1. 少子化対策について
日本の少子化対策に関しては喫緊の課題です。日本が直面する少子化問題に対する具体的取り組み策として、まち・ひと・しごと創生総合戦略が国の方針をもとに各自治体において策定されました。この一番の目的は人口減少を最小限に食いとめることで、この施策展開により経済規模や社会保障などの不安定化の阻止、都市の維持・継続などにつなげていきたいというものです。
地方の施策では、その地域の維持・継続という視点から、少子化のみならず、人口流出を抑えたり、定住人口の増大などまで幅広くなっていますが、どちらにせよ、既に超高齢化・人口減少社会に突入している現在では、施策の実現に向けて走り出していなくてはならないはずです。
しかし、八王子市の決算やまち・ひと・しごと創生総合戦略の平成27年度報告などを拝見すると、市全体がここに掲げた目標に向かって危機感を持って取り組んでいるとは私には見えません。
また、市民の側も個々人の理不尽な権利、社会的協調よりも個人のわがままを主張する人、の増大が目立っている、要するに何に対しても苦情や反対の声が上がり、住環境の侵害だとか騒ぐ人があちらこちらに増えており、それがインフラ整備や施設運営、子育てや福祉の障害になっています。私は現代の社会問題だと思っておりますが、こういった声には毅然とした態度で対応していかないと子育てしやすいまちづくりなど到底できないと思っています。
これらのことを合わせてお話しさせていただき、八王子市の少子化対策とそれに伴う施設整備他の方向性についてお伺いするとともに、他県で取り組んでいる素敵な子育て支援策の確立、やさしいまちづくりをこの八王子でも期待したい、そういった趣旨で質問致します。
・小学校70校、児童数は6学年合計で2万7,555人、中学校は38校、生徒数は3学年合計で1万2,949人、保育園は民間が84園、市立が16園で合計100園、定員は民間が9,324人に対し、受け入れ数はそれを上回る9,455人、市立1,430人に対し、受け入れ数1,460人、幼稚園は31園、これは全て民間で、定員は8,260人に対し、受け入れ児童数は5,929人です。学童保育所は68保育所、82ヵ所あり、定員が6,600人に対し受け入れ児童数は5,910人となっています。
・小学校、中学校に関しては義務教育であり、児童数の増減は全て吸収します。市内の地域ごとの年代別人口構成のアンバランスにより児童数が変動したり、大型開発による住宅、マンション建設で急激に児童数が増加したりしている例は多くありますが、全て吸収する対応をしています。
・幼稚園については、定員の7割強の受け入れという現状です。受け入れ数に余裕がある感じがしますので、この活用に関しては検討する余地がありますが、余裕がある側なので今回は良しとします。
・学童保育所に関しては、市内全体の定員に対して9割弱という数値ですが、中心市街地や児童数の著しい増加が見られる地域では不足が生じているという偏りが問題となっています。保育所で対応できない地域での応急対応に関しては、既に放課後子ども教室や、学校の空き部屋の活用などによる対応を実施していただいております。学童保育所の問題点は、その施設の貧弱さにあると思っています。
・やはり一番の問題は保育園だということになります。平成27年度のまち・ひと・しごと創生総合戦略の報告には、保育園の待機児童数について「保育所等待機児童数139人、前年値の144人を基準に新たに245人分の保育定員を確保したが、申し込み児童数の増により、待機児童数は前年度より5人減の139人となった。民間保育所及び地域型保育事業の施設整備等を行い、引き続き定員増を図る」とあります。
Q平成28年度の保育園の保育定員の改善数と待機児童数、施設整備についての実情について教えてください。
A平成28年度は認可保育所7園、認定こども園1園、事業所内保育施設4園の施設整備を実施し、保育定員152名分を新たに確保した。
待機児童数については、保育定員の拡充を積極的に進めてきた結果、平成22年以降、7年連続で減少させることができ、29年4月には平成14年以降最少となる107名となった。
Q平成29年度も保育園の待機児童が発生していると認識していますが、その現状と既存の保育園の定員増員や施設整備など、施策展開における問題点や課題は何だとお考えかでしょうか。
A課題は、年々難しさを増す保育士の確保と認識しており、保育士宿舎借り上げ支援、それから就職相談面接会の実施、保育士の子どもの優先入所などと捉えて取組んでいる。
・現在の日本の総人口予想は、平成27年10月現在の数値で1億2,711万人であったものが、2030年、1億1,162万人、31年後の2048年には9,913万人、43年後、2060年には8,674万人となる予想が示されています(内閣府の数値)。ただ減少するということだけではなく、高齢化がますます進み、生まれてくる子どもの数が減り続けるという現象が長期間にわたって続くことが予想されています。
・年代別の人口統計から新生児の数を見ると、新生児は6年前から年々減り続けており、全国でのその数値は平成21年 51万4,000人に対し、平成24年 49万5,000人、平成27年 46万9,000人となっています。八王子市での出生数は、平成24年度 4,031人、25年度 3,901人、26年度 3,815人、27年度 3,793人、28年度 3,589人で、5年間で約1割減、89%となっています。
・この人口減少社会を改善しようと導入されたのがまち・ひと・しごと創生総合戦略です。本市が持続可能な都市として将来にわたり活力を維持していくための将来展望について抜粋すると次の3点になります。
1、平成72年、2060年、43年後ですが、本市人口の8割を維持する。対応策を講ずることなく現状値のまま人口が推移したと仮定すると、2060年の八王子市の人口は36万9,281人にまで落ち込むと推計される。国は2060年に1億円の人口を確保することを目標に掲げており、これは現在の人口の約8割であるため、八王子市においても2060年に現状の8割、平成22年の人口58万53人に対し、約8割に当たる46万7,072人を維持することを目標とする。
2、人口構造の安定化。本市の活力を維持するためには、総人口を意識するだけでなく、人口構造に安定化をもたらすことが重要である。年少人口比率を13%程度、生産年齢人口比率も53%程度維持した上、老年人口比率の上昇を抑え、それを34%程度で安定化させる。
3、2050年に出生率1.8、これを国民希望水準といいますが、それを目指す。総人口を現状の8割、そして人口構造の安定化を図るためには、年少人口を一定数維持していくことが重要であることから、本市は2060年における年少人口についても現状の8割を維持することを目的とする。年少人口を一定数確保するためには出生率が大きく影響するが、仮に現状の本市の出生率1.19で推移した場合、2060年には6割減となる。国は、2020年に出生率1.6程度、2030年に1.8程度、そして2040年には人口置換水準である2.07を達成し、2060年に1億人程度の人口を確保するとしている。本市では、国民希望出生率1.8を目指すこととし、この目標値を達成することができれば、2060年における年少人口は現状の8割を確保することが可能となる計算としている。
Q以上が、八王子市が具体的に掲げる目標ですが、施策が展開され人口構成がここに絵を描いたように進むと仮定した場合、例として、保育所の待機児童数はどのように推移していくとお考えでしょうか。また、保育所の施設整備の手法、目指していく方向などは検討されているのでしょうか。
A就学前児童数は減少傾向にある一方で、共働き世帯の増加により今後も保育需要は一定の高まりを続けるものと予測している。そのため、認可保育所の施設整備や地域型保育のさらなる活用、国や都の制度を有効活用するなどで待機児数を減少させて行きたいと考える。
Q人口を増やす、という難しい課題に取り組んだ前例はかつてありません。そういう背景で目的を果たすためには、総合戦略を庁内のさまざまな業務展開の中でどのような位置づけにするのかが重要です。子どもの数を増やすという難問は半端な取り組み方でできる類いの課題ではありません。どこかの部署だけがやる気を持って施策を展開しても、それが点であっては何の効果も見出せません。最重要課題として改めて認識していただき、全庁を上げて取り組む姿勢を見せていただきたいと、その必要性を強く求めたいと思いますが如何でしょうか。
A本市のまち・ひと・しごと創生総合戦略は、八王子ビジョン2022の基本計画をもとに、人口減少問題に対応する施策をまとめたものである。この基本計画を具体化する施策、アクションプランは毎年ローリングをかけているので、新たな課題に対しては新規またはレベルアップ事業を盛り込んでいる。
平成29年度予算においても、子どもと子育て世帯を支援する施策の充実、これを第一の柱に掲げており、子育て支援策については最重要施策の一つと考えて取組んでいる。
また、少子化対策においては、単一の所管だけで取り組むべきものではなく、庁内一丸となって進めるべき重要課題であると認識している。例えば八王子版ネウボラなど、複数の所管が連携した取り組みを行っているところであるので、今後も事業内容に応じて庁内横断的に取り組んでいく所存である。
Q平成27年、28年度の施策の中で新たに少子化対策のために取り組んだ施策などがありましたら具体的にお示しください。
A少子化の要因は経済的な理由で結婚や出産がかなわない若者の増加や核家族化による子育ての負担増など様々で、その対策としては、多様な観点から安心して妊娠、出産、子育てができる環境を整えていくことだと考えている。
そこで、市としては、平成27年度に産前・産後期間の家事を手伝うハローベビーサポート事業を開始し、出産、育児に関する不安や負担の軽減に努めたほか、平成28年度には妊娠期からの切れ目のない支援のため八王子版ネウボラ、それから中学生に妊婦や赤ちゃんと触れ合う機会を設け、妊娠や子育てを身近に感じてもらう赤ちゃんふれあい事業を開始するとともに、義務教育就学児医療費助成の所得制限を撤廃するなどの取り組みを行った。
・ここで、イクケン香川という例をお示しします。
本年2月に会派で香川県の子育て支援策を視察させていただきました。この一連の取り組みをイクケン香川というキャッチフレーズで香川県を上げて取り組んでおられます。その内容について簡単に御説明します。
この取り組みは、人口減少阻止を目的に「子育て県かがわ」の実現を目指し、結婚から妊娠、出産を経て子育てまで切れ目のない支援を行うことで次代を担う子どもたちを安心して産み、健やかに育てることができるようにさまざまな事業に取り組み、これによって若い世代の希望を実現し、出生率を向上させることで少子化の流れをとめ、人口の自然減の抑制を図るというものです。全てが新たなメニューというわけではなく、今までも取り組んでいた施策を組み立て直し、結婚を希望する男女の応援、妊娠期からの切れ目のない相談支援体制の構築、子育て県かがわ実現に向けた県内外へのPRという三本柱に整理して施策展開しています。キャッチフレーズは、みんな子育て応援団です。
お話を伺い、さまざまなイベントや取り組みのパンフレットなどを拝見させていただきました。とても期待を感じられる取り組みで、これによりまちや人が明るくなるなという感想を持ちました。
香川県からの人口流出に歯どめがかからない現状を打破するという一面も狙っており、婚活、ペアリングにより香川県に住んでもらうことも大きな目的であるため、縁結びにたくさんのアイデアを出して取り組んでおられました。ちなみに、四国では婚活の取り組みには力が入っており、愛媛県や徳島県、高知県は既に取り組んでおり、香川県は後発隊だとのことでした。
Q八王子市の取り組みと大いに違う点として、香川県のそれには、子どもを産み育てるまでの若者の生活支援の流れを感じましたが、八王子市では婚活などの部分が非常に弱く、子育て支援策に流れを感じないのですが、他自治体の取り組みを勉強していただき、八王子市も改善し、効果的な取り組みとして実践していただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
A香川県の取り組みは、結婚、出産から中学、高校までの様々な子育て支援策をライフステージ毎にわかりやすく住民に発信している点がすぐれていると感じている。
本市でも八王子版ネウボラなど、妊娠期からの切れ目のない子育て支援に取り組むとともに、市民の皆様が安心して子育てができるよう、子育てガイドブックの発行やモバイルサイト・メールマガジンによる情報提供に努めている。今後も市民の皆様にわかりやすい施策の紹介や情報発信に努めていきたいと考えている。
・香川県のキャッチフレーズ、みんな子育て応援団という言葉の響きはすばらしいと思います。八王子市内での子どもたちに関連する苦情についてもお聞きしていますが、本格的・大々的に市を上げて取り組むことで風潮をつくり上げ、それにより苦情など言えない包囲網を形成することができるのではないかと思います。
また、四国に伺うと人の気持ちが温かいなと感じることが多くあります。人を応援する、大事にする取り組みが定着していると、人の心も変わってくるのかもしれないと思うのです。
まち・ひと・しごと創生総合戦略の取り組みを、本腰を入れて大々的に行うことで、そこに生きる人たち全員が意識し、協力する風潮が生まれ育つ、このことが大事ではないでしょうか。
・さて、まち・ひと・しごと総合戦略を初めて説明されたときから、少子化を改善することなど、冊子にまとめただけで解決できるような簡単なことではないと考えていましたが、その後の市の取り組みはその疑問を払拭してくれるレベルではないと感じます。
香川県のイクケン香川の取り組みを紹介しましたが、四国では人口減少を肌で感じる状況下にあり、香川県は全庁どころか外部組織も様々に協力体制を構築し、更なる施策の改善にも現在進行中で取り組んでいます。
Q八王子市でも、今まで私が見たことのないような部門を超えた協力体制を構築して全庁を上げて取り組む姿を見せていただきたいと思っています。この取り組みを本気で行ったときには、この副次的効果として、人口減少社会でも明るい世の中をつくっていくことが期待できると今回の質問をまとめていて確信しましたので、これからの取り組みに期待したいと思っておりますが、今後の取り組み姿勢についてなど総体的にお答えください。
A例えば、歴史的に見ると、昭和初期の日本の人口は現在の半分、約6,500万人であり、現代の半分の人口にもかかわらず、14歳以下の人口、年少人口の割合を見ると、昭和初期の36%に対して、現在は12.5%、将来的にはこの年少人口が10%程度になる見込みとされている。つまり人口減少を考えた場合、人口構造の変化、とりわけ年少人口の構成比が低くなることに問題意識を持つべきものと認識している。そのため、本市の総合戦略では、目指すべき将来の方向の一つに人口構造の安定化を掲げ、本市の活力を維持していくために必要な施策を展開することとしている。
今後も人口減少という課題に全庁的に向き合い、市民の皆様と危機意識を共有しながら、本市が持続可能な都市として将来にわたり活力を維持していくために積極的に取り組んで行きたいと考えている。
・市内の保育園や小中学校に対する苦情の現状についてもお答えいただきましたが(本報告のまとめ方の都合で後にある「子どもを育てるための社会整備の視点から」の欄に詳細があります)、ひどい現実にあるというのが私の認識するところです。私は現代の都会病のような自己中心的な考えで世の中に協調しないわがままな風潮を根絶したいと考えています。そんなことを言っている場合ではないのだということをもっと積極的にアピールすべきです。市民全体が、他の市民の生活や子育てに一定の理解を示し、個人優先ではなく、優しい気持ちを持っておおらかに協力しているまち、こういうまちをつくり上げていただきたいと思っています。
そのためにも、まち・ひと・しごと創生総合戦略のPRと本気の取り組みを市民の意識改革に結びつけていくことを望みます。
人口減少・超高齢社会の進展というと暗い課題に捉えられますが、取り組み方次第でゆがんだ世の中を是正し、明るく生きる基本を思い出させるきっかけにさえできるのではないかと思うのです。
Q社会の実情は、出生率の計算の分母となる対象年齢の女性数が、当面の間、人口比率が改善されない限り年々減少していくため、出生率が上がっても子どもの数は前年より減少するといったパターンが容易に発生します。子どもの数を増やし、人口減少を食い止めるという目標を達成するためには、出生率ではなく、生まれてくる子どもの実数での目標設定がふさわしいのではないかと思うのですが、出生率での目標設定を行う意義を教えてください。
また、保育園や学校などの施設整備においても、実数で将来を見通したほうが具体的な施策を進めやすいのではないかと考えますが、これについても合わせてお答えください。
A出生率は1人の女性が一生に産む子どもの平均数を示している。この出生率の指標は、今後の人口推計を行う上で長期的な傾向を知るために重要な指標であるとともに、年次比較や国際比較、そして地域間の比較に適したものであると認識している。
一方、子どもの実数を表す出生数は社会動態の影響を受けやすく、年次間のばらつきが起こることから目標設定としては考えていないが、現在、保育園や学校などの施設整備に当っては、出生数の動向も踏まえて検討している。
・近年、様々な場面で、俗に言う近隣住民からの苦情に整理される事象が増加しており、こういった事象が子どもたちを伸び伸びと育てる上で大変大きな障害になっていると感じています。
・新たな保育園の建設が立地候補地周辺の住民の反対で頓挫した例です。
2016年5月、八王子市内で認可保育園の移転拡張計画が住民からの子どもの声対策を求める要望で頓挫しました。これは読売新聞に朝刊の3面で大きく取り上げられ、この記事によると、市内の他の場所での新設計画の中止があったことも報じられています。また、既存の保育園でも園児の声がうるさいなどの苦情が発生しており、担当所管で対応しているようです。果たして、現代社会において保育園は迷惑施設なのでしょうか。
Q保育園の新設・移転計画の頓挫の件について詳しく教えてください。
Aこれまで2件の取り下げがあった。
1件は既存の保育所が近くの土地に移転し定員を拡充する計画を進めてきたが、建設説明会において子どもの声の対策として自宅の窓を二重にして欲しいなどの要望があったことにより、結果的には既存園での保育を継続することとした。
もう1件は、新設の保育所の建設に当たり、近隣の方への事前説明、建設説明会を3ヵ月間に3回開催し、いただいた御意見に対する対応策をお示しするなど丁寧に説明を行ったが、理解が得られずやむなく計画を断念するものになった。
Q保育園・幼稚園関係で寄せられている苦情の内容など、その実態についてもお答えください。
A担当所管課には苦情や要望と言えるさまざまな御意見が届いており、月に10件程度の苦情などが寄せられている。内容は、送迎時の保護者や園児、それからあと保育活動中の園児の声に対するもの、それから園舎から漏れる音楽に対するものなどがある。
・小中学校の行事や部活動に対する近隣からの苦情が多いとお聞きします。
ある学校では、運動会の前などは校長先生を先頭に近隣に御挨拶に回って、何とか苦情にならないようにお願いをされているとのことで、そんな世の中なのかと愕然とします。
Q小中学校関係で寄せられている苦情の現状について、教育委員会に来ているもの、学校で対応しているものを含めてお示しください。
A苦情の現状としては、運動会、体育大会、水泳指導等におけるマイクや太鼓等の騒音、校庭からの砂ぼこり等多数があると報告を受けている。
Q学校が近隣対策でどのくらい苦慮しているのかということについて、教育委員会で把握している状況と見解についてお答えください。
A対応で苦慮していることとしては、近隣の住民への理解を得るための周知活動、また苦情に来られた方への対応等で多くの時間を費やさなければならないことなどと考える。
見解としては、子どもたちはこれからの社会を担う一員として育てることが重要であり、地域、保護者の方から温かい目で見守ってもらい、地域環境の中で学校と協力して育てていくことが必要であると考えている。
・新たな障害者通所施設建設に対する近隣住民の反対、公園で遊ぶ子どもたちへの苦情、高校のブラスバンド部が市の体育館を借りて練習するとうるさいなどと近隣住民からの苦情が寄せられる等々、他にもたくさんあるのでしょう。
・全国的に苦情の内容を整理すると、園庭や室内から聞こえてくる子どもの声がうるさい、運動会の練習や行事の際の声や音が気になる、太鼓やピアノなど楽器の音がうるさいが上位3点だそうです。深夜までそれらが響いたりしているわけではないですし、こんなことで目くじらを立てていること自体がくだらないし疲れるのではないかと個人的には思います。
・一般的には、子どもたちの行動、活動を普通に理解して大目に見てくれている大人のほうが圧倒的に多いと思いますが、一部の人の言動が子育てしやすい環境づくりを阻害します。理不尽な苦情一つ一つに丁寧に対応せざるを得ないのは、子どもたちに危害を加えられてしまうなど苦情以上の事態、事件に発展することを考慮してのことだと思いますが、社会的に協調できない大人の増長は、情けないことですが大きな社会問題の一つだと思います。
Qこういった苦情はある程度仕方ないと諦めて対応しているのか、どういった方法により苦情は減少させられると考えるかなど、子どもたちの施設や行動に対する苦情についての御所見をお聞きします。
A施設へ寄せられる苦情については、近隣住民の方への話をよく伺い、お互いの立場を尊重しながら根気よく話し合いをすることが理解につながるものと考えている。
そして、子どもの安全・安心を守るという観点を第一に考え、地域とのよい関係を継続することで苦情が減少するものと考えている。
・実際に子育てをしていて実感するのは、手がかかり仕事との両立に苦慮するのは幼少期だということです。保育園や幼児保育など、幼少期の子育て支援施策の充実は、その年代の子どもを抱える親のみならず、これから結婚して子どもを育てたいという年代の方々への誘導としても非常に大事なことです。八王子市は保育園の待機児童問題で苦労しませんし、子どもが万一体調を崩してもさまざまに協力してくれる施設や制度が充実しているから、安心して八王子市に住んで子どもを産み育ててくださいという背景の構築は少子化対策を進める上で必須です。
子育てを支援する姿勢を充実させて事前に見せることができないと、出生率の向上など期待できるものではありません。当然ですが、勤める企業、職場での子育て支援のための労使協定や制度設計を充実させていく取り組みも並行して進めていくことも大事だと加えて申し上げておきます。
・施設整備に関しては、つくり過ぎて将来の負の遺産にしたくないという考え方は理解しますが、それはあくまでも現実のまま少子化が進んだらという前提での考え方であって、何を基準に施設整備を進めるかと問われれば、現実ではなく、施策展開による将来像を基準にすべきですから、その視点から考えると現状の施設数では足りませんし、今後の超高齢化による労働力不足による女性労働力へのさらなる期待なども考慮すると、もう少し施設が必要だと結論づけるべきだと思います。
Q施設整備を含めた子育て施策全般の充実は現在のように現状を見ながら追いかけていくのではなく、少子化対策を成し遂げていくのであれば、今後は先行していくくらいの気概が必要ではないかと思いますがお考えを伺います。
A現在本市では、第3次子ども育成計画、ビジョンすくすくはちおうじの基本理念である「みんなで育てるみんなが育つ はちおうじ」の実現に向けさまざまな事業を行っている。
今後も市民の皆様が安心して八王子で子育てしていただけるよう、将来を見据えながら施設整備、それから子育て支援の充実を図っていく。
・現在の保育園や学童保育所の実情はどこも満員です。これは待機児童解消のために施設を改装・改造してぎりぎりまで定員をふやしたりした影響からだと思いますが、保育園では保育室は子どもであふれかえっており、さらには行事の際に使う備品の倉庫が確保できていなかったり、保育士の方の休憩場所が確保されていない園もあります。保育士不足が懸念されていますが、賃金の問題だけではなく、保育士の労働環境整備も充実させる必要性を感じます。
また、施設の性質上、毎日使い続けているため、建屋や設備の消耗が激しく、こういった園を立て直したり修繕することを考えると、保育定員100%の受け入れではなく、90%くらいの利用率で施設運営していただくくらいの余裕が必要ではないかと思います。
学童保育所においては、保育園以上にどこも狭いと感じます。学校の理解をいただき校庭などを開放してもらい利用しているところが多くありますが、雨の日は校庭を使えませんから、皆が保育所内にいます。ぜひ雨の日の学童の中をのぞいてみてください。子どもたちがひしめき合っており、狭いということが一目瞭然で御理解いただけると思います。現在の学童保育所は学校の敷地の一角に建っているところが多く、現状での施設面積の拡大は無理です。新たな保育園や学童保育所をつくることは苦情の質問でお答えいただきましたが、現状では近隣との調整が難しいケースも多く、なかなか難儀な課題です。
・既存の保育園に対する苦情もあるようですが、既存の施設の拡大のほうがまだハードルは低いのではないかと想像しながら幾つかの施設を見て回りましたが、どこも敷地は精いっぱい活用しています。現状の囲いの中での増築はなかなか難しいなと思いつつ、保育園や学校に近接して公園があるケースが結構あることに気がつきました。世田谷区などは公園内に保育所をつくる取り組みを行っていますが、そこまで大々的ではなく、公園の一部を利用した施設増強は検討してみる価値があるのではないかと思いました。保育室はつくれないにしても、倉庫や職員の休憩室は可能ではないかということです。公園に限らず、公用地が近隣にあれば、その有効活用も含めてです。
公園がなくなったり、狭くなることに反発する人は絶対に出てくるような感じがしますが、居住の近くに満足する公園がある人のほうが圧倒的に少ないので、これに対してはわがままだと毅然とした程度で一蹴できるのではないだろうかと考えます。
Q個々の施設によって状況は違うと思いますが、公園や公有地の積極的な利用により保育園や学童保育所の使えるスペースを拡大する施策を検討していただきたいと考えますが如何でしょうか。
A現在、保育園や学童所が公園などを活用し保育スペースを広く使用しているような取り組みは行っていませんが、例えば公立の施設では、保育活動に必要な用具の保管場所に保育スペースをとられるケースも見受けられるため、各施設と創意工夫で保育士の就労環境の改善や保育スペースの確保に努めている。今後も公園の利用については、新たな選択肢の一つとして検討して行きたいと考える。