こんにちは、八王子市議会議員・民主党の相沢こうたです。
○先日(7/22)京王八王子駅々ビル9階の書店で女性2名が死傷する無差別殺人事件が起 きてしまいました。33歳の容疑者(男・自称会社員)が包丁で無差別に人を刺し、書店でアルバイトで働いていた22歳の中央大学3年生の女性が死亡、他に女性1名が切り付けられて怪我をするという痛ましい事件です。被害にあわれてしまった方には心よりご冥福をお祈りいたします。この事件は今年6月に発生をした秋葉原での無差別殺人事件と酷似しており、同様の事件が二ヶ月弱の期間に東京都内で発生したということは、いつ誰の
前でこのような事件が起こっても不思議ではないということにもなり得ると思います。私は今回の京王八王子での事件発生を聞いて深くショックを受けました。と同時に重く受け止め、私たち議員が一種のキャッチフレーズのように口に出している「安心安全なまちづくり」という言葉は一体何なのか、その言葉を漠然とした言葉ではなく実現性のあるものとして早急に展開をしていかなくてはいけないと感じました。今回はとても身近で起きてしまった事件をきっかけとして、政策として今後展開していかなくてはいけないことについて考えていることをお伝えしたいと思います。
○7月22日に発生した京王八王子駅々ビルでの無差別殺人事件では、事件の真相が明らかになるにつれて様々な社会問題が重なった結果がこの犯人像を作ってしまったように思われてなりません。今後、このような悲惨な事件を起こさないために、そして被害にあわれてしまった方の犠牲を無駄にしないために、しっかりとこの事件の本質と問題点を捉えた上で対策を提言し、市で出来ることは早急に実施をし、国政や都政に働きかけていくものは率先して発言をするなどして、実現に向けて努力していくことが私のやるべき仕事だと思います。
1.事件の容疑者についての報道内容
○容疑者(男・33歳)は高校中退(高校には一度も行くことがなく退学)後、定職につかずに職を転々としたといい、今年5月から市内の金属部品製造会社で働き出したが一週間後に怪我をして休職中。5月末からは生家に戻っていた。
○家庭は経済的には普通の家庭。家族は両親と姉3人、弟1人。高校中退後は家に寄り付くことが少なくなり、ほとんど音信不通であった。ただ、中学時代は母親と一緒に買い物をする姿がよく見られたりしたという。
○事件の動機については事件当初からいろいろと報道されているが「大きな事件を起こせば親が心配してくれると思った」「家族関係で不満があった」「家に居場所がなかった」など家に対しての不満を多く話しているが、親は「家族の仲はよかった」と困惑しているという。
また殺傷した相手については「誰でもよかった」と無差別に事件を起こしたと供述している。
(記事・読売新聞より)
2.事件から読み取る社会問題
①教育の側面から
○そもそも教育というものは、まずは家庭が子供を教育(人間・社会などの基本中の基本)して学校、社会へとバトンをつなぎながら行っていくべきものです。しかし年々そういった基本が崩れて、特に家庭・学校・社会という連携と関連性が非常に薄れているように感じますし、各々がきちんとした責任を果たそうとしていないように感じてなりません。戦後教育の経緯を見ると教育に関する法律は少しずつ手を加えられていますが、ゆとり教育など完全に失敗であったと認めざるを得ない方策もたくさんあります。元々教育には人間形成や世の中の形成のために人を育てるというしっかりとした目的がある訳ですが、近年の教育はそういった基本部分や目指すものがきちんと見えていないように感じてなりません。今回の容疑者の発言も非常に幼く人間形成が出来ていないと感じます。家庭や学校での教育というものが何を目的としたものであるのか、原点に立ち返り見直す必要があると思います。
○教育に関しては、家庭が子供に基本的な教育をする義務があるという認識の欠如、学校教育の方針や目的の形骸化、と同様に社会にも問題があると思います。例えば30年くらい前は大企業が企業内学校を持つなどして、ある一定人数の若者を社会人として育てることに関与していました。しかし現在は企業内にそのような学校を持っているところは数社しかありません。地元の製造業などにも以前は未成年の若者を採用し一人前に育て上げる親分肌の社長が多くいましたが、現在はこういった方も見られなくなったといいます。会社間の競争が激化し利益・利潤のみを求められるようになった結果、社会全体に人を育てる余裕がなくなり、そういった気心も薄れていった結果が、今の若者を社会人として立派に育て上げる社会的しくみを崩壊させてしまったと感じます。こういった状況をとらえて、企業への社会的責任意識の醸成や支援、さらには若者の自立や支援を社会的政策として取組む必要があると思います。
②「若者の社会的排除」と呼ばれる問題
○秋葉原の事件の容疑者は35歳で、派遣労働で生計をたてていました。今回の容疑者も33歳で職を転々としていて定職についていませんでした。様々な格差問題が具体的な解決策を見出せないまま進行してしまっていますが、育つ家庭間の格差、親の事情による学校や学歴による格差、そして正社員と非正規社員の格差などの渦に巻き込まれて社会の本流につながれず、社会の中に居場所を見つけられない若者が増えています。家庭崩壊、失業、職業技術の低さなど様々な理由から、貧困から抜け出せず社会の中に融合出来ずにいるこうした問題を「若者の社会的排除」と呼びます。若いのに社会に順応できずに社会に対して絶望感すら感じているような今回の事件の容疑者を見ると「若者の社会的排除」を政治課題として取り上げて、早急に若者に対する自立や就業を社会的に支援する政策をとる必要があると感じます。
③弱者を守るということ
○容疑者が「傷つける相手は誰でもよかった」という供述をしていると報道がされていますが、実際に被害にあわれたのは女性2人でした。容疑者は1時間も前から犯行現場周辺をかばんに凶器をしのばせながら傷つける相手を探してうろついていた、とも報道されました。ということは「誰でもよかった」訳ではなく「自分よりも弱そうな者」を探していたことになります。類似する事件でも被害にあわれた方は、女性・子供・年配者という体力的に犯人よりも不利であるというケースが圧倒的に多くなっています。女性・子供・年配者・身体の不自由な方などをしっかりと社会が見守り、安全を守る取り組みが早急に必要であると考えます。
3.日常の安心・安全のために
○事件の根本に潜んでいる様々な問題を改善して、事件の発生そのものを抑制していくことが本当の意味での良い世の中をつくることになりますが、とても時間がかかることです。こういった取り組みをすることと並行して、まずはみなさんが普段生活をしていて既に感じている身近な不安要素を取り除く活動を実施していかなくてはいけません。
今までみなさんからお話をいただいて行政に提言しても予算などの関係から後送りになっていた課題や、順番待ちの課題などについて、優先順位を変更して市民の安心・安全を守る対策を率先して実施してもらえるように、次の定例議会・一般質問などで取り上げて提言をしていきたいと考えています。
★暗い夜道や交通不安全箇所の解消、不審者情報に対する具体的対応策、つきまとい行為・ストーカー行為に対する具体的対応策などについての取組み方法を議論していきます。
また、女性や子供たちからの安全に関する相談や意見などについて優先し処理するなどの工夫で、弱い立場の方を守ってあげられる方策についても具体的に提言していきます。
★私が以前、市に提言した「子供の通学路の不安全箇所解消」「八王子駅北口繁華街の夜間の安全」などについても再度市側と協議をしていきたいと考えます。
4.その他
○事件後、京王八王子駅前に献花台が設けられました。数日間はTV局など報道機関が待機しており、私も純粋に手を合わせに行ったのですが報道の方に非常に不躾な質問をされて閉口しました。
こういった部分にも世の中のバランスが崩れていると感じました。現在は献花台が静か
に置かれていて、時折お花やお水を置いて手を合わせて行く方がいらっしゃいます。
日々様々な出来事が起こる現代ですが、今回の事件を決して風化させることなく社会
を見直す糧にすることを約束いたしました。