Q:八王子ビジョン2022アクションプラン実施計画の中に中心市街地活性化の推進とあり、中心市街地の総合的な再生として、「回遊性の向上により中心市街地の活性化と防災性の向上を図るため、市街地再生計画を策定し、民間投資による市街地更新を促進するとともに、優先度の高い街区の主要幹線道路及び細街区を面的に整備する」とあります。ここには平成26年度から30年度までの年次スケジュールが示され、整備対象エリアは「子安神社通りの八王子駅前通りから国道16号までの区間」「その周辺区域3つのブロックの細街路」となっています。
子安神社通り付近整備計画とは別に、中心市街地総合再生計画というものが検討されており、この計画の対象は八王子駅南口方面までも含めた広範囲となっており、八王子駅を中心とした地域全体の活性化を目的とし地域に合ったまちづくり計画を検討しているものです。
2つの計画について、双方の計画の位置づけと関連性、整合性についてお聞きします。
A:総合再生計画は都市再開発法に関する制度要綱に基づくものであり、建築物の老朽化や土地の利用効率が低い街区など、市街地の改善や高度利用を必要とする地区について調査を行い、市街地整備の方針と計画を定めるものである。
これらの計画の関連性は、中心市街地における商業環境の活性化をハード面から支援するものとして、総合再生計画において街区ごとの整備の方向性を示し、細街路整備により回遊性の向上を図ることでこれまでのソフト面の支援とあわせて総合的な活性化を目的としている。
Q:同時進行している中心市街地における子安神社通りの整備と総合再生計画との整合性について理事者はどのようにお考えになりますか。
A:【村松満副市長】
中心市街地における総合的な再生については、子安神社通り整備などの各事業と、総合再生計画の間で整合性を確認しながら、着手できる事業はできるだけ早期に実施することで、地域の期待に応えていく必要があると考えている。道路の整備は、沿道の活性化に対する即効性が期待できることから、総合再生計画に示されるコンセプトを十分に反映させながらスピード感を持って対応していきたいと考えている。
※中心市街地においては過去から多くの予算をつぎ込んでいますが市民の皆さんからは一向に褒められません。例えば通りを1本整備しても中心市街地が広いためかアピール度は低いようです。また黒塀通り再生を目指した施策を例に取れば、中心部から少し離れており範囲も狭いため市民でも何処?という感覚で、これを周囲に広げていくような年次計画もなく、その部分だけで終わってしまっており大いにもったいないと感じます。様々な施策が点で終わってしまい街全体として整備していくつながりがなく、更には思いの伝え方が下手なため、せっかく少しずつ整備しても街の風景が変わってきている実感がなく評価されていません。
私は以前から「部分的な整備に終わってしまう改良はやめたほうがよい、全体像を1度描いてそれに向けて進めたらいかがか」と申し上げていますが、全体の設計図を描こうというものが総合再生計画だと期待しています。
Q:先日、会派の視察で大分県中津市の商店街を見てきました。日中の中津商店街はほとんど人が歩いておらず、商店街はかなり厳しい状況です。中津駅からは徒歩圏内に現在のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」ゆかりの中津城があり、黒田官兵衛資料館が開館し、駅前や周辺道路、まちなかを流れる河川の遊歩道などはきれいに整備されており、視察時にも商店街につながる市道整備工事が実施されるなどしていました。しかし、観光バスで中津城に直接来てそのまま移動してしまい、観光客が商店街に流れてこないというお話をお聞きし、まるで高尾山と中心市街地にどこか似ているなと思いました。せっかく行政として予算をつぎ込んでも、全体の統一した方向性を示し、関係する全てが目的に向かないと効果が生まれないのだと感じました。
八王子市の中心市街地における総合再生計画や子安神社通り付近整備計画策定においての行政側の考え方と地元側の考え方の整合など、関係する箇所全ての思いを集約する取り組みについてどのように考え実施されているかについてお聞きします。
A:行政側の取り組みは、中心市街地総合再生計画の作成に向けてまちづくりの専門家による懇談会を設置し検討を行うとともに、細街路整備についても八王子ビジョン2022アクションプランに位置づけ実施することとしている。地元側の取り組みは、一般社団法人まちづくり八王子の主催による地区別勉強会を実施するなどしている。行政側と地元側の思いを同じ方向で議論できるよう、今後は個別の懇談会や地区別勉強会等を通じた意見を取り入れ計画づくりを進めて行きたい。
Q:中心市街地活性化のために取り組むべき重点事項が様々にあると感じています。その中から3つの項目についてお聞きしたいと思います。
まず交通関係についてです。中心市街地を取り囲む道路は車の流れがスムーズではありません。子安町五差路、明神町五差路、八日町交差点など、混雑する交差点が多くあり、また、国道16号はJR中央線の踏切があることから車の通過に時間を要するイメージがあります。この状況をわかっている方々は、さまざまな方面から中心市街地内を抜け道に使っており、中心市街地を通り抜けるだけの自家用車が大変多い印象があります。周辺道路を含めた交通政策について検討されていることをお聞きします。
A:平成21年3月に、市と地元商業者や町会代表から構成される協議会により出されたJR八王子駅周辺交通環境改善報告書で示された内容について現在検討を行っている。
Q:次に景観に関してです。先日私的に訪れた那須塩原温泉地区では、広域にわたってまちの色が茶系に見事に統一されています。家や店舗などの壁や屋根などは当然のこと、この範囲で操業する店舗や会社は、自社のシンボルマークのデザインはそのままですが、色は全て同一に茶系です。セブン-イレブンやローソン、出光やシェル、ガストやデニーズ、こういったところまで見事に那須塩原用の茶系の看板になっています。そこまで行うか否かは、まちの形態やまちづくりに対する考え方によって違ってきますし程度には考え方の差もあるでしょうが、まちづくり計画の中では色調をどのようにしていくのかということは大事な要素だと思いますし、色調の統一は街を魅力的に見せる大きなポイントだと考えます。街の色調を含めた景観の角度からの検討はどのようにされているのかについてお聞きします。
A:基本的には八王子市景観計画に示された方針及び景観形成基準に基づき形成されるものと認識している。あわせて懇談会の場においても、中町地区まちづくり協議会が取り組んでいる歴史と文化が薫るまちづくりを一つの事例として取り上げ、景観に関しても地区まちづくり計画の策定に向けた取り組みを参考にして検討を行っているところである。
Q:続いて人の流れに関してです。八王子市の中心市街地の商業者の方からお聞きする話に、過去に市役所が市街地にあり、NTTなどの大きな企業も八日町付近にあったころの朝夕には人がたくさん歩いていた、というおとぎ話があります。そのころと比較して、現在は人通りが大きく変化してしまい、まちを歩く人の数が少なくて寂しいということですが、歩行者の通行量調査などをするまでもなく、見た目に歩行者が少ない現状に対して取り組むべき施策はどのように捉えられているのかお聞きします。
A:歩行者の数を増加させるには、魅力あふれる道路空間の整備とともに、回遊の目的場所となる滞留拠点の整備が必要であると考えている。地元商業者等の方々による地区別勉強会においても、地区ごとに滞留拠点整備のイメージについて検討されていると聞いており、今後計画策定に当たり地区別勉強会の結果を適宜参考にしていきたいと考えている。
Q:中心市街地周辺にはマンションが多くできていますが、そこに住む方々がどのぐらいの効果を上げているかということは、市内近隣の駅で周囲が住宅地の駅をイメージすれば簡単に理解できます。私の最寄り駅の北野駅周辺は住宅地ですが商店街は大きく拡大しません。住居ではだめなんです。消費人口を増加させるためには、周囲から集まっていただける、例えばオフィスなどを誘致していかなくてはならないと考えます。総合再生計画の中でそういったオフィス街のような区画を考えることが必要だと思います。
また、現在は八日町付近を通る路線バスは八日町より八王子駅寄りで乗車すると一律100円で乗れます。これは人の流れをつくるという視点から見ると全く逆だと思います。八日町や横山町でおりて市街地を歩いてくれたら100円安くする。そういった考え方が必要だと思います。また、学生のバスを駅につけていますが、学生バスの乗降場所は中心市街地を抜けた先につくることで人通りをつくることができますので、これも逆ではないかと思います。人の流れをつくるには、それこそアイデアが必要ですが、取り組み甲斐があると思います。どのようにお考えになりますか。
A:中心市街地における業務系の土地利用については、人が集まる施設立地が可能なため誘致範囲を定めるとともに、企業立地支援条例との連携により促進を図ることが重要であるものと考えている。
また、路線バスからの人の流れについては、一つのアイデアとして参考とすべきものと考えるので、今後はバス利用者や商店街などの意向、また、バス事業者の考えを踏まえた中で議論を行っていきたい。
Q:市民の方々から中心市街地に関して様々な苦言をいただく機会が市にも議員にも多くあります。立川や町田、橋本などの近隣駅前と比較され「八王子は何をしているんだ」というものが多いのですが、こういった苦言を裏返せば「何とか元気なまちにしてもらいたい、楽しいまちをつくってほしい」と興味を持ってくださっていることだと思います。こういった苦言を含めた御意見は過去から山のようにあると思いますので、しっかりと整理していただき今後の街づくりに生かしてほしいとお願いをしておきます。
問題点の抽出や検討すべき肝を間違えずに深く丁寧に実施すれば、近隣都市に比較できないようなすばらしい再生ができると期待しています。再生にかかわる事前検討を鋭意進めていただき、今後5年、10年かけて、明らかに今までとは違った、市民の方が実感できる成果を上げていただきたいと思いますがお考えをお聞かせください。
A:総合再生計画の検討を進めるに当たっては、地元商業者などの方々を中心とした地区別勉強会の開催、また、関係団体との意見交換を行っており、これらを通じてこれまでにないまちづくりの機運の高まりを感じている。議員御指摘のとおり、市民や商店街の方々などの御意見、御要望を受けとめ、魅力ある中心市街地の再生が見える化できるようしっかりと取り組んで行きたい。
Q:客引行為等禁止条例は、平成26年6月1日から施行されており対象地域は八王子市全域とし、中心市街地は禁止行為防止重点区域に指定されています。禁止されている項目として、客引き行為、スカウト行為、客待ちスカウト待ち、つきまとい勧誘行為となっています。この条例については、私個人としても、夜の中心市街地にうじゃうじゃといるとても目ざわりな客引きなどが一掃されるだろうと大いに期待しておりました。しかしながら、一掃どころか、余り減らないという印象です。例えば三崎町交差点付近や一平ラーメン入り口付近の路地、手まり寿司の前の路地などにいる黒い服を着た連中は一向に消える気配がないと感じています。
現状について幾つかお聞きしますが、6月1日の条例施行以降に現地でこういった呼び込みなどに指導を行っている人に対しては、どのように指導方法などを徹底しているのかお聞きします。
A:指導員にいては、警察官OBの嘱託員や八王子駅周辺の町会、商店会から推薦を受け市が任命した方に市民指導員になってもらい、客引き、スカウト行為などの指導を行っている。指導方法は、警察署のアドバイスを受け、講習会やパトロール開始前のミーティングにより意思統一を図り、客引きなどの行為を確認したときは随時指導を行っている。
Q:条例に付加されている悪質な行為をする者に対する罰則規定を教えてください。
A:客引き行為やスカウト行為については、条例改正により指導ができる規定を設けており、地元の市民の皆様とともに指導等を行うことで、まずは客引きしにくいまちづくりに取り組むこととし、罰則までは規定していない。ただし、執拗につきまとう勧誘行為については、指導、警告、勧告、公表という段階を踏んだ規定を設けており、東京都の迷惑防止条例違反等の罰則の適用もできる。
Q:条例施行後の効果をどのように評価しているのかお聞きします。
A:条例改正後の効果は、市民、警察、市が連携して健全なまちづくりのために取り組んだ結果、改善されたという意見をいただいている。また、警察への苦情の件数も減ったと聞いており、成果はあったと評価している。しかし、それに反して、遅い時間帯においては変わっていないという御意見をいただいているのも事実でであり、いまだ横行している現状については、さらに警察との連携を深め、指導強化を図っていきたいと考えている。
Q:市長にお聞きします。市長は、中心市街地の生活安全パトロールに参加しておられますが、条例施行前後を比較してどのような感想をお持ちで、どのように評価をされていますか。
A:【石森孝志市長】
条例改正後、客引き行為の禁止については、市と警察といった行政だけではなく、地元町会や商店会の皆さんに指導員になっていただき、パトロールや啓発活動に参加をしている。御質問のように夜遅くの風俗店等の客引きについてはそれほど減っていないという状況が確かにあると思うが、居酒屋の客引きについては大幅に減少したと感じており、かなりの効果があったと認識をしている。
Q :答弁の中では「効果があがっている」ということですが、先週の金曜日夜23時ごろ中心市街地を通りましたら、ものすごく沢山の呼び込みがいました。市長が減ったと言われた居酒屋の呼び込みも多く見ました。パトロールなどと時間をずらして出てきているのです。
ある日22時頃にドン・キホーテ横の黒服がたまる場所を通りましたら、取り締まりの腕章をした男性が2人、遠目にその集団を見ていました。一向に黒服に近づかないので、なぜ積極的に注意しないのかを聞きましたところ、取り締まりの男性いわく、条例では、ただ立っているだけでは注意できないということでした。
ところが、改めて条例を見ましたら、条例にははっきりと、客待ち、スカウト待ち、これらの客引きやスカウトをする目的で客や相手を待つ行為は禁止されると明記してあり、ただ立っているだけでも注意できることになっています。加えて黒服の連中は非常にマナーが悪く、路上でたばこを吸いながら、その吸い殻を周囲に投げ捨てます。この地域は他の条例で路上喫煙禁止地区にも指定されているわけですから、その視点からでも注意することができます。それなのに指導員が積極的な行動をしないのはなぜでしょうか。
A:通行の妨げになるような、また、つきまとうような客引き行為はなくなることが望ましいことであり、警察署をはじめ地元の皆さんと取り組んでいるが、現在のところ、居酒屋等の客引きは減少したが、一部道路使用許可をとってのチラシ配布にかわって立っている状況も見られる。改正した条例を効果的なものとするため、指導方法を見直し、効果的な指導を行っていきたいと考える。
Q:道路使用許可を取ってチラシをまいたりしている者もいるとのことですが、道路使用許可を出すのは警察です。警察の所管が違うとかという理由があるのかも知れませんが、条例施行にあたって警察とタイアップしているのですから、そのような行為をする者に道路使用許可を出すことをしないよう警察にお話ししていただきたいと思います。
また、この条例によってどのような結果を導きたいのか、中心市街地の街づくりによりつくり上げたい街のイメージもきちんと合わせて目的をはっきりさせていただきたいと思います。
最後に市長にお聞きしますけれども、中心市街地再生と整合させた取り組みが必要でありそういった視点で目的を再度明らかにした上で、目標達成に向けた取り組みを強化していただきたいと思いますがお考えをお聞かせください。
A:【石森孝志市長】
八王子駅周辺の中心市街地については、八王子の顔であり、客引き行為の規制は中心市街地の健全でにぎわいのある安全で安心なまちづくりが目的である。同様な課題に取り組んでいる自治体もそれぞれ地域特性を踏まえた対策を実施しており、本市においても、引き続き安全・安心なまちづくりに向け本市の地域特性を踏まえた対策に積極的に取り組んでいく所存である。