【再生可能(自然)エネルギーごとの現実と将来性】
~再生可能(自然)エネルギーについてのまとめ~
〇現在世間で再生可能エネルギーと呼ばれる発電方式に関して大まかにその種類ごとに示してみましたが、それらのまとめをしておきたいと思います。
〇自然エネルギーという言い方をしてしまえば、火力発電の燃料である石油・石炭・ガスなどは自然界にあるもので、原子力発電に至っても燃料のウランは自然界にある物質ですので、人間が行っている発電という行為は、大きな意味ではその全てが自然エネルギーを利用していることになります。
現在、再生可能エネルギーと巷で言われているものは自然エネルギーの中で、自然の力で定常的・反復的に補充されるものを差し、石油・石炭など限りのあるものを枯渇性エネルギーというようです。
〇様々な発電方式を比較すると、現在既に発電方式として形になっているもので基幹電力として確立させるためには、各々に問題点を抱えています。
これからの基幹電力システムとしての条件はざっと以下のとおりです。
①天候などに左右されない安定した大きな電力容量の発電が可能であること。
※高い電力品質を維持すること。
②発電に要する費用(設備費、材料費、メンテナンス費等)が安価であること。
⇒電力が安価で提供されること。
③設備が途方もなく大きくならず、なるべくコンパクトで大容量を得られること。
※発電設備を設置することが利用価値が一番高いというような場所(土地)で済むこと。
④ある程度の長期間、安定した発電が可能であること。
⑤燃料(バイオマスなどは木が対象となる)確保が容易であること、またできるだけ自国で調達できること。
⑥安全で安定していること。(事故率が低いことと事故時の影響が少ないこと)
〇先ほど示した再生可能エネルギーの定義で整理される発電方式には、以上の条件を全てクリアできる方式はありません。
〇新な発電方式という観点であれば水素発電あたりは有望だと考えますが、現時点で水素はそのものの単価が高くそれを燃料に大量の発電をすれば電力単価が高騰してしまうため、燃料である水素の安価な大量製造技術の確立が必要となります。また水素は非常に軽い物質であるととともに密閉空間に充満すると爆発する危険性があるため、その管理についても技術革新が条件となります。
◇現代社会において「電力」は私たちの生活の中でどのようにあるべきか、ということをきちんと認識して議論する必要があります。私は現代社会において電力は、空気や水と同様に安定して安価で提供され続けるべきものだと考えます。更に日本の工業・科学などの技術が世界有数の優秀さを誇っている陰には安定供給され続けてきた質の良い電力があったことを忘れてはなりません。家庭用の微小な電気であれば様々にある微小な量で不安定な発電しか出来ない方式で供給することも良いかも知れません(トイレの電球に高品質の電気は必要ありませんし・・)。
しかし現在世の中で電力に関して議論すべき種類のものは産業用に使われるものなど、もっと大きな容量と安定性、そして良質な電力品質が必要な部分であることをきちんと認識する必要があります。このベースに立ってこの国の将来に渡る電力供給を考えた時、巷で言われている耳触りのよい再生可能エネルギーでは条件を全く満たしません。現状では再生可能エネルギーは頑張っても基幹電力の補助的役割りまでであり、CO2削減や国民の節電意識醸成などという違った部分に活用すべき種類という範囲にあるものだと申し上げておきます。