平成24年第3回(9月)定例議会報告
一般質問の内容についてご報告させていただきます。
【一般質問】
1.再生可能エネルギーの普及促進について
Q:東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以降、新たな電力供給方法の普及促進が活発になりました。「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき本年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が開始されました。この制度は太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電といった再生可能エネルギーによって発電した電気を国が定めた価格で一定期間、電気事業者が買い取りすることを義務付け、その買取りに要した費用は電気を使用するすべての人が負担する、という制度です。
この法律の問題点は、まず買取価格がべらぼうに高いことです。太陽光発電34円~42円、風力発電23円~57円、地熱発電27円~42円で、原子力発電6円~8円、火力発電10円~16円程度の実質単価と比較して2倍から5倍以上となっています。定額で10~20年の長期間に渡って買い取ることも問題です。発電側は一度売電契約してしまえば安定して高額収入が得られます。この高い発電単価の負担側は電気使用者全員となり、普段の電気代に上乗せとなり、今までどおりの電気使用量でも再生可能エネルギーで売られる電気が増えれば増えるほど一般家庭の電気代が高くなるしくみになっています。
ヨーロッパでこの制度を導入した国の前例では、結局設備を積極的に維持・導入しているのは資金力のある企業など完全に商売として行っているところだけです。金持ちが作った電気を貧乏人が買うといった構図になってしまう訳で、現在はドイツやスペインなど自然エネルギーによる電力買取制度を導入していた国々が軒並み国民生活に大きな負担となると判断し、買取制度そのものを見直し、または停止させています。先行して実施したヨーロッパの国々に様々な問題点が生じており社会問題になっているにも関わらず、全く審議せずに導入されている制度がよいものである訳がありません。
巷では大手企業が再生可能エネルギー発電のスペースを血眼になって探しているという噂を聞きますが、おそらく本当のことでしょう。
八王子市は再生可能エネルギーの普及促進を進めていく方針です。大枠には異論はありませんが、その方法について疑問があります。現在、普及促進に小中学校の屋上など屋根貸しについて検討されています。これは太陽光発電で商売をしたいという企業に小中学校の屋根を貸す訳ですが、私はこれが行政としてやるべきことなのか大いに疑問があります。本年第2回定例議会では太陽光発電に利用するスペースを機器の設置が可能かどうか調査し、屋根貸しを含めて今後検討していく、といった内容で調査費用としての予算計上がされました。設置可能かどうかの調査検討であればそれを否定するものではありませんが、これが屋根貸しありきの話しであると大いに異論があります。
行政として行うべき再生可能エネルギーの促進は、発電した電気を公共施設などで使用して電気使用量そのものを削減し、余剰分があればそれを売って直接収入にするといったところまでではないかと私は思います。小中学校の屋根にソーラーパネルを設置するのであれば、その電気を学校施設で使うことを前提にして、市の負担する電気料金の削減を図り、生徒に太陽光発電のシステムなどを通じてエネルギー環境教育につなげていく、そういった設備にすべきだと思います。
市長の公約に再生エネルギーの普及促進があったと思いますが、小中学校の屋根貸しは公約のそれとは違うと私は思っています。
市長にお聞きしますが、ご自身の公約にある再生可能エネルギーの普及促進とはどういったことを指しているのか、また買取法が貧しい側にいる人たちにどれだけ厳しい状況を作ってしまうのかなど総合的見地からどのようにお考えになっているのかお答えください。
A:(石森市長)
温暖化防止を進めるためにも再生可能エネルギーの普及拡大を積極的に進めたい。第2回定例会でご同意いただいた調査委託とは別に、小中学校の屋根貸しによる手法で事業を進めたい。この手法は事業者を利するものではなく市が経費を掛けずに民間の力を活用することで進めるものであり、総合的に判断したうえで全体の事業進捗を図っていく所存である。災害時に避難所となる小中学校の電源を確保することを主眼に、かつ環境教育の充実にも資することができるものと考えている。
Q:市長の回答に、災害時の避難所となる小中学校の電源という言葉がありましたが、そうお考えならば通常から太陽光発電は小中学校の電源として常時使っておくべきです。屋根貸しにより設置した発電設備は小中学校の設備ではなく発電所としての扱いになりますから電力系統的に複雑になり緊急時の必要な電力量を全て確保できるのか大いに疑問があります。
また、再生可能エネルギーの普及促進は市単独で進められることではないという考え方を述べられましたが、そのように考えるのであれば余計に普及促進を進める前の段階で細かな方針についての議論が必要なのではないでしょうか。見切り発車的に民間に商売をさせる土壌をタダ同然で貸すことが全体の普及計画の中でどのような意義があるのか、一度貸してしまえば買取制度上は20年間買取りが続く供給契約となりますから学校の改築を含めた設備変更なども制約を受けることになります。
現在の再生エネルギー買取法は生活が貧しい側が不利で、これはそのまま生活の格差拡大につながってしまいます。市の行おうとしている屋根貸しは単純な発想のもとに実施すべきものではありません。
市民にとって行政は「いかによい行政サービスを自分たちに提供してくれるか」ということが全てであり、行政とは何をすべきかという判断はこういったべースから考えるべきで、私は屋根貸しが市民全体に対するよい行政サービスであるとはお世辞にも言えないと思います。
八王子市が進めようと考える再生エネルギーの普及促進について全体計画を含めてきちんと議論をする場をまずは設定していただき、再生エネルギー普及計画を行政という立場をしっかりと認識したうえで定めてから、それに沿って事業展開する作業が必要だと思います。その中で小中学校の屋根貸しについても再度議論する場を設けていただくこともお願いしたいと思います。市民に真にプラスになる再生エネルギー普及促進とはどういうものなのか、基本的な部分から議論する場をいただきたいと考えます。
2.八王子市立(公設公営)保育園について
Q:公設公営保育園は八王子市内に10園あるが、今後の施設整備計画と、公設公営保育園として運営していく意義についての考え方をお聞きします。
A:市域を5に分けた各ブロックに2園ずつ配備してこども家庭支援センターとの連携による子育て支援の中心的役割を担わせることとして、こども家庭センターや保健センター等との公設公営ならではの連携により要保護児童に対する見守りや障がい児保育の充実など多様化する保育ニーズに応える役割など、当面は現在の10園体制で運営していく方針である。
Q:地域ブロックでの回答がありましたが、由木地区には存在しないため市内全域に均等に設置する必要性があり、今後の施設整備計画が必要ではないかと考えますが如何でしょうか。
A:由木地区への新たな設置は財政面から非常に難しい状況だと判断する。当面は子安、北野保育園でサポートする形で進めたい。
Q:公設公営保育園は設立から35年以上経過している施設がほとんどで老朽化が著しく、また職員の労働環境整備が必要な園が多くあります。一度思い切った予算計上をして設備改修を早急に実施する必要があると思いますが市長の考えをお聞かせください。
また、保育園への送迎時の近隣とのトラブルが多いとお聞きしています。これは保育園の施設のみで解決できる問題ではなく、ケースによって例えば道路事業部など他の部署の協力が必要なケースがあると思います。部門を超えた協力体制の確立についてのお考えをお聞きします。
A:(石森市長)
財源に制約はあるものの、保育園の改修の必要性や緊急性の優先度を踏まえて計画的改修を実施していく必要があると認識している。安全で快適な保育環境が提供できるよう、順次進めていく考えである。
(村松副市長)
各所管の創意工夫と部門を超えた協力をもって問題解決につなげたいと考える。今回の例に限らず部門を超えた協力体制というものが、今後の市政運営において肝要だと考えている。
その他の質問項目
健康づくりサポート・ランニングステーション設置に向けて