毎年東京対馬会総会の日程にあわせて上京し始めて、今年で早4年目です。きっかけは、3年前に後援会長の旧友宅を訪問した際に、たまたま帰省していた東京対馬会役員の白石女史とお会いして、東京対馬会設立100周年記念にご案内をいただいたことからです。彼女からは、上京の度にいろいろな方をご紹介いただいたり、平素より対馬にいては仕入れ難い貴重な情報をご提供いただいています。省庁や国会議員事務所訪問、先進事例視察で毎年3~4日間滞在すると、毎回10万円以上の出費となりますが、毎年今年も来てよかったと思える充実した出張となっています。時間と資金さえあれば年に数回は上京し、対馬の振興に繋げたいと思っています。
人口減少に拍車がかかるばかりの対馬市において人材不足は残念ながら否めない状況だと思います。それを補うためには、島外の方とのコネクションを拡げ、対馬のためにご支援ご協力をお願いすることがつくづく大切だと思います。
今年も上京前に長崎県東京事務所宛、訪問先にアポイントをお願いしました。 地域グリーンニューディール基金のうち海岸漂着ゴミに係る予算の復活について環境省総合環境政策局へ、昨年陳情した対馬~釜山間国際航路早期再開支援の御礼と、JRビートル国内線国際線混乗について国土交通省海事局へ等です。しかし、去る5月13日の自民党長崎県連の定期大会での、長崎県知事の民主党の政権担当能力を疑問視する発言に端を発した省庁に対する長崎県からの陳情拒否の状況下では、省庁訪問は叶いませんでした。
私は、自民党員でも民主党員でもありません。国政選挙は誰が対馬のために尽力してくださるかで、投票を決めています。県議会における加藤寛治氏への懲罰処分や、今回の中村知事発言への民主党の大人気ない対応には疑問を禁じえません。「国民の生活が第一」というのであれば、国民の声に耳を傾けるべきで、権力を持った者は謙虚さと寛容さを身に着けなければならないと思います。
しかし、省庁への陳情が叶わなかった代わりに、商工会長崎県連の方や地元の同級生から紹介を受けた他の離島が東京近郊で取り組んでいる先進事例をゆっくり視察することができたことは、大変有意義でした。今回は、このことを中心に報告いたします。
《内容》東京対馬会定期総会及び懇親会
昨年より多くの会員がご参加され、総会は滞りなく終了。懇親会では女流講談師の第一人者神田紫さんの講談が披露されました。例年通り株式会社ウエハラさんの対馬特産品即売会も行われていたその横で、私は対馬から持ち込んだつしまぢからのピンクの法被を着てとんちゃんの即売を行いました。途中で厨房からフライパンを借りて、とんちゃんを焼いて試食してもらいました。
上対馬出身者を中心に数名で二次会をと思っていましたが、歌野会長や堀顧問等の役員方、松尾対馬振興局長や辻長崎県東京事務所観光事務所長等の来賓の方々また神田紫さんにもご参加いただき、総勢30名以上の大宴会となりました。対馬出身者の対馬に対する熱い思いを聞かせていただくことができ、地元から参加の島居副議長と私にとっては大変有意義な二次会となりました。
その後、3次会からは若手?中心の比田勝中学校同窓会に突入。4次会のカラオケボックスから、港区のまちづくりの中心人物で釣り名(迷)人A氏にもご参加いただいた。私達が対馬のご当地ソングをアカペラで合唱する姿をみて、郷土愛に感心され、翌日の港区のまちづくり会合に島居副議長と2人でオブザーバー参加のお誘いを受け、遠慮なく参加させていただくことにしました。
面会者:所長若杉謙一氏、次長山本誠喜氏、観光事務所長辻宏幸氏
《内容》上記面会者と対馬市における観光物産に関する現状認識の共有を図り、先進的取り組みの紹介等をいただき今後の方向性について懇談
滞在を延長して島居副議長にまる1日同行いただきました。省庁訪問が叶わないため、東京事務所幹部の方と情報交換を行いました。対馬市は県内の他の自治体と比べて東京事務所をあまり活用してもらってない、どんどん活用して欲しいとのご指摘をいただきました。若杉所長をはじめ県内の自治体の力になりたいとの思いがひしひしと伝わってきました。市の幹部が上京した際にはまめに訪問し、積極的に支援をお願いして欲しいと感じました。
懇談の折、私が推進している韓国との貿易拡大への取組みや方向性について共感いただき、その実践に向けた環境整備について後日改めて具体的要望をご相談することになりました。
面会者:谷川弥一代議士秘書小原重則氏、同秘書松野寛子氏、遠山清彦代議士秘書
《内容》離島振興法改正や国境離島新法に関する情報交換等
会期中で谷川代議士とは面会が叶わず、秘書と国会議事堂内の食堂で会食の後、小原秘書に同行いただき遠山代議士事務所を訪問しました。代議士ご本人は国会対応のため不在で、秘書に昨年陳情した海岸漂着ゴミ問題への早急な対応や、沖縄政務調査報告書受領の御礼を申し上げました。
昼食直前に、坂本県議から、韓国向け輸出水産産物に対する放射能証明書の添付が義務付けられる旨の水産省通達があったと連絡が入りました。早速、地元関係業者や、市担当部局、マスコミに情報を提供し、善後策を検討することを確認しました。
面会者:黒木安馬氏、大前伶子氏
《内容》日露海戦記念碑建立百周年記念事業へのご支援ご協力の御礼
対馬市商工会女性部の方から昨年末に、元JALチーフパーサーで現在執筆業の傍ら全国で講演なさっている黒木安馬氏ご夫妻と会食の機会を設定いただきました。黒木氏は脚本も手がけられるということで、日露海戦の際に敗残ロシア兵を手厚く介抱した西泊区民の美挙を記した犬束通氏の著作を脚本化し、市民劇団で公演できないかという話しで盛り上がりました。その後、ご自身の講演会やメルマガやフェイスブック等で対馬をPRして下さっています。また、助けられたロシア兵の子孫が記念行事にあわせて来島を希望しているが資金不足で叶いそうにないことを実行委員会事務局が相談申し上げたところ、黒木氏のネットワークで寄付金が集まり始めました。また、複数のマスコミへの宣伝、ロシア大使館へも諸々問い合わせもして下さっていました。しかし、今回は諸事情でロシアからの来島は叶わず、氏のご厚情に報いることができず、お詫びと御礼のためにご面会を申し出ていました。
黒木氏は対馬出身である大前研一氏とも親交があり、当日は実姉大前伶子女史にも引き合わせ下さいました。近年研一氏が対馬出身であることを多く取り上げて下さっていることを伶子女史からお聞きしました。黒木ご夫妻と大前ご姉弟に対馬に対する倍旧のご支援ご協力をお願いし、ご快諾をいただきました。
面会者:港区芝会議地域コミュニティ部会A氏、他部会員5名、港区役所協働推進課協働推進係主査、同係主事
《内容》6月2日開催の『第7回ふれ愛まつりだ、芝地区!』の打ち合わせに、島居副議長とオブザーバーとして参加
前夜、白石女史から紹介を受けたA氏のご厚意にあまえて、地域イベントの打ち合わせに参加させていただいた。会合の冒頭に紹介を受け、長崎県東京事務所から融通してもらった対馬の観光パンフレットを全員に配布して、対馬をPRさせていただきました。
芝地区には3つの地域部会があり、この部会は希薄化していくコミュニティの再構築や、「江戸しぐさ」という昔ながらのマナーやエチケットを「芝しぐさ」として受け継ぎその推奨を図る部会でした。イベントの出し物の確認、手作りの「芝しぐさ」広宣グッズ作成等、担当部会員が出席者からの意見を取り入れながら、時に笑いが起きつつスマートに決定していきます。田舎の会合でありがちな大きな声を出した者勝ちという雰囲気は全くありません。区役所の職員は備品の管理状況を確認されたときに回答する程度で、まさしく自治運営といった印象を受けました。第2部のコンサートの出演者が、毎年ちんぐ音楽祭でお世話になっている小室等さんであり、なんだか因縁めいた感じがしました。
A氏は港区民祭りや富裕層が多いマンションの納涼祭の実行委員でもあり、その際に対馬の特産品等を出店してはどうかとのご提案をいただきました。イベントの度に対馬から何人も上京することは大変だろうから、昨夜の4次会メンバーを中心として東京在住の対馬出身者に、先ずは港区民祭りに参加してもらってはどうかとのお誘いもいただきました。
また、会合の後部会員数名と居酒屋談義を設定いただきました。そこでは、高齢富裕層の釣り仲間がお亡くなりになった際、釣り道具の処分にご遺族が困っていらっしゃる。これを対馬に送るので、釣り客が手ぶらで対馬に行ってもその高級釣り道具を借用できるようにすれば、釣りマニアが対馬に押しかけるのでは等のご提案をいただきました。ただ、東京では男女群島等五島の釣り情報はいくらか入ってくるが、対馬の釣り情報は乏しい。東京には海外まで趣味で釣りに行く富裕層はたくさんいるのだから、良い情報がたくさん入ってくれば旅費が少々高くとも対馬に釣り人を送り込めるはずだとの心強いご意見もちょうだいしました。帰島後早速、釣りに関するブログを発信している比田勝の方にA氏とコンタクトをとっていただいており、今後の展開が楽しみです。
面会者:用賀商店街振興組合理事長小林弘忠氏、同組合専務理事・用賀まちづくり株式会社代表取締役大嶽公彦氏、まちなか観光物産館田舎のごっつお店長青柳隆一郎氏
《内容》都内商店街と地方の商工会や観光協会の連携によるアンテナショップ展開という目新しい形態を視察することで、対馬の特産品の新しい形での販路拡大を図る
新上五島町の他、全国7地区の商工会や観光協会とタイアップして、商店街の活性化を図っている用賀商店街を視察しました。昨秋、対馬出身の商工会長崎県連職員から情報提供を受けて何度か連絡をしていた青柳氏に、当日の朝アポイントを突然お願いしたにもかかわらず、丁寧なご対応をいただきました。
『用賀まちづくり株式会社』は用賀商店街振興組合が全額出資し、平成21年秋に設立され、用賀商店街のコンサルト業務を行っています。主な事業として、お休み処、情報発信基地、イベント広場機能をもたせた『ハロー*ようが』とアンテナショップ『田舎のごっつお』の2施設を商店街内に設置しています。両施設とも間口は二間ほどの小規模な施設ですが、幅広い世代に愛される商店街づくりを目指されています。
『ハロー*ようが』では、商店街のゆるキャラが入り口で出迎えてくれて、なんだか癒される気分になります。施設内にはテーブルと椅子があり、無料で暖かいお茶夏はレモン水がいただけます。また、トイレや授乳室まであり、お客様の憩いの場となっています。もちろん、商店街内の店舗案内やイベント情報のチラシやパンフレットが常備されています。施設の奥には小さなキッチンがあり、イベントの際には試食用に簡単な調理ができるようになっていました。後でブログを見て知ったのですが、毎週木曜日にパソコンや携帯電話、デジカメの使い方教室を開催、金曜日19時から、駒澤大学のゼミ生によるインターネットラジオ番組<ようが*アワーズ>の放送が行われているようです。
『田舎のごっつお』は陸前高田市のアンテナショップとして始まり、徐々に参加地域を増やしていき、全国各地の特産品が所狭しと陳列されるまでになったとのことでした。
視察後商店街事務所で幹部と懇談いただいた際、既存のスペースでは手狭になったため、イートインも可能な施設を設ける計画があり、対馬市も参入されませんかとお誘いいただきました。対馬市の観光パンフレットもお渡しして、対馬の特産品や観光名所をちゃっかりPRしてきました。帰島後に早速、地元商工会の指導員や観光物産事務所長に報告をして、今後の展開を検討しています。
面会者:海士町観光協会佐藤喬氏
《内容》隠岐群島海士町観光協会が出店している全国の離島特産品をメニューとして提供するレストランの視察をすることで、対馬特産品の新しい形での販路拡大を図る
昨年、地元で精肉店を営む同級生N氏が、都内で離島食品を車で移動販売を行うという斬新な取組みを行っているところから、とんちゃんの注文が舞い込んだという情報をいただいていました。前日の午後に、N氏に連絡先を確認し、海士町観光協会の担当者にアポをとると、快く視察を受け入れて下さいました。
レストランのメニューはとても豊富で、対馬とんちゃんを使った新メニューも試作中とのことでした。対馬地鶏のつくね他を注文して少し早めの夕食をとった後、担当者の佐藤氏と懇談しました。
佐藤氏は秋田県出身で大学卒業後広告代理店に勤務していましたが、海士町観光協会の離島キッチン事業に応募して平成22年4月に採用されました。
同年10月から都内を中心に、離島食材を活用した弁当や惣菜をメインに離島の特産品移動販売を開始しました。事業開始前から、メディアに露出をはかり開店当初から注目を浴び、メディアへの露出が更に増えていきます。昨年7月から9月には、つくば市に期間限定ながら店舗型を初出店します。今年3月から7月には、平塚にところを移し、やはり期間限定でレストランを出店します。この2店の成功を受けて、東武鉄道からオファーがあり、今話題のスカイツリーでものすごい賑わいをみせる東武浅草駅に、初の常設店を11月からオープンすることになっているそうです。
佐藤氏は、原発事故の影響もあり消費者が益々生産地表示に興味を持ち始めていることに注目されていました。これからは、自治体や観光協会といった団体との取引から、農家や漁師、個店といった目の行き届く商品を提供いただけるところと取引を増やしていきたいと仰られていました。また、年中同じメニューを提供するのではなく、旬の食材を旬の時期のみ提供するようなメニュー構成にしたい。季節ごとにある離島にスポットを当てたイベント等も企画しているとのことでした。
青柳氏や佐藤氏と話せば話すほど、事業成功の鍵はやはり担当者の熱意と能力に寄るところが本当に大きいなと感心させられました。また、このような優秀な方に応募してもらうためには、募集する側が企画をしっかり練り上げることの重要性をひしひしと感じさせられました。
先日の長崎新聞に、新上五島支局記者のこんな記事が掲載されていました。『海水浴場のごみが多いという話を知人とした。「役場は何をしているんだ」と知人は憤っていたが、すぐに行政に頼ろうとする姿勢には違和感を覚えた。・・・その前に自分達でできることも考えてほしい。・・・かじ取り役がどんなに頑張っても、こぐ人がいなければ船は進まない。』
同様なことを3年前の選挙はがきで、私も有権者へ次のように訴えています。『協働創造型のまちづくりには、一緒に船を動かす乗組員の役割を担う「クルー」の存在が不可欠です。さあ、若い世代の力で対馬を改革していくための協働創造型のまちづくりに「クルー」として貴方の力をお貸しください。』
当選後3年を経て痛感することは、「クルー」にやる気を起こさせ、やりがいを感じてもらう環境をつくることも船長の大事な仕事だということです。
ところで、毎年上京の度にお会いしている方々の中で、普段から様々な情報を提供いただいている方が増え続けています。これらの方々には、自分自身は東京に住んでいるけれども、故郷の対馬がよりよい島になって欲しいという郷土愛にあふれていらっしゃいます。どなたからも「お前は市議会議員になったんだから、お前がしっかりしろよ」というまる投げ的意見はなく「対馬のために俺にも何かしたい、でることはないか。」とにかくよりよい対馬づくりに参画したいという、前向きなご意見ばかりで、本当に心強い限りです。
自惚れかもしれませんが、毎年私が自費で上京し、対馬のためになることを何か掴んで帰ろうとしていることに、共鳴していただけているから、東京在住の対馬出身者にこのようにありがたいご支援ご協力をいただけているのではないかと思います。
振り返って、市民の負託をうけながら、この3年間でこれといった成果を出せないのは、私自身が代表者として「クルー」にやる気を起こさせ、やりがいを感じてもらう環境をつくることが、まだまだできていないことの現われだと反省しなければならないと思います。
しかし、ありがたいことに私にはご支援ご協力いただける方々が徐々にではありますが増えてきていることも、日々感じているところです。その方々のご恩に報いるためにも、より一層努力精進して参る所存です。今後とも倍旧のお力添えを賜りますよう宜しくお願い申し上げます。