【再生可能(自然)エネルギーごとの現実と将来性】
~風力発電~
風力発電
・近年、世界レベルで風力発電が注目を集めています。その理由は①地球温暖化対策として炭酸ガス排出のない環境低負荷電源である ②石油代替の再生可能エネルギーの中で最も経済性に優れた電源である ③エネルギー自給の観点からどこの国でも資源の国内調達が可能である ということにあります。日本でも各地に設置されていますが風量による立地条件が難しく「一年を通して比較的風が強く吹く」一方で「台風などの極端な気圧配置になりにくい場所(極端な強風時はプロペラの破損の危険性のため発電不可能)」が適地となります。またプロペラが回る際に発生する低周波の音波が問題となっていますので民家の近い場所には設置しにくく、かといって人のあまり住んでいない自然豊かな場所ではプロペラに鳥などが巻き込まれるバードストライクによる被害を考慮しなくてはなりませんので、天然記念物の鳥が生息していたりする場所への設置は難しくなります。
発電量では、風力発電には「風速3乗比例・直径2乗比例」という法則があります。風が強くなると、風速の3乗に比例して大きな電力を取り出せる、風車のローターが大きくなると直径の2乗に比例して大きな電力を取り出せる、というのが風速3乗比例・直径2乗比例の法則です。これを逆に考えると、風速が1/2になると発電量が1/8になってしまいますし、大きなプロペラで発電機を回さないと大きな電力を確保できないことになります。例えば街中でクルクルと回っている小さな風力発電機を見ますが、プロペラが数十センチと小さく小さいモーターを回していますので微小な発電量しかないのです。安定して強い風が吹くという条件下でないと十分な発電量は期待できず、デンマークやカリフォルニアなど世界では成功している場所がありますが、気象条件や地形的条件という発電効率上の適正、人口密度や街の形態など人間の生活環境、発電した電気の求められる電力品質レベル、それに自然環境など、実は設置条件をクリアする場所は以外と少ないと思われます。
日本では今後、洋上での風力発電が有望ではないかと考えますが、荒波に対応する技術を持つ安価な設備開発は途上であり、洋上であっても風頼みによる電力品質の不安定さは変わりません。また一基あたりの発電量と効率アップなどの問題も抱えており、資源代はかかりませんが基幹電力に必要な「安定した大容量の電力」を風力発電で賄うことは日本では期待できない状況にあります。