や敷地の管理にとどまらず、現在の公園の状況を向上させていくところまで指定管理者が積極的に関与すべきだと思いますが、実態は、草刈りをしたり、砂場の砂を掘り返したり、壊れたフェンスを直したりするところまでにとどまっているように見えます。また、公園課の職員の方々の仕事は、今まで直営作業に追われてできなかった改良、改善にかかわる業務を行っているのだと思っていましたが、現実はいまだに直営作業に追われているようです。
Q:普段、指定管理者に管理をお願いしている公園に市の職員が行く機会についてお聞きします。
児童遊園と広場で129ヵ所もの直営分を持っていると、そちらの現場作業だけで相当忙しいと想像できます。指定管理に移行している公園に市の職員が行って状況を確認したり、この公園はこのように改良、改善したほうがよいのではないかなどと指定管理者と意見交換をしたり検討するような仕事は具体的にどのように行われているのかについてお答えください。
A:指定管理者とは年3回の意見交換を開催し、情報共有や課題の検討を行っている。また、指定管理者制度導入により件数は減っているものの、平成29年度の実績で市民の皆様より2,400件余りの御意見、御要望が市に直接寄せられており、指定管理者にはその都度適切な対応を指示している。
また、指定管理者のモニタリング実施により、職員が現地に赴き管理の実態を確認し、施設の管理方法について課題がある場合は現地にて実務指導を行っている。
〇私は現在の業務内容を見直すべきだと思っています。市のさまざまな業務に指定管理者制度が導入されていますが、業務内容によっては、この制度で行うことが相応しいものと違った形のほうがよいものがあると思っています。
・公園の管理を指定管理者が行うのであれば、公園の維持管理だけではなくて、向上という部分まで行わせるべきで、維持管理だけであれば委託管理で十分なのだと思います。指定管理者制度で行うとしたら、こうしたらもっと公園として居心地がよくなるとか、駐車場、トイレなど、このようにしたほうがより利便性が向上するなど、公園の改良などについて積極的に関与させるべきだと思います。
・一方で、公園課がいまだに児童遊園や広場の直営作業中心の業務に追われていて、本来市の方々にやっていただきたいと思う仕事に手が回らないという状況について業務改善が必要だと思います。
Q:業務の見直し改善についてお聞きしますが、指定管理で行っている部分の仕事の改善、直営で行っている部分を全て委託化するなど、少々思い切った業務改善を検討していただきたいと思います。このことで多少公園課の人数は減るかもしれませんが、得るもののほうが大きいと考えます。業務の総点検と業務改善の必要性についての御所見をお伺いします。
A:指定管理者制度に限られたことではないが、管理監督業務において気づきをもって課題を見出し、改善策を講じていくために重要なことは、現地を把握し、現場実務者と情報を共有していくことにあると考える。そのため、人的・時間的な制約はあるが、常にこうした意識を持ち、指定管理者とともに適宜現場の目視確認を行い、意見交換などを有効に活用することで指定管理者の意見を吸い上げ、創意工夫を生み出しやすい環境づくりに努めて行きたい。また、直営管理においては、現地における迅速な対応はもとより、町会や自治会からの相談やアドプト活動の支援を通じて、臨機応変な対応力や新たな課題の解決能力を養っていきたい。
これらの経験により培われるノウハウや技術の向上、その共有化の重要性を改めて確認し、指定管理者への実践的な指導を生かすとともに、指定管理者とともに維持管理の向上に向けた取り組みを進めたいと考える。
〇先日、連合の地区協議会にて実施された八王子市に在住する組合員との懇談会に出席してきました。この席で出された意見、要望の一つに
「幼い子どもの子育てをしていますので休日は市内の公園に連れていって半日程度は遊びたいと思っていますが、八王子市のどこにどのような公園があるとか、その公園がうちの子どもと遊ぶのにふさわしいようだなどの情報をまとめた冊子やパンフレットをつくっていただけないでしょうか」
というものがありました。同様に
「近所の公園は野球、サッカー禁止ばかりで、どこの公園や広場に行けば子どもと野球ができるのか、そういったことを知らせてくれるものを市がつくってくれたらありがたい」
という意見もありました。
市に確認しますと、市のホームページに公園の概要があるという答えでしたので、早速ホームページを拝見しましたが、掲載されている公園数は50弱で、各々に写真が1枚に公園の名前、住所、駐車場やトイレの有無などが淡々と掲載されたもので、温かみがまるでない事務的な掲載でした。
・八王子市内には、散策をしていて楽しい公園、おもしろい遊具がある公園、子どもたちが思い切り走り回れる広いスペースがある公園などいろいろあり、私は捨てたもんじゃないと思っています。遠くに出かけなくても、市内には例えば子育て世代の御家族が休日に楽しく過ごせる公園は多くあります。こういったものを市民にもっと積極的にアピールして、休日を市内で過ごしていただくことは、八王子市に住んでよかったという市民の満足度を向上させる施策につながります。市民が公園に求めるものは、年齢層や趣味趣向などさまざまな要因で千差万別でしょうが、子育て世代向け、小中学生を持つ世代、年配者世代くらいの区分でよいと思いますが、市内の公園を含めた休日をここで過ごしたらいかがでしょうかというような提案を積極的に行ったら、市民の満足度は確実に上がると思います。まずは手始めに、幼い子どもを持つ家族が行って楽しい公園を小冊子にまとめて、これを保育園や幼稚園に置いてみたらいかがかと思います。
Q:公園をもっと積極的に市民にアピールしていただき、市民の生活を豊かにする施策として展開していただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
A:御指摘のとおり、既存ストックを有効活用していくためには、ハードのみならず、情報発信などのソフト面の工夫をしていくことも重要なことと考える。本市にある約800の都市公園の中にはローラー滑り台や複合遊具のある公園、富士山や高尾山を初めとする山並みに沈む夕焼けを一望できる見晴らしのよい公園など、親子連れで楽しめる公園が数多くあることは本市の大きな魅力の一つとなっていると考えるため、 今後は、こうした魅力的スポットが随所にあることを子育て世代などを中心に発信していくことで公園が持つポテンシャルを高めていくとともに、同時に子育て支援の一環としての展開が市民生活の質の向上にもつながるよう情報発信に努めて行きたい。
〇公園に関わる業務は、市民から見えやすい部類のものだと思います。市内の都市公園を使いやすいものに変えていくことは、八王子市に住む満足度を上げる取り組みになるのです。
木の多過ぎる、さらに茂り過ぎてしまっている公園の話をしました。私の居住している近隣で具体的に公園名を挙げますと、北野公園や北野台わかば公園は木を切っていただきたいと思っています。そのように申し上げたところ、地域の町会からそのような要望が上がってくれば検討するという回答でした。この市の回答は間違っていると思っています。公園は地域に密着した部分があります。ごみ拾いや、公園によってはアドプト制度で地域に管理をお願いしているところもあるでしょう。しかし、公園の利用者は地域の人に限らず自由であり、地域限定ではありません。公園管理は指定管理者制度を導入しているわけですから、改善・改良まで視野に入れた仕事をしていただくのは当然のことです。地域から声を上げさせるのではなく、指定管理者や市から町会や地域組織に改善・改良を提案し同意を得る、このぐらいの積極性を持った仕事の仕方を望みます。
Q:現在導入している指定管理者制度を十分に生かして、制度にふさわしい管理運営により、受け身ではなく積極的な姿勢でよりよい公園整備に鋭意取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお聞かせください。
A:指定管理者制度は、公の施設の管理に民間のノウハウを活用しながら、市民サービスの向上と経費の節減を図ることを目的としている。そのため、制度運営に当たり、常にこの基本に立ち返り、現地におけるモニタリングなどを通じて管理現状を把握し、適宜適切な指導により指定管理者とともに改善、向上に努めていくことが市の務めだと考える。
そのためには、指定管理者みずからの気づきや利用者から得た声などをボトムアップしやすい環境づくりに努め、指定管理者からの提案を促して行きたい。あわせて、指定管理者が持つ民間ノウハウや技術を公園管理に生かしながら、自発的に魅力ある公園づくりができるよう指導をしていく。
〇昨年9月の第3回定例会の一般質問で、水素の利活用についてお話をさせていただき、水素について「水素は、再生可能エネルギーではありません。再生可能エネルギーの定義は、無限に枯渇することなく存在するエネルギーということで、これには当てはまりません。水素は、過去にエネルギー源として積極的に使われていない新たな媒体です」とご説明しました。
水素が期待されている理由は、CO2を発生しないということ、発電燃料として燃焼させることができるということ、そして再生可能エネルギーなどで発電した電気を利用して水素を作りためておき、必要なときに再び水素から電気や温水に変換しエネルギーとして利用することが可能となることで、再生可能エネルギーの弱点である必要なときに発電してくれないという欠点を補完することができることから、再生可能エネルギーと組み合わせた使い方が期待されています。
電気をためる手法に蓄電池というものがありますが、現在の蓄電池の能力は徐々に放電してしまうため、長期にわたっての蓄えには向いていないという欠点があります。そして、八王子市での導入に適した場所として、新館清掃工場のごみ発電における余剰電力を活用する手法として水素の利活用を検討していただきたいと提案させていただきました。
Q:現在までの水素に関する取り組み状況について教えてください。
A:ごみの焼却熱を利用した発電における余剰電力の有効活用の一法として御提案をいただき、早速水素活用で先進的な取り組みを行っているメーカー及び先進自治体を視察しさまざまなお話を伺い、活用の可能性とともに、水素の利活用に関する知識及び理解を深めるための情報収集に取り組んでおります。また、水素活用の認知度はいまだに低いことも事実であり、住民へのさらなる周知が必要であると感じております。こうしたことから、今後はイベントなどにおいて水素の安全性や有効活用に向けたPRなどを検討していきたいと考えております。
〇経済産業省資源エネルギー庁は、2018年秋に策定予定の第5次エネルギー基本計画の骨子案並びにエネルギー基本計画関連の検討内容をことし3月に公表しました。これらによりますと、パリ協定の締結や最近の情勢変化を踏まえて、2030年に向けた施策を深堀りするとともに、2050年に向けてエネルギー転換、脱炭素化への挑戦に取り組むとしています。
※パリ協定とは、2015年12月に採択、2016年11月に発効された京都議定書にかわる新しい地球温暖化対策の国際ルールです。2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みを定めた国際協定で、途上国を含む全ての加盟国が温室効果ガスの具体的な削減目標を定めて取り組むこととしており、目標値は5年ごとに削減量をふやす方向で見直し、21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標として取り組み、加盟国は国際連合に実施状況を報告することが義務づけられています。
〇日本は、温室効果ガスの削減に取り組み、脱炭素化に向けて、具体的には技術革新により火力発電所のCO2排出量を抑えて、発電全体に占める各発電方法の割合も徐々にゼロエミッション電源に移行していくことを目指します。
〇八王子市は、八王子ビジョン2022を基軸として環境基本計画を策定し、その個々の計画をさらに細分化し、エネルギー関連は八王子市地球温暖化対策地域推進計画に整理しており、さらに八王子市低炭素都市づくり計画でCO2削減の年次目標として、2024年、2034年度の断面での具体的な削減目標を数値で定めて取り組むことを明示しています。
再生可能エネルギーを含めたエネルギー分野は目まぐるしく変化しています。八王子市の低炭素都市づくり計画は10年間という長いスパンで設定していますが、随時加筆し、見直す柔軟性を持っていただきたいと考えます。このままですと第5次エネルギー基本計画の方針は今から7年後まで加味されないことになります。
Q:低炭素の取り組みは常に見直し、前進させていただけるよう柔軟な対応を図ってもらいたいと思いますがご所見をお聞かせください。
A:平成28年8月に策定された低炭素都市づくり計画は、関連する計画と整合、連携を図りながら、市民や民間事業者と一体となった総合的な都市の低炭素の取り組みを促進するものです。
エネルギー分野においても、都市全体の効率的なエネルギー利用を目指していることから、現時点では位置づけられていない施策であっても、新技術の開発にあわせて柔軟な対応をしてまいります。
〇太陽光発電や風力発電などを初めとした自然エネルギーによる発電システム導入を促進するために、恐ろしく高い単価で再生可能エネルギーを買い取る固定価格買取制度が導入されました。買い取りは電力会社が行っているのではなく、買取制度で買い取った電気の料金は、その全てを国民が賦課金として均等に負担することになっており、再生可能エネルギーの比率が増えれば増えるほど国民の負担が増加することになります。事業者ばかりが高額な利潤をせしめるような単価ではなく、国民が納得して負担できる適正な価格でなくてはならないのは当然のことです。
ここ数年で買取価格は制度導入当時の半値以下になりました。
行政としての再生可能エネルギーの取り組みに絞ってお話をすれば、今後取り組んでいく内容として、単純にパネルを張っていくだけでは余りも発想に乏しいと思っています。買取価格が安くなったといっても、その費用を間接的に国民負担する部分は何ら変わっていませんので、売電するということは、電気代収入で市民の税金の負担を軽くすると言いながら他方での負担増につなげているわけですから、行政として取り組むならばもう一ひねりが欲しいところです。
〇八王子市では、戸吹清掃工場でごみ発電を従来から行っており、発電した電気は工場内で消費する分を除いた余剰分を売電し、年間1億円程度の利益を上げてきましたが、平成29年度以降は固定価格買取制度の期間満了により買取単価が3分の1程度に下がり、利潤も同等に下がったため、単価が下がってしまった電気を売電ではなく、市内の6つの施設に本年8月以降、自己託送に切りかえて供給する施策が公表されました。
自己託送に切りかえると、今までのつくった分だけ売ればよいというある意味無責任な売電とは違い、行政という立場で発電事業を行う立場上も含めた責務として、社会的な電力バランスなどにも配慮する必要があり、不慮のトラブルなどで機器が停止した場合は、今までは売電収入が下がるだけでしたが、発電事業者としての責任が発生するとともに、インバランスによる損失が発生することになります。電気を地産地消する一つの方法論としては理解していますが、私はベストではないと思っており、地産地消は他の方法で行うことを検討する必要性を感じます。
☆私は、エネルギーの地産地消には水素の利活用がベストだと思っています。太陽光発電やごみ発電などで水素をつくってためておき、電気の使いたいときにためておいた水素から発電します。この方式は、電力やガスの一般系統とは切り離して、水素システムとしてくくった範囲内で活用できることも大きな利点の一つです。再生可能エネルギーと組み合わせた水素の活用が期待されていますので、その使い方を積極的に模索することが、行政が行うエネルギーの地産地消としてベストであると思います。
Q:水素は新たな技術の分野です。今までのように他の事例に学ぶといった意識ではなく、低炭素のまちづくりを多摩地区の最先端で牽引していくといった積極性を求められる取り組みになります。再生可能エネルギーと水素利用によるエネルギーの地産地消などについてどのようなお考えを持っているのかお答えください。
A:再生可能エネルギーを水素に変換して活用するエネルギーの地産地消などは、低炭素エネルギーを利用することで二酸化炭素排出量削減などの効果をもたらすものであり、エネルギーの有効活用に資するものであると考えております。
〇先日、会派視察で山口県周南市にお伺いしてまいりました。山口県は最近、水素の利活用の実証試験などに積極的に取り組んでいる自治体の一つです。
周南市にある周南コンビナートには苛性ソーダをつくっている石油化学工場があり、苛性ソーダをつくる過程において水素が発生していましたが、水素は活用せずに空中に放出していました。
水素は空気中に放出されると、どの気体よりも軽いため瞬く間に上空に拡散され、宇宙空間まで放出されてしまいます。宇宙空間にある気体成分は水素が一番多いと言われていますが、空中に捨ててしまっても特に害がある物質ではありません。
苛性ソーダ製造で発生する水素は、水素純度が99.9%以上と非常に高いことから、これを活用し、水素製造工場を経て、水素パイプラインにて家庭に供給する全国初の実証実験を平成19年から21年に実施しました。このことを皮切りに周南市水素利活用協議会を設立し、周南市水素利活用計画を策定、複数の事業を計画、それらが環境省の委託事業として認可されたり、山口県の補助事業に認定されたりすることで、策定した水素利活用計画は市の予算を多く使わずに実施されているということです。
水素に関するさまざまな機器はいまだ非常に高価で、例えば八王子市でも1台リースで持っていますが、水素自動車の単価は1台当たり700万円前後、水素フォークリフトは1当たり1,400万円、水素を利用した大型バスにおいては1億円程度する様です。また、東芝で製造しているH2Oneという水素発生システムは、発生容量にもよりますが、1システム当たり1億5,000万円程度が相場のようです。これらを一つの地方自治体や民間企業で取り組むことは費用が高過ぎてほとんど無理だと思いますが、国が水素を新たなエネルギーとして積極的に活用しようという方針を持っているため、特に環境省には水素の取り組みに対する補助事業がたくさんあり、手厚く補助する姿勢を見せています。ここが今、水素に取り組むミソなのです。
Q:環境省、東京都などにある補助制度についてお示しください。
A:環境省では、蓄電池、水電解装置、水素貯蔵タンク、燃料電池、給水タンク等を組み合わせた自立型水素エネルギー供給システムの導入、活用に対する水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築事業などの支援があります。
また、東京都では、燃料電池車に水素を供給する水素ステーションの整備費用を補助する燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業などがあります。
〇この写真は、JR南武線の武蔵溝ノ口駅です。駅のホームからよく見える場所に東芝製のH2Oneという水素発生備蓄発電システムが設置してあります。駅の屋根に設置した太陽光パネルで発電した電気でこのシステムを使って水素に変換し、備蓄し、必要なときに発電して駅構内の電源と水、温水として活用しています。水素は私たちからかけ離れた設備ではなく、既に身近にあります。
ちなみに、このH2Oneという水素発生備蓄発電システムの設置に関しても国の補助金対象となっており、既に全国で100ヵ所以上に設置実績があります。
〇・・・・水素システムを組み込んだ学校のモデルケースについて説明しました。
水素システムを組み込んだ小中学校の大きな利点は2つ、1つは通常時に再生可能エネルギーを活用した省エネ施設となること、2つ目に災害時の避難場所として完璧な設備として活用できることですが、注目すべきは、災害用として特別につくるのではなく、通常の水素利活用システムが災害時にもそのまま使えるということが大きな利点です。いずみの森小中一貫校には間に合いませんが、市内小中学校の建てかえ計画にはその先にもありますので、そこでの導入を目指すことはできるのではないかと期待しています。
いずみの森小中一貫校には屋上に太陽光パネルが設置されると思いますので、完璧なシステムにならずとも、後からH2Oneシステムを追加することで水素活用は十分できます。水素システムの構築にはとても巨額な費用が必要ですが、先ほど周南市の例を申し上げましたが、施設整備において補助金対象、または物によっては環境省委託事業として展開できる可能性はあります。そうなれば、市の費用ではなく、国の予算で八王子市の低炭素の取り組みを加速させることができます。
・学校でのオール水素システムの運用に加えて、いずみの森での活用、新館清掃工場での水素事業などを一つのパッケージングとして組み立てて、それに合わせて低炭素まちづくり方針を見直し、またエネルギーの地産地消もアピールする、そういったプロジェクトを立ち上げてトライしてみたらいかがかと思うのです。
Q:理事者にお聞きしたいと思いますが、水素の取り組みに関して思い切ったモデルケースとして設計して申請してみたらいかがと思いますが、お考えをお聞かせください。
A:【駒沢広行副市長】
地球温暖化対策として低炭素化を進めていくに当たり、水素が有効な低炭素エネルギーであることは十分認識している。
モデルケースの導入については、水素を活用する施設の整備費用が高額であることから、社会状況なども踏まえて、発電から供給まで全体的なシステムとして構築する必要があるものと考える。
今後は、国などの動向を注視しつつ、効果的な電力利用についてさらに研究しながら低炭素エネルギーの普及促進を行い、地球温暖化対策に取り組んでまいります。