【再生可能(自然)エネルギーごとの現実と将来性】
~バイオマスエネルギー~
バイオマス発電
◇バイオマスは太陽光の光科学作用で水と炭酸ガスから合成された有機物の総称で、植物(樹木、草木、穀物など)がこれに該当します。そういった意味では石油や石炭もバイオマスであり、長い年月により密度が濃くなった訳ですが、その期間を要さない使い方としてバイオマスエネルギーが脚光を浴びました。詳しくは書きませんが、使う原料とそれらを燃料にするための発酵や蒸留などの製法によりバイオエタノール、バイオディーゼルのような液体やメタンガスを取り出したりして活用します。バイオマス発電とはこれらのバイオマス燃料を利用して発電することを言います。
・植物に降り注いだ太陽光による光合成がエネルギーの元になる訳ですが、植物が葉に降り注いだ太陽の光を蓄積できるのは、その3.9%程度だと言われており、更にその内の3分の2を自らが生きるために使うため、結局人間が利用できる太陽の光は植物を介して得ると植物が受けた太陽光の1.3%程度にしかならない(太陽の光の1000分の1程度しか利用できない)ことになり、これは問題にならないほど低いエネルギー効率です。
・バイオエタノールはトウモロコシや小麦、サトウキビ、バイオディーゼルは大豆や菜の花などからも作りますが、食糧難に苦しみ一日に数千人単位で子どもが死んでいる国が世界には多くあることを考えると、こういった食用としても使える品目の植物は本来の食用に出来るものか、せめて家畜の餌となるもの作り、世界規模で飢餓を救い少しでも不幸な子どもたちを助けることに使うべきです。これから先の世界は人口増加と砂漠化の拡大により益々食糧難となるのですから尚更のことです。
・食物残渣を利用して発酵させメタンガスを取り出すバイオマスもありますが、日本の食糧自給率を考えると食物残渣も輸入されたものの方が多いことになりますので、自前のエネルギーとは言えませんし、人道上食物残渣は減らす努力をするべきものです。
その他に森林を伐採して使う方法もありますが、貴重な自然を生成効率の非常に悪いエネルギー源として使うことは賛成できることではありませんし、そもそも木材や紙として使うべき材料です。
・結局、有効活用するべき植物は、伐採された街路樹や草むしりした雑草など人の生活に支障となって除去せざるを得なかったものや、材木や紙の材料として使われた残材に限られてきます。
バイオマス発電とはその原材料の総称であり発電方法そのものはそれらを燃焼させる訳ですから火力発電と同様ですが、バイオマスで膨大な燃料調達が出来る可能性はゼロですから、名前は近代的で聞こえはよいのですが、効率が悪く欠点が多くあり過ぎ、自然保護や人口・食糧などの世界情勢から見ても将来性は全く無いと私は思います。